森達也のレビュー一覧

  • A3 下

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    なぜこのような事件が起こったのか。
    その理由と背景は、未だ明確になっていません。
    地下鉄サリン事件以降、日本の社会は邪悪な存在への不安と恐怖に煽られ、セキュリティを急激に強化してきました。
    事件の本質を探り、不明な点を明らかにしていく問題作です。

    時だけが過ぎてゆく。でもこの時は無限ではない。やがて終わりが来る。麻原は絞首台に吊るされる。そのときに自分が何を思うのかはわからない。でもこの社会がどのような反応をするかはわかる。

    それはきっと、圧倒的なまでの無関心だ。 ー 261ページ

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    2022年03月11日
  • A3 上

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    【第33回講談社ノンフィクション賞受賞作】
    東京地裁で初めて、完全に壊れている麻原彰晃を見た著者。
    マスコミも、誰も、声をあげようとしない異常な裁判。
    麻原彰晃と、事件を起こした側近たちを死刑にすることで、すべてを終わらせ、忘れようとしているかのように思えます。
    オウム真理教事件によって、大きく変わってしまった日本社会の深層を浮き彫りにする、ドキュメント作品です。

    あの時期はそれほどに、日本国民のほとんどが、オウムや麻原を「絶対的な悪」として認知していた。過去形ではない。今だって数量的にはそう見なす人のほうが圧倒的に多いはずだ。だからあらためて書く。「人を殺すならばそれは宗教ではない」とのレ

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    2022年03月10日
  • それでもドキュメンタリーは嘘をつく

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    後れ馳せながらここを通過した
    様々な価値観と視線による差異がある
    それと共にあらゆるグラデーションもある

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    2022年03月02日
  • 映画評論家への逆襲(小学館新書)

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    当たり障りのない映画評論には辟易するところがあったのでスカッとしましたし、映画の細部やリアリティへの詰めの甘さに関する指摘には同意もしましたが、彼らが語る作品が古かったりマニアックであったりしてよくわからない部分がありましたね。
    「止められか、俺たちを」と若松孝二監督を知らないと何のことやら、となりそう。

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    2021年11月17日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    ダイヤモンド社『経』掲載の「リアル共同幻想論」2009〜2012。はびこる排他主義とレイシズム、善意は否定しないが何かがおかしい、奪われた想像力、厳罰化では解決できない、そして共同体は暴走する。

    映像作家ならでは。素や間を嫌い考えさせることを嫌い、加算して隙間を埋める。テロップではなくボイスオーバー、モザイク。テレビ番組の作りを再認識しました。

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    2021年08月28日
  • 映画評論家への逆襲(小学館新書)

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    座談会を書き起こしたテキストとしては面白かった。出来ればポッドキャストで聴いてみたいけど。映画評論を専門知識も無いバカがやっている・映画評論家が作品を批判しなくなった・SNSに映画評論家気取りのモノ言う観客が増えた・世間で高く評価されてる作品がどう考えても凡作としか思えないといった参加者が掲げる問題意識を、本来それぞれ全然別の話なところ特に切り分けや言葉の定義説明も無くごちゃ混ぜにして話されるので、何か日本映画の未来に繋がる建設的な結論を期待して読むとイライラするかもしれない。まぁ自分も本書が言うところの「SNS映画評論家」の1人なわけだが。

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    2021年08月04日
  • FAKEな日本

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    いろいろな考え方があって、自分で考える大切さを感じた。この人が正しいか正しくないかとかではなく、生き方として。

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    2021年01月10日
  • ニュースの深き欲望

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    映画「FAKE」が封切られた後の著作。全体的には、これまで同様、不寛容な時代におけるや”集団化”や、マスメディアの役割放棄への警鐘など。この頃からツイッターを始めたらしく、SNSへの言及もあった。

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    2019年12月03日
  • ニュースの深き欲望

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    相変わらず、考え、悩み、行きつ戻りつする森達也。同じことを何度も聞かされている気もするけど、たぶん私はこれからもこの人の本を読むんだろうな。

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    2019年10月31日
  • A3 上

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    今話題になっている、愛知県主催の「トリエンナーレ」のシンポジウムに森氏の名前を発見して、どんな立場で討論していたのかが気になりました。
    本書は、宗教団体という名をかりた殺戮集団、オウムには何をしても許されるという社会的風潮が蔓延する中、ほとんど孤軍奮闘ともいえるジャーナリスト魂を発揮して真相に迫ろうとした力作です。
    文庫本上下巻にわたる内容は、月刊プレイボーイに2004年から毎月連載された内容を加筆修正したものですが、物語は2004年2月に麻原に死刑判決がでた裁判を傍聴した時の麻原の当事者能力の有無への疑問から始まります。
    今読み返してみても、ナンパな雑誌、月刊プレイボーイがよくぞこれを連載さ

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    2019年08月30日
  • 希望の国の少数異見 同調圧力に抗する方法論

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    同調圧力の強い日本。いろいろ変えていきたい!と真面目に意気込むより、リラックスして面白がりながら、体の声を頼りに変えていければいいのかな。

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    2019年04月04日
  • たったひとつの「真実」なんてない ――メディアは何を伝えているのか?

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    ネタバレ

    見なくちゃいけないのは、その後ろにあるもの。

    オウム真理教のドキュメンタリーを作った著者らしく、メディアの報道姿勢や、視聴者の受け取り方をかみ砕いて書いてある。確かに、望まれているものを放送しないと、スポンサーが離れてしまう。だから、極端に言えば、面白おかしく、大勢の好むように番組を作る、記事を書く。それがたとえ戦争に向かって行っても。さらにメディアが発達していき、大手と個人に発信力の差がなくなっていけば、もっとカオスになるだろう。その時、示されているものの後ろにある、切り取られた、隠された情報に思いを馳せることができるように。

    こういう本を読むと、メディアを批判的に見ることは大事だと思い

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    2021年05月05日
  • ニュースの深き欲望

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    すべての人間が抱える自己矛盾

    群れることに安心感を得てマイノリティに対して残虐に振る舞うことの出来る「多数派」市民への嫌悪と、それに媚びるメディアへの嫌悪を、リベラル的な態度でに吐露し続けているというのが、私が持ったこの本の全体的な印象。
    しかし、そのように群れたがったり選民的意識を抱きたくなったりするのは、リベラルサイドの人間でも同じことである。結局、自分と同じように振る舞えない人間を嫌悪している。この作者も自身でそのようなことを感じつつ、煩悶し続けているという感じ。
    やはり大事なのは、そのような人間の理性の限界を意識すること、原罪感を抱き続けることかなと思う。

    この本のようなリベラル寄りな作者の文章で私が違和感を強く

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    2018年03月19日
  • いのちの食べかた

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    同僚に勧められた本。
    肉食に関する話だと思ったら、日本の歴史や差別の話にも拡がっており読んでよかった。と場見学もしたい。
    同名別監督のDVD作品があるので観る予定。

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    2018年02月19日
  • オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ

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    (01)
    不可思議な現象に出会った人たちを取材し,その不可思議さを文字で再現しようと試みた本書であるが,面白く不可思議なのはその現象そのものではなく,案外,この取材された人たちなのかもしれない.
    オカルト現象は,対象に潜むものであったり,対象間の物理的な現象でもないことを本書は苦しみながらも表出しているが,つまりは属人的な現象(*02)であり,もっといえば属人類的な現象であることが読まれる.

    (02)
    その点で,オカルト現象は,技術といってもよい人間と環境を取り結ぶ何かである.著者が「見え隠れ現象」と指摘しているいわばメタ・オカルト問題,オカルト現象に発生するオカルト現象や,超能力に近いテク

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    2018年02月04日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    ネタバレ

    今回読んだ中のなるほどなあ文↓

    『僕たちはメディアによって事実を見せられているのではなく、事実に対しての視線を見せられているに過ぎない』
    『表現の本質は欠落、つまり引き算にある』
    『暴走の駆動力となる「過剰な忖度」』

    日常でもついつい過剰な装飾や上乗せ表現をしがちだが、それでも伝わった感がしない昨今、ちょっと足りないかな?程度のコミュニケーションを心掛けていきたい(あくまでも個人の範疇内で)

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    2018年01月02日
  • チャンキ

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    生きていることの意味を、考える。人種、国、偏見、差別。いつの時代も繰り広げられるヘイト。
    原因不明の自死をこの小説では「タナトス」と呼び、タナトスに怯え生き急ぐ人々を映し出している。母たちは冷静に生き、父が亡くなっているのもタナトスのヒントなのかな?終わりがあまりに曖昧過ぎて、少しざんねん。

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    2017年08月06日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    彼の話は割と好きだが、少々くどい。
    また、死刑に関する話から始まって、
    自分理論を信じ混みすぎてフラット感が薄く感じる。
    本来は、様々な意見を聞いて
    いろいろな観点があって、それで考えている
    ということだから、
    多分彼に全面的に賛成するのもある意味ダメだと思う。
    そう思って読めば、例えば彼の味覚に関する
    考察はかなり稚拙で、せめて火の賜物くらい
    読んでほしい。
    神経科学をかじった身としてはそんな浅い意見は
    やめて!と思った。
    ノルウエーの寛容さは納得。
    今まで行った中で一番いい国だった。
    中国列車事故の報道とか、確かに違和感感じまくりだったのは
    被害者より中国サゲメインだった、
    あの雰囲気に違

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    2016年11月09日
  • いのちの食べかた

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    ネタバレ

    ルビが前編にあって、子供にも読みやすいです。
    ただ、中学生以上には、読み易す過ぎると感じるかもしれません。章にも別れていて、分かりやすいです。
    知らないことで思考停止になるなというのが繰り返される、伝えたかったことかなと思います。

    終わりの辺りの、穢れや部落差別問題、戦争の話などが、少しいのちの食べかたとはそれてしまったかなと思ってしまいましたが、その部分も面白く、考えさせられる部分が多いです。
    映画監督の伊丹万作さんの「戦争責任者の問題」
    も視点が興味深かったです。誰がではなく、誰もが責任者だったのだという理論。

    中学ぐらいで、ソーセージを作る時に、ソーセージを肉から作る部分の映像をみて

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    2016年07月18日
  • すべての戦争は自衛意識から始まる

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    なるほど。こういう見方もできるのかと。
    全ての国がせーので一斉に武力を放棄すれば、武器を持たずに均衡状態を作れるのかもしれないけど…均衡状態を維持するのは難しいことだろうな。

    人間は群れると暴走する性質があるという前提で、システムを考えないといけない。

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    2016年04月09日