竹本健治のレビュー一覧

  • 涙香迷宮

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    蘊蓄部分はよく分からず、流し読みしました。しかし、日本語ってすごい。こういったものを作れる言語センスが素晴らしく、信じられない。

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    2022年07月27日
  • 新装版 匣の中の失楽

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    第4の奇書と呼ばれる本作。
    いつものように内容を全く知らずに読み始めました。
    解説には「ミステリーとアンチミステリーを両方兼ね備える作品」とあります。

    真剣に推理を巡らせながら犯人を当てよう!と意気込んで読むのではなく、どちらかと言うと、謎を疑問に思いながら頭の中に記憶しておき、流れに身を任せ騙されながら読んだ方が楽しめる作品です。

    ドグラマグラ・黒死館殺人事件・虚無への供物の三大奇書の中で、特に『虚無への供物』への愛が強い作品だと感じます。
    オマージュ作品なのかな。

    推理の中で哲学的な引用が多く組み込まれているのですが、精神世界(あるいは夢)の場面ではドグラマグラを連想させますし、羽仁

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    2022年04月08日
  • 狐火の辻

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    手掛かりから推理を経て、謎が解き明かされるという、一般的なミステリ的な手順からは外れている。何せ、クライマックスは肝心の名探偵(牧場智久)抜きで進行するのだ。けれども意味不明な出来事の意味が、あるとき腑に落ちる、その快感はミステリでしか味わえないものでもある。巻末の解説によると、作者はロス・マクドナルド氏の「さむけ」を引き合いに、ミステリは伏せたカードをめくっていくようなものと規定した上で、本作の意図を語っている。なるほどという感じ。とりあえず、めちゃくちゃ面白かった。

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    2022年01月24日
  • 涙香迷宮

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    竹本健治の涙香迷宮を読みました。
    囲碁、将棋、トランプ、匣、涙香と5冊目になります。
    どれもハズレがありませんでした。
    まだ未読未入手のものを読みたいと思うばかりです。

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    2021年12月30日
  • 腐蝕の惑星

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    前半部のオチは大方の予想通りのはず。後半はぶっ飛んだことに、「エイリアン」ばりの、スペース・ホラー・アクション・エンターテインメントと化す。これが面白い。後半部の舞台設定やら、怪物の正体やらは、おおよそ三〇年前の作品だが、劣化速度の速いSFとしてはまったく古びていない。その一方で女性キャラの話し言葉や振る舞いには、時代を感じさせる。面白いもんだなあ。

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    2021年11月18日
  • 涙香迷宮

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    なんといっても空前絶後のいろは歌暗号に尽きるでしょう。あとがきによると、本作のために用意されたわけではなく、作者さんが趣味で作っていたいろは歌暗号が先にあって、ということのようだけれど、それはそうだろうね。どこかで作中でのいろは歌に対する賛辞、つまり自讃が過ぎるというような批評を目にしたのだけれど、これだけのモノを作ったら、少々自讃したところで罰は当たらないと思う。正直、ここまで最初から解いてみる気にならない、ミステリの謎もないが、謎解きの過程でのカタルシスはまれに見るもの。いやー面白かった。

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    2021年11月11日
  • 涙香迷宮

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    完全に主役は「いろは歌」。その狂気じみた圧倒的ボリュームに呆然。
    黒岩涙香については山田風太郎作品で触れた程度の知識しか持ち合わせていなかったので、その多芸ぶりと破天荒な経歴に驚いた。
    冒頭の殺人事件と涙香といろは歌。とても自然な流れなのに、おそらく配分の問題だろうか、奇妙なアンバランスさを感じてしまったことは否めない。
    そこに面白さを感じられるかどうかで好みがわかれそう。
    水平思考クイズの答えが気になる…。

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    2021年11月07日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    前回のベストセレクション「再生」よりもこっちのほうがずっと好み。
    であるが故に、過去に読んだ話が半分くらい…
    平山夢明氏と小林泰三氏が一冊に入ってるアンソロジーだから買って後悔はない。

    背表紙の著者名が小林泰三氏になってて、新しく本棚に氏の本が並んだのも嬉しい。

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    2021年10月03日
  • 新装版 匣の中の失楽

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    再読。最初に読んだのは高校生の頃だったのでそれはもうこの小説に酔っていた。数学、物理、量子論、虚数、トポロジーに、心理学、精神病理学、占術、魔術などなどなどのめくるめく展覧会。この小説を読むだけでこの世界というものの一端を知った気になれた学生時代。乾くるみさんが解説というか「蛇足のようなもの」で書かれていたとおり、この作品は高校生ぐらいの頃に読むのが一番楽しい読書体験となるだろう。

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    2021年06月04日
  • 狂い壁 狂い窓

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    かつて産婦人科の病院としてつかわれていたアパート「樹影荘」に暮らす六組の住人たちの身のうえに、次々に奇妙な出来事が起こります。やがて住人の一人である梅本という男が、樹影荘近くの不見地蔵のもとで首をくくって死亡しているのが発見されます。

    こうして、楢津木という刑事が登場し、樹影荘にまつわるさまざまな出来事の謎を追い求め、やはり住人である「御原響司郎」と名乗る少年とともに、住人たちの過去にまでつながる因果の糸を解きほぐしていきます。

    ミステリとホラーを融合させた三津田信三の作品とは異なって、前半は、ホラー小説仕立てで「樹影荘」の住人たちの身に起こった奇妙な出来事がつづられ、楢津木が登場する後半

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    2021年04月11日
  • 囲碁殺人事件

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    ネタバレ

    竹本健治を『涙香迷宮』から読み始めたので、これが牧場智久初登場作品かー、という感慨を持って読んだ。12歳の智久くんはちょっと生意気な、まさに小学生といった感じで、涙香迷宮の大人びた高校生の感じとは違うねえ。

    暗号は棋譜が出てきた時点で投げてしまったけど、ミステリとしてはかなりオーソドックスで、ウロボロスのような大混乱を気にして構えて読むと、意外と肩透かし。トリックも今読むとそれほどでもない気もするけれど、読みやすいし、どんでん返しだし、途中途中の伏線(私、毒でも盛られてるのかと……)もきちんと回収されて、面白かった。

    ただ、囲碁が全然わからない身には途中挟まれる石の並び方の図やその説明が悲

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    2020年11月04日
  • これはミステリではない

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    いやあ、これは参った!
    ラストの「マサムネ」の台詞に大爆笑。
    どうしよう。笑いが止まらん。お腹痛い(笑)。

    そもそも、爆笑の理由は、もう不条理の極みですよ。ネタバレは、全てが台無しになりそうなのでしませんが、これもアンチミステリか、メタミステリになるのだろうか? タイトルがタイトルだけに。

    いや、でも、最初の「犯人当て」は一応、折り合いを付けているし、登場人物、皆の推理のやり取りもあるし、よくぞ気付いたというような、本当に細かい点まで蒸し返してる、これぞ本格推理だと思えるが、しかし。

    こういう作品を読むと、私はまだまだミステリのこと、全然知らないなあと真に実感します。勢いで「☆5」にした

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    2020年10月31日
  • ウロボロスの純正音律(下)

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    ネタバレ

    面白かった。
    『基礎論』読んで『虚無への供物』を読みたくなり、『純正音律』を読んだら『黒死館殺人事件』を読みたくなる…

    ミステリ作家たちの推理合戦を読んでると、『虚無への供物』を直前に読んだ気持ちが蘇り、最後とんでもないしっぺ返しを喰らうのではとドキドキしたら、オチがあれで「えええええー?!」となった。
    えっ…いやしかし名作へのオマージュ的なシリーズ話でもあると考えればアリなのか????

    でもとにかく面白いのは面白い。詰碁のところはさっぱりすぎてほとんど読み飛ばしてしまったけど、音律や暦についてのところは興味深かった。世代的に囲碁の小説漫画といえば『ヒカルの碁』だけど、全然ルールわかんない

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    2020年10月17日
  • 涙香迷宮

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    涙香のことが知りたければこの本を読め!!
    というくらい、2/3 は涙香のことが詳しく描かれている!!

    物語のはじめに起こった殺人事件
    から
    涙香の秘密の山荘へ辿り着き、
    天才(超天才!!!)涙香が残した最高難易度、日本語「いろは歌」の暗号解読から
    殺人事件の犯人を暴き出す!!

    江戸川乱歩が好きで辿りついた涙香からしった
    ミステリ本

    この作者さんもこのストーリーを考え出し書くというのがすごいっ!! 天才!!

    日本探偵小説の嚆矢 !! 超天才涙香 !! のことがたくさん知れた !!

    涙香
    遊芸百般
    『白髪鬼(はくはつき)』『幽霊塔(原作ウィリアムソン夫人『灰色の女』)』『巌窟王(原作デュ

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    2020年10月17日
  • これはミステリではない

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    しばらくの間思考が止まった状態になった。確かにゴールテープは切ったはずなのに辿り着いた感覚になっていない。加えて心がざわざわしている。とにかく凄いとしか言えない。

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    2020年08月29日
  • 狂い壁 狂い窓

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    『ウロボロスの偽書』に続き、竹本作品六作目。初めから薄々、夢Qぽさを感じてはいましたが…終章で確定しました。この作品の中で、正常な人はどれだけいたでしょう…。キ○ガイのオンパレードでしたw 人間の底無しの狂気が溢れたトンデモ作品。星四つ。

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    2020年08月17日
  • 涙香迷宮

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    ネタバレ

    暗号ミステリってちょっと腰が引けちゃうというか、あまり考えずに読んで「へー」ってなりがちなタイプなんだけど、これは凄かった。いろは歌は日本人には馴染みのもので、読んでいて「なるほど」と思うことも多くどんどん没頭した。
    それにしてもこの怒涛のいろはには圧倒された。どんな頭脳の持ち主なんだろう!だいたい旧仮名遣いやら古語やら、こんなに自在に操れるなんて凄すぎる。
    小1のこどもに普通にオセロで負けてしまう私にはとても考えつけそうにないけど、チャレンジしてみようかな(笑)

    黒岩涙香については、たぶん高校時代に日本史で軽く教わり、萬朝報を創刊した巌窟王や噫無情の翻訳者であるということくらいは知っていた

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    2020年08月13日
  • 涙香迷宮

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    囲碁の若手実力者 牧場智久の的確な推理により殺人犯を暴き出すストーリーだが、黒岩涙香の業績の展開も含め、かなり複雑な構成だ.山極の旅館での殺人事件に立ち会った智久が推理を開始する場面が発端だが、碁盤上に倒れた被害者を見た彼は碁石が異常に多いことを指摘する.場面は変わって涙香が作ったとされる隠れ家で11名が暗号解読に勤しむ場面が続くが、涙香の幅広い知識にミステリー愛好家の連中も苦労する.智久が落石で怪我、美佐子が毒で死亡し、犯人探しが始まる.涙香の多彩な趣味には驚いたが、暗号を組み込む才能も素晴らしい.智久が犯人を炙り出す過程が楽しめた.

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    2020年04月05日
  • 閉じ箱

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    短編集。この作者の短編集の中では一番好きかもしれない。この作品は第一短編集であり再文庫化らしい。結末が予想しやすい話もあれば一捻りも二捻りもある話もあってバリエーションに富んでてどれも楽しく読めた。好みの話は「けむりは血の色」「夜は訪れぬうちに闇」「仮面たち、踊れ」かな。

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    2020年01月08日
  • 将棋殺人事件

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    囲碁殺人事件に続くゲーム三部作の二作目。終盤に至るまであっちこっちに散りばめられた謎がどう解かれるのかさっぱりわからなかったな。謎解きされてようやく「あー、あれがそういうふうになるのか!」と気持ちよかった。

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    2019年10月05日