森沢明夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
貧困の子どもに「子ども飯」を無料で提供している大衆食堂の1人息子の心也。そこに食べに来ている幼馴染の夕花。安心できる場所へ逃げる中学3年生の2人は、初々しくて、真っ直ぐで、苦しくて、無力で。そのあたりのキラキラとした感情表現が絶妙で胸を打たれました。
この2人の視点ともう1つ別の視点の話が並行しています。カフェで子ども食堂をしている夫婦。店にトラックが突っ込みます。壊れた店で絶望しているところに修理を申し出てくれる工務店が現れます。
最後はキレイ繋がります。
読みやすく、展開もわかりやすく、伏線もキレイに回収しています。素直に受け入れて感動しました。
映画化されているようなのでそちらも観たい -
Posted by ブクログ
恋人に騙され、仕事も失い、自分の居場所がなくなったエミリは、15年も会っていない母方の祖父、大三おじいちゃんを頼って海辺の田舎町を訪れる。
快速列車に揺られてたどり着いたのは、空の青と海の青がひとつに溶け合ったような絶景が臨める港町。
早朝の犬の散歩の途中でもらった採れたての野菜や、漁師さんにもらった魚をさばいて作る朝ごはんは、都会での生活とは全然違った趣で、おじいちゃんは無口だけれど交友関係が広くて、おじいちゃんと一緒に暮らすうちに、エミリもだんだんと町の人たちに馴染んでいきます。
完璧な人生を送る人なんていない。みんな人生の初心者で、過去の自分を受け入れて生きて行かなくちゃいけないし、消 -
Posted by ブクログ
本を読みはじめる時の自分の気持ちが
いろいろな事が重なってしまいフラットに
できそうにないかも?
森沢さんの物語が読みたい!
大好きな作家さんの物語に縋るように
読み進めていきまさした。
ロール
キャベツ
プロローグ
海の町へと向かう快速列車は、淋しいくらいに
空いていた。
春めいた空は、明るめのパステルブルー。
目的の駅が近づいて、寒がりのわたしは、
コートとマフラーを巻いて、転ばないよう注意深く
席を立つと、父の形見のアコースティックギターを
背負い、ライムグリーンのスーツケースを転がして
車両のはじっこにあるドアの前に立った。ドアが開く。
ひんやりとした清澄な空気がな -
Posted by ブクログ
不穏さ漂うプロローグ。
趣味の釣りきっかけで週末を桑畑村で過ごすようになり、現地で同じ歳の浩之と親しくなった忠彦。
数年後に忠彦が勤める建設会社が桑畑村でリゾート開発を進めていることを聞き、浩之に会うため桑畑村へ行った日に彼が見たものは衝撃的な場面で、その日から失声症になる。
それから離婚をし家族とも離れて20年の月日が経つ。
息子の建斗のもとへ父が亡くなったとの連絡が入り、妹の里奈と共に桑畑村へ向かう。
父が遺していたものは、壁のアルバムと桜を植えたことだけではなかった。
どうしても母も連れて行きたいと2人が思った理由は…。
写真のキャプションだけではなく、家の裏庭の紫花菜だけではなく、