森達也のレビュー一覧

  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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    森達也の本は、自分の「立ち位置」や「考え方」を振り返るときの助けになる、と感じます。
    森がオウム真理教の信者に取材したドキュメント「A」シリーズを手がけたことで、オウム真理教を擁護するのか、という批判を浴びた(あるいは今もなお浴びている)ことは事実ですし、当時の「オウム=悪/カルト/殺人集団=その存在を許すことができない」という世論に冷や水を浴びせる作品であったことから、作品だけでなく森自身が拒絶されることはある意味で想定できる展開だっただろうと思います。

    本書でも根底にあるには、「地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の信者は本当に残酷な悪人なのか」という問いや、他に世界各地で度々繰り返さ

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    2025年11月06日
  • 集団に流されず個人として生きるには

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    仕事をしていて慣れも出てきて集団に流されていることが多いと思い、どうやったら流されないのか気になりこの本を読みました。

    内容は、なぜ流されるのかを戦争などの過去の事例から解説したり、人間の心理的特性から解説したりと色々な視点、メディアによる集団化の視点があり、面白かったです。

    また、ネット社会の特性も書かれており、日本人の特性がよく出ていることもわかりました。

    集団に流されないようにする方法も書かれており、日々の生活の中で実践していきたいと思います。

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    2025年10月16日
  • クォン・デ もう一人のラストエンペラー

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    これは大作。クォン・デがフエ出身(というかグエン朝の王族)だということで、フエ旅行のお供に丁度よいと思ったわけだが、とても面白い。

    もちろん完全なノンフィクション(ドキュメント)ではなく歴史小説といった類の書で、(テレビ人らしく?)読者を引き込むための脚色や演出も豊かなのだろうけど、それさえも不可欠に感じるほどにドラマチックな展開は、良質の大河ドラマをみているよう。
    ファン・ボイ・チャウやクォン・デの人柄や喜怒哀楽が目に浮かぶ。
    仏領時代の圧迫も、家族(クォン・デの妻トランや二人の子)との別れも、つらさが十分伝わる。

    一方で、時代背景としてベトナムの歴史がわかりやすくの述べられてよく頭が整

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    2025年06月21日
  • ガザ虐殺を考える

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    ネタバレ

    多くの著者による「ガザ虐殺」に関する論考を集めたもの。

    今、起きていることについて、現場感覚を持って語られている。多様な視点から語られているが、今、起きていることは、ジェノサイドであるということ、そしてそれを傍観しているのは、それに加担することになるということは、明確に浮かび上がってくる。

    とは言っても、何ができることはあまりないが、「イスラエルがこれまでパレスチナでやってきたことはアパルトヘイトである。今、ガザで行われていることはジェノサイドである」ということを明らかにするということを発言することはできる。そして、それがスタート地点であると思う。

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    2024年12月31日
  • はじめての政治哲学

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    政治哲学の本は初めて読みましたが、非常におもしろかったです。また、うまくまとまっています。それから、翻訳者のあとがきもよかったです。

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    2024年10月16日
  • 集団に流されず個人として生きるには

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    メディア・リテラシーを持つことがいかに重要か、具体例をたくさん挙げつつわかりやすく説明してくれる本。

    視点や解釈の違い、情報はすべて誰かの視点であり解釈であることを意識してメディアに触れたい。

    メディアと社会と政治は三位一体

    ドイツの戦争のメモリアルディの日本との違いについても知った。戦争の始まりと自分たちの加害をメモリアルにしたドイツと戦争の終わりと自分たちの被害をメモリアルにした日本。

    一人称の主語を持つことの大切さ

    過ちや失敗の記憶を継承し、忘れないでいることの大切さ

    What are your thought and beliefs made up of ?

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    2024年09月09日
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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    歴史を直視し、考え続けなければならない。なぜなら私も同じ人間だから。今まさに起きていることを見つめるための本だ。

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    2024年08月01日
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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    人を殺すのは善でも悪でもなく、条件が揃った環境がそうさせる。では善と悪とは一体、何のために存在するのか。

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    2024年06月10日
  • U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面

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    森 達也
    1956年、広島県生まれ。映画監督、作家、明治大学特任教授。98年にオウム真理教信者達の日常を映したドキュメンタリー映画「A」を公開、ベルリン国際映画祭などに正式招待される。2001年、続編「A2」が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。16年、作曲家・佐村河内守に密着して撮影した「FAKE」が大きな話題に。19年公開の「i-新聞記者ドキュメント-」は、キネマ旬報ベストテン(文化映画)1位を獲得。作家としては、10年に刊行した『A3』で第33回講談社ノンフィクション賞を受賞。他にも『放送禁止歌』『いのちの食べかた』『ドキュメンタリーは嘘をつく』『死刑』『「

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    2024年06月04日
  • 集団に流されず個人として生きるには

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    負の歴史を見つめること。記憶すること。
    メディアリテラシーを身につけること。
    メディアの弊害を覚えること。
    世界は多面的で多重的で多層的であり、どこから見るかで景色は全く変わる。
    情報において事実はなく、すべては解釈だ。
    =情報の本質。
    集団に帰属しながらも、しっかりと一人称単数の主語を保つこと。

    これができたら世界が変わる。
    それまで見えなかった領域が見えてくる。


    集団化が起こる要因、その功罪を人類の歴史とともに分かりやすく教えてくれる1冊。

    特に日本は集団による同調圧力が強い社会だからこそ、周りに流されたり、メディアからの情報に振り回されるのではなく、自分自身の頭で考え、いろんな角

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    2024年05月20日
  • 映画評論家への逆襲(小学館新書)

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    映画『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』の全国公開を前に、井上淳一さんのプロフィールからこの本のことを知って買い、読みました。4人(5人)の映画人の対談形式で読みやすかったので、あっという間に読み終わりました。映画に携わる人たちの率直なお話を知ることができてとても面白かった。ここ何ヶ月かの間に、4人がそれぞれに監督した映画を観ていたので、作品を思い返しながら読みました。

    荒井晴彦:花腐し
    森達也:福田村事件
    白石和彌:青春ジャック 止められるか、俺たちを
    井上淳一:青春ジャック 止められるか、俺たちを2…

    井上さんは、脚本を描いた「あいときぼうのまち」を10年以上前に観て、世の中を捉

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    2024年03月14日
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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    超おもしろい本わず。
    本屋で目に入り、クメールルージュについて読みたくて買ったんだけどパレスチナ問題の大まかな概要を初めて知れた。名前は聞くけど分かってないことばかりだ。

    「私たちはもっともっと考えて、もだえ苦しんだ方がいい。」

    共感できるしスッと読めるけど一読して理解しきれるものではないなぁ。難しい。読んで良かった。読みたい本と映画が増えた。

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    2024年02月06日
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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    決して森の独創というわけではない
    多くの知識人が考えてきたことを紹介し日本にわかりやすく当てはめてくれている本という気がする

    グレゴリースタントンの良識ある人々が虐殺に手を染めるまでの過程を書いた8項目
    我々と彼らを分け、彼らを人間ではない存在に位置づけ、交わりを断ち、「攻撃に備え」、絶滅させる

    中枢が空虚であるほど群れの暴走は激しくなる

    現代は人類史上、最も暴力が少ない時代だとするスティーブン・ピンカーの『暴力の人類史』も読んでみたい

    ときどき再読し、日々のニュースを振り返ってみたい一冊

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    2023年12月22日
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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     タイトルからSF作家伊藤計劃の「虐殺器官」を連想し、手に取ってみた。作者は映画監督・作家の森達也。関東大震災直後に朝鮮人と間違えられた行商人らの虐殺事件を描いた「福田村事件」が、今年公開されている。

     善良な人々が善良な人々を殺す。虐殺を司る器官 (強いて言えば脳)が人間に備わっているわけではないだろう。何故、どうやってそうなってしまうのか。我々は考え続けなければならない。

     大量虐殺の防止を目的とするNPOの創設者が、良識ある人々が虐殺に手を染めるまでを8段階の過程で示してる。

    1. 人々を「我々」と「彼ら」に二分する
    2. 「我々」と「彼ら」に「こちら側」と「あちら側」に相当する名

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    2023年11月11日
  • ジャーナリズムの役割は空気を壊すこと

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    いつも母がニュースを見ながら「こんなことよりもっと大事なことが起こってるやろ」って怒ってて、その理由について、この本に書かれてた
    文字は、冷静に、慎重に伝わるから、受け手側も考えながら吸収できる
    政治とマスメディアと国民の関係性について、普段なんとなく感じてたことを文字にしてくれてる
    指南書っていうより、年上の大人たちの会話を盗み聞きして考えさせられるって感じの内容、よかった

    テレビだけではなく、活字でニュースを伝える媒体は絶対に必要やと思う

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    2023年11月10日
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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    人の気持ち。仕事で、部下は上司を忖度し、具体な言葉がなくとも「こう思っている」とある種勝手に想像し実行。上司は、部下がそう思ってるので「その通りにしたらいい」と背中を押され満足感にひたる。このサイクル。人はあらぬ方向にいってしまう。

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    2023年10月07日
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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    なぜ人が人を殺せるのか。
    死刑の問題、戦争の問題。虐殺はなぜ起き続けるのか。
    ここのところずっと考え続いている問題に丁度マッチしていたので購入した。

    答えは簡単には見つからない。
    即効性のある処方箋もたぶん無い。
    それでも個人個人が考え続ければきっと変わる。

    完全な悪も完全な善も存在しない。
    その通りだと思う。
    自分もそうだ。
    他人も多分同じだと信じている。

    休日1日で読んでしまったが、また読んでみたい本として心に残った一冊でした。

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    2023年09月25日
  • クォン・デ もう一人のラストエンペラー

    購入済み

    大変面白かったです。
    クォン・デの最期から現代の場面に戻ったときの、1本の映画観終わった感。物語の中に入り込んでました。
    他の方のレビューでドキュメントというより小説とあり、筆者もあえてそうした面もあると後書きにありましたので、物語と書かせてもらいました。
    ただ、人物の感情描写はフィクションでも大まかなエピソードは実際のことだと思いますし、現代に戻ってからの展開はドキュメントですよね。そちらもやるせなさがいっぱいですが、子孫に会えて誤解を解けたことは慰めでした。

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    2023年09月20日
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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    読むべき本。
    読んでよかった本。

    まもなく森達也の映画「福田村事件」が公開される。福田村だけでなく、他の土地でも同様の事件が起こったことが最近の新聞記事に掲載されていた。
    関東大震災で6000人の朝鮮人がら虐殺されたことはよく知られている。その時、訛りのある地方出身者が同様に虐殺された。その一つが「福田村事件」だ。
    普段は善良な隣人がなぜ大量殺人の歯車になるのか。
    その謎を解こうとする本だ。

    先日「キエフ裁判」という映画を見た。ウクライナのバビ・ヤールでのユダヤ人とウクライナ人の大量虐殺を指導したドイツ兵の裁判記録だ。ドイツ兵士たちは(アイヒマンがそうだったように)一様に、命令に従っただけ

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    2023年08月20日
  • いのちの食べかた

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    食卓にのぼるお肉。それはもちろん生きていた牛や豚や鶏だった。のは誰でもわかる。では、生きていた動物はどうやってお肉になるのだろう。食卓から見つめる構造的暴力。

    いわゆる食育的な、「いのちの授業」的な本を、森さんが書いたんだろうか?という疑問と、森さんなら食肉の問題をどういう視点で書くんだろうか?という好奇心があって手に取ったのは、実はこちらより前に出版されたよりみちパンセ版。
    半分は予想通りで、森さんは食肉加工業者の歴史をたどって現代まで生きる差別に切り込んでいて、森さんを知らない人が読んだらけっこう頭を殴られたような衝撃なんじゃなかろうかと思った。この本で語られる差別というのは、実は非常に

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    2023年08月08日