森沢明夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
両親との過去の経験から、心に傷を負っているまひろが過去と決別するために訪れた思い出の地。そこにはかつて母親が同じくリスタートを切ろうとした際に訪れた老舗寿司屋「江戸前 夕凪寿司」があった。寿司屋でのリスタートは思い描いていたものではなかったものの、そこでの新たな出会いはまひろに新しい居場所を与えてくれて。夕凪寿司では、どこかのんびりした雰囲気を持つ大将のさやかさんや半分隠居した職人の伊助さん、ツンデレさん、常連さん達が登場し、アットホームな雰囲気を作り出しています。夕凪寿司の誰かが困っていたら、まわりのみんなが受け入れ、背中をそっと押してくれる。そんな優しさや懐の深さが感じられます。この人たちと一緒の空間にいてみたい。そんな人間になりたいと思わせてくれる、素敵な一冊でした。
-
Posted by ブクログ
『青い孤島』
オアシス度
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
ぬくもり度
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
背中を押してもらえる
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
第1章 都会の孤独と島への旅立ち
森沢明夫さんの『青い孤島』は、年の瀬にこそ読みたくなる、心底ほっこりとし安心感を与えてくれる物語です。
都会の喧騒から離れ、疲れた心を癒したいときに、最高のオアシスとなる一冊でした。
主人公は、東京の広告代理店に勤める30代独身男性です。彼の特徴は「特徴がないこと」で、会社でも孤立し、友達も少ないという、現代の孤独を体現するような人物です。
彼はコンペ入選を機に、会社からまるで島流しのように東京南方の小さな島へと送り込まれます。彼の鞄には、退職届が忍ばせてあります。これは、都会での生活に失望し、この島を最後とする彼の切実なサインでした。
第2章 分断された島と誠実な対話
人口200人のその島では、活性化どころか、東西住民の根深い分断という、人間関係の大きな課題が立ちはだかっていました。
「仲直り」を先に必要とするこの島で、孤独を抱えてきた主人公は、どのように周りと対話し、関係を築いていくのでしょうか?
彼の成長の過程こそが、本書の最大の読みどころです。彼は、ただ誠実に、静かに人々の話を聞き続けることに徹します。
そうして少しずつ、閉ざされていた人々の心、そして彼自身の心が解きほぐされていくのです。
第3章 孤独からの解放と安心感
この物語は、「孤独って、なんだろう?」という問いに、温かい答えを与えてくれます。それは、誰とも繋がれないことではなく、心の底で繋がりを求めている状態なのだと教えてくれます。
安心して結末までたどり着けるこの小説は、読むと「大丈夫だよ」と背中を押された気持ちになります。
主人公が失敗や遠回りをしながらも、最終的に島の人々との温かい関係を築いていく姿が、読者に確かな安心感を与えてくれます。
忙しい日々に疲れたすべての人に、ぜひお勧めしたい一冊です。