藤原正彦のレビュー一覧
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100円でたまたま買えたので読んだ本。昔、同じ著者の国家の品格を読んだことがあったけど、その時は記憶に残らなかったが、この本はかなり面白かった。
著者がアメリカの博士課程やポスドクで留学していた時の話で、自分の感情を包み隠さず書いていて、入ってきやすい文章だった。本当に、今の時代なら公に出来なさそうな、個人的な日記というか。
例えば、友達と過ごしたらマリファナをいつのまに吸っていたとか、大学の後は地域の子供と遊んでいたとか、ラスベガスで留学費用全部ギャンブルですったとかね。なかなか恥ずかしくて書けないような事も正直に書いてて良かった。わくわくしながら読めた。いい本。 -
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巻末100ページあまり、「父の旅 私の旅」が読みどころ。
1980年、ポルトガル人モラエスを主人公にした小説を毎日新聞に連載中だった父・新田次郎が急逝。新田は、その前年にポルトガルを取材旅行していた。息子・藤原正彦は、遺された取材ノートを手に、父親がポルトガルでたどった道をたどる。その地でなにを見、なにを聞き、なにを感じたのか、どのような人たちと会ったのか、いわば追体験の旅。同時にそれは父親との対話の旅でもあった。
なにやら真剣そうだが、いつものユーモアは健在。若い娘との多少妄想めいたアバンチュールもある。天正少年使節ゆかりの地(エヴォラ)で、現地の人間がだれもそのことを知らないのを嘆く場面も -
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お茶大の新入生向けゼミ、藤原先生と文庫本を読む。人気の授業だったらしい。収録されているのは先生最終年度のゼミ。文庫は『武士道』『武家の女性』『逝きし世の面影』『代表的日本人』……ラインナップを見て、最初は引いてしまった。
一方的に講義するだけなら、魅力に欠けたかもしれないが、授業はゼミ形式。重要なポイントを学生が引き出してくれる。学生と先生のやりとりがおもしろく、読ませる。
チョイスされた文庫11冊は、どれも保守的で、古臭い印象があったが、実際にはまったくそうではなかった。目からウロコ、それに生きる上で肝心かなめのことを教えてくれる。
ボーナストラックは藤原先生の最終講義。半生をコンパクトに語 -
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カーソン・マッカラーズの小説ふうのタイトル。とりあげている数学者は、ニュートン、ハミルトン、ラマヌジャン。確かに彼らの心は孤独だったかもしれない。
たんなる伝記ではない。まるで見ていたような臨場感。それもそのはず、彼らの生まれ育ち、生活し息絶えた場を見るために、現地に足を運んでいるからだ。
とくにラマヌジャンには力が入っている(なんと160ページ)。ラマヌジャン(1887-1920)。インドの事務員、数学は独学。25歳の時に、自分が発見した公式を連ねた手紙を大数学者たちに送り、ケンブリッジのハーディがその天才ぶり発見する。ハーディはケンブリッジに呼び寄せようとするが、ラヌマジャンはヒンドゥー教 -
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数学者であり、随筆家でもあり、また国語教育や社会問題に関して優れた見識をもつ藤原正彦氏の名随筆。彼が70年代前半にアメリカのミシガンそしてコロラドに留学した際の体験が主に語られる紀行エッセイ。
個人的に特に印象的だったのは、次の4つ。①アメリカ本土に上陸する前に立ち寄ったハワイで、唯一の日本人として白人観光客群の中に交じって、真珠湾を訪れるエピソード②日本とアメリカの大学生の違いに関して(アメリカの学生は、分数すら怪しい者がいるが、勤勉なことに毎講義で必ず宿題を要求する)③北部ミシガンでの寒い学究生活の中で行き詰まった末、同僚からのススメで、気分転換に南部フロリダへ海水浴に行く話④自分の下宿先 -
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私の大好きな藤原正彦先生。
本書はお茶の水女子大での読書ゼミ(11冊+α)の模様を収録したもので、藤原先生の教養と学生たちの感受性がぶつかり合う、楽しくもタメになる一冊。
名著の数々に描かれる江戸時代から昭和初期までの日本において、当時の人々たちはじつに逞しく、そして気高く生きてきたことがよく分かります。
本書に収録された名著のうち、恥ずかしながら読んだことがあるのは「学問のすゝめ/福沢諭吉(明治5年)」と「武士道/新渡戸稲造(明治32年)」の2冊のみ。
それ以外の名著では、「代表的日本人/内村鑑三(明治27年)」、「逝きし世の面影/渡辺京二(平成10年)」、「山びこ学校/無着成恭(昭和2 -
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ふっわっとしていた自由と平等の矛盾がはっきり理解できた。民主主義は、成熟した国民がいてこそ成り立つがそんな国は存在しない。ある種のエリートによる抑制が必要なこと。文学、芸術、化学、数学、文化など一見役に立たなそうな学問を極めること。情緒は、武士道に学ぶこと。
普遍的価値を生むこと、例えば親孝行
金儲けより、国語、国語とは祖国、読書
名作を若い時に感動の涙と共に読む
たかが経済を忘れてはいけない
人間の命は地球よりも重いは、人間中心主義から生まれた傲慢。人間の命はかくも儚いもの。人間は偉大なる自然のほんの一部にすぎない。美しい情緒は、こうした人間の傲慢を抑制し、謙虚さを教えてくれる。
人生の指 -
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再読。数学者の藤原正彦さんが近現代史について自分自身の見方を書いた本。数学者であるのに歴史についての見識が広いことに驚かされた。日本人として祖国に誇りと自信を持つためには、歴史認識をもう一度確認することが大切であることを痛感した。
心に残った言葉
・社会や国家に尽くすという美徳は、GHQが教育勅語を廃止し公より個を尊重する教育基本法を作成すると同時に消滅の運命を定められたと言ってよいでしょう。「公イコール国家イコール軍国主義」という連想を植えつけることで公へのアレルギーを持たせ、日本を弱体化しようとしたのです。公を否定し個を称揚することはGHQが産み、そしてそれを継承した日教組が育てたもので -
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極端な意見や日本賛美の表現もあり人によっては嫌悪感を抱く文章かもしれせん。
しかし、スマホより読書と言うテーマ、また英語やパソコンを学ぶよりも本を読む事が重要と言う指摘は非常に鋭く事実を指摘していると思いました。
私も仕事柄英語を使いますが、私よりも英語が得意な、特に帰国子女のような人たちが英語が話せるだけで、日本のお客さんを怒らせると言う場面によく出くわします。彼ら彼女らは英語が話せるだけで、相手が何を言いたいのか?何をして欲しいのか?と言うところまでは考えが回らない、つまり筆者が言うところの礼節や情緒が理解できていないのかもしれません。
外国で育っただけではいくら英語が話せても日本語で正 -
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本なんて時代遅れ、今は電子書籍でどうのこうので
は?馬鹿もの!本をなんだと思っている。読書とは日本文化の最高峰だ!わかったなら本屋へ行きやがれクソガキ!
そんな説教をしっかりと受け止め日本人の誇りにかけても守るべき文化を我々現代人に教えてくれるありがたい話。著書は2020年頃発行でまだコロナ前のドナルド・トランプ大統領が成立したばかりの内容にはなっているが、四年経った今でも知るべき内容です。特に日本と世界を比べ、我々の見方が世界に傾きつつあり、それは同時に沈みゆくタイタニック号に乗り込んでいると言わざるをえないといえるでしょう。日本は沈みゆく船ではなく氷山の一角にあるべきだとこの本を読むたび