藤原正彦のレビュー一覧
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書店の平積みに目が止まり読んだ。
藤原正彦は新田次郎と藤原テイの次男で、彼の心に残った歌謡曲を取り上げて、その曲にまつわる情景や思い出を回想しながら書いたエッセイである。
当該曲とその人のもち歌をスマホのYoutubeで聴きながら自分の“懐メロワールド”を楽しむ一風変わった読書体験ができた。
作者の文章は力みがなく平易で読みやすい。
日本の歴史や伝統に誇りをもち幼少期の国語教育を大事にすべきという考えには同感できる。
戦中の大陸生活と母に連れられた引き揚げそして父のシベリア抑留など家族の体験は彼に環境に負けない強い意志を育むことになる。成長過程を語る言い回しには所所でエリート数学者の衒いを感 -
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ネタバレ新田次郎と藤原ていを両親に持つ藤原正彦の「週刊新潮」連載コラムのシリーズ第3弾。時期的には、東日本大震災後の2011年7月からの約1年間ですが、今読んでも示唆に富む話題満載です。
間違いなく、現存する良識ある言論人の一人。名著「国家の品格」「日本人の誇り」「名著講義」などハズレがない作家でもある。
短いコラムながら、寸鉄人を刺す芸は流石。
「ロビイストにやられる」では、日本人のお人好しを誇りつつ嘆く。曰く、「日本人は、正しいことはわかってもらえる、と信じており、自らの正しさを大声で主張するのはさもしいと思う。美しい誇るべき国柄だ。ただ、世界は日本人が考えるよりはるかに醜い」
「大清算」では、「 -
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作者の主義主張にはこだわりがあり、同意できない部分もあったが、全体的な大意には賛同。
ただし、テクノロジーの進化を止めることはできないので、スマホの使い方などは、もっと共存できる余地を探すべきなのではないかと思った。
情緒を磨かないと大局観をそもそも見誤る。そもそも出発点を間違える。適正に選択されない情報はいくらあっても無価値。情緒が情報の選択を正しい方へ導いてくれる。
この考え方は今までの私にはなかったので、新鮮だった。きっと今後もずっと心に響き続けると思う。
思考は言語で行なっている。基本的には母国語。語彙が貧弱だと思考も貧弱。これはいろんな人が言っているし、私もその通りだと思う。子ど -
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数学者であり世界各国のいわゆるエリート層ともかかわりの深い著者が「教養」の歴史を紐解きながら各時代の社会の中でどのような役割を演じていたか、もしくは演じられなかったかを解説し、それを元に現代社会への警鐘を鳴らしている。
内容は良いと思うが、著者の国際社会への見方は少々偏りがありその部分は話半分に聞くべきかなと思った。
特に事実認識と意見が混在しているときがあり、他に見方があるかもしれないのに断定的なのがちょっとなと思った。
とはいえ、その部分に目をつぶれば数学者ならではの雑学やスベッても気にしないユーモア(笑)もあり、楽しめる部分も多かった。
教養に関しては知識、情緒、形(徳目)を実生活 -
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この本の発売当時はどうだったのか分からないが、今の日本はこの本の内容からは遠い所に来てしまったなと思う。
第一章〜第三章は大きな事を語り過ぎていて読んでいて疲れる。ただ「論理には出発点が必要」の考え方は面白かった。情緒力がなくて論理的な人がいると困ると言うのは共感しかない。
第四章〜第七章がとにかく良かった。日本人の自然に対する感受性、もののあわれの考え方、武士道精神等...これが国家の品格かと思う。今は失われつつあるこの品格を持ち続けていきたい。
ただ、作中に度々出てくる作者の妻に対する暴言が気に入らない。作者は受け狙いで書いているのかもしれないが、この余計な一言のせいで作者がどうしても好 -
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藤原正彦先生、傘寿を迎えられたとのこと。著作との初めての出会いは博士課程の時で、もう20年以上前になる。当時サンダルでカリフォルニアに降り立った私を、ニュータイプと頼もしく思われたか、あるいは呆れられたかで、恩師は「若き数学者のアメリカ」を薦めてくれた。それからというもの、確かにいくらかはもう古い考え方で、しかし凛として揺るがない武士道・騎士道の思想に貫かれ、ユーモアと情緒と人間愛に溢れた文章にハマりにハマった。著作に出会う度に、自分と他者との境界を曖昧にしてはいけないと思い直す。自分はどう考えどうしたいのかと。藤原正彦先生が上梓を続けてこられた20年以上もの間、折に触れ、数多の文章が時々私を
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時代は明治から大正。
ポルトガル人で、元軍人、外交官のモラエス氏の日本での半生を描いた歴史小説。
彼は、母国ポルトガルに戻ることなく、徳島で終いの人生を迎える。
当時、日本に来た外国人の渡航記を読んでも気が付くことだが、この小説でもラモエス氏の客観的な外からの視点で、当時の日本の生活、文化、日本人に触れられており、とても興味深い。(多くがポジティブな捉え方)
日本人女性も妻、愛人を通じて褒め称えているのだが、その関係には悲劇が付きまとう。
実際の彼の書物を読むと、より直接的に当時の日本について知ることができるのかもしれない。
ちなみに、本著は、新田次郎が連載を開始したものがベースとなり、 -
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この人のコラムは、自虐ネタが満載で、見た目とのギャップもあり、読者のツッコミを誘うようなテンポの良さがあり、それでいて主張がハッキリしているのと教養が垣間見え、読んでいて満足感がある。一流のコラムニスト、エッセイストだなと、もはや数学者の片鱗も感じさせない所も素晴らしい。
ちなみに、タイトルのとんでもない奴のコラムに触れると、このとんでもない奴と言うのは、道路交通法違反で書類送検された17歳の若者の話。横浜市バスの後部バンパーに飛び乗り、無銭乗車したというニュースだ。そんなことしたら危険だろうといいながら、自らも似たような体験をしたことを語る。さらに興に乗ったのか、給水塔から放尿した話。下品 -
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お茶の水女子大1年生20人限定の読書ゼミ内容を紙上公開。毎週1冊の課題図書(岩波文庫)を買って読みレポートする。
課題図書の選定がイイ。どの本も読めば、戦後日本人が無くしたモノに気づくことになる仕掛け。
例えば、内村鑑三「代表的日本人」に出てくる上杉鷹山(や保科正之など)の合理性と先見性や西郷隆盛のあふれる人間愛、日蓮上人の強い信念と実行力など。
また、英国外交官の妻、キャサリン・サンソムが東京赴任中に書き記した「東京に暮らす」の時代は、世界恐慌や満州事変、国連からの脱退、二二六事件や日中戦争など平穏とは真逆の激動の時代でした。そんな暗い世相の中でも、日本人の陽気さや礼儀正しさを賛美する本書の