森達也のレビュー一覧
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新聞で見かけたのがキッカケだったように思う。
タイトルが印象的で。
すべてこの話なのかと思ったら、連載の単行本化だったので、一表題だったことを読み始めてから知りました。
どれも興味深いものだった。
善意は暴走しやすい、というくだりは、某弁護士ドラマを思い出し。
印鑑文化の話はその通りだとも思うが、印鑑を作っている人のことを考えるとなぁとも思ったり。
テレビがうるさい、というのは同意見だ。
真実を解明し切れていないことに対する不安感の欠如はあるように思った。
推定無罪の有名無実化については、何とも。。。だから誤認逮捕の場合でも周りから犯人であるかのような目を向けられてしまうのだと思った。 -
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ネタバレタイトルは、死刑制度廃止の意見への反論に対してのもので、訊きたいのは「被害者遺族のための死刑制度ならば、遺族が存在しない天涯孤独な人が殺されると刑は軽くてよいのか?」ということ。
死刑制度、刑罰の厳罰化、犯罪やテロ対策、竹島や尖閣など、世間の常識や期待、正義などの危うさ(暴走)、それにおもねるメディアの実情に意識を向けさせられる。
著者の意見は、自身が気にしないといいながら何度も触れるようにブサヨ(ぶさいくな左翼の意?)、お花畑満開(理想論の意?)という批判もあるように、一面的な意見だと感じられるが、問題意識の切り口としては必要な情報だと受け止めた。
14-18 -
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「推定無罪の原則」や「残酷な刑罰を禁じる」憲法や世界人権宣言・・・その他の諸権利を獲得するまでに世界中で流された血と、その時間を考えれば、死刑制度や日本のマスコミの犯罪報道に違和感を感じるのは当然であろう。その違和感の正体を著者は考え抜いていく。紹介されるノルウェーの現実はすごい。ノルウェーには死刑も終身刑も無期懲役もない。望めば刑務所内で大学教育まで受けることが出来、出所の際には住居と仕事が提供される。11年71月のオスロの政府庁舎の爆破、郊外の島で起きた銃乱射事件を経てもなお、死刑の復活や厳罰化を望む声はないのだという。「罪を憎んで、人を憎まず」ということか。これもまた、人類が到達した地
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最近は、森さんの書かれるものを読むと、ああ、また火の中の栗を拾ってるなあと思う。そして、いったいいつ頃から、こういう発言をするのにやけどをする覚悟がいるようになったのだろうか、とも。
死刑制度、領土問題、北朝鮮、厳罰化、オウムについてなどなど。森さんの言っていることはとても説得力があり、全面的に賛成とは思わなくとも、傾聴に値する。自分はどう判断するのか、考える機会をあたえてくれる。日頃マスコミを通じて大量に流される情報を、いかに無自覚に受け取っているか気づかされて、反省する。
自分の気に入らない人(有名無名にかかわらず)を、読むのもイヤになるような汚い言葉で罵倒したり、プライバシーを暴露し -
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ネタバレ地下鉄サリン事件と、その事件の首謀者である麻原彰晃。そしてオウム真理教。何故あんな凄惨な事件を起こしたのか?その謎を解けないまま突き進み決まってしまった麻原死刑判決。それでいいのか?という本。
確かにこの事件当時の報道(というかワイドショー)の過熱報道ぶりはよーく覚えている。テレビも雑誌もオウム一色だった。そんな中で語られた事件の流れは、麻原は以前薬事法違反でパクられて、それを契機に体制に恨みをいだき宗教団体を立ち上げるも、衆院選に大敗して大量殺人を決意。そして決行。てな感じだったと記憶してる。
本書でも書かれているけど、まぁそんな単純な話しじゃないでしょ?と。言われてみればその通り。しか -
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著者の中庸のスタンスが好き。スプーン曲げを目の前で見て、物理で説明できないと思ってもその現象から理論に結び付けるのは確かに難しい。分からないものは分からないままに。
・強い光源は他を隠す。小さいものや弱いものや薄いものを、押し潰して扁平にしてしまう。
・秋山眞人は静かに言う。「優しい気持ちは重要です。特に僕らは世間から迫害されたり冷遇されたり差別されることが多いから、気を抜くとネガティブな方向に引っ張られてしまうんです。そうなったら悲惨です。何人もの超能力者たちの末路を僕は見聞きしています。本当に凄惨な話です。…だから荒んだ気持ちになりかけたときには、ここに来てこうして街の灯を眺めながら、 -
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メディアのオウム事件以降の機能停止により、群れる羊度が高い日本人は危険な戦前と変わらない体制と同じ状態にある。戦争は高揚した危機管理意識からしか生まれない。すなわち仮想敵を作らなければ安心できず、自衛を理由に戦争を仕掛ける。優しさや善意が自衛の意識と融合しながら暴走する。メディアはそれを止めるのではなく、加速させる。厳罰化、監視社会は、メディアと権力の親和性の結果。
裸の王様は周りが普通ではなかった。
メディアの思い上がりはこれまでの自分の考えと全く同感。戦争に対する考え、現代社会が気付かないうちに危険な方向に暴走する考えは新鮮、かつ説得力がある。