冨山和彦のレビュー一覧
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ネタバレCOVID-19が猛威を振るいだした2020年4月に書かれたにもかかわらず、かなり鋭い深い内容となっている。さすが冨山さん!
118ページという薄い本なので、コロナ渦でささっと書き上げたのかと思いきや、冨山さんの経験のエッセンスを余すことなく言及されている。
平時と緊急時では経営手法は全く異なる。生死がかかっている危機時には情理は排除し、合理を優先すべきである。国民感情や社内の空気などという実態不明のお化けに惑わされずに、「理屈通り」にやるのが経営である。理屈通りにやらないから多くの人が仕事を失い、未来をつかむチャンスを逸する。合理する力こそが未来をつかむ力なのだ。
この力を持っているリーダーの共通点はネアカであること。どんな絶望的な状況にいても「理屈通りにベストを尽くせば必ず結果が待っている。それでだめならしょうがない。その時にまた次の手を考える」
個人としては、まず自分の置かれた状況、自分がいる組織がこのあとどれくらいの嵐に巻き込まれるか、いろいろな情報を集め、そのうえで自分の頭で考え抜くことである。危機はいつも新しい形で押し寄せてくる。
機器の経営において、平時の頭の良さ、BOOK Smartは役に立たない。モノをいうのは、実戦経験に裏打ちされたStress Smartである!
豊富な臨床経験、修羅場経験を持つストレス・スマートな真のプロは減少している。 -
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ネタバレ2020年に10年ぶりに電子書籍で読み返した後、2024年再読。
震災直後に出版されたこともあり、当時の日本企業・日本経済への不安を感じ取ることができる。
出版後10年近く経ち、日経平均は劇的な回復を遂げたものの、本質的な企業価値は向上しておらず、足元ではGAFAMの合計時価総額が東証一部全体の合計時価総額を上回っており、グローバル競争力が成長しているとは言いがたい状況。
当時はまだ自身の経験が乏しく、記載されていることの半分程度しか腹落ちして理解することができていなかったと思う。
いまは自身が事業会社役員を経験したこともあり、ほとんどが納得感をもって読み進めることができた。
■世界経済、日本企業の状況
グローバル化、資本の巨大化、デジタル化の流れ
付加価値の源泉が設備から人のインテリジェンスに移行してきている
設備は保有できるが、人は保有できない(奴隷ではない)
企業の経営力を決定するファクター「SOLVE」
S・・・Strategy
O・・・Organization
L・・・Leadership
V・・・Vision
E・・・Execution
富山氏はOrganization、Executionを機軸にした再生が強み、波頭氏はStrategy、Leadershipを機軸にしたピュアな戦略が強みな印象
環境変化による戦略の修正速度が上がっているため、以前は半年~1年程度かけて戦略策定していたのが、いまは3ヶ月程度で策定する必要
外部環境の複雑性が上昇することで、戦略策定の難易度が上昇
グローバルで成功している企業は、日本独自の強み・特徴を持っている。ローカルくさい。地方の企業が多い。東京まで出るのも海を越えるのも同じだから?
企業は2つの本能を有することを理解。両社を舵取りするのがマネジメント
- 資本の本能:利益、拡大
- 組織の本能:現状維持、変化の排除、自己増殖
一番しがらみがあるのは経営者。社内、取引先、経営者OBなど。しがらみの多さを理解
経営者候補をしがらみがないように育成(例、海外や子会社への出向)することも
意思決定は合理、組織を動かすのは情理
カネボウの事例は合理⇒情理⇒合理、とサイクルを回しながらビジネスモデルを組み立てているのが特徴的
足元ではExecutionをベースにした施策を積み上げることになるが、同時に将来のビジョンから逆算した戦略、組織設計、人材育成を行う必要
魚の流通市場は複雑性が高い、多層化。天候変動、漁獲エリアを考慮したポートフォリオの重要性、売ってもらえる人間関係
ビジネスDDでは、公開されている書籍やレポートに記載されている以上のそのビジネスの肝をどれだけ押さえられているか
財務DD、法務DDは瑕疵の治癒の問題、もしくはバリュエーションへの反映の問題だが、ビジネスDDは良いか悪いかの二択の問題(「イエス・ノー・クエスチョン」
■プロフェッショナルなコンサルタント
経営者と対峙し、戦略の方向性の転換、経営者の意思決定に関与できるのがトップクラスのコンサルタント
起点と終点を決められたプロジェクトばかりやると高級文房具になってしまう
MBA的なハードスキルは必要なスキルの10分の1程度
ロジカルシンキング・ロジカルコミュニケーションは筋力。やればやるほど有る程度までは伸びる。特に若い間は。
ロジカルシンキングは、ディメンジョン、因果の強さ、独立・相関、を意識
ロジカルコミュニケーションでは言いたいメッセージの本質を抽出したメタファーを活用できると相手の理解度が上がる
情理の存在を理解することは大事だが、情理に逃げない。情理を論理的に理解するように努める
3ヶ月で1つのマスターを取得するくらいのつもりで勉強することが大事
経営者が知らないファインディングを示すことが重要
大企業になるほど現場の実情まで把握できていないことが多いので、現場のリサーチ、ヒアリングを通じて経営者が知らない情報、示唆を得ていると経営者は話を聞く
企業の正史だけでなく裏史も理解 -
Posted by ブクログ
多くの大企業の事業再生を手掛ける著者による、大企業病、および大企業病に罹患したくない社員のための書。
経験と理論に基づき、大企業の病巣が的確に表現されている。最近入社した大企業で、もどかしい思いをしている身としては、胸のすく思い。そして、指針を得て救われる思い。
ある段階から、年を取るにつれ、可能性が狭まってくる。会社で役職を上り詰めることができるのは一握り。あなたは”(趣味やプライベートではなく)仕事において”、なにを幸せとみなすのか、自分の尺度を持て、というのが著者のメッセージ。
自分の”会社での幸せ”について、改めて考えるきっかけとなりました。
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〇リーダーに必要なこと
・普段から人よりモノを考える
・人と違う視点でモノを考える
・最低限、一定レベルの勉強をしている
・人よりもタフな経験をしている
〇組織人の行動原理
・日本的ムラ意識・・・帰属意識、相互監視、疎外の恐怖
→集団行動にもプラス面あり。
・自分の所属する組織を存続させ、そこで出世することがすべてに優先する
★恥ずかしさ(みんながやっていることをやっていないと恥ずかしい)
★同調圧力
・名誉、お金、好かれたい、空気に合わせたい
・名誉が好きそうなら名誉で釣る
★修羅場では、人は平時以上に理屈で動く
〇メタ認知:
・権力闘争で消耗しないためにメタ認知が必要
・他者・上下・左右・斜めの人たちが、どんなインセンティブで動いているか
・彼らがあなたのことをどう見ているか?
〇willとcanとshall
・自分は何がしたいのかwill
・自分に何ができるのかcan
・社会が自分に期待することは何かshall
〇人生の成功させる確率が一番高いのは、自分で成功の尺度を決めること。自分の尺度で成功を測る。
〇仕事の世界には、無数の種目があり、無数のグランドスラムがある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレIGPIの3冊目。登録して気づいたが、実は2012年の文庫本版を読んでいた。本書はそれに改定を加えて2018年に新たに出版されたもの。
感想。
おもしろい。昔読んだ時よりも備忘録多い。
備忘録。
・世の中に経営分析本はたくさんあり、どれも正しいことが書いてある。しかし、世の中にたくさんあるDD等の分析資料は正しい経営分析がされていない、イタイ内容のものが多い。しっかり使えるかどうかがカギで、本書はその為のの本。
・パワーのかけどころは、全体比1%の部分ではなく、全体比10%の比重がある部分にしたい。コストで言えば全体の1%しか占めないコストについて、いかに正しく分析し指針を示しても、効果は限定的。
・例えばJALの場合、細かな・マニアックな論点が数多くあったが、結局は固定費の多くを占める人件費にメスを入れたのが効いている。その結果、東日本大震災で稼働率が下がってもしっかり黒字。
・大企業と異なり、中小企業の分析は一筋縄では行かない。◎◎比率が悪すぎると言っても、中小企業ならではの人に紐付く問題もあったり、そもそも優先順位が違うとか。大事なのは数字の背景にあるストーリーを理解すること。
・簿記はすべての基本。自分で手を動かして財務3表連動のモデルを作れるくらいは必要。
・一番大事なことは、現場を見て、それと数字を突き合わせること。目の前で起こっていることと経営上の数字。この突き合わせは現場で経験を積むしかない。
・IGPIが分析者側からから、投資家やコンサタントとして企業側に立場を変えた時、今度は企業側から批判される。財務3表を自分でプランニングして、管理する立場になると、既得権益をもった社員から相当叩かれる。そういう真剣勝負の経験が力になる。
・規模が効くか。売上や顧客数が増えても、増えない共有コストがあり、かつそのコストがコストの相当割合を占める場合。
・規模の経済とバイイングパワーはちょっと違う。バイイングパワーを高めても、各拠点への配分費用や管理費用が増える場合が多く、この場合規模は効かない=規模の不経済。
・規模の経済と稼働率も少し違う話(←難しい)。ホテル、バス、飛行機、不動産賃貸は稼働率がテーマ。「不動産賃貸で本社機能が一定で済むから規模が効く」は間違いというか的を得てない。1つ1つの稼働率が的。
・付加価値率がポイント。会計でいうところの付加価値に占める、自社でコントロール可能な費用がどの程度あるか。ここが少ない、例えば卸とかは苦しいし、規模の経済も効かない。卸が統合を進めているのは、規模を大きくして、ITや物流センター等の投資を進め、事業効率を高めている。
・また、範囲の経済も卸に効いたりする。1顧客当りに提供する商品範囲を広げ、どうせ配送して回るならいろんな商品を届ける=高瀬物産とか。
・M&A時のシナジーは、規模の経済や範囲の経済から語られることが多いが、現実化することが少ない。それは働いている人間の問題が介在するから。簡単ではない。 -
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ネタバレ冨山氏の名著
経営、人間ドラマのリアルが描かれており素晴らしい。
自身も出向経験があるだけに共感できる部分なども一部あった。
メモ
・ほとんどの人間は土壇場では各人自身の動機付けの構造と性格に正直にしか行動できないという現実。
・腹落ちするコミュニケーションの重要性
・余計なことを考えず、ひたすら何をやらなければならないのかを整理する。合理的に必要最低限の人間と的確な能力と動機付けを持つ人間を揃え、しかるべき役割ときて権能を名実ともに与えて、マネジメントできれば本部機能は少人数ですむ。
・一人の人間も集団としての組織も、インセンティブと性格の奴隷である。
・私たちの判断や行動は情理に支配されている。
・いかに組織の人間を組織目的、戦略目的に整合する方向で勇気つけ、動機づけるか。
・市場や競争状況は頻繁に変わるが基本的な経済構造は実はあまり変わらない。
・将来に向けた戦略は予測できない状況変化の察知能力、適応力、戦力の柔軟性。みたい現実でなく、ありのままの現実をみられるか。
・戦略的自由度を大きく変える意思決定が重要となる。店舗を出店するかどうかなど。
・情理は日常の小さなところから、実践していくしかない。
・ガバナンスとは究極的には人間に対するリアルな影響力。自らをリスクに晒さなければその統治力は現実の影響力にはならない。
・一部のエリートが計画的にものを考えよりも、それぞれが自由に考え、自由にお金と人が結びついた方が効率的。社会主義と資本主義経済で実証されている話。
・リーダーに必要なのは人間性✖️能力=人間力。そのベースにあるのは一人一人の市井に生きる人々の切ない動機づけや喜怒哀楽というものが理解できるか。
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Posted by ブクログ
★2つの世界の切り分けに納得★目にする地方経済の現状と、国やメディアが騒ぎ立てる経済のグローバル化といった話の距離にずっと違和感を覚えていた。世界の距離が近づき日本の生産年齢人口が減っていけばこれまでと同じ処方箋では対処できない。世界を2つに分けて考えるべきだという指摘はすごく腑に落ちた。
「モノ」を中心に立地を問わず世界の(ニッチな分野でも)チャンピオンにならなければ生き残れないGの世界と、その場でしか成り立たたず人手のかかる「コト」のLの世界。かつての日本を支えていた加工組立の中小企業は、世界との距離が近づく中でGの世界でしか生き残れない。Lの世界は地方だけでなく流通・サービスにも当てはまり、いい意味でそこに地方のヤンキーが生き延びる余地もある。どちらがよいではなく、異なる世界が併存する。 -
Posted by ブクログ
PLで事業モデルを掴むための材料を与えてくれる。BSはその事業がこれからも持続性を持てるかどうかの健全性についての情報を提供してくれる。
→数字と睨めっこする前に、事業内容を想像し、生き物として数字を捉えることさわ大事
PLを突破口にして、その会社で何が起きているのか、どんな活動が行われているかの仮説を立てる。つまりPLで事業モデルをイメージする。
BSもまた事業実態から出発する。在庫回転期間と想定回収サイト(他にも販管費や人件費、家賃など)から運転資金の最低ラインを見積もる。
また、その上で勝ちパターンを考える上では、経済メカニズムを考える必要がある。
ここで言うのは、以下。
・規模の経済が効くか(またそれはどの範囲で効くか)
・範囲の経済は効くか(現状リソースを維持して拡大出来るか)
・人間心理的な障壁は無いか
・密着の経済は効くか(ドミナント戦略による顧客や地域に密着してコスト効率化出来るか)
・地理的な特性をどう活かすか(都市と郊外では人の入りが異なるため、人件費をどう濃淡をつけるか)
・ネットワークの外部性はあるか(普及がさらなる普及を呼ぶか)
・スイッチングコストは高いか(独占・寡占しているか、高い場合に利鞘を大きく取れるか)
・市場は黎明期か、成長途上か、成熟か
これらの視点を3C分析な5 force分析などの定性分析と合わせて、定量データとして組み合わせると、物事がクリアに見える -
Posted by ブクログ
ー もちろんコーポレートガバナンス· コードは一つの規範なので、そこにどうミート、complyすればいいかという、ある意味、法形式論的な観点は実務的には重要である。
しかし東芝の不正会計問題が明確に示唆するように、真に問われるのは、形式を整えた先の実質論としてのガバナンス改革の成否、ガバナンス経営の質である。
もっと言えば、形式は本来、実質を整える手段にすぎず、個々の企業の多様性を反映して、様々な形式が採用される方がむしろ自然なことである。
経営はつまるところ結果がすべて。結果につながる実態として、企業組織の根本的な権力メカニズムが健全に機能しているかどうか。すべての経営者、取締役会室やIR部門などガバナンスに関わる事務局関係者、機関投資家、そして社外取締役が真に厳しく問われるのは、形式的なアリバイではなく、実質的な仕事ぶりなのだ。
本書では、前半部で実質論、経営論としてのガバナンスのあり方について、Why? What? How?という視点から体系的に解説した。その上で後半部では、私たちの豊富な経験をベースに、ストーリー仕立てでガバナンス経営を実践するための論点について、できるだけ分かりやすく説明している。 ー
一部過激な発言もあるが、前半部も分かりやすいし、後半部も分かりやすく面白い。
舞台は、経営の神様と呼ばれた故・竹上三之助によって創業された総合電機メーカー「竹上電気株式会社」、ヒット商品はポータブル・ミュージック・プレーヤーの「ランニング・マン」 が代表製品の会社。
そんな会社の取締役会室の田中室長(47歳、東大法学部卒、新卒採用、総務・人事部経由からの登用)がコーポレートガバナンスの導入に奮闘する物語。
権力に固執する会長、会長のゴルフ仲間でもある任期9年目の社外取締役、社長の座を狙う専務取締役、創業者の思い入れが強くて進まない不採算事業からの撤退、粉飾決算、ライバルに先手を打たれるM&A、これでもかというほど発生するザ・ジャパニーズ・カンパニー取締役会あるある事件簿。
かなり面白い構成で満足。