竹本健治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
評価
サプライズ ★★★★☆
熱中度 ★★☆☆☆
インパクト ★★★☆☆
キャラクター★★★★☆
読後感 ★★☆☆☆
希少価値 ★☆☆☆☆
総合評価 ★★★★☆
サプライズ ★★★★☆
猿使いの患者が戸川雅彦だったという部分は素直に驚いた。これは,そのようなサプライズが用意されている小説だと思わせない雰囲気があるからだろう。背景にあるのは時制の叙述トリック。しかし,時制の叙述トリックがあったとは感じさせないくらい,暗号やら事実を隠す叙述トリックがあるなど,技巧が尽くされた作品。猿使いの患者が戸川だと分かってから再読するとさらに怖い。
熱中度 ★★☆☆☆
大部 -
Posted by ブクログ
いろは文字を使ってミステリを描くという前代未聞の、確かにこれは奇書です。「涙香迷宮」を読んだ時に凄いと思いましたが、今回はそれ以上。ちなみにイラストも竹本さんなのですね。もう存分に味わいたい一冊です。
アートブック形式なので、ページ数のわりにお値段高め。そしてこんなページ数ならさくっと読めちゃうんじゃ? と思いましたが。トータル文字数は少なくても、中身はとことん濃いです。いやほんと、いろは四十八文字でこんなことができるだなんて。きちんと起承転結のミステリになってるわ、ちょっとゴシック感のある雰囲気も横溢しているわ、ささっと読み飛ばしてしまうのはできないことはないけれど、それはあまりにもったいな -
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パングラムとは「いろはにほへと」のようにある言語の文字をすべて使って文章を作る言葉遊びのことだそうです。例)色は匂へど散りぬるを…など
本書はその「いろは」だけで四十八首も作成した黒岩涙香さんのパングラムが、それ自体暗号だったのでは?というミステリーでした。
作者の博覧強記ぶりも去ることながら、やはり涙香さんの多才ぶりがすさまじいです。
涙香さんといえば江戸川乱歩『幽霊塔』の原案者?くらいの知識しかありませんでしたが、とんでもないお方でした。
日本ミステリーの祖なのはいうまでもなく、新聞社を経営して将棋欄や相撲欄を初めて作ったり、レ・ミゼラブルを『ああ無情』と訳したり、現在まで続くかるた大 -
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上巻が面白かっただけに、広げた風呂敷をさらに広げたままで終わってしまったのが残念。
作者がやりたかったのは、そんな、小説的整合ではないことはわかっているけれど、それでももやもやを抱えながら立ち尽くす身としては、細部まできっちり作り込んだうえでのバカミスなり、トンデモ本なりを求めてしまう。
そもそも、小説世界と現実世界が互いに入れ替わる様相は、ウロボロスではなくてメビウスなのでは?
そして、どうしても納得のできない、恐喝のネタ。
暴かれるといやだからといって、殺すことはないと思うのね。
一生恨むことはあっても。
そして隠しおおせる謎でもないと思ったのよ。
今時、それはニュースにならないわけが -
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囲碁のルールを全く知らないまま読みました
『ヒカルの碁』を読んだ事があるくらいで
あの漫画は面白いけど、読んでいても一切囲碁の詳しいルールを覚えられないですよね(笑
いや、それであれだけ面白いのはもの凄いことだと思いますけど
で、そんな状態で読んだ訳ですけども、全く知らないと言いつつも『ヒカルの碁』を読んだくらいの知識はあった方が楽しめる作品だなと思いました
逆に言えば、その程度の知識があれば楽しむラインには立てるのではないかと
ネタバレ無しの感想設定にしているのであまり深くは書きませんが、『囲碁殺人事件』というだけあって囲碁のルールとお話がしっかりと絡み合っています
さすがの仕上がりの -
Posted by ブクログ
こりゃ参りました。奇数章と偶数章で小説内の現実と作中作である虚構が入れ替わり、しかもどちらが現実かも判然としないという構成からして度肝を抜かれますが、自然科学、人文科学からカルト論までジャンルを超えて繰り広げられる目くるめく知的対話に圧倒されっぱなしでした。
推理小説マニアの大学生・曳間(ひくま)が、密室で殺害された。しかも仲間が書いている小説の予言通りに。現実と虚構の狭間に出現する5つの≪さかさまの密室≫とは?
『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』の系譜に連なる、正に「第4の奇書」と呼ぶに相応しい大作です。しかも著者が22歳から23歳の若さで書き上げたということにも -
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竹本健治の長篇ミステリ作品『涙香迷宮』を読みました。
ここのところ国内の作家のミステリ作品が続いています。
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明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰!
いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。
そこに仕掛けられた空前絶後の大暗号を解読するとき、天才しかなし得ない「日本語」の奇蹟が現れる。
日本語の豊かさと深さをあらためて知る「言葉のミステリー」です。
こんな小説を書ける作家は世に1人、竹本 -