山田悠介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ山田悠介『貴族と奴隷』は、極端な制度を通して人間の本質を静かに、しかし容赦なく炙り出す作品だ。物語は一見すると残酷で理不尽だが、その不条理さこそが、現実社会に潜む権力構造や集団心理の縮図として強い説得力を放っている。
「立場」が人をどう変えるのか、「与えられた役割」に人はどこまで従ってしまうのか――その問いは読者自身の内面にまで踏み込み、決して他人事として読み流すことを許さない。
簡潔で読みやすい文章の裏には、暴力や支配の恐ろしさだけでなく、弱さゆえに加害にも被害にもなりうる人間の姿が重く横たわっている。登場人物たちの選択は必ずしも英雄的ではないが、だからこそリアルで、胸に残る。
読み終えた後に残るのは爽快感ではなく、むしろ沈黙に近い余韻だ。しかしその余韻こそが、この作品の価値を雄弁に物語っている。
『貴族と奴隷』は、単なるショッキングな物語ではない。社会の中で無意識に受け入れている「上下」や「支配」を問い直し、人間の弱さと危うさを真正面から見据えさせる、重く、そして意義深い一冊である。
パイセン本。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ続きが気になって読む手が止まらなかった。
残された選択肢が一つしかないからこそ、結末が予想できるのに涙なしでは読めないぐらい心情描写が繊細。
救いようがない残酷さと命を粗末に扱う世界線に対する苛立ちも感じるから完読後すっきりはしないし、なんなら最後の最後でめちゃくちゃにやりきれない気持ちになるから読むなら覚悟が必要。でも読んだことを後悔しないぐらい内容は面白い。
最後、伏線の回収が少し残念だった。
ここまでの物語を経て一番気持ちが高まっていたのに、一気に本線から外れるように説明が入って一度気持ちが落ち着いてしまった。
ただ、隠されていた設定に驚いた。様々に想像してたどの展開とも違って思わず驚きの声をあげてしまうぐらいには展開が斜め上だった。
現実では絶対に存在しない設定の中になぜか現実味も垣間見えるから子供達や世界線に感情移入して読める。