今野敏のレビュー一覧
-
購入済み
つかみどころのないスクープ記者
局長と現場の記者の板挟みになる進行役。
仕事熱心な警察の上役他個性的なキャラクターが多く登場。
プロットの展開には注意が必要。 -
Posted by ブクログ
「同期」シリーズ第2弾。
警視庁捜査一課の宇田川と表向きは警察を辞めた形になっている公安の蘇我の物語である。
捜査一課内ではまだまだ中堅とも言えない立場だからか、主人公であるはずの宇田川の存在感が薄い。
一方登場場面は少ないにもかかわらず蘇我の存在は大きく重い。
多くは語られていない蘇我の人となりが、逆に寡黙で捉えどころのない公安ぽさにつながっているのかもしれない。
今野さんの物語は読んでいて疲れることがない。
停滞したように見せかけてもきちんと物語は進んでいるし、何よりもキャラクターの個性が際立つ物語が多いからだろう。
宇田川にはそれほど強烈な個性はない。
だからなのか。
読んでいて「あぁ、 -
Posted by ブクログ
STが設立される以前の物語である。
同時に、何故STが設立されたのか。その謎が物語の中に提示されている。
菊川は30歳半ば。まだ捜査一課にきて一年という駆け出し刑事だ。
三枝は同じ捜査一課の先輩刑事として登場している。
ある夜、普段の生活圏とかけ離れた場所でひとりの男が刺殺された。
目撃者の証言から、事件現場から走り去る黒っぽい上着の男が犯人として有力視される。
被害者には膨大な借金があり、返済の目処も立っていない。
性急に事件を解決しようとする鳥山検事。
集められた証拠の中から都合のいいものだけを取り出し、取調べを強行しようとする。
自白さえ取ってしまえば・・・そんな検事の思惑は現場の刑事た -
Posted by ブクログ
刑事告訴された案件の調査を開始したSTのメンバーたち。
事件かどうかもわからないが、民事裁判ではすでに無罪の判決が出ている事案だった。
鑑定医として裁判に参加していた赤城は、判決に納得しているわけではない。
調査が進む中で明らかにされる赤城の過去。
医療に情熱を燃やし、正義感にあふれ、それでいて対人恐怖症に脅えていた研修医時代。
いかにも赤城らしいエピソードが物語の中で語られている。
個性あふれる・・・というよりも、強烈な個性の持ち主ばかりが集められているのがSTだ。
それぞれに専門分野を持ち、知識と能力をいかんなく捜査に発揮する。
今回の調査でも、その能力が十二分にいかされている。
事件の真 -
Posted by ブクログ
短編集。
事件そのものを追って解決するというよりも、刑事それぞれにスポットをあてた話になっている。
こうして読んでみると、本当に個性豊かなメンバーが揃っている。
中でも「刑事部屋の容疑者たち」は好きな物語だった。
馬鹿々々しいけれど、ほんわりとしていてあたたかい。
みんなの班長を思う気持ちがストレートに出ているし、それでいてちょっと笑える。
5つの花束というところもいい。
肝心要の人が忘れていたのでは笑えなくなってしまうから。
それにしても、みんな班長が忘れていると考えて行動しているところが(笑。
そういう意味では信用がないんだな、と安積がちょっとだけ気の毒になった。 -
Posted by ブクログ
テレビ局の遊軍記者である布施は、けっして仕事熱心な記者ではない。
けれども何度もスクープをものにして実績をあげてきた。
上司である鳩村も、刑事である黒田も、布施に一晩張り付いてまわり、驚くべき人脈を目の当たりにする。
常に自然体で周囲に接している布施だったが、それが計算されたものなのか天性のものなのかは、結局ふたりにはわからない。
知り合った人たちをいつの間にか安心させ、布施が張りめぐらした網の中へと取り込んでしまう。
そして築かれたとんでもなく豊富な人脈。
それこそが布施のスクープを生み出している。
一年前に起きた猟奇殺人事件に目をつけた布施。
独自に取材を始めるが、未解決のままになっていた -
Posted by ブクログ
刺殺現場での目撃証言から「黒い亡霊」と呼ばれている風間が容疑者として浮上する。
しかし、風間をよく知る速水は風間の犯行を否定する。
本庁から送り込まれた刑事たちと、ベイエリア分署の捜査方針の違い。
プライドなのか、自分たちの捜査に絶対の自信を持っているのか。
安曇たちの意見に耳を貸そうとはしない。
風間のキャラクターが印象的だった。
終盤で明かされる風間の環境や心境。
捉えどころのない人間だと感じていたのに、彼なりの理由がそこにはちゃんとある。
「いつの世でも、子供は大人に何かを求めている。反抗するのは、甘えなのだ。
大人は、手取り足取り教える必要はない。何かを子供に示せばいいのだ。
生きる姿 -
Posted by ブクログ
勇気ある一般市民の協力によって逮捕されたかにみえた通り魔殺人の犯人。
現行犯逮捕という現実の前に、消えた協力者へ注意を払う人間はほとんどいなかった。
しかし、犯人として逮捕された男は拘束直後から「自分はやっていない」と否定をし続ける。
相棒として心理捜査官・紗英とともに捜査を続ける碓氷に、紗英は意外な事件の真相を告げる・・・。
人物の記号化という考え方がとても面白かった。
人は興味があるものは記憶に残りやすく、逆に自分にとって関心のないものは記憶に残りにくい。
より強烈な印象を残すものは、他のものよりも強く記憶されやすい傾向がある。
後半、「強固な象徴性」という言葉が出た時点で、犯人の次の手口 -
Posted by ブクログ
警察を舞台にしたドラマは多い。
そのためか、何となく縁はなくとも警察の捜査など知っているような錯覚に陥ってしまう。
けれど、公安となると話は別だ。錯覚する余地などないくらい、その内実は知られていない。
もしかしたら、同じ警察官であっても公安について正確に知っている人は一握りかもしれない。
刑事が犯人を逮捕するには証拠が必要だ。
物的証拠がない、もしくは乏しいときは、犯人しか知りえない秘密の暴露といった意味で自白が重要な位置をしめる。
一方公安は証拠にこだわらない。事実だと納得できる情報があればそれがすべてだからだ。
表舞台に出ることのない公安という組織。
私たち国民の知らないところで、国家的危