冨山和彦のレビュー一覧
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今、どこの本屋さんでもこの本が売れている新書の上位に居続けています。みんな、そんなに地方の問題に着目しているのか!と少々たじろぎます。しかし、「地方消滅」の増田&「なぜローカル経済から日本は甦るのか」の冨山という最強コンビ、地方創生ロードウォリアーズなので、どんどんハイスパートで議論が白熱していきます。それぞれのコンパクトシティ、G型経済、L型経済という基本技をベースにG型大学、L型大学という新技も繰り出して、普通の文系大学やph.Dにダメージを与えまくります。見た目は派手ですがキーワードは「生産性」であり、これはじわじわ効く超ベーシック技だったりします。「生産性」の前に地方も大学も根本から変化せざるを得ないような予感がしました。
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「選択と集中」を実行するためには、何かを「捨てる」ことが不可欠だが、伝統的な企業ほど、「捨てる」ことができずにいる。数々の企業再生案件に携わってきた著者が企業再生の要諦とともに、日本の産業全体が抱える課題の解決に向けた教育や地方創生のあり方を示した提言書。
本来は「事業」を行うための道具に過ぎない「会社」を”残す”ことが自己目的化した結果、外部環境の変化に対応できず、経営が行き詰まったカネボウやダイエー、JALなど”かつての名門企業の成れの果て”を目の当たりにした著者は、「残すべきは会社ではなく事業である」との信念の下、一切にしがらみを排して合理的に事業の価値を評価し、残すべき事業を 適正な価格で新たな経営者に売却することが、結果として雇用を守り、さらに今日の日本に必要不可欠な「企業の新陳代謝」が促進できると主張する。
さらに著者は、グローバルとローカルへの「二極化」が進むとともに、少子高齢化による労働力不足と成長鈍化に直面する日本経済のカギを握るのは、一握りの「グローバル企業」よりも「ローカル」に根ざした非製造業企業群であり、高等教育もアカデミック一辺倒から脱却し、実学中心の専門教育との「二山化」を目指すべきと提言する。利害が複雑に絡み合う政・官・財界を相手に、批判を恐れず、ブレることなく正論を通してきた著者の主張は重く響くとともに、「真のエリートとは何か」を考えさせられる。 -
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ソニーをやり玉にかつて栄華を極めた日本企業が没落した理由をグローバル化とデジタル化への対応を中心に説き、病んでいる日本企業への処方箋をサラリーマンのメンタリティや人事を重点的に提示する。今も元気な日本企業として、KOMTRAXでIoTの先駆けとして知られているコマツを挙げていて、ERPををほぼ標準のまま導入したとのこと、やはり他の日本企業とは一味違うようです。少し前にネットでも盛り上がったグローバル大学、ローカル大学構想の片鱗も述べられている。復帰後のジョブズからアップルへの出資依頼をソニーが断った話があって驚いたけど、本当の話なんでしょうか?
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以下のことを意識しながた企業分析を行い、
その会社の裏にある構造的な経済性を知ることで本当の姿が見えてくる。
コスト面での分析は自社の共有コストに着目し、
事業モデルのうちで規模の経済、範囲の経済、密度の経済の
どれが大きいのかを掴む。
市場分析では顧客サイドの経済性を探る。
顧客の行動様式や価値増大の要因(例えばネットワークの外部性)、スイッチングコストの高め方などからも分析してみる。
そして産業全体の中でその企業がどの位置にいるのかも分析する(インダストリー・バリューチェーン)。
リアルタイムのポジショニング的な面と、将来のシナリオに応じた位置付けなどを見る。 -
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いい人のリーダは、会社全体の未来の為には、創業の同志、社員、OBからの憎悪を一身に受けてもかまわないという覚悟がない。だから、情に流されて決断のタイミングを逃す。その結果、倒産に至り、より多くの人の人生を壊すはめになる
学校の試験では、正解は基本的に一つだ。そして、それ以外の答えはすべてXになる。それが高ずると、あらゆる問題には唯一絶対の正解が一つあり、それ以外はすべて間違いなのだという意識が芽生えてしまうのだ。インテリほど罹患率が高く、しかも本人にはその自覚がない
城山三郎 広田弘毅 風車、風が吹くまで昼寝かな
最低限飯が食えて、夜露がしのげる場所があれば、人間は基本的に行きていける。いや、そのことのありがたさが見に染みていれば、たいていの失敗や挫折は受け流せるものだ。挫折や不遇をそうやって受け流してみると、生きていくことに不思議と自身が湧いてくる。とくに左遷なんていうのは、ある意味、責任のない立場への島流し。人生においては格好の充電、神様がくれた学び直しのチャンスである
安藤忠雄 連戦連敗
負け戦に直面している困難な状況における決断は、失敗における焦りや問題状況からくるストレスから開放されたりあまりに拙速に決断してしまうケース、逆に決断する勇気がないという理由だけで不合理な先送りをするケースのどちらかが大半だ
ユダヤの格言 人生の最後に自問すべき命題として、「お前はお前自身の人生を行きたか?」
厳しい状況にあってほとんどの人間が剥き出しにするのは、「性において弱い」という本性だ。そう「性弱説」に立って人間を見つめるのが私は正しいと思う
どんな格好のいいことをいっても、難しい議論を展開しても、現実の人間は、性格と自分自身の根本的な動機づけ要因からは自由になれない。この2つに人間は弱い
鬼平犯科帳 長谷川平蔵 人間というものは、良いことをしながら、悪いことをしている
善悪一如 人間の悲劇の多くは、善良なる動機づけからもたらされる
悪い情報、耳の痛いことを、本当に大事な局面で伝えてくれる友こそが、本当の友である
最も困難なことは捨てる決断なのだ
撤退戦はなるべく早期に始めなくてはならない。まだまだ勝機があるようにみえるのに撤退するというのは、スタッフには受け入れがたい。撤退を決意したリーダーは社内では叩かれ、下手をすると経済誌など社外でもたたかれることもある。それでも組織のためを思えば、リーダーは捨てるを選択しなくてはならないのだ。
撤退戦が見事だったのはインテル(アンディ・グローブ)。半導体メモリから撤退し、その資源をCPUに集中。CISCからRISCかというときRISCに集中
西郷は改革時のリーダとしては限界があった
選択と集中の本質は捨てることであり、それは心の強さが求められる。若いうちから心を鍛えておけ
捨てることが出来ない人には、捨てることは自由になり、新たな希望を手に入れることと考えて、その恐れを排除していこう
自由とは失うものが残っていないことの代名詞(ジャニス・ジョプリン)
変化に対応できない人の口癖 あのころはよかった
もしあなたが知らず知らずのうちに、「あの頃は」「昔は」という言葉をつかっていたら注意すべきだ。変化に対応する力が鈍くなっているかもしれない
「昔はよかった」「今の若い連中は」と言い出したら、それはヤキがまわりだした証拠である
注意すべきは、「好きか嫌いか」と「向いているか向いていないか」は全く別物であるということだ -
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著者は日本的経営が通用しなくなった理由は「グローバル化」と「デジタル革命」の2点と述べている。
グロ-バル化については他の書籍でも語られることが多いが「デジタル革命」がもたらした構造的変化は、
なぜ、株式会社日本の華形だったエレクトロニクス企業が駆逐されたかを明快に示している。
まず、「グローバル化」について
日本企業が「フル・グローバル化」対応に遅れた背景は加工貿易モデルの成功にある。
日本は日・米向けの加工貿易モデルが成功し過ぎたため、生産拠点としてしか新興国を捉えることができなかった。
(1990年において、日・米の世界GDPシェアは43%もあったため)
一方、欧米企業はかつて日本企業に市場を席巻され、日本国内に参入できなかった経験を活かし、
各国での「フル・グローバル化」を徹底させた。
次に、「デジタル革命」についてだが日本企業にフリに働いた要因は3点あると著者は述べる。
①モジュール型設計技術が加速度的に進化した結果、日本企業の十八番の自前主義の組み立て工程の価値が低下した。
└ブラウン管時代のTVは好調だったが、液晶テレビ時代は世界に遅れをとった
└デジタル革命はバリューチェーンを複数のレイヤーに分割し、各レイヤーは水平分業可能な領域として様々企業に開放された
└デジタル革命は、要素技術の標準化、数値化を進めるために、大量均一生産型商品のコモディティ化が進みやすく、
「捨てる」領域を瞬時に見定める強烈なリーダーシップが必要となる
②「ムラ社会」を壊す可能性があるIT技術を積極的に導入できなかった
③デジタル革命とインターネットの爆発的な普及によって誕生した新しい産業は「若くて小さい」機動的なベンチャーに圧倒的に有利だった
(「古くて大きい」企業は巨大資本が必要で、ベンチャー介入の余地がない事業ドメインに絞り込むべき) -
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「結果を出すリーダーはみな非情である」冨山和彦
リーダー論。特になし。
産業再生機構でJALやカネボウの再建に携わった著者の、2000年代以降の日本社会リーダー論。
主に、ミドルリーダー層≡現場の部課長クラスを対象にして書いています。
僕にはまだ早い、などと言っててはいけなくて、将来使えるリーダーになるためには、早いうちから論理的思考力や日本的コミュニケーション能力を鍛えていかないといけない。
表題どおり、組織の中で決断を担う役割になったときに合理的な判断をするためには、「情理」を捨てて「道理」を通さないといけないことがあるでしょう。
それを実際に実行するためには何が必要か。
著者の考えるリーダーの条件を、実践に則して語っています。
今回、佐々木常夫さんの著作とセットで読みました。タイトルからするとリーダーの二面性:
飴とムチ、性善と性悪、仏と鬼、そんな対比になるかと思って読み終えたのですが、案外そんなこともなく。
佐々木さんの著作では社会人として基本的な心構えを忘れずに、というキソであったとすれば、
冨田さんの内容は、より上を目指すビジネスマンに対してハッパをかけている。
合理に沿って判断することを是としつつも、実際のコンセンサス取りにあたっては、現場の調整・経営者の調整が重要だということを説く。
そのために、上からも下からも一次情報の入ってくるミドルクラス=課長が最も機動的に会社を変えられる。だそうです。
確かに各キャリア段階の都度、ヒラらしいヒラ、課長らしい課長、などに収まってしまうと物の考え方が拡がらないなあと思いました。
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・体を張って挑戦しないヒト、挫折を味わったことの無いヒトはリアルな権力闘争の場や深刻な利害衝突がある状況で組織を舵取りできない。
・野党政治家は自分の言いたいことだけ言って、責任ある行動を何も取らない傾向が多い。本当の与党政治家は我慢の連続だ。自分の理想と現実の間で思いっきり妥協しなければいけない。理想論、あるべき論を過激に語るのは自分が権力を握るとかそれを行使しなければならない立場に立つことをまったく考えていない連中だけだ。
・社長と副社長との距離は副社長とヒラ社員の距離よりもはるかに遠い
・課長というのはある意味でヒラ社員より逃げ道が多い(上司、部下両方のせいにできるから)
・リーダーはいざというときは村の調和を破壊する果断な決断やイノベーションを断行して村を外敵との闘いにおける勝利に導かなくてはならない。
・生産性が10のヒトと5のヒトが同じ領域で戦おうと思ったら、5のヒトの賃金を半分にするしかない。生産性が落ちることは貧しくなることである。
・衰退を成熟とすり替えている限り、絶対に希望が持てる社会は戻ってこない。
・トップリーダー(マネジメント)を目指すか、プロフェッショナルを目指すかはっきり決めたほうが良い。
・幸福度などは国家に決めてもらうたぐいのものではない。自分の中の幸福観に他人を巻き込むようなことはするべきでない。
・リーダーに不可欠な資質の一つは論理的な思考能力、合理的な判断能力(普段からの訓練が大事)
・絶対安全も絶対危険もありえない。その間で私たちは技術を使っている。どういう危険がどのくらいの確率で起こり、どのようにコントロール、管理していくのか、を問わねばならない。
・経営の世界はリアルな世界である。ヒトとカネを巡る生々しいせめぎ合いであるそれを、人間を幸福にするツールとして機能させるには、リーダーがリアリズムと合理主義に徹することが絶対と言っていい必要条件である。リアリズムと合理主義に立脚しない理想主義や情緒主義によって多くの人間が殺されてきたのが人類史のリアルなのだ。
・選択と集中ではなく、捨象と集中である。捨てることに戦略の本質がある
・マスコミ的正義は常にその一面しか伝えない
・情理からも合理からも逃げていてはリーダーは務まらない。その狭間で悩む訓練は若いときからやっておかないと突然身に付くものではない。
・社長らしい課長を目指す
・有事によって役に立つやつは基本的に度胸が座ってないとダメ
普段からの訓練がものを言う
・社会問題を考えるときのフレームワーク
1客観的事実の認識:現象の認識
2主観的事実の理解:各関係者の立場の違い、主張の裏にある真の目的関数、価値選択を理解する
3価値・規範の選択
4規範に基づく事実評価
5対策提示
・意思決定の段階においては情緒を極力排除しなければならないが、コミュニケーションの段階で情緒を否定していしまうと伝わるものも伝わらなくなる
・守旧派は常に団結し、改革派は常に分裂する
・企業経営において的確な戦略を立案する上で最も大事なことは経済構造を理解することである。ここで経済構造とはそのビジネスが儲かる儲からないかを決定している最も大きな要因(経済構造を圧倒的に支配しているものは何か)
・引き算の戦略思考
戦略を考える前提要素は、
1経済構造
2市場環境
3競走ポジション
現実にはこの3つがすんなりと整合しない場合が多い
→何かを捨てるしかない
・本来戦略的意思決定というのは何を優先させるか、あるいは右か左かどちらかに進むという議論であり、何かを捨てなければならない
・それでは縮小均衡だという議論があるが、アップル・サムスンなどはプロダクトラインは限られているが成長力は高い。今や捨てることが成長すること。
・血も涙も無い範囲で目的設定するから意思決定が歪むのである。やがてはみんなそろって討ち死に、一億総玉砕になる。残念ながらそれが日本の歴史だ。弱肉強食の戦いをしているときには共同体のトップは共同体に対して血も涙も無い意思決定ができないと全員を殺すことになる。
・優等生で地頭もいいがとにかく上司にこまめに指示をあおぎ、上司が腹内でもっている正解を探り、そこにかなった答えを用意しようとする。あるいは組織の空気を一生懸命読んでその空気に合わせた優等生答案を用意する。この手の秀才タイプはラインマネジャーくらいまでは順当にくるがミドルマネジメントくらいから伸び悩み、トップとしての資質が問われることには成長が止まってしまう。
・組織の中で上に行くほど自分に対して厳しいことを言ってくれるヒトは少なくなる。上司に本気で意見してくれる部下なんていやしない。
・一緒に働く人たちの比較優位と比較劣位を性格に把握しておくこと
比較劣位は致命的な要素は若いうちに解消しておくべき。でないと比較優位を発揮できる場所にすら立たせてもらえなくなる
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Posted by ブクログ
挫折が人を成長させることを言及し続けるなシンプルな考えの本。著書のタイトルにある挫折力とは「挫折を愛し、乗り越え、活かしていく力」とのことです。
また、第2章では、挫折を力に変えていくには、①挫折に負けないためのストレス耐性を強くする、②必死にならざるをえない状況に自分を置いて悩む時間を作らない、③撤退基準を設ける、諦めるラインを設定する、④敗因分析、なぜ失敗したかを客観的に分析する、⑤早めに挫折経験を重ねストレス免疫を強くする ⑥大挫折経験した仲間を持つ 等を挙げています。
第4章で捨てる技術、第5章で権力を使いこなす技などを紹介していますが、こちらはやや管理職向けの内容かと。
産業再生機構をはじめ、修羅場を数多く経験された著者だからこそ、挫折していくというスタイルに説得力がありました。ビジネスで挑戦して失敗していくことは挫折力を培っているのですね。