竹本健治のレビュー一覧

  • トランプ殺人事件

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    ネタバレ

    日本では数少ない暗号小説の傑作。一冊の小説の中にブリッジの用語辞典がまるまる入っているという型破りなスタイルは、すれっからしのミステリ・ファンを心地よく挑発してくる。そして魅力的な謎が見事に解き明かされた後で、なお残る深い余韻。
    「匣の中の失楽」でデビューした竹本健治という特異な作家にとって、本作を含む「ゲーム三部作」とは「ウロボロスの偽書」へ到る過程の作品なのか、それとも本格ミステリとメタ・ミステリが奇跡的にバランスした一つの到達点なのか。
    いずれにしろミステリ・ファンにとっては、最高の悦楽を与えてくれる必読の作品であることは疑いない。

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    2013年02月13日
  • キララ、探偵す。

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    ちょっとエッチなシーンもあったりするけれど、基本的にはミステリ。
    キャラが立っているので、読んでいて面白い。

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    2010年02月12日
  • 将棋殺人事件

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    後から全ての糸および意図が繋がる作品。
    将棋がさせる人はもっと楽しく読めるのだろうな・・・うらやましい!

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    2009年10月04日
  • 囲碁殺人事件

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    ゲーム3部作の最初の作品、囲碁、将棋、コントラクト・ブリッジと続くゲームとミステリの融合が頭を悩ませます。
    三部作の中ではトランプが個人的には好きですが、囲碁が一番ミステリとして純粋に楽しめます。
    囲碁の知識はヒカルの碁程度でも大丈夫!詰碁ってなにさ!?って人でもちょっと暗号の意味が解らなくて寂しい気持ちになるぐらいです。敬遠せずに読んでみてください。

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    2009年10月04日
  • トランプ殺人事件

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    再読です。高校時代に読み「竹本健治天才!!」と絶叫したこの本は心からのオススメです。推理小説でこんなドキドキするんだと感動しました。この方の作品は難解らしく好みも有ると思いますが。智久君は永遠のアイドルです。

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    2009年10月04日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    近年読んだアンソロの中で一番面白かったです。質が違うなと思いました。ついこの前読んだホラーアンソロを藁とした時、こちらは完全に煉瓦。造りが頑丈すぎて我々は煙突からしか入れない。が、その唯一の入口さえ地獄へ直通ですからね。まったく、感謝して落ちていきたいですね。
    特に素晴らしかったのは初っ端わずか8ページほどの恐怖、どこか童話みのある骨、妙にリアルな正月女、それから大トリの人獣細工ですよね。頭抱えました、読後。こんな詰め込まんとってくれよ。俺をどうしたいねん。ほんまありがとうな。
    最近のホラーがことごとく好みじゃない俺には、こういうのはもう刺さりすぎて息ができないですね。穴だらけになった心を取り出して見せてあげたいぐらいです。あまりに鋭利。真の名作は劣化しないということを、この傷をもって証明したいぐらいです。

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    2026年09月14日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

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    ネタバレ

    服部まゆみ「雛」目当てで読み始めたけど全部じっとりとした怖さのある良いホラーだった。
    「骨」はちゃんと死に行くための儀式的なものなのかな。
    「正月女」田舎の嫌な男女関係が見えて気持ち悪い。ホラー展開でよかった。
    「或はぐれ者の死」他人は薄情。ここまでならなきゃ見つけてもらえない者がいるのか。
    「雛」執着と人形のじっとりとした話。期待したよりも不気味で嬉しかった。

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    2026年07月22日
  • 新装版 匣の中の失楽

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    「第4の奇書」としか情報なしで読破。読み切るのが大変だった。
    現実がどこにあるのか?虚構がどこまでなのか?
    あのエピソードはどっちなのか?わからないまま終わる感じは、色々語れるのかも。

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    2026年02月19日
  • 狂い咲く薔薇を君に~牧場智久の雑役~

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    コメディテイストでどの話も読み易い学園もので面白かった。学園ものなのにすべて殺人事件なのは少し想定外だったが楽しめた。

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    2026年02月18日
  • トランプ殺人事件

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    ゲーム三部作最終作!
    コントラクト・ブリッジの最中に鍵のかかった部屋から女性が消失、その後廃屋の密室で遺体として発見された…
    三部作順番通り読むと、作品ごとの方向性を変えているのが感じられる。
    自分が一体何を読まされているのか?物語の進む方向性も暗闇の中手探りでジリジリと進んでいる様な不安を感じつつ迎えるラスト…
    そしてここから牧場智久シリーズへと続いていく…

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    2025年10月26日
  • 涙香迷宮

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    すごい小説だった。ミステリーとしてのおもしろみには欠けるが、こういう趣向は大好きなので大いに楽しめた。自分でもいろは歌を作ってみたくなる。そういう人は多いと思う。

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    2025年05月30日
  • 涙香迷宮

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     囲碁界で有名な老舗旅館で起きた殺人事件と明治の傑物・黒岩涙香が残した48首のいろは歌に秘められた謎が交錯するミステリーで、この作品に関しては殺人やトリックよりも凄まじい難易度のいろは歌の完成度とこんなものを産み出せる作者に心底凄いという感想が浮かんだ。

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    2025年05月20日
  • かくも水深き不在(新潮文庫)

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    これはミステリか?ホラーか?幻想か?の連作短編集。
    一編ごとに成立した物語となっているが、どことなく収まりの悪さを感じながらも物語は進行していく。
    最終章「舞台劇を成立させるのは人でなく照明である」で照明が成立させる世界…読者である我々は只々受け入れるしかないのだ。

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    2025年03月09日
  • トランプ殺人事件

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    評価
     サプライズ ★★★★☆
     熱中度   ★★☆☆☆
     インパクト ★★★☆☆
     キャラクター★★★★☆
     読後感   ★★☆☆☆
     希少価値  ★☆☆☆☆
     総合評価  ★★★★☆

    サプライズ ★★★★☆
     猿使いの患者が戸川雅彦だったという部分は素直に驚いた。これは,そのようなサプライズが用意されている小説だと思わせない雰囲気があるからだろう。背景にあるのは時制の叙述トリック。しかし,時制の叙述トリックがあったとは感じさせないくらい,暗号やら事実を隠す叙述トリックがあるなど,技巧が尽くされた作品。猿使いの患者が戸川だと分かってから再読するとさらに怖い。
    熱中度   ★★☆☆☆
     大部な用語集が挟まっていたり,その用語集に暗号が画させれていたり,技巧は見事だが読みにくい。竹本健治作品らしい読みにくさがある。読みにくい原因は,何を意味するか分からない章が挿入されるからだろう。暗号は涙香迷宮でも感じたが,見事な暗号だとは思うけど,サプライズを感じられない。とても,自分には解読できそうもないと思わせるほど難解だからだろう。特に俳句のアナグラムを使った最後の暗号とか,すごいことはすごいけど…。この読みにくさは竹本健治らしさではある。

    インパクト ★★★★☆
     よく分からない小説というインパクトがある。あと猿使いの患者。猿使いの患者が話している内容は意味不明だが,猿使いの患者が戸川だという部分はインパクトがある。須藤の渡米もゲーム小説シリーズのラストを印象付けるという意味でインパクトがある。総合してインパクトはあるのだが,よく分からない小説だったという印象に終わってしまうおそれもある。

    キャラクター★★★★☆
     須藤,典子,智久の三人は安定。工藤もかなりいい味だしている。そして猿使いの患者。結構個性的だし,キャラクターの人間味はある。キャラクターがしっかりしているからこそ,猿使いの患者が戸川だと分かったときにインパクトがあるとも言える。

    読後感   ★★★☆☆
     猿使いの患者が戸川だと分かるラストはインパクトがある。須藤が渡米するというラストもインパクトがある。もっと読後感が悪くなってもおかしくなさそう。しかし,そこまでの読後感の悪さはない。竹本健治の文体が,読後感を悪くしないのかもしれない。

    希少価値  ★★☆☆☆
     かつてはさっぱり手に入らない作品だった。しかし,創元と講談社文庫で再販されかなり手に入りやすくなっている。とはいえ,油断しているとまた手に入りにくくなる可能性はある。

    総合評価  ★★★★☆
     かなりの技巧が尽くされた作品である。猿使いの患者の存在のインパクトも抜群。戸川という男が崩壊していく様が描かれているのは再読すると素直に怖い。叙述トリックとして,小説部分には,事実と話していることを混在させるという叙述トリックと時制の叙述トリックが仕込まれている。難解な暗号も3つ用意している。作中作を利用した構成は匣の中の失楽を思わせる。作中には自殺しか起こらないし,密室トリックはトランプを使った物理トリックとチープ。トリックよりプロット・構成で勝負する竹本健治らしい。事件そのものは大きな事件でないが,インパクト・存在感はすごい。傑作といっていい作品だと思う。★4で。



    〇 メモ
     前半部分は,天野が事実をもとにして書いた小説という構成
    【前半部分】
     天野,園倉,戸川及び園倉の4人がコントラクト・ブリッジをしばしば徹夜でしている。また,天野が勤務する精神病院にいる肩に猿がいる男の話が挿入されている。
     普段は天野‐園倉,戸川‐沢村のペアでブリッジをしている。しかし,ある日,ペアを代え,天野-沢村,園倉‐戸川のペアでブリッジをする。戸川は普段と違うピリピリした雰囲気を感じる。園倉のミスがあり,天野-沢村ペアが有利な展開。最後は園倉-戸川のペアが見事なプレイで逆転。そのとき沢村が「知ってたのねーやっぱり。」,「死ねばいいのよ」と言う。そのとき,誰もいない部屋で湯が沸く。そして,密室から沢村が消失する。沢村詠子の死体は神奈川県座間市の園倉の家にそっくりな家で発見される。
     カードゲーム用語集とコントラクトブリッジ用語表
     天野の子ども時代の回想
    【後半】
     天野,須藤,典子及び智久がコントラクト・ブリッジをする。
     須藤達が天野の書いた小説を読む。智久は天野の小説の序盤に出てくる沢村と戸川の会話に出てくる俳句がアナグラムだと気付く。
     天野の患者の猿使いの男が自殺する。智久は,用語表の中に沢村が暗号「園倉さんへ,これが分かったならひそかにサインをください」という暗号を仕込んでいたことに気付く。さらに「園倉さんへ,戸川さんとペアを組んだときは負けて下さい」という暗号があった。
     智久と典子の推理。戸川と沢村は別のペアになってブリッジをしたとき,何かを賭けていたと考える。天野の記憶で沢村が失踪した日の戸川の手を再現。それが悪魔のクーと呼ばれる手札だったことが分かる。
     智久は,用語表から更に暗号を見付ける。「私は戸川さんの自殺を喰い止めようとしたが,もう疲れた。今ではそれを手伝ってやりたい気持ちさえある。」という暗号だった。
     戸川と沢村の間には自殺の賭けがあったのではないか。別のペアとなったときに戸川が勝てば自殺を認め,沢村が勝てば自殺を辞める。
     天野は「あの小説にはフィクションと言ってもいい部分がある……。けれどもこれは断言しておいていいですが,あの小説には事実以外のことは一行も書かれていないのです」と言う。
     典子は,須藤に渡米の話があることを聞く。
     智久は,更に暗号が隠されていることに気付く。鍵は,小説冒頭の俳句のアナグラム。この順番で語順を入れ替えると…「誰がどう挟んでもイカサマあり」
     天野がカットをしないというクセを利用したいかさま。沢村が用意したいかさまを利用して戸川が死を賭けたブリッジ勝負に勝ったのだ。
     典子と智久の会話。智久は,前半の小説の10章は天野がこのことを書いたことは事実。しかし,その内容が事実とは限らないということに気付く。この小説が事実として示すのは単なる失踪事件。それをごまかすための粉飾がされている巧妙な叙述トリックだった。
     天野は,沢村が自殺をしたことだけは確信していた。しかしその背景が分からない。そこで須藤,典子及び智久に背景を推理させた。密室はカードを利用したトリック。沢村は戸川の自殺を止めるために自殺をした。あるいは,沢村の自殺は戸川に対する復讐だったのではないかと。
     天野による告白。自殺した猿使いの男こそ戸川だった。沢村の消失事件が起こったのは1年前のことだった。

    戸川雅彦
     沢村詠子と二人で一つのペンネーム(邪理)を持つイラストレーター。猿使いの男となり最後は自殺
    天野
     精神科医。沢村詠子の自殺の背景を知るために,小説を書き,須藤,典子及び智久に読ませる。
    沢村詠子
     戸川雅彦と二人で一つのペンネーム(邪理)を持つイラストレーター。密室で自殺する。
    須藤信一郎
     天野の大学時代からの友人。若き大脳生理学者。今作品の最後で渡米
    牧場典子
     須藤の助手。牧場智久の兄。ミステリマニア
    牧場智久
     IQ208の天才少年
    園倉龍吉
     紀伊では有名な素封家の四男。洋館に住んでしばしば戸川,沢村及び天野と4人で徹夜でブリッジをしている。

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    2025年02月24日
  • 狐火の辻

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    ページ数は多くなく読みやすそうだったのと、このミス1位にもなった【涙香迷宮】の作者竹本健治だったので軽い気持ちで手に取った。

    予想を大きく上回りかなり面白かった!
    怪談とホラーを上手く取り入れており、怪談部分もかなり現実的で深掘りされてるのが興味深い。

    ミステリー部分もきっちり謎に意味があり伏線回収もキレイな見事な作品でした。

    ホラー過ぎずミステリー過ぎずなので、ガッツリこの要素を求めてる人には少し物足りないかも!?

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    2024年08月13日
  • 新装版 匣の中の失楽

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    日本における第四の奇書と言われているこの小説は、1978年に発売された著者のデビュー作です。
    約800ページと、かなりの長編です。
    専門的な話が出てきますが、基本的にはテンポよく読めました。
    どんでん返しの要素もあり、本格ミステリでしたが、奇書と言われるだけのことはありました。

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    2024年04月10日
  • 狐火の辻

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    最初は一見関係なさそうな事故話や怪談話が、断片的に語られてなかなか掴みどころがないのですが、それが徐々に関係性を持ち始め、最終的に一つの線に収束するのは気持ちよかった。(謎が魅力的過ぎて、真相が少し肩透かしなのはご愛嬌)

    中盤で語られる、タクシー怪談のルーツに関するくだりはこれ一本で本書けるんじゃないかと思うほど面白かった。

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    2024年02月12日
  • 涙香迷宮

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    いろはの謎解きのクオリティが高く超大作ともいえるかもだが、
    囲碁、将棋のくだりは自分には難しくてよくわからなかった。

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    2024年01月15日
  • 瀬越家殺人事件

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    いろは文字を使ってミステリを描くという前代未聞の、確かにこれは奇書です。「涙香迷宮」を読んだ時に凄いと思いましたが、今回はそれ以上。ちなみにイラストも竹本さんなのですね。もう存分に味わいたい一冊です。
    アートブック形式なので、ページ数のわりにお値段高め。そしてこんなページ数ならさくっと読めちゃうんじゃ? と思いましたが。トータル文字数は少なくても、中身はとことん濃いです。いやほんと、いろは四十八文字でこんなことができるだなんて。きちんと起承転結のミステリになってるわ、ちょっとゴシック感のある雰囲気も横溢しているわ、ささっと読み飛ばしてしまうのはできないことはないけれど、それはあまりにもったいない一冊でした。もちろん絵も雰囲気ありますし。ページを取り外してお気に入りの一枚を飾ることもできるようですが。うーむ、選べないし、ばらしてしまうのもなんだかもったいないです。

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    2023年12月17日
  • 涙香迷宮

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    パングラムとは「いろはにほへと」のようにある言語の文字をすべて使って文章を作る言葉遊びのことだそうです。例)色は匂へど散りぬるを…など

    本書はその「いろは」だけで四十八首も作成した黒岩涙香さんのパングラムが、それ自体暗号だったのでは?というミステリーでした。

    作者の博覧強記ぶりも去ることながら、やはり涙香さんの多才ぶりがすさまじいです。
    涙香さんといえば江戸川乱歩『幽霊塔』の原案者?くらいの知識しかありませんでしたが、とんでもないお方でした。
    日本ミステリーの祖なのはいうまでもなく、新聞社を経営して将棋欄や相撲欄を初めて作ったり、レ・ミゼラブルを『ああ無情』と訳したり、現在まで続くかるた大会を主催したり、囲碁やビリヤードは玄人はだしだったり、その万能ぶりは遊芸のレオナルド・ダ・ヴィンチと称されるほど、だそうです。
    なかなか渋いいろは歌。
    *
    ふうりんのねよ さやけくも
    ときつあいろを わたらひぬ
    ゆめちるまへに こゑせしか
    むゐそおほえて すみれはな
    風鈴の音よ 清けくも
    時つ隘路を 渡らひぬ
    夢散る前に 聲せしか
    無為ぞ覚えで 菫花
    *
    次は涙香さんに関する本を読んでいきたいと思います。

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    2023年11月18日