藤原正彦のレビュー一覧
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明治から戦後にかけての歴史を振り返りながら、日本の美徳について書かれた本。著者の発言は正しいと思う。真実をわかりやすく述べている。私にとって新しい発見は少なかったが、多くの人が読むべき本だと思った。印象的な箇所を記す。
「国家が謝罪するなどということは、私の知る限り日本だけです。それは自国の立場を弱くし、自国への誇りを傷つけるからです。そしてなにより、もはや弁護できない私たちの父祖を否定し冒涜することになるからです」p54
「(戦後の言論統制について)終戦のずっと以前から練りに練っていたウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP:戦争についての罪の意識を植え付ける宣伝計画)に基 -
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ネタバレ日本の歴史をもとに、日本人が日本人としてのサムライ魂を失った原因を探る本書。
正直言って、ここまで踏み込んだ歴史解説本は初めて。
GHQが日本を洗脳したとか、南京大虐殺の真実、政府が隠しそうな事実をこれでもかと言うぐらい論じるなんて、作者は勇気があるなぁと思った。
本書の内容が嘘か真にせよ、日本人は自分らの歴史観が正しいと信じている。
だが果たして、僕たちが知る歴史は真実なのだろうか?
歴史の教科書に書かれていることが、本当に事実だと断言できるだろうか?
いずれにしろ、政府が隠蔽するほど歴史は闇が深く、複雑怪奇なものだ。
日本人の認識と思想の過ちを再認識するためにも、本書は一種の -
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数学史上最高レベルの栄光を手にしながらも、悲劇的な人生を送った日本人好みの世界三大数学者を、自身も数学者である著者が紹介。
この板の人にとって特に興味をひかれるのが、3人目のラマヌジャン。著者は、数学の天才と言えど、生まれ育った環境、文化の影響はあるはずと考え、3人の一生をそれぞれ現地へ飛んで取材しながらたどるが、3人ともその神への信仰が力の源泉になっていたことに気づく。
独学の天才だったラマヌジャンは、夢占いの専門家でもあった。ヒンズーの戒律を犯して渡英する決断をしたのは夢でまばゆい光を見たためだったし、夜中に起き出しては夢で見た公式をノートに書き留めていた。
ラマヌジャンは、「我々の百倍も -
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以前「名著講義」という著者の本を読み、その時に本書の存在を知って積読リストにいれていました。
著者が数学者としてはじめてアメリカの大学に赴任した1年を綴ったエッセイです。
1877年に発売された本ですから、時代を感じさせる箇所があるのは当たり前のはずなのに、古臭いと感じるところはほとんどありません。
日本から離れることによって芽生えた日本人としての気負いや孤独が赤裸々に綴られており、著者の感じたアメリカを私も肌で感じることが出来ました。
特に、その繊細な気持ちを風景で表現する様は真のロマンチストだと感じました。
(その表現力は生物学者の福岡伸一さんがよぎりました。お二人とも本業は物書きじゃな -
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藤原正彦は、新田次郎と藤原てい夫妻の子として満州国の新京に生まれた。小学生の頃、長野県諏訪市にある祖母の家に一人で移り住み、そこで自然体験の重要さを実感する。その時期、図工の先生であった安野光雅から絵の面白さや数学の魅力を教わったことが、彼の人格形成に大きな影響を与えた。日本の自然の豊かさが、藤原正彦の個性を育む土壌となったのである。
本書の中でも特に印象的なのは、満州を再訪した記述である。著者は満州で生まれ、1歳のときにソ連の侵攻により祖国を離れた経緯を描いている。彼の記憶はおそらくないはずであるが、その幼少期の出来事を歴史的かつ客観的に描写し、自身のルーツと原点を明らかにしようとして -
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著書の尊敬する三人の数学者、ニュートン、ハミルトン、ラマヌジャンの伝記及び取材旅行。特にラマヌジャンの話は心に残った。毎朝半ダースの定理をもってくる異次元の天才。アインシュタインの発見は二年後ほかの人が見つけていたかもしれないが、ラマヌジャンの定理の発見はそんなレベルの発見ではないという。ラマヌジャンがいなかったら100年たった今でも見つかってもいないかもしれないらしい。
コンピュータ化やロボット化とか最近言われるけど、こういった数学者の地道な発見による賜物なのだろう。本の中でこの発見がなかったら世界は50年遅れていた、との記述に感銘を受けた。