藤原正彦のレビュー一覧
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数学者にして文筆家、そして新田次郎と藤原ていの息子である藤原正彦の、2000~2003年に朝日新聞、産経新聞等に掲載されたエッセイをまとめたものである。
うち約半分が、持論の「国語教育絶対論」を熱く語ったものであるが、斎藤孝があとがきに書いている「ああ、この人に、文部科学大臣になってもらいたい。これが、私の切なる願いだ。数学者にして、華麗なる文章家。学問、文化、科学を愛すること、並ぶ者なし。そして何よりも、この日本をよりよくしていこうという強い志にあふれている。その志は、火山の溶岩のように、腹の底からやむことなくわき上がってきてしまう。それがこの『祖国とは国語』から、はっきりと伝わってくる」と -
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数学者である著者の、1970年代前半の米国留学体験記。日本エッセイスト・クラブ賞受賞作(1978年)。
藤原氏は、『八甲田山死の彷徨』の故新田次郎と『流れる星は生きている』の藤原ていの二男。
本作品は数学者である藤原氏にとって、エッセイストとしての処女作であるが、氏の抜群の行動力、感性とユーモア、更に両親から受け継いだ著述力を余すことなく表現した、何とも楽しい優れた作品となっている。
2006年には著書『国家の品格』が年間ベストセラー1位となるが、本書で語られているような、異文化の体験とそれへの理解、日本文化への思いが、そのベースになっていることがわかる。
元気が湧く、青年数学者の体験記である -
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若き数学者としてアメリカに渡り、もがきながらもアメリカという国と自己のアイデンティティとの間で奮闘した素晴らしい旅行記だった。
ハワイで日本人ひとりの真珠湾遊覧船に乗り込み日本人であることのコンプレックスを過剰なまでに意識していた旅の始まり。ラスヴェガスで全額擦ったカジノ。ミシガンでは太陽のない季節に精神を病み、ガールハントのフロリダで新生し、コロラドで研究者としての深みを得る。最後はサンフランシスコ、「私のアメリカ」は太平洋で生まれ、大西洋で蘇り、サンフランシスコの霧に沈んだ。
全編通して素晴らしいが、10章のアメリカに対する考察は特に素晴らしい。 -
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『国家の品格』で有名な数学者、藤原正彦の自伝的小説『ヒコベエ』
藤原正彦さんらしく随所に自虐的な笑いをちりばめ、時に国家観や歴史を語る。
少年時代の甘酸っぱい恋の話なんてのもあって、、少し意外(笑)
少しずつ読んだのだけれど、毎度「ヒコベエに会いたいな」という気持ちで本を広げた。
まっすぐなヒコベエ、ヒコベエとともに、笑い、楽しみ、悔しさをかみしめ、考え、驚き・・・と様々な体験ができた。
爽快な小説!
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【内容(「BOOK」データベースより】
満州で戦禍に巻きこまれ、命からがら日本へ引き揚げてきたヒコベエ一家は、信州諏訪に身を寄せる。なだらかな稜線を描く山や -
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藤原ていの「流れる星は生きている」に影響を受け「満州再訪記」が含まれる本著を購入。
気軽に読めるウイットに富んだエッセイも多いのだが、教育論、生きる上での価値観・考え方について示唆に富む発信が多く自分の中での整理にも役に立つ。
ウイット満載だが、留学していた英国仕込みなのだろうか。「満州再訪記」の最後もそのウイットで終わりその才能に感嘆。
以下引用~
・日本の誇る「もののあわれ」は英国人には難しいと言う。英国にもこの情緒はもちろんあるが、日本人ほど鋭くないので言語化されていないらしい。
古典を読ませ、日本人として必須のこの情緒を育むことは、教育の一大目標と言ってよいほどのものである。
・高 -
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藤原正彦は、最近の発言にはちょっと気をつけるべき点があると思うが、この初期の頃の随筆は非常によい。解説で南木佳士が述べているように、この本と『若き数学者のアメリカ』は一級の随筆である。ただ、相変わらず愛国調は鼻につくけれど。
ケンブリッジ大学に派遣留学した経験が描かれている。イギリスという国とその人々の様子がなかなか生々しく、それが臨場感を与えている。イギリスは一筋縄ではいかないな、と思わせる。それが大英帝国の記憶を持つ国なのだろう。
古いものを大切にするお国柄であるが、これを読む限りでは、とても慕わしいものの、慣れない内はずいぶん不便だろうなぁ。特に冬の寒さやお風呂の貧弱さは辛そうだ。 -
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久々に心に響くいい本を読んだ。
日本人としての誇り、自信、やる気が湧き上がってくる。
家族愛、故郷愛、祖国愛があってはじめて人間の根幹が形成され、人類愛に繋がる。自分は家族、故郷、祖国を心からちゃんと愛せているか、自分に問いなおしたいと思った。
惻隠、和の尊重。日本人が世界に誇れるこの精神は個人主義の欧米に染まってしまうのはもったいない。確かにビジネスの世界などではそういう思想に立たないと世界においていかれることはリスクだしグローバルスタンダードに乗り遅れないようにする必要はあるが、日本人はどこか欧米的なこと新しいことですごいこと、日本的なことは古くてダサいことと考えてしまう風潮がある。
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『国家の品格』でおなじみの藤原正彦氏による、戦中戦後史を通じていかに日本人が祖国への誇りを解体されて来たかを検証する良書。
現代日本の抱える漠然とした閉塞感が「誇り」を基軸として言語化されている点に強く共感し、問題意識はありながら具体的方策が見出せていなかった自身の思考の整理にも非常に役立った。
本書内で「自国の国益の為なら他国はどうでも良いナショナリズム」と「郷土愛としてのパトリオティズム」は明確に区別して主張されており、本書を「軍国主義的」「右翼的」と断じて排してしまうことは余りに惜しい。
現在の苦境を日本が乗り越えて行く為にも、ぜひ読んで欲しい一冊。 -
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「数学者」とタイトルにありますが、本の中で数学の公式や定理はほとんど出てきません。著者自身も数学者でありながら、どちらかというとこの本で取り上げられているニュートン、ハミルトン、ラマヌジャンという3人の偉大な数学者の人となり、そして生まれてから死ぬまでの人生そのものを見つめる「伝記の著者」としてのスタンスを一貫しています。
理数系の論文のような味気なさは微塵も感じさせず、3人の数学者の生まれ故郷を訪ね歩いてそこで触れた様々な人や物、場所のことを情感豊かに描いて見せています。何も知らされずに読んだら、著者が数学者であるということにはちょっと気づけないと思います。
面白いのは、取り上げている数 -
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『国家の品格』での熱い想いにに非常に共感を抱いた、数学者・藤原正彦氏。
そんな藤原さんの、お茶の水大学での"読書ゼミ"の様子を綴った一冊になります。
講義で取り上げている本は、全部で11冊+2冊。
『武士道』(〇)
『余は如何にして基督信徒となりし乎』
『学問のすゝめ』(〇)
『新版 きけ わだつみのこえ』(〇)
『逝きし世の面影』
『武家の女性』
『代表的日本人』
『山びこ学校』
『忘れられた日本人』
『東京に暮す』
『福翁自伝』(〇)
『若き数学者のアメリカ』(〇)/『孤愁』
明治期の著作が多いのは、この時代の日本人の活力が高かったコトの、 -
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日本の歴史観が、変わった。これまでの近代史の中で、突っ抱えてきたわだかまりのようなものが、取れた気がした。欧米に仕込まれた百年戦争にまだピリオドがうたれていない。ピリオドを打つための大きな1手は、日本国憲法の日本人による作り直しと米軍基地の排除だと思った。
著者の歴史観は、我流と謙遜するが、奥が深い。
160718
再読
日本は、今大きな節目に立たされている。
昔に持っていた日本人の誇りや美意識の回復の為、戦後植え付けられた「罪意識扶植計画」からの脱却し、欧米特にアメリカの二枚舌を見抜き、日本の主体を取り戻すことが重要である。
平和憲法を維持しつつ、アメリカからの独立意識となる憲法改正が必要