竹内薫のレビュー一覧
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ヘンリー・ジーを続けてもう一冊。
『ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス』で、赤の女王がアリスに言ったように、「この国では、同じ場所にとどまるためには全力で走り続けなければならない」のだ。ヴァン・ヴァレンは、この理論から「ある種(または種のグループ)がどれだけ長く存続するかということと、その絶滅の仕方やタイミングには必然的な関係はない」と結論づけた。直線進化、すなわち「種の老衰(種族衰退説)」という考え方は幻想にすぎないはずだった。ところが、実際にはそうとも言い切れなかったのだ。古生物学者たちは何度も同じ現象を目にしてきた。ある種(あるいは、より一般的には近縁種のグループである属)が地球の歴史 -
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『風や天候は、玄武岩だけでなく、炭素を含んだ膨大な量の堆積物を酸素の届かない深海へと洗い流した。炭素が酸化して二酸化炭素になると、温室効果で地球が温められる。しかし、炭素がなくなってしまうと、温室効果が止まって地球は冷える。このような炭素と酸素と二酸化炭素によるダンスが、その後の地球とそのうえで蠢く生命の歴史にリズムを刻んでゆくのだ(訳注:実際には、水蒸気が最も温室効果が高く、気温の上下のメカニズムはきわめて複雑である)』―『2章 生物、大集合/超大陸の分裂』
学校を卒業してから四半世紀以上も経つとかつての常識が塗り替えられてしまう。それをアップデートするという訳ではないけれど話題の著者の一 -
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原題:THE DECLINE AND FALL OF THE HUMAN EMPIRE
本書は「ローマ帝国衰亡史(The History of the Decline and Fall of the Roman Empire)」になぞらえて、ホモ・サピエンスの起源から絶滅の予兆までを描いた、壮大な叙事詩である。全体は「台頭」「洞窟」「脱出」の3部、全12章からなり、各章の冒頭には「ローマ帝国衰亡史」からの引用が記されている。
第1部「台頭」では、人類の祖先である初期ホミニンの登場から始まり、他の人類たちの特徴と、その中でホモ・サピエンスがどのようにして他の人類を凌駕し、最終的には地球を支配す -
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「子供を思い通りにしようということはその子の持って生まれたものという動かし難い事実を無視すること。子供にとって重要なのは、自分の気質と傾向にどう対処するかを彼ら自身が学ぶこと。その過程で彼らを手助けすることが親としてあなたにできる最善策の一つ。」
「我が子に傾げられる最高の贈り物は、彼を十分に解放し、本当の自分自身になれるようにすること。彼らに備わっている独自の遺伝情報を歌わせ、その歌が私たち自身のものとは異なるかもしれないことに気づき、たとえそのコンサートが参加したくない類のものだったものとしても、とにかく我が子のコンサートを心からたのしむこと。」
というフレーズがとても心に残ったし、育児の -
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とても面白いのだが、いくつか疑問は残る。
最大のものは、以下の理屈。
いつか人は絶滅する。それを回避するためには、宇宙に行こう、という結論。
人口増加のスピードが緩くなっており、今後、人口は減る方向に向かう。
その理由として、女性の教育、男性側の精子の減少、といったことがある。
ここ最近において、人類が地球を大きく改造できるようになった理由は、単純に数が多かったから。数が多いことで簡単には絶滅せずにすみ、技術も蓄積された。確率論として天才も生まれ、技術を発展させた。
この数が減ると、天才が生まれづらくなる。結果として、科学技術が発展しなくなる。
数が減ると、小さな場所で小さな集団で暮らす -
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たった150ページとは思えないくらい内容が濃かった。それぞれの章はほぼエッセイくらいであり、相対性理論や量子力学から見える世界観がなぜそうなのかを細かく詰めている余地はない、いわば結論と結論から見える世界の広がりに特化した本だが、表現が巧みで好奇心をくすぐる書き方になっている。センスオブワンダーのお手本。
入門レベルの話とはいえ読者を思考に促すことにかけては手を抜いておらず、時間は客観的には存在しない、熱があるところに時間は発生する、といった一見突飛もないフレーズから、時間、自我、自由といった物理学の哲学的な側面まで目配せしているため読んでいて頭の柔らかい部分がものすごく刺激される。
世界 -
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子供に読ませたい本。私自身はいわゆる理系の人間で科学リテラシーは持っている方だと思っている。フェイクニュースを無闇に拡散したりしたこともないし、騙されて財産を失ったこともない。はず。メッセンジャーRNAとか遺伝子組み換えとか、新しいものが出てきて、ヨメが疑ったり敬遠すればするほど「理解が間違っているに違いない」と思い調べるクセがついているおかげだと思う笑。子供たちはさらに科学が進んで複雑で難しくなったものが氾濫した中で自分を守らなければならない。大変だと思う。自分が便利になるため、楽しむため、騙されないために、科学リテラシーを身につけてほしいと願う。みんなが科学リテラシーを身につければ世の中は
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以前、本書の著者であるカルロ・ロヴェッリの『時間は存在しない』に非常に感銘を受け、他の著作も読んでみたいと思っていたので、物理学についての入門書である本書なら気軽に読み進められそうだと思い購入。
『時間は存在しない』もそうだったように、本書を読み始めてまず感じるのは、その文体の読みやすさである。
相対性理論や量子力学も含めた最新物理学について、7つの章(講義)に分け、どんな読者でも理解できるように優しく(時には詩的に)語りかけてくるのだ。
巻末の訳者あとがきにもあるように、本書は2015年にイタリアの出版界のベストセラーランキングにおいて(科学書カテゴリではなく)総合1位を獲得したというのも -
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ひとつひとつで生命の要件を満たしている細胞が、膨大な数集まり情報を交換しながら緻密に正確に分業を行い秩序立って生物のかたちを成している。情報交換は化学的な操作で行われる。化学物質の濃度の濃淡で空間的な情報が伝わるという話が特におもしろかった。膨大な数の化学反応がそれぞれ時間を守って少しの狂いもなく行われるのは、そのプロセスを知れば知るほど、ほとんど奇跡のように感じてしまう。
自分が奇跡のような緻密さを保持している機械であることを実感し、また同時に、自分や人間がそれほど特別な存在ではなく、空間的にも時間的にも、連続する世界のほんの一部分なのだと感じた。