森達也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【第33回講談社ノンフィクション賞受賞作】
東京地裁で初めて、完全に壊れている麻原彰晃を見た著者。
マスコミも、誰も、声をあげようとしない異常な裁判。
麻原彰晃と、事件を起こした側近たちを死刑にすることで、すべてを終わらせ、忘れようとしているかのように思えます。
オウム真理教事件によって、大きく変わってしまった日本社会の深層を浮き彫りにする、ドキュメント作品です。
あの時期はそれほどに、日本国民のほとんどが、オウムや麻原を「絶対的な悪」として認知していた。過去形ではない。今だって数量的にはそう見なす人のほうが圧倒的に多いはずだ。だからあらためて書く。「人を殺すならばそれは宗教ではない」とのレ -
-
Posted by ブクログ
座談会を書き起こしたテキストとしては面白かった。出来ればポッドキャストで聴いてみたいけど。映画評論を専門知識も無いバカがやっている・映画評論家が作品を批判しなくなった・SNSに映画評論家気取りのモノ言う観客が増えた・世間で高く評価されてる作品がどう考えても凡作としか思えないといった参加者が掲げる問題意識を、本来それぞれ全然別の話なところ特に切り分けや言葉の定義説明も無くごちゃ混ぜにして話されるので、何か日本映画の未来に繋がる建設的な結論を期待して読むとイライラするかもしれない。まぁ自分も本書が言うところの「SNS映画評論家」の1人なわけだが。
-
Posted by ブクログ
今話題になっている、愛知県主催の「トリエンナーレ」のシンポジウムに森氏の名前を発見して、どんな立場で討論していたのかが気になりました。
本書は、宗教団体という名をかりた殺戮集団、オウムには何をしても許されるという社会的風潮が蔓延する中、ほとんど孤軍奮闘ともいえるジャーナリスト魂を発揮して真相に迫ろうとした力作です。
文庫本上下巻にわたる内容は、月刊プレイボーイに2004年から毎月連載された内容を加筆修正したものですが、物語は2004年2月に麻原に死刑判決がでた裁判を傍聴した時の麻原の当事者能力の有無への疑問から始まります。
今読み返してみても、ナンパな雑誌、月刊プレイボーイがよくぞこれを連載さ -
Posted by ブクログ
ネタバレ見なくちゃいけないのは、その後ろにあるもの。
オウム真理教のドキュメンタリーを作った著者らしく、メディアの報道姿勢や、視聴者の受け取り方をかみ砕いて書いてある。確かに、望まれているものを放送しないと、スポンサーが離れてしまう。だから、極端に言えば、面白おかしく、大勢の好むように番組を作る、記事を書く。それがたとえ戦争に向かって行っても。さらにメディアが発達していき、大手と個人に発信力の差がなくなっていけば、もっとカオスになるだろう。その時、示されているものの後ろにある、切り取られた、隠された情報に思いを馳せることができるように。
こういう本を読むと、メディアを批判的に見ることは大事だと思い -
購入済み
すべての人間が抱える自己矛盾
群れることに安心感を得てマイノリティに対して残虐に振る舞うことの出来る「多数派」市民への嫌悪と、それに媚びるメディアへの嫌悪を、リベラル的な態度でに吐露し続けているというのが、私が持ったこの本の全体的な印象。
しかし、そのように群れたがったり選民的意識を抱きたくなったりするのは、リベラルサイドの人間でも同じことである。結局、自分と同じように振る舞えない人間を嫌悪している。この作者も自身でそのようなことを感じつつ、煩悶し続けているという感じ。
やはり大事なのは、そのような人間の理性の限界を意識すること、原罪感を抱き続けることかなと思う。
この本のようなリベラル寄りな作者の文章で私が違和感を強く -
Posted by ブクログ
(01)
不可思議な現象に出会った人たちを取材し,その不可思議さを文字で再現しようと試みた本書であるが,面白く不可思議なのはその現象そのものではなく,案外,この取材された人たちなのかもしれない.
オカルト現象は,対象に潜むものであったり,対象間の物理的な現象でもないことを本書は苦しみながらも表出しているが,つまりは属人的な現象(*02)であり,もっといえば属人類的な現象であることが読まれる.
(02)
その点で,オカルト現象は,技術といってもよい人間と環境を取り結ぶ何かである.著者が「見え隠れ現象」と指摘しているいわばメタ・オカルト問題,オカルト現象に発生するオカルト現象や,超能力に近いテク -
Posted by ブクログ
彼の話は割と好きだが、少々くどい。
また、死刑に関する話から始まって、
自分理論を信じ混みすぎてフラット感が薄く感じる。
本来は、様々な意見を聞いて
いろいろな観点があって、それで考えている
ということだから、
多分彼に全面的に賛成するのもある意味ダメだと思う。
そう思って読めば、例えば彼の味覚に関する
考察はかなり稚拙で、せめて火の賜物くらい
読んでほしい。
神経科学をかじった身としてはそんな浅い意見は
やめて!と思った。
ノルウエーの寛容さは納得。
今まで行った中で一番いい国だった。
中国列車事故の報道とか、確かに違和感感じまくりだったのは
被害者より中国サゲメインだった、
あの雰囲気に違 -
Posted by ブクログ
ネタバレルビが前編にあって、子供にも読みやすいです。
ただ、中学生以上には、読み易す過ぎると感じるかもしれません。章にも別れていて、分かりやすいです。
知らないことで思考停止になるなというのが繰り返される、伝えたかったことかなと思います。
終わりの辺りの、穢れや部落差別問題、戦争の話などが、少しいのちの食べかたとはそれてしまったかなと思ってしまいましたが、その部分も面白く、考えさせられる部分が多いです。
映画監督の伊丹万作さんの「戦争責任者の問題」
も視点が興味深かったです。誰がではなく、誰もが責任者だったのだという理論。
中学ぐらいで、ソーセージを作る時に、ソーセージを肉から作る部分の映像をみて