あらすじ
土砂降りの雨の夜、湯河原の町で起きた轢き逃げ事件。数年後、またも温泉街で生じた交通事故。どちらも犯人逮捕に至らないまま、再び起きた郊外の交通事故では、なぜか被害者が跡形もなく消えてしまった。連続する事故に興味を抱いた刑事の楢津木は、やがて街中で次々に起こる奇妙な出来事や怪談にも繋がりを見出すが捜査は難航。彼はIQ208の天才棋士、牧場智久の力を借り真相解明に乗り出す。本格ミステリ大賞受賞作、『涙香迷宮』の流れを汲む迷宮的サスペンス・ミステリ。
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Posted by ブクログ
最初は不気味かつ断続的な話が続いて少し混乱するが、それが段々と結び付き、最後に筋が通るのが面白かった。
初めは心霊やオカルトかと思った部分が伏線になっているのも驚きがある。
Posted by ブクログ
ページ数は多くなく読みやすそうだったのと、このミス1位にもなった【涙香迷宮】の作者竹本健治だったので軽い気持ちで手に取った。
予想を大きく上回りかなり面白かった!
怪談とホラーを上手く取り入れており、怪談部分もかなり現実的で深掘りされてるのが興味深い。
ミステリー部分もきっちり謎に意味があり伏線回収もキレイな見事な作品でした。
ホラー過ぎずミステリー過ぎずなので、ガッツリこの要素を求めてる人には少し物足りないかも!?
Posted by ブクログ
最初は一見関係なさそうな事故話や怪談話が、断片的に語られてなかなか掴みどころがないのですが、それが徐々に関係性を持ち始め、最終的に一つの線に収束するのは気持ちよかった。(謎が魅力的過ぎて、真相が少し肩透かしなのはご愛嬌)
中盤で語られる、タクシー怪談のルーツに関するくだりはこれ一本で本書けるんじゃないかと思うほど面白かった。
Posted by ブクログ
手掛かりから推理を経て、謎が解き明かされるという、一般的なミステリ的な手順からは外れている。何せ、クライマックスは肝心の名探偵(牧場智久)抜きで進行するのだ。けれども意味不明な出来事の意味が、あるとき腑に落ちる、その快感はミステリでしか味わえないものでもある。巻末の解説によると、作者はロス・マクドナルド氏の「さむけ」を引き合いに、ミステリは伏せたカードをめくっていくようなものと規定した上で、本作の意図を語っている。なるほどという感じ。とりあえず、めちゃくちゃ面白かった。
Posted by ブクログ
何の状況説明もなく、序盤から轢き逃げ事件や怪談話、噂話に謎の独白といった断片的なエピソードが次々と提示されるだけで、物語の行く末が全く掴めないまま物語が進むが、段々と各エピソードに繋がりがあることが示唆される。探偵役の登場を皮切りに、各エピソードが集結し、最後にパズルのピースがきっちり埋まる技巧性は凄いとは思うが、そもそものお話が面白みに欠けるので、読後感は今ひとつ。ロス・マクドナルドの「さむけ」を参考にしたとのことだが、あの作品ほどの引きは全くない。探偵役が長々と語るタクシー怪談の歴史が一番面白かった。