さくらももこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
単行本版からの再読。
「二十歳になるあの日の、あの時間の感覚を、私は一生忘れない。」(二十歳になった日)
「当時二歳半だった私は、事故の連絡を受けた母が血相を変えて慌てていたのを見ていた記憶がある」(父ヒロシ)
これらの一文は、さくらももこの情動記憶力がいかに優れているかを象徴していると感じた。五感を通じた緻密な記憶の描写と、ビートたけしに通ずるシニカルなユーモアが絶妙に融合して、唯一無二の軽やかさのある文体を生み出していると思う。
彼女の作品全般に言えることだが、日常の些細な出来事をおもしろおかしく切り取って、そこに東洋哲学的な思想をしれっとぶっ込んでくるので、読むたび毎回感心させられる