森達也のレビュー一覧
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購入済み
実名報道についての是非について
せっかく記者との対談もあるのだし
実名報道の是非についても話してほしかった
死んだらプライバシー保護の対象ではなくなるから
死者は実名報道されると言うのは知っているが
遺族のプライバシーはどうなるのか(天涯孤独と言うのもあるだろうが)
身内を殺された事を公表されるというのは遺族のプライバシー侵害に当たるのではと思った
記者らもうすうすそう思っているから今回の事件被害者の姓名公表は一部除いて控えていたのでは?
また実名報道は、誰が被害に遭ったのかという事実核心で。被害に遭った人がわからない匿名社会では、被害者側から事件の教訓を得たり、後世の人が検証したりすることもできなくなる
から実名報道は必 -
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森達也氏の本を立て続けに読んでいる。本書は対談をベースに編まれたものであり、当然ながら対談相手の言葉も収められている。そのため、これまで読んだ本に比べて冗長な印象を受けるし、各テーマへの掘り下げも甘くなっている感じがする。
森達也氏の本は、自分の迷いや逡巡まで書き込んだ文体が、読者に考えることを促すのが特徴であろう。その意味で本書には物足りなさを感じたが、テーマが広いのは良い。また、歯に絹着せない物言いも心地良い。
安倍政権への批判が通奏低音のように流れている。青木理著『安倍三代』に書かれているように、安倍晋三に政治家としての志はない。彼が長く首相であったのは民度の低さを表している。 -
Posted by ブクログ
トレンディなキーワードを切り口に有識者が語る。親ガチャ、無敵の人、ルッキズム、キャンセルカルチャー、反出生主義など。読めばバランスの取れた意見が多く、一つ一つはあっさりとした内容だが、考えさせられる。
室井佑月が、性的搾取という言葉に対し、同性間でも意見が分かれる事を書いている。グラビアやホステスみたいな職業の是非を問うもので、女性にも賛成派と反対派がいるという事だ。こうした設問に対し、いちいち決着をつける必要はない。世の中に、両方の意見があって良いのだ。にも関わらず、正義バカと池田清彦が言うような、ポリコレの名を借りた、匿名のルサンチマンが奇妙な正義感と責任感で世直しを演じ、どちらに絞ろう -
Posted by ブクログ
いまどき”逆襲”しなければいけないような”映画評論家”っているのかなと思ってスルーしかけたが、最後の章の『罪の声』への批判とコメントを読んでなるほどと思って買ってみた。実作者(監督だったり脚本家だったり)ならでの観点はやはり面白い。確かに最近の日本映画には”重み”や”深さ”がなく、もう一度見たくなったり、いろいろ考えさせられたり、ということが少ない印象がある。全面的に賛成できるような意見はそれほど多くないが、日本映画の現状もやもやしたかんじの原因の一端をついているところもあるかな。いずれにせよ、解答を求めて読むのではなく、いろいろ考えてみる材料になる一冊でした。
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Posted by ブクログ
死刑制度、陪審員裁判、メディアのあり方、障害者差別、トランプ安倍首相に代表される過剰な権威主義への傾倒、国民倫理のあり方・・・・一通り網羅されてはいるもののやはり重点が置かれるのは精神鑑定を軸とした司法の問題だ。
だがいくらその異常性を網羅されても、つまり正常な精神状態ではなかったとされても、結局本人の内面性は不可知領域である以上論点にすべきではない。何も前に進まなくなるのだ。
実は本書に抜け落ちている視点が被害者遺族のものだ。遺族は何よりも死刑判決に対して抗うべきではなかったか。名前や写真の公表を控えるのは心情的には理解ができるが、異なるものを排除するという点において死刑制度はまったく植松の -
Posted by ブクログ
日本の司法制度、メディア、社会のあり方について考察したもの。相模原の津久井やまゆり園事件を通して丁寧に考察を重ねていく。裁判員裁判制度のためか、あれほどの大事件がおよそ1ヶ月で結審し、結果としてなぜこのような事態が生じたのかは何も明らかにされなかった。「裁判で事実を明らかにする」ってのはもう期待できない。
一方で報道する側のメディアについても、メディアは社会によって規定されるものであり「メディアやマスコミがゴミ」というなら社会がゴミであるというのと同義だという。そしてゴミが選挙で政治家を選んでいるのが、今の日本なんだとする著者の言は、著者がメディア側の人間であることを差し引いても、ちょっと怖い