藤原正彦のレビュー一覧
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・明治大正時代、舶来の教養を無邪気に身につけた世代は、日本という根がなく、借り物の思想であることに気づかず、大正デモクラシーを謳歌しているうちに、ロシア革命がおきるとマルクス主義にかぶれ、昭和ではナチズム・軍国主義に流された。戦後は、左翼思想に流され、今は新自由主義やグローバリズムに流されている。「上滑り」「虚偽」「軽薄」は一貫している。
・基盤となる形をもたない個性は、流行りの新しい思潮に常に圧倒される。ドイツでも、フェルキッシュ運動・ファシズム・贖罪意識に圧倒された。
・現代に至る日本の知識人のひ弱さは、世界に誇る我が国の大衆文化、日本人としての情緒や形を軽侮したことに因がある。
・民主主 -
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【感想】
近代の世界史について、筆者の客観的な視点も相まって、読んでいて非常に勉強になった。
どの国の歴史を見ていても、(当たり前だが)やはり自国の国益を最優先に考えて動いており、その中で社会主義や資本主義が発展しているのが読んでいて分かった。
正直、「教養」というのは一文の得にもならないということを分かった上で、ただ欲望にまみれた本能を抑制する手段として身につけなければならない。
ナチスドイツの発展やソ連の誕生なども、国民の教養不足の合間を縫って発展したのだから、その点は非常に頷ける。
ただ、作中にもある通り、利害損失のみで動いている人間が多い今世において、果たして「教養」という剣が本当に -
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数学者でエッセイストの藤原正彦と、『博士の愛した数式』の著者である小川洋子が、数学をテーマに語りあった対談を収録しています。
『博士の愛した数式』についても多少は言及されていますが、多くの部分では、小川が聞き手にまわり、数学の美しさと、それに憑かれた数学者という人種について藤原が語るというスタイルで進んでいきます。
おそらくは「数学」と「美」を結びつけることなど思いもよらないというような若い読者に、数学の美しさに目を開かせることを目的としているのかもしれませんが、数学の世界についてのとりとめのない印象がつづられていて、すこし内容が薄いようにも感じてしまいました。 -
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この本は、もしくはこの本の前の?国家の品格は、なんとなく避けていた部分があった。
なぜかというと、なんだか日本とか国とかを熱く語って外国排除を高く掲げていて、思想的な偏りがすごいんだろうな(だから読んだらうんざりするんだろうな)と。そして、今回この本を読んでみると、何が正しいのか分からなくなってしまったという意味で、視点が一つ増えたと思う。
南京事件のこととか、頭から「日本が南京で虐殺を行ったのは歴史上の事実であり、戦時中とはいえ日本はしてはいけないことをしてしまった」と認識していたので、それが捏造の可能性(あえて可能性と書く)があるなんてそうなの!?ってビックリでした。もっと本を読まなくちゃ -
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本書は3つのパートで構成されています。第1部は、国語教育の重要性を語ったエッセイ。第2部は、著者の日常を描いた肩の凝らないエッセイ。第3部は、著者の出身地である旧満州の新京(現・長春)を訪れた際の紀行文となっています。
国語教育の重要性の指摘の背後にあるのは、祖国愛という視座を欠いたどのような言説も行為も無意味であるという強い思いといってよいでしょう。著者は、ナショナリズムを「国益主義」、パトリオティズムを「祖国愛」と訳し、前者は必要悪であり、後者はどの国の国民にとっても絶対に不可欠だとする主張を展開しています。
第2部は、『朝日新聞』に連載された科学エッセイを多く収めています。著者が3人 -
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ゲーデルの「不完全性定理」…正しいとも正しくないとも判定できない命題が存在する、ということを証明。
アラン・チューリング…ある命題がゲーデルのいう"原理的に真偽を判定できない命題"であるかどうか、を判定する方法が存在しない、ということを証明。
真偽を判定できない命題を「悪魔的な問題」とすると、ゴールドバッハの予想(*)がその悪魔的な問題かどうかすら判定できない。
*ゴールドバッハの予想…「6以上の偶数はすべて二つの素数の和で表せる」
未解決。素数の定義は約数を持たないこと。約数は掛け算の話だけど、ゴールドバッハの予想は足し算の問題だから難しい。
「間違っていても、正しい -
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課題図書一冊目。
サラサラと読めてしまうが、二人の話のディープな所にはちょっと立ち入りにくい感じ。
特に古典〜明治期の名作を紹介したり、漢文の良さを語っている所は、ちくまプリマーを読むくらいの学生さんには伝わるのだろうか。
全体としては、難易度が高め。
でも、読書や日本語に触れる上での味わい方はしっかりと抑えられているようにも思う。
難しくても読みこなす内に質が上がるとか。
分からなくても暗唱していると、ある時にふと結びつくものがあるとか。
生きていく中での読む意味合いを、二人の掛け合いの中から拾いあげることができた。
もう一つ。
個人的にジーンとしたのが童謡のパート。
歌詞から、ああ、 -
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ネタバレ【156冊目】ケンブリッジにいる間に読んでおかなければと思って読んだ本。期待したとおり、イギリスの文化・歴史に対する豊富な知識と、日米との比較が非常に勉強になった。
>オックスフォードは世界が自分のものであるかのように振る舞うが、ケンブリッジは世界が誰のものであってもかまわないというように振る舞う。
……こういうところ、結構大好きです。ちなみに体感では、ケンブリッジ生はToryよりもLabour支持派の方が多い気がする。
>数学に限らず、イギリスでは一般に、抽象的で論理的な議論はフランス人のもの、と不信感さえ持てれてきた。だから哲学において、形而上学はイギリスでは育たなかった。自ら経験した