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推理小説マニアの大学生・曳間が、密室で殺害された。しかも仲間が書いている小説の予言通りに。現実と虚構の狭間に出現する5つの《さかさまの密室》とは? '78年、弱冠22歳の青年によって書かれたこの処女作は「新本格の原点」、「第4の奇書」と呼ばれる伝説の書となった。いまだ色褪せない未体験の読書を今こそ! 幻のサイドストーリー『匳(こばこ)の中の失楽』も収録!
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Posted by ブクログ
面白い、面白くないという次元でなく、一体どういう事?と頭がこんがらがる。この世界の実態を掴もうとする事自体、間違ってるのかも。 なかなか印象に残る作品。
素直に読めば奇数章の物語が「現実」で、所謂解決編が欠けている偶数章の物語が、ナイルズの書いた小説になるのだと思う。そう読まなくったって良いのだけれど。で、そんな風に読めば、意外なくらい(アンチでない)ミステリとして、かっちりとまとまっている。発表当時ならともかく、今となってはそうしたところや全然読み...続きを読むやすいところが、むしろ評価ポイントな気がする。あと、ディスカッション・ドラマの体裁には個人的に、「虚無への供物」より「死霊」を連想した。
2年前に新装版講談社文庫が再発されて、特別短編「匳」が収録されたので購入して再読。 たしかン十年前に講談社文庫で「虚無への供物」に続く第四の奇書という謳い文句で紹介され、手にとって寒い夜に読んだのが初見だった。 始まりからして霧のかかった夜に一人歩きしている大学生のシーンだったんで、あまり期待はして...続きを読むなかったのだけど埴谷雄高の「死霊」と比較すると、ああなるほどとは感じた。この作家は後に発表する「ゲーム殺人事件」や「ウロボロス」シリーズの方が理解しやすいので、そちらを読んでからチャレンジされるといいかも。 2019年は「匣」の記念限定豪華本を上梓するとかでちょっと楽しみ。
『虚無への供物』の後に読むとほんとに工夫されてるなと思う。別の角度から再表現してるというか。虚無への供物もそうだけれど、酩酊感で作中に気を取られているところに終盤のラッシュがあって、正気に戻って現実世界に立ち返ると、現実にいながらにして作中に巻き込まれてる。哲学の思考実験とか、不確定性原理とかスリッ...続きを読むト実験とか、ラプラスの魔とか、そういう知識を面白がって中学くらいから調べて読んでいた無意味と思われるような趣味が『匣の中の失楽』で普通に語られているのがほんとに嬉しい。四大奇書読破の最後の一冊に相応しかった。
いやー、奇書。奇書だ奇書だとは聞いていたが、やっぱり奇書だった。22歳の青年がこれを書いたって?うそでしょー!? さしずめ現代に蘇る黒死館殺人事件ってとこか。全編を通じて醸し出されるペダンティックで奇妙な空気は、僕のようなある種の人間を熱狂させる。 次から次へと姿を見せる謎、そして謎解き→その謎解...続きを読むきの否定といった推理小説の王道の繰り返し。もう、心躍らないわけがないって感じ。 ただ惜しむらくは、最後がしりすぼみだったこと。 結局、回収されていない謎がむちゃくちゃ多くないか? なんかこう「ああ、惜しい。あと1ミリだったのに」感が漂うなあ。 ま、という欠点を補ってあまりある結論までの流れなので、星5つ。しつこいが奇書だ。
この本を読んで、最初『読解力が足りないんじゃないか?』そう思った。 しかしもう、そう思った段階で作者の罠にはまっていたのだけど(笑)。 読んでいくうちに、幾重にもかこまれた迷宮に落ちていった。 そして、真実とかそういうものがあまし意味をなさなくなっていく。 仲間の殺人を信じ、それを暴こうという...続きを読む狂気。しかし、誰もそれに気づかない。 そして、狂ったったまま静かに迷宮の中でゆがんだ真実と、現実をすりかえる。 そして、そのまま音もなく本当に静かに物語は終焉してしまう。 読み終わったとき何となく、これがフィクションで本当によかったと思った。 ■追記■ この作品が竹本さんのデビュー作(1978年)であるらしいが、非常に完成度の高い繊細な作品である。しかし残念ながら、この作品以上のものに出会ってはいない。デビュー作以上のものに出逢っていない作家は実は他にも多い。綾辻行人『十角館の殺人』森博嗣『すべてがFになる』・・・。綾辻さんのものは、これ以上のものに出会っていない・・・というより、他作は冒頭の消防法を無視したような館の見取り図で挫折してしまった(笑)。ちなみに実は奥さんのアニメ化された某作品も冒頭の地理学上ありえないような地図で挫折してしまった(駄目すぎ)。森さんの作品については、シリーズほぼ全部を一応読んで、やっぱし最初の作品が一番よかったと思っている。そして逆に『月光ゲーム』でデビューした有栖川有栖氏は、これでよくデビューできたと別の意味でびっくしした。多分、最初にデビュー作を読んでいたら絶対に他の作品を読むことはなかったと思う。しかし、一番驚いたデビュー作といえば清涼院流水『コズミック』である。何に驚いたって・・・もう、そりゃ厚みである。しかし、読んでさらにびっくりしてしまった・・・その内容のあましの薄さに。
五年以上積読だったのを、ようやく読む。 「虚無への失楽」と「死霊」に大きく影響されているなと思いながら読んでいたが、解説を読むと確かに「ドグラ・マグラ」や「黒死舘」からの影響も。 ミステリはとくに、登場人物が魅力的かどうかが重要視されるが、 本作では人物の描きわけができていない、というより、...続きを読むされていない。 (女性の魅力のなさも) そしてそれがメタミステリゆえに現れる特徴としても機能している。 若書きの作品としては巧妙すぎて卑怯だなーと思う。 登場人物たちは、いや「人形たち」は全員平板な顔つきをした、紙に書かれたままの顔で、語る、語る、語る。 とにかく独特の空間を作り出している。 メタミステリというところだけでなく、文体や描写という点からも、インパクト大。
前に双葉文庫版を読んでいるから、一応再読に入るのかしら?やはり凄い作品だ!一体どちらが現実で、どちらが作中作なのか全くワカラナイ…この終わり方では彼ら自体もしかしたら存在などしていなかったのでは?・・と、思ったり思わなかったり。とにかく頭の中がパニックになること必須。これを機にたくさんの人に読まれま...続きを読むすように。ちと高いけどw
ページの多い本だったけど、集中して面白く読めた。 勿論、古い作品で謎な部分も多いので、全てを読みつくしたのではないことは わかっているが、それでもやはり面白い。
日本における第四の奇書と言われているこの小説は、1978年に発売された著者のデビュー作です。 約800ページと、かなりの長編です。 専門的な話が出てきますが、基本的にはテンポよく読めました。 どんでん返しの要素もあり、本格ミステリでしたが、奇書と言われるだけのことはありました。
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新装版 匣の中の失楽
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竹本健治
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