あらすじ
「読者への挑戦状」――!!
しかし、それは誰がためのものなのか?
「これまで僕が書いてきたなかでも最大級に歪(いびつ)」――竹本健治
ミステリ界の金字塔『匣の中の失楽』『涙香迷宮』の鬼才が放つ最新作!
香華大学ミステリクラブの夏合宿で悲劇は起きた!
メンバーをモデルにした犯人当て小説「読んではいけない」の問題篇が披露された翌日、小説通りに湧き起こった濃霧のなかで、出題者は解決篇の原稿とともに消え去ってしまう。
偶然同じ施設に居あわせた「汎虚学研究会」の高校生たちも渦中に巻きこまれ、事件の謎に挑むことになるが、肝腎の探偵はやる気なく、誰彼なくおかしな夢を見るばかり――。
果たしてこの重構造の事件で問われているのは何か。そんな問いなどどこにもないのか。
ミステリ最大のタブーは快楽となり得るのか――
それともここにあるのは作家・竹本健治の終焉か!?
感情タグBEST3
匿名
20年くらい前にミステリーランドで「闇のなかの赤い馬」を読み、なんだか印象に残る作品で続きが出ないかなと思っていたら、10年くらい前に「汎虚学研究会」が出て更に続きが気になりすぎ、遂に「これはミステリではない」を読んで、まだ続きが読みたい作品。私はとても好き。
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いやあ、これは参った!
ラストの「マサムネ」の台詞に大爆笑。
どうしよう。笑いが止まらん。お腹痛い(笑)。
そもそも、爆笑の理由は、もう不条理の極みですよ。ネタバレは、全てが台無しになりそうなのでしませんが、これもアンチミステリか、メタミステリになるのだろうか? タイトルがタイトルだけに。
いや、でも、最初の「犯人当て」は一応、折り合いを付けているし、登場人物、皆の推理のやり取りもあるし、よくぞ気付いたというような、本当に細かい点まで蒸し返してる、これぞ本格推理だと思えるが、しかし。
こういう作品を読むと、私はまだまだミステリのこと、全然知らないなあと真に実感します。勢いで「☆5」にしたくなる気持ちもあり(冷静に考えて自重しました)、それは推理ものとしての素晴らしさというよりは、ラストですね。むしろ、途中の展開は迷走気味で読み辛さもあったのだが、ラストは凄かった。脱力し、恐怖し、空虚さを覚えていたら、笑わされた感じだろうか。最後のウィットに富んだ台詞が、最も推理ものに出て来る探偵らしいというのが、この作品の一番の皮肉なのかもしれない。
Posted by ブクログ
しばらくの間思考が止まった状態になった。確かにゴールテープは切ったはずなのに辿り着いた感覚になっていない。加えて心がざわざわしている。とにかく凄いとしか言えない。
Posted by ブクログ
深い霧に包まれた保養所内で起きた殺人事件、そして失われた“犯人当て”の解答編。
「汎虚学研究会」シリーズ2作目。
作中作、夢、現実が交錯しながら物語は展開し、歪な結末を持って世界は閉じられる。
タイトルが示す物語をどの様に受け止めていいものか…今は只静かに受け入れざるを得ない。
Posted by ブクログ
竹本健治 これはミステリーではない
確かに本格推理小説ではない
ミステリーの作中作
ミステリーマニア群
趣向の犯人
まだ続きそうです。
ここまでが、序章とした感じ、もっと長編にした改訂版、新しい小説にも期待します。お願い致します。
Posted by ブクログ
これはなんだったんだろう…
確かにミステリではなかったのかもしれない。
でも…
"ミステリではない"と謳えば何やってもいいのか。
でもこれをやりたかったから、"ミステリではない"と言っているわけで、文句言われる筋合いはない、と作者は思っているのか。
残るのは不条理。回答が得られたような得られなかったような…。
とりあえず人物相関図は欲しい。
Posted by ブクログ
ミステリではないと銘打ちながら、ミステリであり、最後に有り体な収拾がつけられない。ホワイダニットにこの答えはアリなのか。いや、これも答えだ。推理小説として求められる謎と解答を提示するものではなくて、読み手のエゴを満たすミステリでは無いと言う事か。誰が為の挑戦状かと言う一文にそれを感じる。読み取りたいと言う願望を完無視して嘲笑いながら、登場人物を読み手のエゴから解放している。読み手の為の登場人物では無く、彼らが彼ら自身の為に蠢き夢想する様に読み手側が巻き込み事故され、ミステリな人間のありようを見せつけられる、そう言う意味でのミステリなのかと思った。