竹本健治のレビュー一覧

  • 汎虚学研究会

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    全寮制のミッション系高校を舞台とした一風変わった青春ミステリの短篇集。汎虚学研究会という、奇妙な面々を中心に巻き起こる事件の数々はミステリ、ホラー、青春小説と幅広く、単なる事件の謎だけではない、物語としての謎が多分に含まれている。一見まばらで統一感が無さそうにも思うが、逆にこのごった煮感は他に類を見ない。短篇一つ一つのキレも抜群によく、型にはまらない独特の読後感と余韻は魅力的。

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    2019年05月07日
  • 新装版 ウロボロスの偽書(下)

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    『トランプ〜』に続き、竹本作品五作目。ウロボロスシリーズ、第一弾。マトリョーシカみたいな…でも、最終的にはブラックホールのような作品。これは一体なんだったのだろうか——。

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    2019年05月03日
  • トランプ殺人事件

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    『将棋〜』に続き、竹本作品四作目。ゲーム三部作、完結編。本編も面白かったけど、こんな暗号文を作れることにより大きな感嘆を抱いた。この作品の上位互換が『涙香迷宮』なのか…。恐ろしい……。星三つ半。

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    2018年09月01日
  • ウロボロスの純正音律(下)

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    ネタバレ

    面白かった!
    下巻はいろんな謎がどんどん解けていくので先が気になって一気に読めた。

    登場人物もみんな個性があってそれだけでも楽しいし、事件や推理合戦ももちろん面白かった。
    事件自体の謎は細かい疑問ポイントを覚えて繋ぎあわせながら読んでいけばもしかしてこういうことかも、とはわかるけど暗号だったり謎の地下迷宮だったりワクワクするポイントが多くて惹きつけられる。
    囲碁や暦の薀蓄?謎?は私にはなかなかぴんとこなくてあまりちゃんと理解できないまま進んじゃったけど…。
    それと黒死館読んでる人はもっと楽しめるかも。

    作者のあとがきや喜国さんの解説?というかあとがき?(むしろ作品の一部って感じすらある)も

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    2018年07月06日
  • ウロボロスの純正音律(上)

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    多数のミステリ作家やその界隈の人たちが実名で登場する。
    実のところ京極先生目当てで読み始めたんだけど面白かった。

    登場人物が多すぎるので読者があらかじめその登場人物のことを知らないと誰が誰だかわからなくなりそうだな感じはするかな…。
    逆に出てくる作家陣を知ってるうえに好きだったりするとそれだけでも十分楽しいかも。

    事件の展開も気になるけど、いろんな分野の薀蓄も多くて興味深い。

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    2018年06月28日
  • トランプ殺人事件

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    コントラクト・ブリッジを題材にしたミステリー。コントラクト・ブリッジの説明文に組み込まれた複雑な暗号を解き明かす。コントラクト・ブリッジを知らなくても十分に楽しめる型破りな小説。シリーズの登場人物の須藤と典子の関係にも進展が・・・。トランプと麻雀との繋がりがあることが解る麻雀殺人事件を含む。

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    2018年05月06日
  • 将棋殺人事件

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    将棋でも詰将棋がミステリーのメインになっている。実際の殺人事件とつながりのある噂の元を調べていくうちに詰将棋との妙な関連が疑われてくる。人間の精神の謎を含んだ奥深いミステリー小説。オセロ殺人事件の短編を含む(オセロとリバースと源平碁の違いが判る)。

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    2018年05月06日
  • 緑衣の牙

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    智久・類子シリーズ第3作。
    綾辻さんの「緋色の囁き」とセットで楽しむとよさそう。
    読み直すかしら。

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    2017年10月29日
  • キララ、探偵す。

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    いかに直接的な単語を使わずにそっちの描写ができるか腕の見せ所。またしても偶然の連続。矢吹ジョー(20世紀少年)。

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    2017年08月18日
  • しあわせな死の桜

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    短編集。幻想あり、ミステリあり、これまでのシリーズに繋がりのあるものも多くて、読み応えたっぷりです。
    お気に入りは「トリック芸者 いなか・の・じけん篇」。なんてったって久々のトリック芸者シリーズ! 懐かしいなあ「そこはそれ」。この一言は最強ですよねえ。
    「漂流カーペット」も面白かったです。ううむ、まさかあのネタだったとは! 一見ナンセンスだけどしっかりミステリな部分もあって素敵です。
    そして表題作「しあわせな死の桜」。この作品がラストで、このイメージのままこの一冊が終わるのはなんとも素敵な読後感でした。幻想的なイメージが印象的です。

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    2017年05月31日
  • 新装版 匣の中の失楽

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    噂に聞いてたとおり、なにが現実でなにが作中作なのか……酩酊感がすごい。
    この人物はどっちで死んだんだっけ?などもごちゃごちゃになってくるので読むときは勢いをつけて一気に読みきってしまったほうがいいと思う。
    私は、だらだらとしてしまったので結構戻って確認したりしながらになってしまった。

    結局最後はこれが真実なのかな、というようなのはあるもののもうここまで来るとなにがなんだかわからないし推理を信用できないというのが正直なところ。

    構造はややこしいものの、文章自体は読みやすいのでこれを若くして書いたというのはほんと物凄いことだなぁと。

    何年後かでも一気に読めそうな時がきたらまた読んでみたい。

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    2017年05月10日
  • 囲碁殺人事件

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    あとがきで約40年前の作品と知って驚く。再刊にあたり、昭和の年号は削除したものの、その他の内容はいじっていないというが、時代の古さはさほど感じられない。描かれている囲碁規約の現在との相違点などは、十数年前の漫画『ヒカルの碁』でさえ、コミ5目半の設定(現在では6目半)であったことから、大した問題ではない。気になった箇所があるとすれば、小学生の牧場智久が「~かしら」という言い回しをする部分。いま小学生が言うものなら、昭和か、と突っ込みを入れられる。

    続編である『将棋殺人事件』と『トランプ殺人事件』を著者は「狂気3部作」のうちの2作としている(残りの一作は『匣の中の失楽』である)。つまりこれらは、

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    2017年06月22日
  • かくも水深き不在(新潮文庫)

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    ミステリーだと思って読み始め、ホラーじゃないか!って泣きそうになり、ラストで強引にまとめられる(個人的には嫌いではない)感じがよいです。
    ややこしくて強引で、ひっぱられて突き放されるみたいに終わるとこがとても好き。
    解説にもあったけど、この感じがうまく説明できないんだよなぁ…

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    2017年04月15日
  • 新装版 匣の中の失楽

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    第4の奇書ともいわれる本書では、章をまたぐ度に「ん?今まで何の話を読んでたんだろ?」と訳がわからなくなる。そして、松山俊太郎氏の解説を読むと「あぁ、なるほど、うーん、でもまだよくわからん」となるが。。これはちょっと落ち着いて再読せねばなるまい。

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    2017年02月09日
  • 新装版 匣の中の失楽

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    本編は講談社ノベルス版で読んでいたけど、小説はやっぱり文庫版サイズで統一したいという思いと、ノベルス版になかったサイドストーリー目当てで。サイドストーリーは本編の前日譚にあたるのかな。ナイルズとホランド、そして黒魔術師曳間の、現実と現実の狭間のお話。

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    2017年02月04日
  • 新装版 匣の中の失楽

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    日本四番目の奇書?はたして。
    ミステリーマニアの仲間たちのなかで、奇妙な連続殺人が起こる。それは仲間の一人が書いた小説と酷似していて…。
    上記の情報は前もってわかっていて、それだけに本格推理物として読もうとすることはどうしてもできず。内容もミステリの部分よりも衒学的で奇をてらうような語りが心をつかんで離さない。序盤の「十戒」を自分達でたてる辺りで狂気を感じただ傍観するように読み進める。
    確か書店のフェアで見つけて、ポップを書いた人は書庫に籠って時間を忘れてよんでしまったみたいなエピソードがあって、それはすごくわかる。ある種の人間をひきつけてやまない妖しさがあるというか。だから、人によって評価は

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    2017年01月28日
  • 新装版 匣の中の失楽

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    双葉文庫版を10年以上前に読んだきりですが、今回こちらに「匳の中の失楽」も併せて収録されるということで購入。久しぶりの再読になりました。
    この作家さんにしか出せない空気感みたいなのが濃厚に漂ってて良いですよね。あの章が変わる毎に襲い来る酩酊感を楽しみながら、今回も作品の中を漂ってきました。

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    2016年01月30日
  • 囲碁殺人事件

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    囲碁を題材にしたミステリー。囲碁好きには結構良いかも。というか、コウの複雑なルール解説が途中で出て来たりとか、むしろ囲碁好きじゃないと読めないだろこれ。
    もう少し囲碁のルールについて勉強したくなる一冊。

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    2014年07月04日
  • キララ、探偵す。

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    4- 

    ここ最近読んだ本の表紙がある特定の傾向に偏っているのだが(別名買うのがちょっと恥ずかしいシリーズ)、そこはご愛嬌。意図的に“片付けている”ようなものなので、どちらかと言えばあまり期待せずに読んでいたのだが、そんな中、本作は意外や面白かった。プロット、筋立て、キャラ造形と単純に上手い。ロボットやエロなど、いろいろと味付けされているが紛れもなく探偵小説であるし、特に2話の犯人を指摘する場面など、“緋色の研究”のシャーロック・ホームズそのものの言い回しでニヤリとさせられる。もしかしてホームズ全集ぐらいはインプット済みか、という深読みを誘発させられて楽しい。
    と言うか思ったほどエロ描写は多く

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    2013年08月05日
  • トランプ殺人事件

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    ネタバレ

    「私たちが無力感に苛まれ続ける限り、彼らは既に彼らではなく、私たちを含めた存在であるのです。なぜなら、分裂症とは、人間と人間とのあいだにおいてのみ存在する病気だから。彼らを理解し得ないならば、私自身も彼らと同じ場所に立っているに過ぎない。少なくとも病院という空間のなかでは、私は一人の患者でしかないのです。」面白かった。でも、彼のウロボロス三部作や『匣の中の失楽』といった名作には到底及ばない。

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    2013年02月26日