冨山和彦のレビュー一覧
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ネタバレ2020年に10年ぶりに電子書籍で読み返した後、2024年再読。
震災直後に出版されたこともあり、当時の日本企業・日本経済への不安を感じ取ることができる。
出版後10年近く経ち、日経平均は劇的な回復を遂げたものの、本質的な企業価値は向上しておらず、足元ではGAFAMの合計時価総額が東証一部全体の合計時価総額を上回っており、グローバル競争力が成長しているとは言いがたい状況。
当時はまだ自身の経験が乏しく、記載されていることの半分程度しか腹落ちして理解することができていなかったと思う。
いまは自身が事業会社役員を経験したこともあり、ほとんどが納得感をもって読み進めることができた。
■世界経済 -
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多くの大企業の事業再生を手掛ける著者による、大企業病、および大企業病に罹患したくない社員のための書。
経験と理論に基づき、大企業の病巣が的確に表現されている。最近入社した大企業で、もどかしい思いをしている身としては、胸のすく思い。そして、指針を得て救われる思い。
ある段階から、年を取るにつれ、可能性が狭まってくる。会社で役職を上り詰めることができるのは一握り。あなたは”(趣味やプライベートではなく)仕事において”、なにを幸せとみなすのか、自分の尺度を持て、というのが著者のメッセージ。
自分の”会社での幸せ”について、改めて考えるきっかけとなりました。
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ネタバレIGPIの3冊目。登録して気づいたが、実は2012年の文庫本版を読んでいた。本書はそれに改定を加えて2018年に新たに出版されたもの。
感想。
おもしろい。昔読んだ時よりも備忘録多い。
備忘録。
・世の中に経営分析本はたくさんあり、どれも正しいことが書いてある。しかし、世の中にたくさんあるDD等の分析資料は正しい経営分析がされていない、イタイ内容のものが多い。しっかり使えるかどうかがカギで、本書はその為のの本。
・パワーのかけどころは、全体比1%の部分ではなく、全体比10%の比重がある部分にしたい。コストで言えば全体の1%しか占めないコストについて、いかに正しく分析し指針を示しても、効果 -
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ネタバレ冨山氏の名著
経営、人間ドラマのリアルが描かれており素晴らしい。
自身も出向経験があるだけに共感できる部分なども一部あった。
メモ
・ほとんどの人間は土壇場では各人自身の動機付けの構造と性格に正直にしか行動できないという現実。
・腹落ちするコミュニケーションの重要性
・余計なことを考えず、ひたすら何をやらなければならないのかを整理する。合理的に必要最低限の人間と的確な能力と動機付けを持つ人間を揃え、しかるべき役割ときて権能を名実ともに与えて、マネジメントできれば本部機能は少人数ですむ。
・一人の人間も集団としての組織も、インセンティブと性格の奴隷である。
・私たちの判断や行動は情理に支配され -
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★2つの世界の切り分けに納得★目にする地方経済の現状と、国やメディアが騒ぎ立てる経済のグローバル化といった話の距離にずっと違和感を覚えていた。世界の距離が近づき日本の生産年齢人口が減っていけばこれまでと同じ処方箋では対処できない。世界を2つに分けて考えるべきだという指摘はすごく腑に落ちた。
「モノ」を中心に立地を問わず世界の(ニッチな分野でも)チャンピオンにならなければ生き残れないGの世界と、その場でしか成り立たたず人手のかかる「コト」のLの世界。かつての日本を支えていた加工組立の中小企業は、世界との距離が近づく中でGの世界でしか生き残れない。Lの世界は地方だけでなく流通・サービスにも当ては -
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PLで事業モデルを掴むための材料を与えてくれる。BSはその事業がこれからも持続性を持てるかどうかの健全性についての情報を提供してくれる。
→数字と睨めっこする前に、事業内容を想像し、生き物として数字を捉えることさわ大事
PLを突破口にして、その会社で何が起きているのか、どんな活動が行われているかの仮説を立てる。つまりPLで事業モデルをイメージする。
BSもまた事業実態から出発する。在庫回転期間と想定回収サイト(他にも販管費や人件費、家賃など)から運転資金の最低ラインを見積もる。
また、その上で勝ちパターンを考える上では、経済メカニズムを考える必要がある。
ここで言うのは、以下。
・規模の -
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ー もちろんコーポレートガバナンス· コードは一つの規範なので、そこにどうミート、complyすればいいかという、ある意味、法形式論的な観点は実務的には重要である。
しかし東芝の不正会計問題が明確に示唆するように、真に問われるのは、形式を整えた先の実質論としてのガバナンス改革の成否、ガバナンス経営の質である。
もっと言えば、形式は本来、実質を整える手段にすぎず、個々の企業の多様性を反映して、様々な形式が採用される方がむしろ自然なことである。
経営はつまるところ結果がすべて。結果につながる実態として、企業組織の根本的な権力メカニズムが健全に機能しているかどうか。すべての経営者、取締役会室や -
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日本の経済力という面を考えるとき、グローバルな企業の競争力ばかりに目が行くが、実際にGDPと雇用の多くを占めるのは、地域に根差したローカルな企業である。グローバル経済とローカル経済とではそこに働く力学が大きく異なるため、それぞれについて正しい見方をする必要がある、というのが本書の骨子だ。二つの経済の大きな違いは、「規模の経済性」が効くグローバルと「密度の経済性」が大きな意味を持つローカル、ということができる。
グローバルで競争する企業は、グローバルで「規模の経済性」を得るため激しいシェア争いを勝ち抜くことが必要であり、そのために経営者は正しく経営資源を競争優位性を持つ事業に集中させることが必 -
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著者は、産業再生機構の元COO。この組織の運営を引き受け、倒産した起業の経営及び再生に従事してきた。この経験からの提言だけに非常に迫力があり、最近メディアで人気になっている経済アナリストや、経済学者、元大臣だった作家などとは、まったく重みが違う。 特に、「ゲマインシャフト(地縁や血縁で深く結びついた伝統的社会形態。日本的)」と「ゲゼルシャフト(利害関係に基づいて人為的に作られた社会。アメリカに代表される。)」との対比からの日本の進むべき方向や優位性に対する言及は、マネージメントの端くれである自分にとっても非常に重要な示唆であった。この話から思い出すのは、「民族は、それを偉大にした特性により滅
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ネタバレ最近感じている、「何となく世界ってこんな風に動いてる?」が活字化されていて、すっきりした。ただローカルに対する思い入れは、筆者の現在の立場もあり、やや強すぎるように思う。海外現地法人のローカル化は、新興国では筆者が言うほど進んでおらず(それが弱みであるといえばそうなのだが)、それに一時的にでも対処できる人材(経営×英語or現地語×技術)のニーズは高い。彼らは中継ぎで、世界ランクが多少低くても構わない。そういった人材すら確保できていない日系大手企業は、今後のあり方が求められていると思う。
以下内容メモ
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これからは、デジタル×ローカル×シリアスの世界。
第一期 -
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巨人と西武じゃないほうの、「GとL」に関する発言で話題になった、おなじみIGPI(経営共創基盤)の冨山和彦さんの一冊。
GとLに、続いて今回はC(カジュアル)とS(シリアス)という軸で異質な2つの領域をわかりやすく解説し、両者がいかにAIと関わることが今後良い結果を生むか等についてわかりやすく解説されていました。
GとLにしても、CとSにしても、どちらがよくてどちらがわるいという話ではなく、そのいずれもがあってこそ世の中はうまく回るということで、私はこれからもLの世界で生きて行くわけでございます。
付箋は、なんと大量の46枚付きました。