藤原正彦のレビュー一覧
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歴史の先生が言っていた。
「日本、アメリカになっちゃえばいいと思わない?アメリカ合衆国ジャパン州、どうよ?」
この発言の適不適はさておき、私含め生徒たちはなんだか背筋がぞわっとして、なに言ってんだこの人はと思った。
この本を読んでいて思い出したのはそんな昔のことで、あれはかの先生なりの、戦後日本への問題提起だったのだと気づかされる。
『国家の品格』でもたしか書いてあった、ナショナリズムとパトリオティズムの違い。知ったときは本当に目から鱗だった。
祖国愛は持ちたいもの。というか持つべきもの。本当に心からそう思う。
それでも持っているだけではダメで、愛とともに、盲信ではない自信を持って進まなけ -
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著名な数学者でありエッセイストでもある筆者が、自身の尊敬するニュートン。ハミルトン。ラマヌジャン。の3人の天才数学者の業績と足跡を自らの足で辿った評伝紀行です。一人一人の人生がすごいです。
著名な数学者、ならびにエッセイストとしても有名な筆者が自身の尊敬する数学者―ニュートン。ハミルトン。ラマヌジャン。の3人の足跡をたどる評伝紀行エッセイでございます。僕は数学を中学、高校で完膚なきなでに挫折して、それ以来数式にもほとんど触れないという人生を送ってまいりましたが、本書には難しい定理や数式などはほとんど出てくることはなく、同業者にしかわからない筆致で3人の苦悩や、数学をすることの喜び、さらには -
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本書は、著者が指定する文庫本を毎週一冊読んできて、それについて毎回ディスカッションするという、いささかハードなお茶大の名物ゼミをまとめたものである。
藤原正彦は、思想家としては三流、数学者としての実力は未知数であるが、文章家としては超一流である。天才的といってもいい。まるで美しい数学の証明を見るように、簡潔にして要を得ており、全く無駄がない。文章の濃度が濃いのだ。だから、文庫本とはいえ、なかなか読みでがある。
著者の膨大な読書量には圧倒される。しかしその割には、彼の思想は、バランスを欠いた狭隘なナショナリズムに過ぎない。江戸・明治期の日本と、昭和前期の日本を一緒くたにして、何でもかんでも礼 -
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画家の安野光雅さんと、数学家の藤原正彦さんが日本語について語るなんて面白そうだし、専門家が語るより気軽に読めると思い、借りました。
漢詩(読み下し)や童謡など、意味が分からなくても若いうちから暗誦することの大切さを話していて、とても「にほんごであそぼ」的であると感じました。暗誦すると、確かにあとから効いてきて、人生をより豊かに過ごせるように思いました。
「読書ゼミ」で読む、と挙げられていた本は、なかなか難しそうなものが多かったですが、これから少しずつ読んでいこうと思います。
二人の実感に基づくお話が繰り広げられていて、ふーん、そんなものなのか、と感心しつつ楽しく読みました。 -
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前作「若い数学者のアメリカ」が大変よかったので、2作目である本作品も期待して読んでみれば、期待にたがわぬ素晴らしい出来栄えだった。
1987-88年にケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジで研究を行った著者の生活記。
外国へ行くと極端に日本擁護派になってしまう藤原氏の前のめりな姿勢に時には苦笑しつつも、客観的で冷静なイギリス人分析力はさすがの一言に尽きる。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という格言通り、次第次第に周囲と打ち解けていき素晴らしい人間関係を気付いていく彼の人の良さには感動すら覚えてしまう。
数学者とは思えないほどの文才も前作に引き続き冴えわたっている。まさに一級品のルポルタ