藤原正彦のレビュー一覧
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久々に心に響くいい本を読んだ。
日本人としての誇り、自信、やる気が湧き上がってくる。
家族愛、故郷愛、祖国愛があってはじめて人間の根幹が形成され、人類愛に繋がる。自分は家族、故郷、祖国を心からちゃんと愛せているか、自分に問いなおしたいと思った。
惻隠、和の尊重。日本人が世界に誇れるこの精神は個人主義の欧米に染まってしまうのはもったいない。確かにビジネスの世界などではそういう思想に立たないと世界においていかれることはリスクだしグローバルスタンダードに乗り遅れないようにする必要はあるが、日本人はどこか欧米的なこと新しいことですごいこと、日本的なことは古くてダサいことと考えてしまう風潮がある。
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『国家の品格』でおなじみの藤原正彦氏による、戦中戦後史を通じていかに日本人が祖国への誇りを解体されて来たかを検証する良書。
現代日本の抱える漠然とした閉塞感が「誇り」を基軸として言語化されている点に強く共感し、問題意識はありながら具体的方策が見出せていなかった自身の思考の整理にも非常に役立った。
本書内で「自国の国益の為なら他国はどうでも良いナショナリズム」と「郷土愛としてのパトリオティズム」は明確に区別して主張されており、本書を「軍国主義的」「右翼的」と断じて排してしまうことは余りに惜しい。
現在の苦境を日本が乗り越えて行く為にも、ぜひ読んで欲しい一冊。 -
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「数学者」とタイトルにありますが、本の中で数学の公式や定理はほとんど出てきません。著者自身も数学者でありながら、どちらかというとこの本で取り上げられているニュートン、ハミルトン、ラマヌジャンという3人の偉大な数学者の人となり、そして生まれてから死ぬまでの人生そのものを見つめる「伝記の著者」としてのスタンスを一貫しています。
理数系の論文のような味気なさは微塵も感じさせず、3人の数学者の生まれ故郷を訪ね歩いてそこで触れた様々な人や物、場所のことを情感豊かに描いて見せています。何も知らされずに読んだら、著者が数学者であるということにはちょっと気づけないと思います。
面白いのは、取り上げている数 -
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『国家の品格』での熱い想いにに非常に共感を抱いた、数学者・藤原正彦氏。
そんな藤原さんの、お茶の水大学での"読書ゼミ"の様子を綴った一冊になります。
講義で取り上げている本は、全部で11冊+2冊。
『武士道』(〇)
『余は如何にして基督信徒となりし乎』
『学問のすゝめ』(〇)
『新版 きけ わだつみのこえ』(〇)
『逝きし世の面影』
『武家の女性』
『代表的日本人』
『山びこ学校』
『忘れられた日本人』
『東京に暮す』
『福翁自伝』(〇)
『若き数学者のアメリカ』(〇)/『孤愁』
明治期の著作が多いのは、この時代の日本人の活力が高かったコトの、 -
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日本の歴史観が、変わった。これまでの近代史の中で、突っ抱えてきたわだかまりのようなものが、取れた気がした。欧米に仕込まれた百年戦争にまだピリオドがうたれていない。ピリオドを打つための大きな1手は、日本国憲法の日本人による作り直しと米軍基地の排除だと思った。
著者の歴史観は、我流と謙遜するが、奥が深い。
160718
再読
日本は、今大きな節目に立たされている。
昔に持っていた日本人の誇りや美意識の回復の為、戦後植え付けられた「罪意識扶植計画」からの脱却し、欧米特にアメリカの二枚舌を見抜き、日本の主体を取り戻すことが重要である。
平和憲法を維持しつつ、アメリカからの独立意識となる憲法改正が必要 -
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この本は、ニュートン、ラマヌジャン、ハミルトン(数学者のほう)という偉人についての伝記を、著者が実際に彼らの生誕ないし活躍の地に足を踏み入れたエッセイとして綴るものである。
タイトルを一見するととても寂しい数学者の印象が伝わってくるが、実際はそれほど単純な話ではない。
この本においては、彼らがどういう生涯を遂げたのかを、孤独な側面と、それに起因する出来事、それに付随する事件などを踏まえて、美しく綴られている。ハミルトンは、恋をした相手に詩を書くような青年であったし、それで大きな心の痛手を負うたりもしていたようだ。ハミルトンの青年としての純粋さなども伝わる、非常な名著と思う。
数 -
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ネタバレ①武士道精神を愛して卑怯を憎み、②他人の向上に熱心な性向を持ち、③論理的、合理的でないものを尊ぶ情緒の国に生まれたことを誇りとする、情に掉さしてばかりの数学者はいかに誕生したか。論理の美しさとユーモアが見事に和した、珠玉の傑作エッセイ。
ひとつ気付いたことは、藤原正彦のエッセイ集には、たいてい最後にグッと胸に迫る話が収められていることである。
今回もまた、彼の幼少時代の話が収めれており、それを読みながら「正義」とは何か、「善と悪」とは何かについて深く考えさせられた。
数学者のルーツをのぞき見ることができるのは興味深いが、こうして最後に胸を打つストーリーを持ってくるところが、なんとも憎いなぁと -
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ネタバレ天才中の天才ニュートン。ニュートンの「プリンキピア」を12歳で読破した早熟の天才ハミルトン。ヒンドゥーの女神のお告げを受け、新定理を量産した神がかり的天才ラマヌジャン。天才はなぜ天才なのか。才能ゆえの栄光・・・しかし、それと同じ深さの懊悩を、彼らは抱え込んでいたのではなかったか──憧れ続けた3人の天才数学者の人間としての足跡を熱く辿った評伝紀行。
誰でも知っている数学者たちの足跡を辿るということで、実際に現地まで取材旅行に行くという筆者の行動力のすごさにまず驚かされた。
ついで、読み進むうちに明らかになってくる彼らの生き様に対して、深い情緒を尊敬を筆者が抱いていることもわかった。
ラマヌジャ -
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ネタバレ冷厳なはずの数学者が、涙もろくて自他ともに認める猪突猛進?!妻、育ち盛りの息子三人と暮らす著者。健全な価値観を家庭内に醸成するためには、父親の大局的認識と母親の現実的発想との激論はぜひ必要と考えるのに、正直、三人の部下を従えた女房の権勢は強まるばかり・・・父、夫、そして数学者としての奮戦模様を描いた随筆集。
相も変わらぬ筆者のユーモア溢れる文章に、爆笑しきりだった。
この文庫に収められている随筆のうち、もっとも胸に迫ったのはラストに収録されている「苦い勝利」というもので、筆者が息子の学校を相手に徹底的に闘う様子が描かれている。
息子のためを想ゆがゆえに、どこまでもまっすぐに学校にぶつかる筆者 -
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ネタバレ「一応ノーベル賞はもらっている」こんな学者が闊歩する伝統の学府ケンブリッジ。家族と共に始めた一年間の研究滞在は平穏無事・・・どころではない波乱万丈の日々だった。通じない英語、まずい食事、変人めいた教授陣とレイシズムの思わぬ噴出──だが、身を投げ出してイギリスと格闘するうちに見えてきたのは、奥深く美しい文化と人間の姿だった。
筆者のイギリスでの研究生活を題材にしたエッセイ集で、異国の地で暮らすことの大変さ、息子たちの学校でのいじめなど、様々な問題に体当たりでぶつかる筆者の姿に好感が持てた。
ただ一つ、息子のいじめに対する筆者の父親代からの考え方には、いささか疑問を感じざるを得ない部分もあった。 -
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ネタバレコンピューターにはなく、人間の思考にだけあるもの──それは「死」の感覚と「他人の不幸を思いやる気持ち」。数学者だからこそ見極められた明晰な論理の底には、深い情緒が流れている。妻の初産にうろたえる夫の心、思考の限界に挑む学者の気概、父・新田次郎の足跡を慈しむ旅の日記。そしてちょっとトボけた身辺雑記。選りすぐりの随筆集。
エッセイの随所を通して笑える箇所が多いのは相変わらずだが、父の旅した軌跡を自らも辿ったという「サウダーデの石」は、読んでいて胸の熱くなるものがあった。
大作を完成させられずに逝った新田次郎。その続きを、もし可能であるならば、ぜひ藤原正彦に書いてほしいと思った。 -
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ネタバレかつてコロラド大学で教えた女子学生から挫折の手紙が届いた。筆者は彼女を激励しつつ、学問の困難さを懇々と説く。だが、困難とはいえ数学には、複雑な部分部分が張りつめた糸で結ばれた、芸術ともいうべき美の極致がある。また、父・新田次郎に励まされた文章修業、数学と文学の間を行き来しながら思うことなど、若き数学者が真摯な情熱とさりげないユーモアで綴るエッセイ集。
数学者である筆者が、数学者として、一人の人間として、父親として、夫としての、様々な素顔を曝け出しているところがおもしろい。
巻末には父・新田次郎に関するエッセイも多く、筆者にとっていかに父親の存在が大きいものであるかを感じられる。 -
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天才は幸せでない。
そんな気はしていたが、それにますます確信が深まった。
生来の素質だけではなく、不遇な幼少時代の環境も手伝って特異な偉業を産む頭脳が形作られたり、天才であるがゆえに平凡な幸せから引き離される結果となったりするように見える。
天才であることと、幸せであることは相入れないのか。
主人公としてニュートン他の偉人3人にフォーカスしているけども、その周辺に大学数学や物理の授業で出てきた歴史的人物がどんどん登場する。
大学では彼らの業績しか知らされないだけに、主人公とのかかわりのなかで、そもそもどういう人だったか、性格や暮らしぶりといったところに光があたるのは、理系の人ならば特に面白