さくらももこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
三島由紀夫は産まれたときの記憶があるらしい(ホントかよ)が、さくらももこも負けていない。「二歳半ぐらい」からの記憶をたどった記憶力おばけの真骨頂、といった感じの本。
父ヒロシの事故のこと、友人をぶってしまったり、ランドセルに傷をつけてしまった日のこと。子供特有の逃げ場のないせつなさが、ドライなんだけど鮮やかな筆致で描かれている。
あとがきがまた素晴らしいので、まずはそこから読んでみるのがおすすめ。
「実は自分はすごくシンプルだったんだという事を、たまには思い出した方がいい時もある。
(中略)経験をし、その意味に気づき、理解し、理解の中から生まれた知恵を生かしてゆく事、これが大人になってゆく -
Posted by ブクログ
単行本版からの再読。
「二十歳になるあの日の、あの時間の感覚を、私は一生忘れない。」
(『二十歳になった日』)
「当時二歳半だった私は、事故の連絡を受けた母が血相を変えて慌てていたのを見ていた記憶がある」
(『父ヒロシ』)
こうした一文を読むと、さくらももこの記憶の鮮明さに驚かされる(後付けで盛ってる可能性も否めないが…)。出来事そのものだけではなく、その時に見たもの、感じた空気まで残っているような、五感を通じた緻密な描写。
そして、ビートたけしに通じるようなシニカルなユーモアが混ざり合うことで、唯一無二の軽やかな文体が生まれているのだと思う。
彼女の作品全般に言えることだが、日常の些