あらすじ
天才精子バンクで生まれた兄弟――兄は天才数学者の道を歩むが、弟の麒麟は「失敗作」として母と兄から見捨てられてしまう。孤島に幽閉されても家族の絆を信じる麒麟の前に、運命が残酷に立ちはだかる!
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Posted by ブクログ
『子供を親の道具として扱った末路』
学力、性格、容姿など、全ての要素において完璧な人間を“作り出す”ことは可能だと思ったことはあるだろうか?
即ち、優秀な父親がおり、周囲が驚く(寧ろ引いてしまう)程の英才教育を施せば、自分が望んだ通りの完璧な子供を作り出すことはできるのかということである。
本作は、そのような子供を望む親の子の運命を描く。
本作は、天才児を望む母・皆川厚子からの“歪んだ愛情”を受けて育つ兄弟の物語。
厚子は保険会社で働く独身女性であり、天才的頭脳を持つ子供を産むため、世界的数学者やノーベル賞受賞者などの精子を扱う「ジーニアスバンク」から精子を競り落とし、秀才・麒麟の兄弟を産む。
兄・秀才は、小学生にして大学数学を解いてしまう程の“天才的頭脳”の持ち主であり、厚子が望んだ通りの子供に育つ。
一方、弟・麒麟は4歳にして小学6年生レベルの問題までマスターをするが、中学生1年生レベル以上の問題が解けないことを理由に、厚子から酷い扱いを受ける。
本作において厚子などが信奉しているのが“優生学”という分野であり、優秀な遺伝子を残す為に、劣性の遺伝子を排除するという考えを持つ。
ただし、果たして、『優秀さだけがこの世を救うのだろうか?』と読んでいて私は思った。
「優秀な人は犯罪を犯さないし、起こるわけがない」だなんてそんなことはない。
本作を読んでいると、『世の言う天才的な人とはどんな人物なのか?』『親の理想を子供にぶつけることが、親子にとって本当に幸せなのか』など色々と深く考えてしまう。(ただ、それらの疑問に正解・不正解をつけることは非常に難しいと感じる)
まずは、自分が率直に感じたことを大切にしながら本作を読んで欲しい。
Posted by ブクログ
健康で生まれてきたことに喜ばず、自分の思い通りに、周りを見返すことだけのために子どもを欲しがる母親のせいで、辛い思いをしたのにずっと家族を思い続けるキリンが、本当に健気で素敵。遺伝子なんて関係なく、それぞれの性格や才能がある。これからキリンどう生きて行くんだろうなあと気になる、
Posted by ブクログ
山田悠介初読。初っ端から優生学の不気味さにビビる。麒麟くんと仲間たち以外はトチ狂ってるので麒麟くんがほんとにいい子でもう悲しくなってくる。
でも狂ってるのもちょっとクセになってくるのでこれが山田悠介かーと思った(?)
天才とは?というテーマと結末に向かうにつれて『アルジャーノンに花束を』を彷彿とさせた。
子どもを自分のための欲望と見栄と復讐の道具にしか考えてない大人に呆れるに似た感情が残った。
Posted by ブクログ
あっという間に読み終えた。
私の親も子供を周りと比べるタイプで、幼い時はそれが当たり前、○○ちゃんより頭が良くないと親には褒めて貰えない、点数が1番って思ってたから、割と感情移入しやすかったかも。
麒麟と同じように親が笑ってくれないのは自分が馬鹿だから。って本気で信じてたこともあったなぁ。
今大学生になって、自分は自分、他人は他人って少しは思えるようになってきたけど、やっぱり点数だけじゃなくても、みんなお互いを比べながら生きてるんだなぁって実感する毎日、、、。
Posted by ブクログ
後半は
「いやいやいや」とツッコミ入れたくなるところが多々あったけど
真相が知りたく一気読み
最後まで母親と兄にこだわった麒麟にも
なんだか萎えてしまった
テーマ自体は良かったもんで
★4です
Posted by ブクログ
とても悲しかった。
勉強が、すべてではない気がして麒麟くんが哀れに思えた。
お兄さんは頭が良い
弟はできそこない。そこを差別するとか親としてできないと思いました。
Posted by ブクログ
主人公のお母さんは終盤以外すごいひどい母親でした。
登場人物たちのつながりがいいなと思った。
どれだけ母親にひどい扱いを受けても母親を信じ続ける主人公が読んでて胸が痛みます。
Posted by ブクログ
倫理観について考えさせられた本だった。「優秀な子どもに育てたい」ではなく「優秀な子どもを産みたい」から始まるこの物語は読んでてめちゃくちゃきつかった。そんな境遇の中に生まれてきたキリンは、人間性においてはるかに優れていたから最後の結末が迎えられたんだと思う。
読んでいた当時、学校の黒板に家系図を書いて「?!?!?!」ってなったのはいい思い出
Posted by ブクログ
読むのは三回目くらいだけど面白かった。
相変わらずつらい。
登場人物の関係が複雑なので家系図書いてみたらめちゃくちゃに入り乱れて面白かった。昔の王家?
秀才も家族のことをなんとも思ってなかったわけじゃなかったんだろうなと思える切ないラスト、大好き。
Posted by ブクログ
遺伝子をめぐる麒麟と家族の物語。
人の才能は、生まれ持ったものではなく、
努力によって変わる!
だが、まさか遺伝子が才能とは別のところで関係性を持っているとは、、、
Posted by ブクログ
天才精子バンクを起業し、パーフェクトベイビーを望む女性たちに、オークション形式で人工授精を施す。
近未来的な設定ながら、現実にもそうした事例が話題になった記憶があります。
かつて『素直な戦士たち』(城山三郎)でも、優秀な子供を求めて結婚・妊娠・出産を逆算する母親が描かれていました。(昭和ですよね)
親たちの欲望に振り回される子供たちという構図は、時代を超えて繰り返されるテーマなのかもしれません。
今作では、優秀な長男と、勉強はできないが心優しい次男との対比が印象的です。
優秀な遺伝子は確かに魅力的ですが、思いやりや他者を大切にできることもまた、人間の大切な能力のひとつだと思います。
時代ごと、親たちは子供に「より良い未来」を与えようとしてきました。そして、より良い未来さえ変化しているように思います。
子供が望む方向を大切にしたいですね。
Posted by ブクログ
すごく久しぶりに山田悠介さんの小説を読んだ。やっぱり読ませる力がすごいな〜。内容は本当にずっっっっとむかついてました、子供は親の夢をかなえる道具じゃない…どいつもこいつもよ〜〜
麒麟がいいこすぎる、殴ったれ!こいつもそいつも!と憤ってたけど最後までいいこだった 幸せであれ…
Posted by ブクログ
旦那はいらない、でも優秀な子供が欲しい。もしかしたら今の令和時代と何か似ているように思える。
読み進めていくと優秀な人材のだからと言って必ずしも同じようにはいかなくて、その子の生き方や選択肢を決めつけたり狭めたりしては他の才能や心情を見つけることができず失敗作とされる、これは今の社会でも同じようなところがあると感じた。
本当は他にたくさんできるところがあるのに1部分だけで「こいつは何もできない、使えない」とレッテルを貼られる。
この本は2010年9月に出版されたものだが2024年の日本の今に近い社会の人の在り方を表してるように感じた。
Posted by ブクログ
「父親はいらないから頭の良い子供が欲しい!」
と思った女性達の手で生まれた天才の子供達の話。
キリンの素直な性格がかわいい♡
山田悠介は恐い話がほとんどだが、「キリン」は最後に心があたたまる!
Posted by ブクログ
兄は小さい頃から持て囃され、頭の良さや遺伝子を一番の価値観においてしまったため、それを失った時に絶望した。弟は虐げられてきたが、自分や周りと向き合おうとしてきたから、様々な価値観を持ち、自分の真の強みを見つけることができた。
ただ兄も大人たちのエゴに巻き込まれた被害者であり、違う生き方もできたのかなと思うと、子供にとって大人ができる本当に大事なことって何だろうと考えさせられました。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ振り回される子供たちの話。
現実にあってもおかしくなさそうな設定が、薄気味悪くて、中盤は後味の悪そうな結末を予想してたけど、麒麟の凄まじいくらいの純粋さで救われた結末だった。
ちょっと(設定的に)無理のある主人公だけど、まあTHE主人公属性の性格で成り立つ物語だった。
Posted by ブクログ
麒麟の気持ちを考えるとすごく切なかったし、この家族狂ってるって思った。読んだ当初は自分とはかけ離れた世界すぎると思ったのに、現在の世の中では有り得なくもないかもと思ったり。最後も含め私には衝撃的なお話だった。
Posted by ブクログ
復讐の為に、あるいは自分勝手な理由で、子供たちを生み育てる親たちが許せなかった。子供は親の道具ではない。ひたすら生まれてきた子供たちが可哀想な、胸糞悪い話だった。
Posted by ブクログ
駆け足でいまひとつ感情移入したくなる魅力的なキャラクターがいなかった
お兄ちゃんは最後までやな奴だしお母さんは勝手すぎる
それを家族愛だけで乗り切る主人公にも呆れる気持ちが強かった
しかし話の着眼点や最後の謎解きが気になって最後まで読みました
話そのものはすごく面白かった
Posted by ブクログ
中学の時ぶりに読んだ山田悠介。“エグい”作風なのかなと思いきや、わたしが読んだ中ではソフトな方でした。好きな結末の迎え方ではあったけど「キリン」がなんだったのか、作者に聞いてみたい。
Posted by ブクログ
心が苦しくなる内容でしたが、麒麟くんが常に純粋で希望や家族に対する愛情を失わずに進んでいるからか、 最後まで読みやすかったです。
また環境の重要性も考えさせられました。
いじめられなければ母親の厚子は荒まなかったのかなとか、秀才は才能もあったけど、ひたすら数学を学ぶ機会を与えられたから秀でることが出来たのかなとか、環境によって良い方にも悪い方にも転んでしまうのは親の責任重大だと感じました。
育児に疲れて子供に対する愛情が薄れている時に読むと、子供の純粋さに気づけて環境を整えるために頑張る気持ちになるかもしれないなと感じました。