森博嗣のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
うーん爽やか。
端的に表すと大学生達(高校生も若干)のある夏の冒険です。
あーでもない、こーでもないと意見を出し合う謎解きの過程も、
殺人等で始まるサスペンスと違ってほのぼのしています。
夏休みという設定と長閑な風景描写、
そして主役の男子大学生コンビのユーモラスな会話。
どこか気だるくてでもなんとなく期待感のようなものも漂う、
あの「夏休み」という時間がなんだか懐かしくなりました。
文章はシンプルで読みやすくスイスイ読めました。
ジャンルでいうと暗号ものとかパズルものになるのでしょうか。
天才絡繰り師が120年前に残した幾何学模様を解読して、
まさにこの年動き出すというカクレカラクリと、
そこに隠されたお宝を見つけ出そうとする話です。
幾何学模様は複数あって読者にも提示されているので、
そういうのが好きな人は謎解きも楽しめます。
私は残念ながらサラッと読み進んでしまって、
最終章に入ってからあわてて前のページに舞い戻って確認しましたよ。 -
Posted by ブクログ
吉田篤弘氏の小説にはまってしまってから、小説のストーリー展開において「人称」というものが果たす重要な働きに興味を持ち始めていた。
森博嗣氏の作品においても、「人称」は強く意識されている。Vシリーズなどにはそれがよく顕れている。保呂草本人が、自身も含めてすべての登場人物を三人称に位置づけて書き進めることを、一人称で宣言してからでないとストーリーが始まらない…という風変わりな前置きがお決まりである。
この作品は、なんと間の抜けた…しかし完璧な三人称小説なのだろうか。主人公自身は理工系研究者としての性なのか、よほど手痛い人生経験を負ったがゆえのトラウマなのか、第三者の視点からすべての登場人物を、自身すらも含めて客体化し分析しながら冷徹に見下しつつ語り始める。
しかし、間抜けで酒乱の主人公は、ストーリーが展開するに従ってどんどんメッキがはがれ、地金が剥き出しになっていく。要するに彼女の周囲のすべての人たちは存外にまともで、彼女こそが愛すべき大間抜けであることがどんどん見えてくる。彼女の第三者的視座からの眺めにおいても…つまりは自己評価としてもお間抜け極まりない。
これは面白い。くすくすというよりにへらにへらと笑えてくる純愛小説だ。 -
Posted by ブクログ
どこがどう繋がっているのか分からない短編達。
共通点は、ラーメンと性転換。
最近ならよくある設定だな、と思いきや、次を読んであれ? と。
さらに次を読んで、また首をかしげ…。
これは一体どちらが現実で、どちらが創りものの中なのか。
それともこれは平行線の世界なのか。
最後の話を読んで、もしかしてさらにこれは中の話? かと思ってみたり。
とりあえず、部屋の中にある怪しげなラーメンに
手を付けるのは止めておこうかと思います。
ちょっと食べてみたいですけど。
どんな袋でどういう味なのか、ものすごく興味ありますけど。
読んでいて、西澤さんみたい、とも思いました。 -
Posted by ブクログ
著者曰く的を射るのではなく多少斜めに睨み、わずかに外れ、ぎりぎりかする鋭いところを狙ったのが本書。その方がドキリとするからとのこと。平成版侏儒の言葉というべき箴言集。「天は二物を与えず、三物以上が普通。」「不自由の主原因は思い込み」「何をやったかは見える、見えないのは何をやろうとしたか」「目先の損得に捉われるなとは少し先の損得に捉われろ?」「やりたいこととできることは異なる、一致させる必要もない」「NHK全部日本語の略、めずらしや」「方向はどちらであれ前へ進めば前進」「二兎を追わずして二兎は得ず」「将来に不安を抱いていると口にする人は何もしない人が多い」・・・・。こういうのが山のようにある。横書き、縦書き、太書き、巨文字など、視覚的にも楽しませてくれる。
-
Posted by ブクログ
Xシリーズ、第2弾です。
とても楽しめました。
なんだかXシリーズは安心して読めますね。Gシリーズみたいに、肩が凝らない(笑)
今回は満員電車での切り裂き魔事件です。
うーん、今回の事件は、森作品にしてはリアリティが強くて、読んでいてぞっとした。
確かに、満員電車はかなり異質な空間ですね。なんだか普通でいられるのが不思議だ。
もうしばらくは怖くて乗れない。つか、田舎で電車に乗る機会がないから、それは余計な心配だ(笑)。
人間の心理は摩訶不思議。確かに、正常で普通の人間の方が、今の時代では少数派なのかも。
本作全体を通して、それがじんわり伝わってきた。
それより、森作品の登場人物はどうしてこうも魅力的なんでしょうか。
今回の3人(しかも小川+真鍋+鷹知と、小川+真鍋+椙田の2パターン)のやりとりも、読んでいてとても微笑ましい。
登場人物のキャラクターと、作中で交わされる彼らの会話は、森作品の魅力のひとつ。
小川さんの過去が気になりますね、前の上司さんとか。実は他シリーズと繋がっていたり。
鷹知さんも、同じく。不思議な人だ。
ああ、妄想が止まらない。
椙田さん、彼女が迫ってきてますよ(笑)
これからの展開が凄く楽しみです。