竹内薫のレビュー一覧
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知人に勧められて読みましたがとても面白いと思いました。本書はもしかすると賛否がかなり分かれる本かもしれませんが、それは著者の主張の真偽にどこまでこだわるのかによるのかもしれません。逆に言うと私は、著者の主張であるシミュレーション仮説自体の真偽はどちらでもよく、この仮説自体が純粋に面白いので、自身の想像力をかきたててくれるという意味で本書を高く評価したいです。
自分の備忘のため、著者の提示するステージ論を以下に書きます。2022年時点で考えると、ステージ5、6がだいぶ現実味を帯びてきているというところでしょう。
ステージ0:テキストアドベンチャーと<ゲームの世界>
ステージ1:初期のアーケード -
Posted by ブクログ
相対性理論や量子力学などが描く世界は、私達が日常ありありと感じている世界とは途方もなくかけ離れている!それが高校時代に理科・数学に挫折した文系人間の私が得た本書の感想。
一般相対性理論の視点では、空間は不動の入れ物ではなく、動いている巨大な軟体動物の中に私たちは蹲っているようなもので、それが縮んだり曲がったりしているそうである。一方、量子力学的な視点では、あらゆる場は、細かな粒子状の構造になっており、物理的空間も量子でできているという。そして近年ではこの一般相対性理論と量子力学を統合しようとする試みとしてループ量子重力理論が提唱されているという。この理論によると、もはや空間の量子というものは存 -
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物理学を題材にしながら文学的な風情も十分に堪能できる、かつウィットにとんだ筆致で内容は力不足で理解ができなくても読ませる。特に著者の専門分野であるループ量子重力理論を後半は解説しており、深遠なる科学の世界に引き込まれていく。
空間も時間も存在せず、量子のループによる相関的なものにでしかない。プランク長という最小の単位が存在しており、空間や時間は離散的なものである。こう書いていても、何だか雲をつかむような内容で現実の感覚からはかけ離れておりどうもしっくりこない。それだけ難解で未だ発展途上の学問であるのでしょう、文系の私はエッセンスのみ感じることができて現状満足気味です。
科学とは真理を明らか -
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二次元界(フラットランド)に住む四角形が主人公の物語。
ある日、主人公の四角形氏はほかの次元に行って帰ってくる。数学者である彼は次元の違いを理解する。お話としてはそれだけだが、二次元の世界の歴史や文化、そこに住む図形たちの生活を四角形氏が丁寧に説明してくれ、異世界を描くファンタジー作品として読みごたえがある。
ほかのファンタジーと一線を画すのが、この世界の「認識」の仕方について多くを割いているところだろう。二次元界の住人は四角形も三角形も円もそのまま見ることはできない。見えるのは線と点である。何角形かで身分の決まるフラットランドで、図形の彼らがどう図形を認識するのかということが説明される。こ -
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こんなにコンパクトにまとまった一冊に物理学の概要が学べる。しかも、読んでいて理解した気分になれるほどにわかりやすい。訳者後書き含めても150ページに、広大な宇宙全体の法則を謎とく旅に連れて行ってくれる素晴らしい本。
一般相対性理論、量子論、宇宙の構造、素粒子、量子重力理論、ブラックホールをめぐる確率と熱について、これら6つの講義と最終講義で自然界における人間とは何者か?について学べる。
繰り返し読んで、暗記したい。そして、何かの折に、この本の一節を交えた会話をしてみたい(気が早いか・・・)。
イタリアの経済紙『イル・ソーレ・24オーレ』の日曜特別紙面「ドメニカ」で連載した記事に手を加えたものと -
ネタバレ 購入済み
国力に直結する科学力
・人や組織が、世界に通用する仕事をするために必要なのは、第一に使っている言語での「流暢さ」であろう。
言語を自由に使いこなせないと、アイディアは枯渇し、コミュニケーションもうまくいかず、
多大なストレスが生じ、大きな成果が生まれることはない。
・社内英語公用化の弊害は、(英語で思考することが普通でない場合)
常に頭の中で、日本語と英語の直訳作業を強いられることにある。
ハンデが大きすぎて、本領発揮とはいかないのだ。
人間の脳がいくらマルチタスクに向いているといっても、
直訳という、常に余計な作計な作業をすることに何の意味があるだろう。人間の論理的思考の大部分を司る言語は、
付け -
Posted by ブクログ
日本人は科学と言えば、客観的で正しいことを教えると考えがちだが、実は科学といえども仮説の集まりにすぎないことを説いてくれる啓蒙書である。すなわち、まだ反証されていない仮説の集まりが科学という訳だ。なので「99.9%は仮説」というタイトルになったのである。
唯一の真理と思われていたことが実は違っていた、というような話は天動説、エーテル(光や磁力などを通す媒体)の存在などなど、たくさんある。前頭葉を切除するロボトミー手術を開発したポルトガルの医師エガス・モニスはノーベル賞まで受賞していたのである。主流の考え方が後に否定される例は山ほどあるようだ。つまり、科学も不確実なのである。
かのノーベル