藤原正彦のレビュー一覧
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前半は日本の教育について少し堅めに力強く書かれていた。幼少期から限られた授業時間のうちの大部分を使ってパソコンや英語を学ぶ必要があるのか。基礎となり、全ての教科や自身のルーツにつながる国語をひたすら学ぶことが大切だという。私は英語は子供の世界を広げるために必要且つ、早めの教育が効果的だと考えるが、なるほど国語力は現在の日本教育であまりにも軽視されてることに気付かされた。ディベート力や要約力、読解力など基礎的かつ非常に重要な科目がないがしろになっている危機感を教わった。後半は正彦さんの息子さん3人の憎たらしくも聡明な日常と会話が面白おかしく書かれていて、飾らない正彦さんの魅力が詰まっていると感じた
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Posted by ブクログ
著者がアメリカに研究、講師として招かれた頃の述懐がまとめられた内容でした
前半は、新天地、しかも海外ということで、どこかウキウキした気持ちが伝わってくる内容で、カジノで散財したお話とか、若さからくる勢い、怖いものなし、みたいな部分も味わえて楽しかったです
中盤、苦悩する時期、もがく時期の描写も、若さからくるもの、アメリカ生活における日本人としての意識、みたいな部分で苦しんだ経験、気分転換で行ったフロリダでの出来事、そのときの気持ちの変化、苦しみを乗り越えた先にあるもの、気持ちの描写がとても胸に響く表現で、ズシンときました
終盤、苦悩を乗り越えて、最後はアメリカ人の印象が綴られてます。アメリカは移民国家ゆえ、日本人が持ってるようなアイデンティティ、郷愁、みたいな感覚が無いのかな、無いからこそ、個性が強く見えるだけで、それこそがアメリカ人、だからこそ、日本人はアメリカでは自然に日本人でいてこそアメリカ人になれる、というお話が印象的でした
自分は著者とは比べものにならないくらいの期間しかアメリカで仕事した経験はありませんが、それでもその頃の気持ちも少しばかり思い出しながら読み進めることもでき、懐かしさも感じながら、若い頃にもっと思い切った経験を積んでおくべきだったなぁ、と思ったりしながら読みました -
Posted by ブクログ
藤原正彦(1943年~)氏は、東大理学部数学科卒、東大大学院理学系研究科修士課程修了の数学者、エッセイスト。お茶の水女子大学名誉教授。新田次郎と藤原てい夫妻の次男。『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。「論理より情緒」、「英語より国語」、「民主主義より武士道」という氏の自説を説いた『国家の品格』(2005年)は、200万部を超えるベストセラーとなった。
小川洋子(1962年~)氏は、早大第一文学部卒の小説家。『妊娠カレンダー』の芥川賞ほか、谷崎潤一郎賞、野間文芸賞、菊池寛賞、紫綬褒章等を受賞・受章。また、記憶が80分しかもたない数学博士と家政婦の母子との交流を描いた『博士の愛した数式』は、読売文学賞、本屋大賞(第1回/2004年)を受賞し、ベストセラーとなった。
本書は、『博士の~』を執筆する前に、小川氏が知人を通じて藤原氏を紹介してもらったことをきっかけに、同書発表後に改めて行われた二人の対談をまとめ、2005年に出版されたもの。
私はノンフィクションを好んで読み、興味のある新刊はその時点で入手するようにしているが、今般、過去に評判になった本で未読のものを、新・古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。また、私は対談本をあまり好まず、それは、焦点がぼやけて物足りなさが残ること多いためなのだが、本書については、藤原氏も小川氏も過去に作品を何冊も読んでいて、この二人の対談がつまらないはずはないと確信があり、手に取った。
そして、(学校で習ったもの、習わなかったもの含め)様々な定理・公式が如何に美しいか、また、数学者が何故それらに魅入られるのかが、期待に違わず興味深く語られ、一気に読み切ってっしまったのだが、それは、小川氏がもともと、『科学の扉をノックする』(様々な分野の科学者7人との対談エッセイ)や『そこに工場がある限り』(様々な工場の見学エッセイ)のような本を出してしまうほどの好奇心の塊で、また、藤原氏が、(『国家の品格』で繰り返しているように)現在の実学重視の風潮に大いに疑問を持ち、「高貴な学問の代表である数学の復権を試み」るという思いで答えていることにもよるのだろう。(尚、本書は単独でも楽しめるが、『博士の~』に関する記述も多いので、同書を読んでからの方がベターだろう)
藤原氏は、あとがきで、次のように書いている。「数学や文学や芸術でもっとも大切なのは、美と感動だと思う。これらは金もうけに役立たないし、病気を治すのにも、平和を達成するのにも、犯罪を少なくするのにもほとんど役立たない。しかし、はたして人間は金もうけに成功し、健康で、安全で裕福な生活を送るだけで、「この世に生まれてきてよかった」と心から思えるだろうか。「生まれてきてよかった」と感じさせるものは美や感動をおいて他にないだろう。数学や文学や芸術はそれらを与えてくれるという点で、もっとも本質的に人類の役に立っている。読者がそんな私の、そしておそらく小川さんの、想いを感じていただければ幸いである。」
藤原氏と小川氏ならではの対談で、「数学の美しさ」が分かりやすく説かれた良書である。
(2022年9月了) -
Posted by ブクログ
「良かった頃」の藤原正彦氏の傑作と私は思う。もっとも20年ぶりに再読したがいささか情緒的で決めつけすぎる著者の記述は鼻につくが。
ともあれ、本書はインドの天才数学者ラマヌジャンを知りたい人は真っ先に手に取ると良いと思う。ラマヌジャンが何故かわかった定理たちの凄さはやはり数学者にしかわからない。藤原さんのおかげで人類の生み出した真の天才であるラマヌジャンを知ることができたわけだが、彼を知ると知らない人生では大きな違いがあると私は信じている。ありがとう藤原正彦氏。
ちなみにニュートンのひどさとアイルランドの数学者ハミルトンの数学者的純粋性も知ることができますよ。 -
Posted by ブクログ
この本が大ブームになった頃に買ったのに15年以上読んでおらず、先日読んだ同著者の『若き数学者のアメリカ』に感銘を受け、慌てて読んだ次第。
海外での豊富な経験の元、祖国日本を愛するが故の著者の結論、警鐘、提唱は説得力と納得性のあるものだった。
今思えば、バブル崩壊後の長い景気低迷、同時多発テロの勃発やエンロン、リーマンショックなどによる金融危機などで先が見えない暗い状況の中で、この本が大変な話題となって以降多くの日本人が忘れかけていた日本の良さを思い出し意識が高まった様に思います。例えば『おもてなし』と言う言葉が日本の良さとして頻繁に使われる様になった事など。
また、『美の存在しない土地に天才は生まれない』と言うお話も恐らく本当にそうなのだろうとやけに納得。『美』には大いなる力があると信じて疑わないから。
卑怯を憎む心、自然を敬う精神、美的感受性などの情緒。。など日本人が昔から持っている特性と言うものに感銘するところも多々ありました。同時に日本人としての自分は果たしてどうか、忘れているものはないかなど考えさせられるものでもありました。
著者の言う『日本の神聖なる使命』を一日本人として忘れずに、これからも自分なりの努力をしていきたいと思います。