冨山和彦氏によるコーポレートガバナンスに関する本。
主張が明確で、すばらしい示唆を与えてくれる本。
本編とは関係ないが改めて冨山氏のアナロジー活用のうまさが随所にみられてよい。
読み応えのある一冊。
メモ
・日本におけるコーポレートガバナンスの目的は米国企業とは逆の不作為の暴走に対する処方箋となる
...続きを読むこと。権力の適正な健全性を担保しようとするもの
・稼ぐ力を取り戻すために攻めのガバナンスが必要
・コンセンサスベースの意思決定は白黒を鮮烈につけるあれかこれかの意思決定には適さない。事業の撤退・売却や戦略的な大方針転換のように組織内の大きな軋轢や不協和音を生む意思決定を適時かつ大胆に行うには向かない。
・目指すべき道はステークホルダー主義に立脚したエクイティガバナンス。
・コーポレートガバナンス。株主は有権者、取締役会は国権の最高機関たる国会、経営者は内閣総理大臣。前の総理が次の総理を選ぶなんてありえない!閣議たる経営会議をクローズに行うのはわかるが、国会は野党もいて然るべき!
・取締役会の主な役割は世の中目線のモニタリング機能
そのために社外取は重要
・取締役と執行が分離されていないと監査役によるダウンサイドリスクの最小化しか機能しない。本来はアップサイドの問題についても鑑みられるべき。これがマネジメント型取締役会。
モニタリング型取締役会であれば、非常に重要な意思決定だけが取締役会で行われる。社内しがらみのない独立社内取により、白黒つける果断な判断を期待できる。
モニタリング重視の取締役会においては、経営トップの傘下でない独立社外取締役がコミットすることが予定される。
・社外取締役に期待する役割としてはモニタリングが主、アドバイスは従。アドバイスは顧問やコンサルでも可能だが、モニタリングは社外取にしかできない。
・社外取締役は質問力が重要。ステークホルダーに対するアカウンタビリティを高める鍵となる。