さくらももこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
単行本版からの再読。
「二十歳になるあの日の、あの時間の感覚を、私は一生忘れない。」(二十歳になった日)
「当時二歳半だった私は、事故の連絡を受けた母が血相を変えて慌てていたのを見ていた記憶がある」(父ヒロシ)
これらの一文は、さくらももこの情動記憶力がいかに優れているかを象徴していると感じた。五感を通じた緻密な記憶の描写と、ビートたけしに通ずるシニカルなユーモアが絶妙に融合して、唯一無二の軽やかさのある文体を生み出していると思う。
彼女の作品全般に言えることだが、日常の些細な出来事をおもしろおかしく切り取って、そこに東洋哲学的な思想をしれっとぶっ込んでくるので、読むたび毎回感心させられる -
Posted by ブクログ
『もものかんづめ』がとっても面白くて、さくらももこさんのエッセイをもっと読みたいと思い、こちらも読みました!
本作もたくさん笑いました!!!
お気に入りのエピソードは「痔の疑いのある尻」、「台風台湾」、「ミッキーマウスの繁殖力」、「夢が叶った悪夢」、「近所のじいさんの消息」、「お見合い騒動」、「おさるの住む家」です⭐︎
特に、「近所のじいさんの消息」と「おさるの住む家」は好きすぎる!!
痔をドクダミで完治させたり、飲尿療法をしていたり、信じがたいエピソードも他と同じように淡々と書かれているのがじわじわきて面白かったです!
「まる子三ヶ年計画」ではアニメのまる子についてのさくらももこさん -
Posted by ブクログ
さくらももこ大先生の青春時代を綴ったエッセイ。
リズミカルな文章はその日の情緒に関わらず、昼夜いつ読んでも楽しい。
道で見かけた理想の好青年に想いを馳せたり、ダラダラ何もしない夏休みを過ごしたり。
等身大の女子学生の日常かと思えば、高3の春休みから一変。自分の夢と真剣に向き合い始める「さくらももこ」に生まれ変わる。
夢ってなんて素敵なんだろう。周囲の雑音を意に介さず、ただひたすらに夢を追いかけるファイトに胸が打たれる一冊。
「方向転換」
-風呂場の窓が、昼の光で輝いていた。ホースから出ている水がキラキラ輝いていた。水しぶきも全部輝いていた。このろくでもない風呂場全体が、虹色に包まれているよう