森達也のレビュー一覧

  • いのちの食べかた

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    「たべる」ことについてだけではない、「考え、生きる」ことについて、大人だってわかっているつもりで忘れてしまうことについて、再度気づかされる本。

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    2021年01月13日
  • U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面

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    善と悪の二元論。その間にあるグレーゾーンから目を反らすな。世界はもっと複雑で優しい。そんな森さんの通底するテーマを、相模原の植松聖による障害者襲撃事件を題材に語る一冊。昨今の裁判は、陪審員制度が始まってから極端に描ける時間が短くなっており、極刑を前提に精神鑑定による責任能力の有無のみに終始する。刑の軽重の問題でなく、純粋に事実があいまいなまま終わらせてしまうことへの警鐘を鳴らしている。障害者施設自体に何らかの問題はなかったか。もちろん責任の所在を問う目的ではないので、そこは大きく触れられずあえて問いかけのみに終わらせている。だからこそ、疑い悩むべきはぼくら。早々に結論をくだし、逡巡しない現代社

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    2021年01月04日
  • 定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会 2020年前半

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    コロナ禍の中で世の中の変化が加速されている。取り残される人々も出てくるだろうし、人と人との関係も変わってくるだろう。その変化を定点観測しようという試み。集められたのは哲学者、社会学者からブロガーまでさまざまだけど、いわゆる左派に属する人が多い。2020年7月頃に書かれたものが多く、その後の変化を先取りした内容も多い。現在第3波の中で先が見えない閉塞状態だが、半年ごとにまとめるそうなので次作も期待。

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    2021年01月02日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    発売された当時に購入して、その時は途中までしか読めなくて、でも大事なことが書いてありそうだったからずっと持っていた本。
    最近、世の中のことや、人の心と社会の動きのつながりのようなものが気になりはじめていて、その考えを深めてくれそうだなと思いもう一度手にとった。
    今度は、最後まで一気に読んでしまった。
    森さんがこの本を上梓したときから、世の中はますます共同幻想的な傾向が強くなっていると思う。
    実態のない恐怖にみんなが怯えていて、そのこころが解きほぐされなければ、みんな優しくなれない。

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    2020年08月30日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    だいぶ前に買って読みかけていたのがいつのまにか積ん読の山に紛れ、このたび発掘されたので続きを読んだ。

    森達也さんの書くものは常に葛藤にまみれている。揺れている。自分が正しいとは決して思わず迷いながらそれでもご自分が見たもの聞いたこと経験したこと調べたことを真摯に書いている。
    ショッキングなタイトルは本書に収録された一コラムのタイトルだけど、この中でも筆者は躊躇なく「自分がその立場に置かれたら」と書きつつ迷う。

    疑問を持ち続けること。自明とされている、報道されている、今目の前に見えるもの、それらを(自分を含めて)疑い続けること。その上でバイアスを排して物事をあるがままに認めようともがき続ける

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    2020年06月18日
  • はじめての政治哲学

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    ハンディだけれども、しっかり読むと、とても重厚。「哲学」を延々と書いてあるわけでもなく、論点をロジカルに紹介してくれており、現在の多数派がどう考えてるか、もなんとなくわかる。巻末の参考書リストは、とても興味を惹く。

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    2019年09月26日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    (日本的)自由主義者によるコラム集
    内容は、かなり偏っているけれど、自分の考えが偏ってきた時に読むと、アタマがほぐれる。

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    2019年05月21日
  • たったひとつの「真実」なんてない ――メディアは何を伝えているのか?

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     メデイア・リテラシーあるいは批判的思考について学ぶのにちょうどよい本。ただし、強く歪んだメディア観もしくは認知的バイアスをすでにもっている人は、この本を読んでもメディア・リテラシーあるいは批判的思考が身につくことは期待できないだろう。だから著者が中心的に訴えかけたいのは、本書の「あとがき」にもある通り10代後半から20代前半ぐらいまでの若者なのだろうと思う。ちくまプリマー新書だし。

     それにしても、この本がこの時期に出版され、出版直後にたまたま手にとって読むことができたというのは幸運だった。というのも、つい最近、次のような出来事があったからだ。

     2014年12月14日に行われる衆院選の

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    2019年01月22日
  • 死刑のある国ニッポン

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    死刑存置派と死刑廃止派の二人が手加減なしで語り合う。
    お互いの主張を聞き、同意するところは同意し、反論するところは反論する。当たり前のことだけど、これができない人が横行している世の中で、この二人のやりとりは貴重だと思う。

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    2019年01月03日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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     著者は、一般の人やメディアが無自覚に持つ信念に潜む偽善や虚勢に、敏感でその無自覚に恐怖すら感じるのだろう。死刑に関する著書を読んだ時も、納得し、自分の無自覚を反省したはずだが、だらだらとニュースと新聞を受け取っているうちに、いつの間にか死刑容認を身につけている。人間は、錯覚を持つことで自己を保っているところがある。そんなどうしようもなさへの警鐘は、明らかにし続けなければならないでしょう。地下鉄サリン事件にかかわる死刑囚が、全員執行されたことを、著者はどう思っているのでしょう。

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    2018年12月26日
  • 世界が完全に思考停止する前に

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    著者は、大抵の人がそのまま聞き流したり、当然のことと感じてしまうさまざまな事に、はっとするような角度から主張を始める。もちろん、著者の主張が全て納得いくものではなかったが。先の『ドキュメンタリーは嘘をつく』でも感じたのだが、森達也という人は本能的に多数の人と同じ方向を向くことができないようだ(違う方向を見るというより多数の視線を逆方向から見返すような感じ)。

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    2018年10月24日
  • A3 上

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     数年前に一度読んだのですが、「忖度」という言葉が流行語となった昨年辺りから気になり、教祖の死刑執行を機に再読することにしました。

     下巻の最後は以下の言葉で締めくくられていました ── “いずれにせよ麻原は、おそらく数年以内に処刑される。〔中略〕そのときに自分が何を思うのかはわからない。でもこの社会がどのような反応をするかはわかる。それはきっと、圧倒的なまでの無関心だ。”
     「数年以内に処刑される」という部分はちょっと外れましたが、「圧倒的なまでの無関心」ということについては本当にそのとおりでした。

     著者の主張は概ね次のとおりです。
    ① 目が見えず側近からの報告以外に情報源を持ち得ない

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    2018年09月23日
  • たったひとつの「真実」なんてない ――メディアは何を伝えているのか?

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    学生向けのメディア論ですが、
    僕みたいなアラフォー世代が読んでもおもしろく、
    恥ずかしながら、こんないい年してても「ため」になりました。

    メディア・リテラシー
    (情報の読み書き能力、
    意訳として「読解」と「アウトプット能力」とも言えると思う)
    から、メディアがどう情報を編集し演出しているかなどを、
    平易で読みすい文体で、
    しかし、しっかりした質感の深さでもって
    読者に説明し、ではメディアとどう付き合うべきかを問いかけてきます。

    テレビ、新聞、SNS、などなどから発信される、巷にはびこる情報がどうつくられていて、
    どういう性質で、といったことにはあまり注意をむけない人は多いのではないか。

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    2018年04月23日
  • A3 上

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    『A』、『A2』、『FAKE』の森達也さんの本『A3』を読んでいるけど面白い。
    今回はオウム事件の裁判でカメラは持ち込めないので書籍。
    前にラジオで江川紹子さんと森さんがバトル(トーク)になって「裁判は真実を明らかにする場ではない」と言われてて、江川さんの話にそりゃそうだよなぁと思ったけれども、森さんは麻原に事件について自ら語らせることに意味があると考えているのね。
    『A4』も出てるんだっけか?
    面白そうなので、そっちも読むかなぁ。

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    2018年01月30日
  • たったひとつの「真実」なんてない ――メディアは何を伝えているのか?

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    メディアは視点を変えることで、視聴者好みの報道を演出する。メディアばかりではなく、それを受け取る私達がしっかりしたメディアリテラシーを身につけることが必要だと感じた。

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    2017年11月17日
  • すべての戦争は自衛意識から始まる

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    相変わらずどきりとする森達也の著作である。本書もそうだ。「これ、
    私のことじゃん」と思う指摘もちらほら。でも、森さん、少々拗ねてる?
    ネットで叩かれ過ぎたから?それとも日本の現状に匙投げちゃった?

    それでも、きっとこれからも書き続けるんだろうな。「非国民」「売国奴」
    「ブサヨ」なんて言葉を投げかけながらも。

    某所で私も時にそんな書き込みをされることがあるんだけどさ。なんだ
    ろうね、「日本人サイコー」「日本サイコー」って言わない人間はぜ~んぶ
    非国民で売国奴でブサヨなのかな。

    「飽きた」と言われようと、ウォルター・クロンカイトの言葉をまたまた引く。

    「だいたい、愛国主義

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    2017年08月21日
  • 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい

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    森達也の書く内容には毎回どきりとさせられる。本書もそうだ。
    それは私にとって都合の悪いことが書かれているからだ。

    「当事者のことを慮れ」「当事者の身になってみろ」。大きな事件・
    事故・災害等があるとこんなことを書き散らしていることがある。

    当事者への共鳴が正義であると思ってるからだ。だが、正義には
    もれなく危険が付きまとう。正義だと思い込んだものを振りかざす
    時、人は違う意見を排除しようとする。

    「まったき正義」はないと思っている。それでも自分の意見が、思想が
    正義であると思ってしまうことがある。

    だから、森達也が書く文章は耳に痛い。自分の思い上がりを指摘
    されるか

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    2017年08月21日
  • 神さまってなに?

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    『A』『A2』『A3』でオウム真理教の内部からドキュメンタリを撮った森達也。『神さまってなに?』というタイトルの本を出していたので手に取った。

    タイトルから類推できたのかもしれないけれど、中高生に向けて書かれたような文体になっている。キリスト教、仏教、イスラム教の成り立ちがわかりやすく書かれている。それらの事実についてはある程度知っていることだが、中高生が読むとへぇーそうだったんだと思う程度にまとまっている。

    自分が初めて宗教に向き合ったのは、シリア人の学生と同じ研究室に入ったときかもしれない。時間が来るとお祈りをしないといけないその人と一緒にいて、少し面倒だなあと軽いカルチャーはありなが

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    2017年05月14日
  • たったひとつの「真実」なんてない ――メディアは何を伝えているのか?

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    現代社会のメディアとの向き合い方を分かりやすく解いた本。
    現実とは常に多角的なもので、どの視点から誰が切り取るかによって大きく変わってしまう。また、マスメディアなどは視聴率やスポンサーの影響もあり、不用意な情報の切り方などをすることもある。我々は常にそれを認識する必要がある。
    活字メディアから映像メディア、そしてインターネットに移り変わるにあたって、よりメディアとの向き合い方が難しくなり、逆にプロパガンダが形成しやすくなった土壌ができているとも言える。

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    2017年05月02日
  • オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ

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    「オカルト」を肯定派/否定派両方の視点から分析する。基本的にどちらにも依らないが(オカルトの失敗もそのまま描写する)、山羊羊効果(オカルトは観測者等の状況如何で発現したりしなかったりする)がこの本での一番の主張である以上はややオカルト肯定のテイストを含む。分析自体は真新しいことはないのだが、オカルト自体のバリエーションの広さを知る上で面白い本だった。

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    2016年11月22日