藤原正彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
国家を正しく導くためには真の教養が必要で、日本もドイツも偏った教養のために破滅の道を突き進んだ、という。また、第二次大戦前のアメリカの日本へのオレンジ作戦など、私の知らない記載が多く、目を疑った。世界には偏った教養ばかりで、真の抵抗は生まれなかった。▼「教養が哲学や文学に偏るのは危険で、人文教養・社会教養・科学教養・大衆文化教養の4つがすべて必要です。民主主義という暴走トラックを制御するのは、国民のこの4つの教養だけなのです」、と説きます。▼そのなかでも、日本古来の情緒あふれる文学や芸能は世界に誇るもの、大事にすべきと説きます。▼筆者の意図はよく分かるのですが、国民全体が筆者の説く教養を身につ
-
Posted by ブクログ
ネタバレ中学校や高校の社会科で、近代的なすばらしい思想として(?)啓蒙思想を学ぶ。ロックは「人は生まれながらにして自由で、平等であり、他の誰からも制約を受けない」と言っている。でもそんなことはあり得ない。人間は社会の中でで不自由で、制約を受ける。「私」の自由は他の誰かの自由と必ずぶつかる。その通りだと思う。平等でもない。東大生の親の年収の平均は、一般的な家庭の年収よりはるかに上である。金持ちの家に生まれた方が有利であることくらい、もうとっくにみんな気付いている。それなのに「自由・平等」という幻想にとりつかれていることが間違っている。そうじゃないことを認め、強い者は弱い者をいじめてはいけない、大きい者が
-
Posted by ブクログ
【情報を論理的に体系化したものが知識とすると、これからの教養は書斎型の知識でなく、現実対応型のものでなくてはなりません。現実対応型の知識とは、屍のごとき知識ではなく、生を吹き込まれた知識、情緒や形と一体となった知識です】(文中より引用)
主に日本、そして欧米における教養の歴史を振り返りながら、現代社会を生き抜く上で本当に必要な教養とは何かを探求した作品。著者は、大ベストセラーとなった『国家と品格』を手がけた藤原正彦。
教養という多義的な言葉に切り込み、今日的な知の在り方について光を当てた点を評価したい一冊でした。かなり刺々しい言葉が作品中に目立つため、それを毛嫌いしてしまう人もいるかもしれ -
Posted by ブクログ
語りおろし的な、さーっと読める本だが、なかなかに本質をついていて、現代人必読の書。
藤原氏の辿ってきた戦後の生育体験、アメリカでの学究生活からの知見、今までの日本の大学生に接してきた経験、豊富な読書体験などに裏打ちされた話はどの世代が読んでも有益だと思う。
ドイツの教養主義の誕生を歴史的背景から考察し、エリート知識層の功罪と、それが輸入された日本の戦前高等学校文化の系譜は興味深い。今まであまり疑問視しなかったけれど、今から見ればかなり偏った文化的態度が日本の知識層カルチャーであるなと相対化できる。
アメリカの知識層、支配層の内奥に接した藤原氏だけに、アメリカの日本支配の真相にも触れている。
本 -
Posted by ブクログ
古典的な教養論だが、情報過多の現代こそ必要な生き方。
最初は軽く読み流すつもりだったが、実は「現代日本への警鐘」として、あるいは現代人へ生き方の問題提起として、真摯に受け止めた。
アメリカ主導の市場原理主義・新自由主義が主流となる中で、金融資本主義による覇権が至上の価値となり、
実務・金銭・収益の物差しがスタンダードとなった。
歴史的に敬意を払われてきた「教養主義」は時代遅れとして捨てられていくようだ。
権力者にとって、うるさい教養人が居なくなり、享楽主義者ばかりとなるのは望ましい社会である。
しかし経済的成功が国民を幸せにしないのは、戦前の第一次大戦時の好況も、戦後の高度成長期の好況も同 -
購入済み
日本の誇り
AIまでも登場した現代にあって、日本の底力、日本人である自らの真の誇りを取り戻せるに値する著書だと思います。
どのような歴史から、どのような風土から、どのような影響から、日本という国が世界を牽引するに相応しいのか⁈が良く理解できる一冊! -
Posted by ブクログ
「祖国とは国語」藤原正彦 (3周目)
以下たそ解釈
・国語教育は現代日本にとって緊急かつ最優先の事項である
↓
・国語以外での他教科での思考・論理もそもそも母国語の言語をもとにしている
↓
・その土台である国語、つまり語彙や情緒といったものが貧弱であるとそもそも全ての思考に影響を及ぼす
・いくら方法論や英語、ゆとり教育などの個性を重要視しても肝心の中味が無い。コンテンツなしのガワだけになる
・詰め込み教育は害悪ではない。子供はそもそも悪い癖のほうが多い。方向づけは大事。
・読書は教養、教養は大局観を与える。一見無駄な教養も切り捨てるべきではない。
・満州国建国から崩壊までの歴史がよくわか -
Posted by ブクログ
「国家の品格」の藤原正彦氏による、渾身の一冊。著者は数学者なのだが、本書は日本人が失ってしまった誇りを取り戻すためにはどうすべきなのか、というテーマで歴史と関連付けながら書いてある。数学が専門なのに、歴史しかも南京事件や東京裁判などセンシティブなところを調べ上げ、有無を言わせないほど理路整然としているのはさすが。
「現代の日本は嘆かわしい」と現状を批判するだけの本はたくさんあるが、この著者が「こうすればいい」と提示する案は極めて理に適っていて、説得力がある。このような強い見解を発表するのはリスクも伴うため、覚悟がいるだろう。
私は中国の近代史に明るくなかったが、この本から何となくつかめたものが -
Posted by ブクログ
表題の通り、日本人の誇りを奮起させる本
戦後の自虐史観を払拭し、自国への誇りと自信を取り戻すべく、さまざまな歴史的事実を検証し解説しています。
とても、読み易く、かつ理解しやすい内容です。
さらに共感するところがたくさんあります。
おおむね、自分の歴史観とあっていたり、そんことあったの?と思うところあったりととても勉強になります。
とりわけ、びっくりしたのは、「近隣諸国条項」!
「教科書検定では近隣諸国の感情に配慮する。」
歴史的客観性より「ことを荒立たせない、中国、韓国、北朝鮮を刺激しない」ことの方が優先される。
なんじゃそりゃ?
歴史の教科書が過去の事実よりも、今の政治的な配慮を教え込