山田悠介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『子供を親の道具として扱った末路』
学力、性格、容姿など、全ての要素において完璧な人間を“作り出す”ことは可能だと思ったことはあるだろうか?
即ち、優秀な父親がおり、周囲が驚く(寧ろ引いてしまう)程の英才教育を施せば、自分が望んだ通りの完璧な子供を作り出すことはできるのかということである。
本作は、そのような子供を望む親の子の運命を描く。
本作は、天才児を望む母・皆川厚子からの“歪んだ愛情”を受けて育つ兄弟の物語。
厚子は保険会社で働く独身女性であり、天才的頭脳を持つ子供を産むため、世界的数学者やノーベル賞受賞者などの精子を扱う「ジーニアスバンク」から精子を競り落とし、秀才・麒麟の兄弟を産 -
Posted by ブクログ
押すと心臓が止まるスイッチ。
それを持たされた子供たち。
そして、それを監視する大人。
残酷な現実の中で、それでも夢は叶うのか。
どうしようも無い結末の中で生きる、主人公や子供たちの気持ちが、とてもリアルで切ない作品です。
何が正しかったのか、やるせない気持ちが残ります。
感動と、切なさと、悲しさと、色んな感情が押し寄せてきて、気がついたら読み終わっていました。
また、私はJR横浜線沿いに住んでるのですが、作中、JR横浜線近辺の地名がよく出てくるため、なんだかドキドキしました。
住んでる地名が作品に出てくると、なんだか嬉しくなりますよね。 -
Posted by ブクログ
この頃から漫画などでも○○島でサバイバルという前提のストーリーが多くなりましたので、この設定自体に目新しさは個人的に感じません。
構成としても、仲間とのトラブルや殺し合い、ヒロイン的な存在との恋愛というありきたり感は否めないと思います。
しかし、なぜその島に行く必要があるのか?そして、その後の結末までの流れは作者自身の個人差があり、私は楽しめる作品でした。
また、山田の作品の中でも最大級にページ数があり、読み応えも抜群です。
個人的にはもう少しヒロインとの関係性と付き合うまでのプロセスを丁寧に書いていただきたかった。読んでると分かりますが、お互い初対面なはずなのに、生活を始めて結構最初からお互 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・東京都新宿区にある、 The Youth Suicide Control Project(青少年自殺抑制プロジェクト =通称 YSC)
・守らなければならないことがもう一つある。それは、実験台に選ばれたという事実を子供に黙っていなければならないということ。死ぬと分かっている我が子と、普段通りの生活を送らなければならない。そして五年後、その子供は突然親と引き離され、全国に点在するセンターへ連れていかれる。そこで初めて、灰色の四角い箱の形をした機械を渡される。真ん中には赤いスイッチ。簡単に押せないように透明のプラスチックが被せられている。
・そう、このスイッチが、子供たちの命。押すと、心臓が