森達也のレビュー一覧

  • U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面

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    実名報道についての是非について

    せっかく記者との対談もあるのだし
    実名報道の是非についても話してほしかった
    死んだらプライバシー保護の対象ではなくなるから
    死者は実名報道されると言うのは知っているが
    遺族のプライバシーはどうなるのか(天涯孤独と言うのもあるだろうが)
    身内を殺された事を公表されるというのは遺族のプライバシー侵害に当たるのではと思った
    記者らもうすうすそう思っているから今回の事件被害者の姓名公表は一部除いて控えていたのでは?

    また実名報道は、誰が被害に遭ったのかという事実核心で。被害に遭った人がわからない匿名社会では、被害者側から事件の教訓を得たり、後世の人が検証したりすることもできなくなる
    から実名報道は必

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    2024年05月19日
  • 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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    なぜ人類の歴史に虐殺が存在するのか。森さんのライフワーク的テーマを、“虐殺”という切り口から語っている。人はもっと優しい。それを森さんが言い続けなければいけないほどに世の中は変わらない、悪化しているのだろう。優しいからこそ、なにかのスイッチで虐殺に加担する、そのメカニズムに警戒しなくてはならない。

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    2023年08月15日
  • FAKEな日本

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    森達也氏の本を立て続けに読んでいる。本書は対談をベースに編まれたものであり、当然ながら対談相手の言葉も収められている。そのため、これまで読んだ本に比べて冗長な印象を受けるし、各テーマへの掘り下げも甘くなっている感じがする。
    森達也氏の本は、自分の迷いや逡巡まで書き込んだ文体が、読者に考えることを促すのが特徴であろう。その意味で本書には物足りなさを感じたが、テーマが広いのは良い。また、歯に絹着せない物言いも心地良い。
    安倍政権への批判が通奏低音のように流れている。青木理著『安倍三代』に書かれているように、安倍晋三に政治家としての志はない。彼が長く首相であったのは民度の低さを表している。

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    2023年06月19日
  • いのちの食べかた

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    小学生高学年前後のこどもたちにぜひ読んでほしい。
    難しい漢字にはふりがなが添えてある。

    食べ物がどうやって、私たちの食卓に届いているのか、なかなか表に出てこない、リアルな工程を知ることができる。
    改めて、自分のいのちをつなげるために、他者のいのちをいただいているのだと、痛感させられる一冊。
    そして食べ物だけでなく、人間の矛盾、様々な差別や戦争についても話は広がる。
    結局、人間は、人を傷つけたり傷つけられたりしながらしか、生きられないのだ、と。

    いのちはかけがえのないものなんだということを自覚し、真剣に生きていこう。

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    2023年05月12日
  • いのちの食べかた

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    知ろうとするきっかけをくれる本。この年始に読めてよかったと思う。誰もが何かの犠牲で生きている。ことを知る。知った上で考える。

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    2023年01月04日
  • 親ガチャという病

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    トレンディなキーワードを切り口に有識者が語る。親ガチャ、無敵の人、ルッキズム、キャンセルカルチャー、反出生主義など。読めばバランスの取れた意見が多く、一つ一つはあっさりとした内容だが、考えさせられる。

    室井佑月が、性的搾取という言葉に対し、同性間でも意見が分かれる事を書いている。グラビアやホステスみたいな職業の是非を問うもので、女性にも賛成派と反対派がいるという事だ。こうした設問に対し、いちいち決着をつける必要はない。世の中に、両方の意見があって良いのだ。にも関わらず、正義バカと池田清彦が言うような、ポリコレの名を借りた、匿名のルサンチマンが奇妙な正義感と責任感で世直しを演じ、どちらに絞ろう

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    2022年11月19日
  • いのちの食べかた

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    中学生の心にも響きそうなノンフィクションは、なかなか見つからないものです。食肉に始まり、命の価値を考え、そこから差別にまで話を広げる話術の巧みさは素晴らしいです。と畜のリアリティに向かい合う必要性も感じつつ、その勇気が足りない私は、せめて命の価値だけは忘れないようにしようと、あらためて感じました。

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    2022年09月09日
  • それでもドキュメンタリーは嘘をつく

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    うーん、面白かったようなそうでもないような。森達也の事は「いのちの食べかた」で知ったんだけど、AもA2もまだ観ていない。別のこの人にドキュメンタリー映像の歴史を紐解いてもらわなくてもよかったし、なんか主語がでかいし、語り口は甘ったれてるのにやたら使い慣れない難しい言葉を繰り出したがる(平易に表現が十分にできるのに!)ところがなんか気に入らなかったな。中身以前に文章が嫌いなんだな。ただ興味深い部分も沢山あったよ。ドキュメンタリーとドラマに本質的な違いはない事、モザイク処理の罪について、セルフドキュメンタリーについて、とかね。

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    2022年07月14日
  • いのちの食べかた

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    お肉がどのような過程を経て、食卓にあがるのかを分かりやすく書いています
    子供の食育にも良いですし、大人になってから改めて食べ物について学ぶのにもおすすめです!

    と場についての話や、部落差別についての話まで深く取材されているのが伝わりました。
    過去の事実である部落差別や戦争での植民地化など、暗い歴史は腫れ物のように扱われます
    著者は、事実を受け止めた上で自分達がどのように生活や食事していくのかを諭してくれます

    ときをみて読み返したい本です。
    YOU ARE WHAT YOU EAT
    心に留めておこう…

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    2022年07月12日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    面白かった。被害者の人権。仮想敵と共同体の暴走。薄気味悪い善意。普段深く考えないことをゆっくり考える機会になった生きていくための思考の本。

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    2022年07月08日
  • 定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会 2020年前半

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    忘却に抵抗するため、現在の社会を書き残すことを目的に編まれたアンソロジー。
    全体的に読みやすさと読み応えが両立している。

    特にラストの安田菜津紀さんの論考は、多くの人に広く読まれるべきだと思った。

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    2021年09月30日
  • 映画評論家への逆襲(小学館新書)

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    いまどき”逆襲”しなければいけないような”映画評論家”っているのかなと思ってスルーしかけたが、最後の章の『罪の声』への批判とコメントを読んでなるほどと思って買ってみた。実作者(監督だったり脚本家だったり)ならでの観点はやはり面白い。確かに最近の日本映画には”重み”や”深さ”がなく、もう一度見たくなったり、いろいろ考えさせられたり、ということが少ない印象がある。全面的に賛成できるような意見はそれほど多くないが、日本映画の現状もやもやしたかんじの原因の一端をついているところもあるかな。いずれにせよ、解答を求めて読むのではなく、いろいろ考えてみる材料になる一冊でした。

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    2021年06月23日
  • いのちの食べかた

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    屠殺について見たり聞いたりする機会って、確かにないよな~。そしてそれをあまり不思議に思わないってことも、考えてみれば不気味な話だよな~。あちこち興味を持って動かない個人にも非はあるかもしれないけど、それをそうと気付かせない体制の側にも大いなる瑕疵があるのは間違いない。掘り起こさないと見えてこないものを見出す視点を、これからも根気強く涵養したい。本作の感想としては、第一にそれ。

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    2021年06月15日
  • U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面

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    社会から逸脱した存在。どうしても、そう思えない気持ち悪さがあった。社会からはみ出した部分じゃないからこそ、共感する人がいた。批判する人がいた。蓋をしてしまう人がいた。

    グレーゾーン。それは社会の外部ではなくて、内部のもの。社会が作り出した二元論の狭間から、生まれ出てきたもの。だから、どこか自分の中に既視感がある。グレーゾーンで社会の欠片を拾い集めた彼は、AIみたいだな、と思った。決して他人事ではない。彼を作り出した社会の欠片であるという自覚を。

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    2021年05月18日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    正義という相対的な思想は、時に戦争という非人道的な惨劇に転化する。法のもとで人を殺す死刑制度、それが果たして正義なのか。正義をとことん疑う。メディアから溢れ出てくる情報は発信する側のフィルターがかかった偏向な事象でしかない。盲信という安易な価値基準から抜け出していく。悩まない日常に平穏は訪れない。苦悩する果てに未確定な希望が見えてくる。"安心安全" を謳う怪しさはすぐさま正義を持ち出して線引き・分断を提示する。そこに怒りをこめて打破したい。ここにも "苦悩" と "怒り" が秘められている。

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    2021年04月29日
  • FAKEな日本

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    森達也氏は同世代。同じ空気感を味わっている。
    ピーターバラカン:擬似的民主主義国家。
    つまり擬似的独裁国家。つまりフェイク。「空気を読む」ことを是とする。日本人の国民性に強く根付いている。ずっと変わらないのか?自発的な隷従。
    森氏の著作を読むにつれ、日本人として寂しさを感じてくる。

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    2021年04月29日
  • U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面

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    識者達とのインタビューを通して事件を紐解く・・否、紐解かない。どころか、あえてもつれさせる。「責任能力なし」に納得いかなくてもそれが法の趣旨。加害者に「お前が悪いんだ」と制裁を加え、溜飲を下げるために刑罰があるのではない。寛容を求めるわけではない。起きてしまった過ちをまた起こさないためには?裁判は手続きというアリバイのためにあるのではない。書くことは誰かを助けるが誰かを傷付ける。その覚悟を持つ人だけがやる。「わかり易さ」に甘んじてはいけない。「わからない」もどかしさがなければ、「わかる」ことさえできない。

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    2021年04月16日
  • U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面

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    死刑制度、陪審員裁判、メディアのあり方、障害者差別、トランプ安倍首相に代表される過剰な権威主義への傾倒、国民倫理のあり方・・・・一通り網羅されてはいるもののやはり重点が置かれるのは精神鑑定を軸とした司法の問題だ。
    だがいくらその異常性を網羅されても、つまり正常な精神状態ではなかったとされても、結局本人の内面性は不可知領域である以上論点にすべきではない。何も前に進まなくなるのだ。
    実は本書に抜け落ちている視点が被害者遺族のものだ。遺族は何よりも死刑判決に対して抗うべきではなかったか。名前や写真の公表を控えるのは心情的には理解ができるが、異なるものを排除するという点において死刑制度はまったく植松の

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    2021年02月22日
  • U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面

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    日本の司法制度、メディア、社会のあり方について考察したもの。相模原の津久井やまゆり園事件を通して丁寧に考察を重ねていく。裁判員裁判制度のためか、あれほどの大事件がおよそ1ヶ月で結審し、結果としてなぜこのような事態が生じたのかは何も明らかにされなかった。「裁判で事実を明らかにする」ってのはもう期待できない。
    一方で報道する側のメディアについても、メディアは社会によって規定されるものであり「メディアやマスコミがゴミ」というなら社会がゴミであるというのと同義だという。そしてゴミが選挙で政治家を選んでいるのが、今の日本なんだとする著者の言は、著者がメディア側の人間であることを差し引いても、ちょっと怖い

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    2021年02月14日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    ネタバレ

    死刑の話かと思ったら、色んなジャンルの事が書かれてた。
    約10年程前に書かれたものもあり、懐かしいニュースもある。
    テレビの言ってる事に違和感を覚えたのは高校生の時。その時の自分の感覚は正しかったのだと再認識!
    やっぱり鵜呑みにしないで、きちんと自分の頭で物事を考えないと!

    印象的だったのは、朝鮮語の翻訳者の話。
    私も英語やけど字幕と実際に言ってる事の意味合いが微妙に違うと思ったことが何度かあった。

    信頼できるニュースやメディアを探すのって大変ね。

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    2021年02月04日