竹本健治のレビュー一覧

  • 狂い壁 狂い窓

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    怪奇ミステリ。「将棋殺人事件」「トランプ殺人事件」に続く狂気三部作の三部作目。怪奇ミステリと書かれているだけあって本格ミステリとは違っていかに恐怖や狂気をそそらせるかに重きが置かれている。部屋を覗く蝋面、投げ入れられたマネキンの恐怖の首、埋められてから掘り返された死体。そういった怖さの象徴のようなものがこれでもかと散りばめられている。ミステリとしての謎はあっけなかったけれどホラーとして読むなら面白かった。

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    2020年01月30日
  • 涙香迷宮

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    牧場智久シリーズの一冊で、連珠やいろは歌などを愛好していた黒岩涙香ののこした謎に彼がいどむなかで殺人事件に巻き込まれていくストーリーになっています。

    ある老舗旅館で殺人事件が起こり、智久は現場にのこされた碁石から、被害者の人物像について推理をおこないます。その後、智久と類子は黒岩涙香ファンと知り合い、茨城県にある涙香の山荘へ行くことになります。いろは歌のさまざまなヴァリエーションのなかにかくされた謎に智久は挑戦しますが、しだいに彼の身に危険がせまることになり、しかも最初の殺人事件と今回の彼の身に起きた出来事とのつながりが明らかにされていきます。

    著者のパズルへの愛好ぶりがうかがえる暗号ミス

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    2020年01月29日
  • かくも水深き不在(新潮文庫)

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    ネタバレ

    〇 総合評価 ★★★☆☆
     4つの短編とエピローグ的な作品である「舞台劇を成立させるのは人でなく照明である。」という作品からなる短編集
     全体を通じる大きな仕掛けがある。その仕掛けは4つの短編の主人公は,一人の人間の別の人格だった。解離性同一性障害をテーマとしたミステリは,安易に「幻想的な謎」を作りだせてしまうのであまり好きではない。とはいえ,この作品は解離性人格障害をテーマとした天野が語り手の物語では終わらない。もう一つ仕掛けがある。一見,精神科医の天野不巳彦が4つの人格から主人格を残すという展開で終わると見せ掛ける。しかし,天野は最後の1人の人格まで消してしまう。そして,この作品で「天野不

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    2019年12月22日
  • 涙香迷宮

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    こういった暗号解読ものは好き嫌いが分かれると思う。
    暗号そのものについては驚異的と思うが、それならば添え物的についている殺人事件はいらなかったのでは。
    ちなみに、最後未解決になっていた黒岩涙香と幸徳秋水の謎かけは、ネットを見た限り私は正解だった(というかあまりに直接的なので本当にあっているか不明だが)

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    2019年12月17日
  • クレシェンド

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    今作は怪奇小説とか伝奇小説という括りの小説になると思う。古事記やら言霊やら日本語の特異性といった事柄に対する薀蓄がたっぷり出てくるのでそういうのが苦手な方には向かないかも。ヒロインとして出てきた真壁岬というキャラの過去の話を読むに「ははーん、これは作者の別作品にも出ているな!」と直感して調べてみたら「緑衣の牙」という小説に出ているみたい。他にも天野先生も出てくるので竹本健治作品が好きな方にはお得感があるやもしれない。

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    2019年11月11日
  • 腐蝕の惑星

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    SF作品。前半と後半が「それ以前」と「それ以後」と分かれているのだが、後半はわりとわかりやすい話の運びになっているが前半はどんなふうな結末がくるのかわからない所がちょっとホラーな気配が漂っていて迫力抜群だった。後半の描写は私自身にSFの素養がないためちょっと想像力が及ばない所もあったけれど全体的にわかりやすく面白かった。

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    2019年11月06日
  • かくも水深き不在(新潮文庫)

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    再読。今作には作者の別作品にも出てくる精神科医の天野先生を一種の安楽椅子探偵として据えている。が、もちろんこの作者の事、そう簡単に推理して犯人なり事件の背景なりを暴いて終わりという訳では勿論ない。しかしこの作品は竹本先生らしくミステリアスで幻想的で、かつ推理ものでもあるという贅沢仕様。

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    2019年10月29日
  • トランプ殺人事件

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    ゲーム三部作完結編。コントラクト・ブリッジは名称しか知らなかったのでそんな私でもちゃんと読めるのかしらんとちょっと不安だったけれど説明は中に詳しく載っていたしそこらへんのルールなどは物語の根幹に関わっていなかったので安心した。しかし、途中で挟まる詳細なルール説明の記述においてもきちんと暗号という意味を持たせていたところは流石。まぁ智久くんの説明を見てようやくわかったんだけどね。ミステリとしては囲碁はだいぶ本格だったのに対して今作はアンチミステリと本格の中間ぐらいとは感じたかな。

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    2019年10月20日
  • 筒井漫画瀆本 ふたたび

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    壱のほうか、ふたたびの方かは忘れたが、五郎八航空のパイロットが太ったお母さんから可愛い女子高生になっていたのは少し違和感。走る取的がなかったのが残念。どこかで見た記憶があったのだが。

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    2019年10月17日
  • せつないいきもの~牧場智久の雑役~

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    牧場智久を探偵役とした前作「狂い咲く薔薇を君に」の続編。今回は類子ちゃんが語り部。今作からは速水果月も登場。相変わらず牧場智久は安楽椅子探偵というか本業が忙しく類子ちゃんから齎される謎を携帯で聞くだけで解決していく。類子ちゃんの彼氏ならもっと関わってやれよぉ!という気持ちになるのは類子ちゃんの健気さというか可愛さが本作でめっちゃ伝わってくるからか。そう書くとミステリが主題というよりもキャラ重視に感じるけれど暗号や不明な動機など推理物としてもちゃんと楽しめる作りなのはさすが。

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    2019年10月05日
  • 狂い咲く薔薇を君に~牧場智久の雑役~

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    牧場智久を探偵役としたシリーズの一つ。今作はだいぶ学園ラブコメにユーモアが散りばめられている。事件は三つ起こっているがどれも派手で華美な事件。動機はどれもありふれた感じだけれど行ったトリックは大胆という感じかな。本作は竹本健治さんの作品の中ではちょっと異色に感じられたがその理由はあとがきに書いてある通りなんだろうな。

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    2019年10月05日
  • フォア・フォーズの素数

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    短編集。ミステリ色の強い作品はそれほど収録されていないけれどミステリの残滓はそこかしこに塗されていて面白い。個人的には「空白のかたち」「白の果ての扉」「銀の砂時計が止まるまで」が好みかな。

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    2019年10月05日
  • 囲碁殺人事件

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    この作者の作品の中ではちょっと地味な部類に入るかもだけれどオチは好み。全編を通して囲碁塗れで難しい専門用語もあったけれど囲碁をさっぱり知らない自分でも内容をスルスルと理解できた。

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    2019年10月05日
  • しあわせな死の桜

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    トリロジの「明かりの消えた部屋で」と「ブラッディ・マリーの謎」が収録されてると知って手に取りました。
    この2作以外にも、ジャンルのバラエティー豊かなラインナップで面白かった。
    (トリロジ全編、他の作家先生方の作品も本の形にしてほしいんですけれど、後半が箇条書きの形と知ってなるほど…本にしづらいわけだ…と納得。でも本にして欲しい…)

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    2019年09月17日
  • 狂い壁 狂い窓

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    本書は昔、産婦人科だった古いアパートが舞台だ。「廃病院」、「古いアパート」という、ホラー界のパワースポットとでも呼べる場所が好きな方には、たまらない小説だろうと思う(笑)しかし、私には向かない小説だった。なぜなら、やたらと難しい語句が使われている上、登場人物が多い中、短い章ごとに人物視点がコロコロと変化するので、非常に読みづらかったからだ。だから個人的には好きになれない作品だった。

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    2019年08月27日
  • 囲碁殺人事件

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    ネタバレ

    ○ 総合評価  ★★★☆☆
    〇 サプライズ ★★★☆☆
    〇 熱中度   ★★☆☆☆
    〇 インパクト ★★★☆☆
    〇 キャラクター★★★☆☆
    〇 読後感   ★★★☆☆
    【レビュー】
     竹本健治の初期の代表的なシリーズであるゲーム3部作の第一弾。被害者による嘱託殺人という,やや変化球ではあるが,竹本健治の作品の中では比較的オーソドックスな本格ミステリという評価になっている。ポイントは,「純粋語盲」という病気が脳の病気であることを知った牧野が,「純粋語盲」であることを隠すために,自分の死体から,首から上を切断してほしいと杉沢に頼んでいたことだろう。これは,死体の頭部を切断する理由
    として,それなり

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    2019年06月23日
  • 将棋殺人事件

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    ネタバレ

    ○ 総合評価  ★★★☆☆
    〇 サプライズ ★☆☆☆☆
    〇 熱中度   ★★☆☆☆
    〇 インパクト ★★☆☆☆
    〇 キャラクター★★★☆☆
    〇 読後感   ★★★☆☆

     ゲーム3部作の2作目。「将棋殺人事件」というタイトルだが,テーマとなっているのは「詰将棋」と「恐怖の問題」という六本木界隈で流行しているという噂
     将棋殺人事件は,2つの流れがあり,1つに収束していく。1つ目は詰将棋の盗作問題をめぐる話。2つ目は静岡県掛川で見つかった男女の死体と,六本木界隈にある「恐怖の問題」をめぐる話。
     恐怖の問題関係については,牧場智久と牧場典子の姉弟による調査がされる。その調査の中で,女子寮が噂の出

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    2019年05月06日
  • かくも水深き不在(新潮文庫)

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    鬼ごっこと怖い映像は繋がっているのか? 明言がないため疑問を感じながら読み進めていたが、なんとなく繋がっているっぽい気がする。
    相談者の一人称が僕で統一されているため、ぼうっとしながら読み進めたせいで途中で訳が分からなくなってしまったのは、笑い話だ。
    花の軛と零点透視の誘拐は「僕」が壊れていく様は恐ろしいながらも面白かった。

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    2019年02月28日
  • しあわせな死の桜

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    ネタバレ

    竹本健治の各シリーズをつまみ食いできる短編集。本格ミステリを期待する人には全く向かない、幻想小説の色合いが濃い。同種同族で凝り固まった界隈内で、住人が目新しいモノを求めていたら、こういうのが受けて、門外漢は置いてきぼりになる。
    幻想小説として読むならオススメ。

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    2019年01月04日
  • 狂い壁 狂い窓

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    何事もそうであるように、精神病患者が増えるほど、世の理解も深まるんでしょうなぁ。日本でも、世界的にも、どんどん精神病患者は増えるだろうし、いずれ社会システムが対応していく時代が来る(といいね)。

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    2018年06月09日