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Posted by ブクログ
2年前に新装版講談社文庫が再発されて、特別短編「匳」が収録されたので購入して再読。
たしかン十年前に講談社文庫で「虚無への供物」に続く第四の奇書という謳い文句で紹介され、手にとって寒い夜に読んだのが初見だった。
始まりからして霧のかかった夜に一人歩きしている大学生のシーンだったんで、あまり期待はしてなかったのだけど埴谷雄高の「死霊」と比較すると、ああなるほどとは感じた。この作家は後に発表する「ゲーム殺人事件」や「ウロボロス」シリーズの方が理解しやすいので、そちらを読んでからチャレンジされるといいかも。
2019年は「匣」の記念限定豪華本を上梓するとかでちょっと楽しみ。
Posted by ブクログ
いやー、奇書。奇書だ奇書だとは聞いていたが、やっぱり奇書だった。22歳の青年がこれを書いたって?うそでしょー!?
さしずめ現代に蘇る黒死館殺人事件ってとこか。全編を通じて醸し出されるペダンティックで奇妙な空気は、僕のようなある種の人間を熱狂させる。
次から次へと姿を見せる謎、そして謎解き→その謎解きの否定といった推理小説の王道の繰り返し。もう、心躍らないわけがないって感じ。
ただ惜しむらくは、最後がしりすぼみだったこと。
結局、回収されていない謎がむちゃくちゃ多くないか?
なんかこう「ああ、惜しい。あと1ミリだったのに」感が漂うなあ。
ま、という欠点を補ってあまりある結論までの流れなので、星5つ。しつこいが奇書だ。
Posted by ブクログ
この本を読んで、最初『読解力が足りないんじゃないか?』そう思った。
しかしもう、そう思った段階で作者の罠にはまっていたのだけど(笑)。
読んでいくうちに、幾重にもかこまれた迷宮に落ちていった。
そして、真実とかそういうものがあまし意味をなさなくなっていく。
仲間の殺人を信じ、それを暴こうという狂気。しかし、誰もそれに気づかない。
そして、狂ったったまま静かに迷宮の中でゆがんだ真実と、現実をすりかえる。
そして、そのまま音もなく本当に静かに物語は終焉してしまう。
読み終わったとき何となく、これがフィクションで本当によかったと思った。
■追記■
この作品が竹本さんのデビュー作(1978年)であるらしいが、非常に完成度の高い繊細な作品である。しかし残念ながら、この作品以上のものに出会ってはいない。デビュー作以上のものに出逢っていない作家は実は他にも多い。綾辻行人『十角館の殺人』森博嗣『すべてがFになる』・・・。綾辻さんのものは、これ以上のものに出会っていない・・・というより、他作は冒頭の消防法を無視したような館の見取り図で挫折してしまった(笑)。ちなみに実は奥さんのアニメ化された某作品も冒頭の地理学上ありえないような地図で挫折してしまった(駄目すぎ)。森さんの作品については、シリーズほぼ全部を一応読んで、やっぱし最初の作品が一番よかったと思っている。そして逆に『月光ゲーム』でデビューした有栖川有栖氏は、これでよくデビューできたと別の意味でびっくしした。多分、最初にデビュー作を読んでいたら絶対に他の作品を読むことはなかったと思う。しかし、一番驚いたデビュー作といえば清涼院流水『コズミック』である。何に驚いたって・・・もう、そりゃ厚みである。しかし、読んでさらにびっくりしてしまった・・・その内容のあましの薄さに。
Posted by ブクログ
五年以上積読だったのを、ようやく読む。
「虚無への失楽」と「死霊」に大きく影響されているなと思いながら読んでいたが、解説を読むと確かに「ドグラ・マグラ」や「黒死舘」からの影響も。
ミステリはとくに、登場人物が魅力的かどうかが重要視されるが、
本作では人物の描きわけができていない、というより、されていない。
(女性の魅力のなさも)
そしてそれがメタミステリゆえに現れる特徴としても機能している。
若書きの作品としては巧妙すぎて卑怯だなーと思う。
登場人物たちは、いや「人形たち」は全員平板な顔つきをした、紙に書かれたままの顔で、語る、語る、語る。
とにかく独特の空間を作り出している。
メタミステリというところだけでなく、文体や描写という点からも、インパクト大。
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