さくらももこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「実力のあるエッセイ漫画家は文章力にも秀でている」
長いことマンガを読んでいてそんな傾向があるなと考えてはいたのですが、さくらももこさん、才能があり過ぎるにも程があるでしょう。
かつて「まる子」だった子供が成長して「さくらももこ」として「あの家族たち」と自分のその後を文章で書く。しかも『ちびまる子ちゃん』特有のユーモアと毒はそのままに。読者の多くはあらかじめ予備知識がありイメージしやすいというアドバンテージはありますが、それこそが作者の才能と努力で勝ち取ってきたもの。賞賛こそあれ文句などあるわけがない。
ここ数週間、病院の待ち時間対策として本書を再読していたのですが、これがまあ危険極まりない。待合室でいつ吹き出すか分からない大変スリリングな時間でした。
『メルヘン翁』の破壊力は十分記憶していたので一旦飛ばしてその次の『恐怖との直面』へ移ったのですが、ここで見事に吹き出してしまい、無事にやべー奴の仲間入りをしてしまいました。さくらももこ恐るべしです。
これに懲りずに次回の受診からは『さるのこしかけ』に移ろうと思います。病院を出禁にならないように注意する所存でおります。
余談。『恐怖との直面』でまさに私が吹き出した箇所に男性のシンボルを表す単語が出てくるのですが、この言葉はハリウッドザコシショウ(敬意を込めて敬称略)の造語だと思っていました。さくらももこさんもザコシも出身は同じ静岡県。調べてみたら静岡の方言のようでした。 -
Posted by ブクログ
なんでもっと早く読まなかったんだろうと後悔するほど面白かったです。
小中の周りと自分との違いに悩む思春期に大変共感し、女子校の生意気でぐうたらな日常においおい!と笑い、夢を叶えるために全ての時間と労力を捧げる姿に感動しました。
夢があるならそれに向かって全力疾走するのはとても大切で、どこかで絶対にやらなければいけないことだけど、ずっと走り続けることが正解でもない。そこまで焦る必要もないんだと思いました。さくらももこの、のんびりとした学生生活があるからこそ、あのふにゃふにゃ(?)とした考え方ができて自分の漫画スタイルを確立できたのかなあと思いました。
遠回りは近道だ、ということをこのエッセイを読んで実感しました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<備忘録・ネタバレあり>
ふとした言い回しが可笑しくて、随所でクスりと笑える。
学生時代や日常の出来事を、よくもこんな事細かに覚えているなぁと感心する。
祖父友蔵が死んだときのことをかいた『メルヘン翁』は、不謹慎極まりないのに悪気なく悪意なく愉快で、さくらももこの手腕というかんじがする。
“ズルくてイジワルで怠け者で、嫁イビリはするし、母も自分も姉も散々な目に遭った”という祖父の死を笑いに変換できるのは、心が憎しみに支配されていないからだなぁと思う。事実を受け取るだけで、感情がシンプルなところがとても魅力に感じる。
『その後の話』でも「私や姉や母に対して愛情がなかったことは事実である。だから、当然私達も爺さんに対して何の思い入れもなかった」と書かれている。憎むではなく「思い入れがない」というところに、この人の良さが詰まっている感じがした。
また母も面白い。『恐怖との直面』では露出狂にあった娘に、「今お母さん思いついたんだけど、あんた、警察と直通のベルを作ってもらいなさい(さくら:そんなもん、国家の重要人物でない限り無理である)」「物干し場の入り口に大穴を掘る」「でかいサボテンを植え込む」等バカボンのパパ並みのひらめきを一日中電話で伝授し、挙句の果てに父のパンツを送ってきた。
娘は娘でタイで命の危険を感じ親孝行していなかったことを悔やみ、ニューヨークでの危機でまた悔やみ「危機が迫らなくては親孝行を思い出せない自分が情けない」という。面白い親子だ。
夢見る思春期時代、2年間に及び書き綴った日記(ポエム調・カラーイラスト付き)に対し現在の自分が盛大にツッコミつづける『乙女のバカ心』も秀逸だった。
日記「あなたの瞳の色と同じ色の絵の具を見つけました」
さくら「イラストはマリンブルーの絵の具が描かれている。何人に恋していたのであろうか」
日記「私はあなたのこと一生忘れません」←全文書きたい。文体自体がウケる
さくら「現在の私には”あれ以来お会いしていないあなた”の記憶なんてない。一生の私の事まで語られちゃ、未来の私も困惑する」
公開できないものが9割を占める中で数点のポエムを披露していただき、まさにそのような時期があった自分も「同じような人がいる…」と大変救われた。
『巻末お楽しみ対談』もさくらももことヒロシの良さがよくわかって興味深かった。
元々の冷めた気質もあるだろうが、母からの日々の罵倒により、自分に過度な期待をせず諦めがいいことや、気のいいヒロシを見て育ったことがこういう人格を形成したのかなぁと感じた。
(子供の頃からドライだったのか?という問いに)
「ワーイなんて素直に喜んだりする子供っているじゃないですか。そういう子を見ると、自分もまだこんなにちっちゃい子のくせして「あの子たちほんと、子供らしくていいな」って思っていたんですよ(笑)。お遊戯会とかするでしょ。あんなの、本当に馬鹿らしくてやりたくなかったですから。」
(反省した経験は?という問いに)
「ないですねぇ。だって私、怒られるようなことをしていないじゃないですか。万引きをしたとか、家庭内暴力で家のものを壊したりとか、人にケガさせたりとか…。そういうふうに人に迷惑をかけたのなら、怒られてもしかたないと思うし、反省もしますけど、そういうことは一切していませんから、怒られる筋合いのもんじゃないと子供の頃から思ってました。授業中に居眠りをしてたって、人に迷惑をかけていないし…」
(いい生徒と比べなかったのか?という問いに)
「別だと思っていました。でも「ああ、偉いな、あの子たち」とは思っていましたけど、自分と比較することはありませんでした(笑)。なったら怒られないだろうなとは思いましたけど、そういう子になろうなんて気は、さらさらありませんでしたから。」
(ヒロシについて)
「聞き流し態勢がよく整っているんですね。最初は馬鹿じゃないかと思ったんですけど、でも私もやっぱりヒロシをずうっと見続けていて、すっごくえらいなって気づきました。私なんかの十倍もお母さんに文句を言われ続けているのに「うん、そうか」っていうだけですから。いつも」
「お母さんにめちゃくちゃ言われて腹立たないの?って。そしたらこういったんです。「おかあがああやって文句を言っているうちは元気な証拠だから…」って、それだけなんです。その時、(ああ、ヒロシっていいな)って。私が離婚する時だって、「いろいろ、ごめんね」って言ったら、「ああ、別にいいよ。お前が考えたことで、俺が何か言うことじゃないから。お前の気持ちはすごくわかっていたから」って。思わずジーンとしちゃいました。」
(ちびまる子の作風について)
「私の場合は、お母さんから、いつも「あんたは馬鹿だ、馬鹿だ」と言われ続けてきてますから、その視点から他の人を観察すると、「私も馬鹿だけど、あんたの方が私より馬鹿じゃん」というふうに見える強みがありますね。それに、うちの家族の絶妙のバランス…」 -
Posted by ブクログ
・てきや・夏休みの宿題・七五三の思い出・大洪水の思い出・マラソン大会・賞状をもらう話・家庭訪問の思い出・道に迷ったときのこと・物をなくす
上記の話は自分にも同じようなことあったなあと思い出の共有ができて嬉しい。
尿関係の話は特に共感する。子供の頃ってなんであんなにおしっこを我慢してしまったんだろう。
我慢しすぎて膀胱炎になった経験があるほど。
物をなくす話も、学校の提出物をなくしてしまった時の絶望感ときたら、子供にとってはこの世の終わり。
大概母親が捨ててしまっているので、怒りをどこにぶつけてよいか分からなかったなあ。と思い出に浸ってしまった。
さくらさんのブラックジョークが冴え渡るエッセイ。