竹本健治のレビュー一覧
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上巻が面白かっただけに、広げた風呂敷をさらに広げたままで終わってしまったのが残念。
作者がやりたかったのは、そんな、小説的整合ではないことはわかっているけれど、それでももやもやを抱えながら立ち尽くす身としては、細部まできっちり作り込んだうえでのバカミスなり、トンデモ本なりを求めてしまう。
そもそも、小説世界と現実世界が互いに入れ替わる様相は、ウロボロスではなくてメビウスなのでは?
そして、どうしても納得のできない、恐喝のネタ。
暴かれるといやだからといって、殺すことはないと思うのね。
一生恨むことはあっても。
そして隠しおおせる謎でもないと思ったのよ。
今時、それはニュースにならないわけがない。
ところが、最初の殺人の動機はいったいどこから湧いてきたのだろうなんて考えてみたら、実は最初の出来事は最後の告白とつながっているのかなあと思えてきたり。
つまりウロボロスの環ってこと?
いろいろ考えましたが、すっきりはしません。
そういうのがお好きな人は、ハマるかも。 -
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囲碁のルールを全く知らないまま読みました
『ヒカルの碁』を読んだ事があるくらいで
あの漫画は面白いけど、読んでいても一切囲碁の詳しいルールを覚えられないですよね(笑
いや、それであれだけ面白いのはもの凄いことだと思いますけど
で、そんな状態で読んだ訳ですけども、全く知らないと言いつつも『ヒカルの碁』を読んだくらいの知識はあった方が楽しめる作品だなと思いました
逆に言えば、その程度の知識があれば楽しむラインには立てるのではないかと
ネタバレ無しの感想設定にしているのであまり深くは書きませんが、『囲碁殺人事件』というだけあって囲碁のルールとお話がしっかりと絡み合っています
さすがの仕上がりのミステリ、面白かったです
巻末に収録された短編『チェス殺人事件』に関しては、作者はどの程度まで想定してあの結末にしたのだろうか……
あの『匣の中の失楽』の作者だし、いろいろと考えてしまいます
(さらに言うと『モルグ街の殺人』も読んだ事がないので、よりうかつなことが言えません笑)
登場人物のセリフ回しが古いなと思いながら読み、文庫版あとがきを読んだらなんと40年以上も前の作品だとか!!!
いやーびっくり
法月先生の解説も面白過ぎて、『チェス殺人事件』についてもネタバレありで語ってほしかったなとか思ってしまったり -
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こりゃ参りました。奇数章と偶数章で小説内の現実と作中作である虚構が入れ替わり、しかもどちらが現実かも判然としないという構成からして度肝を抜かれますが、自然科学、人文科学からカルト論までジャンルを超えて繰り広げられる目くるめく知的対話に圧倒されっぱなしでした。
推理小説マニアの大学生・曳間(ひくま)が、密室で殺害された。しかも仲間が書いている小説の予言通りに。現実と虚構の狭間に出現する5つの≪さかさまの密室≫とは?
『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』の系譜に連なる、正に「第4の奇書」と呼ぶに相応しい大作です。しかも著者が22歳から23歳の若さで書き上げたということにも驚嘆。
奇書の異名を持つため、読む側も相当身構えて臨むのですが、意外にリーダビリティーは高く、「読みにくい」という感じはしませんでしたね。寧ろ小説の構造とその追求しようとするものが難度の高い知識を求めたんだと思います。
そして、これほど突出した作品が書かれた以上、「第5の奇書」はもはや生じ得ないのではないかとさえ思わされます。そのクオリティーは異次元レベルで、正直とても理解が追いつきません。
が、作品に没頭しきれない自分もいました。それは、ストーリーが精緻かつ複雑ゆえに、登場人物がプロットに奉仕する駒のように感じられ、語り手が定まっていないことも相俟って小説に入り込めなかったからだと思います。実際、似たような名前の人物たちの特徴を捉えきれず難渋しました。ただ、これは本格ミステリーやアンチミステリーにはつきものなのであれば、それはもはや嗜好の問題であって、もっと泥くさい人間模様を描いてほしいという向きは他の作品を当たってくださいということになるんでしょうね。ともあれ本作によって他では体験できない読書ができることは確かです。 -
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竹本健治の長篇ミステリ作品『涙香迷宮』を読みました。
ここのところ国内の作家のミステリ作品が続いています。
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明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰!
いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。
そこに仕掛けられた空前絶後の大暗号を解読するとき、天才しかなし得ない「日本語」の奇蹟が現れる。
日本語の豊かさと深さをあらためて知る「言葉のミステリー」です。
こんな小説を書ける作家は世に1人、竹本健治しかいない! ──ような気がする。
──綾辻行人
セカイを再編集する悦び。
言葉の総てがセカイになる驚き。
堪能できます。
──京極夏彦
・第17回本格ミステリ大賞 小説部門 受賞
・「このミステリーがすごい!2017年版」(宝島社)国内編第1位
・第40回「週刊文春ミステリーベスト10」 国内部門第3位
・「ミステリが読みたい! 2017年版」(ハヤカワミステリマガジン)国内篇第2位
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2016年(平成28年)に刊行された、IQ208の天才少年囲碁棋士・牧場智久が探偵役として活躍するシリーズ作品です。
■発端
■もうひとつの発端
■経緯
■発掘調査
■嵐の前
■嵐
■暴風雨の底で
■解読
■真相
■解放
■あとがき
■解説 恩田陸
囲碁界では有名な老舗旅館で発生した怪死事件… IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久は謎を追いかけるうちに明治の傑物・黒岩涙香が愛し、朽ち果て廃墟になった茨城県の山荘に辿りつく、、、
そこに残された最高難度の暗号=日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」48首は天才から天才への挑戦状だった……。
面白かったですが… それ以上に「凄いっ!」という印象の強い作品でしたね、、、
48語を一度ずつ、全て使って作られる、日本語の技巧と遊戯性を極めた「いろは歌」に何重もの暗号が仕掛けられているのですが… これだけの数の「いろは歌」を考えて、その中で暗号を仕掛けるなんて、想像を絶することですねー ホントに驚きです。
そして、国内ミステリの始祖であり、優れたジャーナリストであり、数多くの趣味娯楽で一流の腕前を持つ黒岩涙香を絡めた展開も印象的でしたね… ホントに凄い暗号ミステリでした。 -
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第4の奇書と呼ばれる本作。
いつものように内容を全く知らずに読み始めました。
解説には「ミステリーとアンチミステリーを両方兼ね備える作品」とあります。
真剣に推理を巡らせながら犯人を当てよう!と意気込んで読むのではなく、どちらかと言うと、謎を疑問に思いながら頭の中に記憶しておき、流れに身を任せ騙されながら読んだ方が楽しめる作品です。
ドグラマグラ・黒死館殺人事件・虚無への供物の三大奇書の中で、特に『虚無への供物』への愛が強い作品だと感じます。
オマージュ作品なのかな。
推理の中で哲学的な引用が多く組み込まれているのですが、精神世界(あるいは夢)の場面ではドグラマグラを連想させますし、羽仁の家は館と呼ばれてもおかしくない豪邸であり、黒死館殺人事件を連想させます。
溜まり場の『黄色い部屋』には、夥しい数の人形が飾られており、黒死館のテレーズ人形を彷彿とさせます。
住む土地の名称に色が使われていたり、登場人物達が次々と推理を披露していく展開は、まさに虚無への供物を読んでいる時の感覚が思い出されます。
この作品ならではの魅力はどこなのかと考えると、巧みな言葉のトリックと「さかさま」の密室。それともう一つあるのですが知らない方が楽しめるので、書くのやめときます^ ^
呪術や密教の図や重力方程式、物理の二重スリット実験、エクゴニンの構造式など、とにかく推理の中に蘊蓄が沢山出てきて、読んでる方はもう大混乱で、それが狙いか!と、けむに巻かれないよう必死に追いかけます。
あ、メモ必須です。
一冊の本でたくさんの本を読んだような感覚。
ここまで細かく多方面に推理を巡らせる本は初めてです。
作者の知識の豊富さに感動します。
勿体ぶらず、中途半端でも惜しげなく推理を披露するので、脳内は大混乱ですがw
次は「第5の寄書」と呼ばれる
山口雅也『奇遇』を読みたい(ღ♡‿♡ღ)
『生きる屍の死』が私の中で5本の指に入る程大好きなミステリーで、かなり面白かったので期待してしまう♡ -
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かつて産婦人科の病院としてつかわれていたアパート「樹影荘」に暮らす六組の住人たちの身のうえに、次々に奇妙な出来事が起こります。やがて住人の一人である梅本という男が、樹影荘近くの不見地蔵のもとで首をくくって死亡しているのが発見されます。
こうして、楢津木という刑事が登場し、樹影荘にまつわるさまざまな出来事の謎を追い求め、やはり住人である「御原響司郎」と名乗る少年とともに、住人たちの過去にまでつながる因果の糸を解きほぐしていきます。
ミステリとホラーを融合させた三津田信三の作品とは異なって、前半は、ホラー小説仕立てで「樹影荘」の住人たちの身に起こった奇妙な出来事がつづられ、楢津木が登場する後半になってミステリらしい叙述に変わります。登場人物の狂気がからんでくるので、ミステリとしては多少強引に感じられなくもないのですが、ホラー・テイストでつづられた奇妙な出来事に、それなりに明快なオチがつけられているところに、やはりミステリらしい読後感をあじわえる作品だと思います。 -
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ネタバレ竹本健治を『涙香迷宮』から読み始めたので、これが牧場智久初登場作品かー、という感慨を持って読んだ。12歳の智久くんはちょっと生意気な、まさに小学生といった感じで、涙香迷宮の大人びた高校生の感じとは違うねえ。
暗号は棋譜が出てきた時点で投げてしまったけど、ミステリとしてはかなりオーソドックスで、ウロボロスのような大混乱を気にして構えて読むと、意外と肩透かし。トリックも今読むとそれほどでもない気もするけれど、読みやすいし、どんでん返しだし、途中途中の伏線(私、毒でも盛られてるのかと……)もきちんと回収されて、面白かった。
ただ、囲碁が全然わからない身には途中挟まれる石の並び方の図やその説明が悲しくなるほどわからず、結末を理解できるのだろうかと心配してたけど、そんな心配は無用だった。いやわかる方がより楽しめるんだろうけども。
法月綸太郎の解説で、智久、典子、須堂の3人が『虚無への供物』の三人(藍ちゃん、久生、アリョーシャ)に倣ったものだろう、とあって、なるほどーと思った。あんなに不謹慎じゃないけど、典子の途中の後悔なんかには久生の影があるような気もしたし、何しろ作者が竹本健治だものね。『虚無への供物』からの影響を綺麗に溶け込ませるくらいするだろうな。
解説にはこの作品の明るさについても言及されていて、他の作品と比べると少し浮いている、とあったけれど、私は涙香迷宮→ウロボロスシリーズ→本作という順で読み始めてしまった上に匣の中の失楽も未読なので、本作の立ち位置みたいなものはあんまり把握できていない。他も読んでみたいけれど、囲碁、将棋、トランプがゲーム三部作とまとめられながら、後の将棋、トランプを『狂い壁 狂い窓』と合わせて狂気三部作ともまとめられていると聞くと、ちょっと怖そうで腰が引けてしまうなあ……。 -
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いやあ、これは参った!
ラストの「マサムネ」の台詞に大爆笑。
どうしよう。笑いが止まらん。お腹痛い(笑)。
そもそも、爆笑の理由は、もう不条理の極みですよ。ネタバレは、全てが台無しになりそうなのでしませんが、これもアンチミステリか、メタミステリになるのだろうか? タイトルがタイトルだけに。
いや、でも、最初の「犯人当て」は一応、折り合いを付けているし、登場人物、皆の推理のやり取りもあるし、よくぞ気付いたというような、本当に細かい点まで蒸し返してる、これぞ本格推理だと思えるが、しかし。
こういう作品を読むと、私はまだまだミステリのこと、全然知らないなあと真に実感します。勢いで「☆5」にしたくなる気持ちもあり(冷静に考えて自重しました)、それは推理ものとしての素晴らしさというよりは、ラストですね。むしろ、途中の展開は迷走気味で読み辛さもあったのだが、ラストは凄かった。脱力し、恐怖し、空虚さを覚えていたら、笑わされた感じだろうか。最後のウィットに富んだ台詞が、最も推理ものに出て来る探偵らしいというのが、この作品の一番の皮肉なのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
『基礎論』読んで『虚無への供物』を読みたくなり、『純正音律』を読んだら『黒死館殺人事件』を読みたくなる…
ミステリ作家たちの推理合戦を読んでると、『虚無への供物』を直前に読んだ気持ちが蘇り、最後とんでもないしっぺ返しを喰らうのではとドキドキしたら、オチがあれで「えええええー?!」となった。
えっ…いやしかし名作へのオマージュ的なシリーズ話でもあると考えればアリなのか????
でもとにかく面白いのは面白い。詰碁のところはさっぱりすぎてほとんど読み飛ばしてしまったけど、音律や暦についてのところは興味深かった。世代的に囲碁の小説漫画といえば『ヒカルの碁』だけど、全然ルールわかんないままだなぁ…
あとがき読んで『天啓の器』読んでみたくなったけど、どうかなあ、