藤原正彦のレビュー一覧
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ネタバレいつも小説ばかり読んでいるので、新書を手にとってみました。
日本語って綺麗だなあと漠然と思っていたけれど、改めて日本語の奥の深さや、自分の浅学さを感じることができた気がします。
「文字を簡略化するたびに、世代間に一種の段差ができます。世代くらいならまだいいのですが、古典との間に開きができます。」
日本は、日本語で書かれた書物が古くから多く残っている国です。私たちが日本語を正しく身につけられていないことで、その歴史や文化との間に壁が出来るのは、悲しいことだと思いました。
昔から紡がれてきた文学を、言葉を、美しいと思えるように、美しい日本語を学び続けたいなと感じました。
日本語が愛しくなる本 -
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自ら数学者でもある著者が、特に尊敬する3人の歴史上の数学者の生涯を追う旅をする。3人とは、イギリス人のニュートン、アイルランド人のハミルトン、インド人のラマヌジャンである。時代は違うが、皆ケンブリッジ大学で研究をした。
私は数学に明るくないので、この3人の学問的なすごさは正直なところ分からないが、著者がどれほど敬意を抱いているかが十分に伝わってくる。ニュートンは、重力の法則が知られているが、微分積分学の生みの親といわれる。ラマヌジャンも短い生涯のうちに、独学時代を含め3,000を越える公式や定理を発見したという。その一部をインターネットで見てみたが、めまいがしそうな数式だった。
彼ら天才の日常 -
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大ベストセラー『国家の品格』の著者・藤原正彦氏が、同書から6年を経て書き下ろした、日本人への熱いメッセージである。
『国家の品格』では、情緒や武士道精神などの日本人の伝統的な文化や感性を再認識し、尊重するべきであることを語っていたが、本書では、幕末の開国から昭和の敗戦に至る歴史を検証、再認識するべきであることを説いている。
そして、著者が大学1年生を対象に行っていた読書ゼミで、「日本はどういう国と思いますか?」と尋ねると、多くの学生が「明治、大正、昭和戦前は、帝国主義、軍国主義、植民地主義にひた走り、アジア各国を侵略した恥ずべき国。江戸時代には士農工商の身分制度、男尊女卑、自由も平等も民主主義 -
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数学者にして文筆家、そして新田次郎と藤原ていの息子である藤原正彦の、2000~2003年に朝日新聞、産経新聞等に掲載されたエッセイをまとめたものである。
うち約半分が、持論の「国語教育絶対論」を熱く語ったものであるが、斎藤孝があとがきに書いている「ああ、この人に、文部科学大臣になってもらいたい。これが、私の切なる願いだ。数学者にして、華麗なる文章家。学問、文化、科学を愛すること、並ぶ者なし。そして何よりも、この日本をよりよくしていこうという強い志にあふれている。その志は、火山の溶岩のように、腹の底からやむことなくわき上がってきてしまう。それがこの『祖国とは国語』から、はっきりと伝わってくる」と -
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数学者である著者の、1970年代前半の米国留学体験記。日本エッセイスト・クラブ賞受賞作(1978年)。
藤原氏は、『八甲田山死の彷徨』の故新田次郎と『流れる星は生きている』の藤原ていの二男。
本作品は数学者である藤原氏にとって、エッセイストとしての処女作であるが、氏の抜群の行動力、感性とユーモア、更に両親から受け継いだ著述力を余すことなく表現した、何とも楽しい優れた作品となっている。
2006年には著書『国家の品格』が年間ベストセラー1位となるが、本書で語られているような、異文化の体験とそれへの理解、日本文化への思いが、そのベースになっていることがわかる。
元気が湧く、青年数学者の体験記である -
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若き数学者としてアメリカに渡り、もがきながらもアメリカという国と自己のアイデンティティとの間で奮闘した素晴らしい旅行記だった。
ハワイで日本人ひとりの真珠湾遊覧船に乗り込み日本人であることのコンプレックスを過剰なまでに意識していた旅の始まり。ラスヴェガスで全額擦ったカジノ。ミシガンでは太陽のない季節に精神を病み、ガールハントのフロリダで新生し、コロラドで研究者としての深みを得る。最後はサンフランシスコ、「私のアメリカ」は太平洋で生まれ、大西洋で蘇り、サンフランシスコの霧に沈んだ。
全編通して素晴らしいが、10章のアメリカに対する考察は特に素晴らしい。 -
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『国家の品格』で有名な数学者、藤原正彦の自伝的小説『ヒコベエ』
藤原正彦さんらしく随所に自虐的な笑いをちりばめ、時に国家観や歴史を語る。
少年時代の甘酸っぱい恋の話なんてのもあって、、少し意外(笑)
少しずつ読んだのだけれど、毎度「ヒコベエに会いたいな」という気持ちで本を広げた。
まっすぐなヒコベエ、ヒコベエとともに、笑い、楽しみ、悔しさをかみしめ、考え、驚き・・・と様々な体験ができた。
爽快な小説!
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【内容(「BOOK」データベースより】
満州で戦禍に巻きこまれ、命からがら日本へ引き揚げてきたヒコベエ一家は、信州諏訪に身を寄せる。なだらかな稜線を描く山や -
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藤原ていの「流れる星は生きている」に影響を受け「満州再訪記」が含まれる本著を購入。
気軽に読めるウイットに富んだエッセイも多いのだが、教育論、生きる上での価値観・考え方について示唆に富む発信が多く自分の中での整理にも役に立つ。
ウイット満載だが、留学していた英国仕込みなのだろうか。「満州再訪記」の最後もそのウイットで終わりその才能に感嘆。
以下引用~
・日本の誇る「もののあわれ」は英国人には難しいと言う。英国にもこの情緒はもちろんあるが、日本人ほど鋭くないので言語化されていないらしい。
古典を読ませ、日本人として必須のこの情緒を育むことは、教育の一大目標と言ってよいほどのものである。
・高 -
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藤原正彦は、最近の発言にはちょっと気をつけるべき点があると思うが、この初期の頃の随筆は非常によい。解説で南木佳士が述べているように、この本と『若き数学者のアメリカ』は一級の随筆である。ただ、相変わらず愛国調は鼻につくけれど。
ケンブリッジ大学に派遣留学した経験が描かれている。イギリスという国とその人々の様子がなかなか生々しく、それが臨場感を与えている。イギリスは一筋縄ではいかないな、と思わせる。それが大英帝国の記憶を持つ国なのだろう。
古いものを大切にするお国柄であるが、これを読む限りでは、とても慕わしいものの、慣れない内はずいぶん不便だろうなぁ。特に冬の寒さやお風呂の貧弱さは辛そうだ。