藤原正彦のレビュー一覧
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ネタバレギリシア・ローマ文化をスタートとした「教養」というものと国家がどう付き合い、またその付き合い方により国家がどのような運命を辿ったか、主にドイツやイギリス、アメリカ、そして日本といった国を中心に論じている。
ここでは教養プラス「ユーモア」を大切にしているイギリスが教養とうまく付き合っているとされている。それについては学の浅い私には正誤はわかりかねるが、頭でっかちにならずにユーモアを大切にすることの必要性は同感である。
この本で私が一番納得したのは、民主主義の欠点をズバリついているところ。つまり大衆が政治に参加するためには大衆にも「教養」が必要であるが、現代の民主主義は経済性や効率性ばかりに目が行き、教養が疎かになっているために単なる衆愚政治に陥っているという点。
そのために日本人は哲学や自然科学といった従来の教養のほか、芸能や大衆文化も含めた教養を身につける必要があるとしている。
さて、これらの教養が私たちにとって必要なのかは私にはわからないが、少なくとも政治家を選ぶのに必要な教養が我々に備わっていないのは確かである。その結果が現在の日本の政治、である。まさにいい得て妙だろう。 -
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著者が指定する本(主に岩波文庫)を題材に学生たちとディスカッションしていく様子をまとめた本です。
著者の数学者としての活動についてはわからないのですが、知識量と言葉の選び方に関しては素晴らしいと思いました。
また、学生たちの純粋な疑問や感想も新鮮さが溢れており、この本自体に堅苦しさをなくす効果が出ているようです。
ただ一つ気になるのは、何かに付けて「かつての日本人は素晴らしかった。それに比べて今の日本人は…」のような話の展開に持っていこうとするのが残念でした。
日本が西欧の自由主義を積極的に取り入れたせいで、日本人はだめになった(もしくはだめになりつつある)と述べていますが、西欧というのも幅が広すぎますし、
題材本内で日本人の素晴らしさを褒め称えている箇所を挙げて、「このように当時の日本人は素晴らしく、西欧の人はだめだった!」といったような話をしていますが、
その当時の日本人というのも江戸自体から昭和までと幅が広いのも気になります。
昔の日本と今の日本を比べると、今はより個人が尊重されるようになりその分横の繋がりが薄くなったというのはその通りだと思いますが、
それを個人主義が日本のマイナス点のように持っていくのはなかなか厳しいのでは。
素晴らしい行動をしている日本人と、豊かな生活をしているが精神的には野蛮(のように見える)な西欧人を比べるのであれば、
その逆の、素晴らしい行動をしている西欧人と、豊かな生活をしているが精神的には野蛮(のように見える)な日本人についても考えなければフェアではないですし、結論への過程が足りないのではと思いました。
面白い本であることに違いはないので、面白く読ませていただきました。 -
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この本は三部構成でなっており、著者が様々な本で展開している持論がメインである”国語教育絶対論”、ショートエッセイ集の”いじわるにも程がある”、母親でもある藤原ていさんと家族で中国を訪れた際の”満州再訪記”からなる。
どの文章にも時折ユーモアが含まれていて、小気味よく読み進めていくことができる。
””藤原正彦いわく、ユーモアは”理屈一本ではないことを示すため、または進まないための自己抑制のため”に必要なこと””
国語教育絶対論では、期待していた国語の必要性のさらなる理解をまた一歩進めることができたとは思うが、再度頭の中で整理はしていきたい。人に説明できるくらいには。
満州再訪記も読みごたえがある。家族での道中記も楽しいが、なんといっても最初の15ページほどの満州建国に至るまでの歴史の説明がわかりやすくて素晴らしいなと思った。無駄がなく、簡潔明瞭でわかりやすい。 -
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現代の価値観で過去をはかって計ってはいかんな。
日本近現代史における戦争を考える際、ペリー来航の1853年から米軍の占領が公式に終わるサンフランシスコ講和条約発効の1952年までを百年戦争とする。
四隻の黒船から、日本が曲がりなりにも自力で歩き始めるまでを百年戦争とみる、か。
しかし、拗らせ始めたのは日露戦争後ではなかろうか。
日本は平安時代には350年、江戸時代には250年間の完全平和を貫くという偉業をなしている。
戦争は決して褒められたものではないが、日本の百年戦争によって、アジアを食い物にしてきた白人勢力に小さな島国日本が果敢に立ち向かう勇姿を見て近隣アジア諸国は奮い立ったのも事実。
1941年にはアジアの独立国は日本、タイ、ネパールの三国、アフリカではエチオピア、リベリア、南ア連邦の三国しかなかったが、その11年後、百年戦争が終わる時点では計100ヶ国を超える。
戦後GHQによる刷り込み、教育で日本はまんまとはまってしまったな。個性、個性の個人の尊重というまやかしに。令和の今でも、しっかり根付いている。
タイトルだけだと、かなり右寄りなのかと思ったが、読んで良かった。こういう視線や視点が大事だな。
江戸、明治期の外国人による日本見聞記を読んでいて、正に日本の良さってのはこれだと痛感。 -
購入済み
本を読まないと獣になる
読書好きになる秘訣が満載。
作者は、比喩がうまい。(僕は餃子と豆大福が好きだ。食べなくても生きていける。しかし、これを口にせず、死んでいくのは気の毒だ」同様に、読書をせずに死ぬのは気の毒だ」と。あるいは、もっと辛辣だが、作者の祖父は「1日に1ページも読まない人間は獣だ」t。
ユーモア精神はイギリスで有名だが、日本にも歴としてある。そのために、日本の古典を読みたい。 -
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2018年の読み収めの一冊。
書いてあることは、言葉が悪いけど「オヤジの愚痴」みたいな感じでした。
でもその愚痴は一理ある。だが「愚痴」という少し敵意ある言葉になるのは、「そんな問題、うまく解けねぇよ」言ってしまうような問題に対しての作者の考えがまとめられた本だったからでした。
きっと作者は、取り上げた問題が「難題」であることが分かってたから、愚痴のような攻撃的な言葉を書いていたんだと思います。
後半のエッセイ集で、そういったどうしようもならない世界に、文句(という言葉が適切ではないかもしれないけど)を垂れて立ち向かう、僕たちと何ら変わりのないおじさんの横顔が見えてきました。
2019年も、一を読んで十を感じれる本に出合いたいですね。
出会えるか出会えないかは僕の情緒自身ですけどね。 -
Posted by ブクログ
反骨精神で世の中のあらゆる問題に立ち向かい、武士道精神を熱く語り、家族からは頑迷さをあきれられる著者自身の姿を、ユーモアで包み込んで語っているエッセイです。また、著者の両親である新田次郎、藤原てい夫妻のエピソードも多く語られています。
『国家の品格』(新潮新書)で語られる著者のナショナリズムには賛同できない読者でも、エッセイストとしての著者の力量はなかなか否定できないのではないでしょうか。
とくに、検便を強制する小学校に対する著者たち一家の戦いを描いた「苦い勝利」と題された一編は圧巻です。噴き出したり、目頭が熱くなったりと、たいへんでした。