夢枕獏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
男による男のための、実に男くさい小説。
エヴェレスト南西壁、極限に挑んだ羽生や山男達の物語のようで、実はカメラマン深町がただひたすら、もんもんとする、実に青臭い男の物語でもある。
「なぜ登るのか」は「なぜ生きるのか」に通じる問いかけ。
登場する男たちは、山頂に到達した時の達成感、高揚感、清々しさとは無縁で、その高嶺にある幻影を求め、悩み、うめき、歯を食いしばり、這うように歩き、まるで胃袋のものを吐き出すように言葉を絞り出していく。
深町も言っているけど、あの場所、あの濃い時間を一度体験してしまったら、もう日常と言う、ぬるま湯の世界では生きられないんだな。取りつかれた者たちの物語。 -
Posted by ブクログ
ものの怪は物の気配、本来は人と物との間に生じた気配、それを感じ取ったもの。しかしそれに名を与え、人の思いを乗せることで神にも鬼にもなると言う。鬼がまだ「もの」と呼ばれていた時代の話…
これもやはり、人と物との関係性を起点に産み出されるという点では「われーなんじ」の世界に繋がるものと言えるだろうか。
人間は「人と間」によって形作られる存在と言えるか。しかし決して「人」と「間」は切り離せない。われーなんじの「ー」こそ「間」であるのか。となると「間=ー」とは、なんじに対するアプローチ、動的な側面を持ちうる文字(記号)となるだろうか。
人間は、人ー間間ー人(「物」でもよいが)ということでしか存在し得ない。絶対的な個としての単体の「人」の存在はあり得ない。故に人間と書くのか。否応なくそうせざるを得ないから。
陰陽師やシャーマンが当たり前にいた時代、文化は「間」との繋がり、アプローチ、認識がより身近だったのだろうな。それ故、間と間が混ざりあうことで、多くの物の怪が生まれたのだろう。
物の怪のもつ不思議な魅力…それは、かつては当たり前に共有できたが、時代と共に消え失せていった「間」への狂おしいほどの憧憬がそうさせるのかもしれない。
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Posted by ブクログ
夢枕獏『牙の紋章』徳間文庫。
久し振りに読む夢枕獏の格闘技小説。
過去にムエタイのチャンピオンのイスマール・ソータンクンと闘ったことで藻掻き続ける2人の格闘家を描く。
引っ張るだけ引っ張り、結末をはっきりと描かないのはよくあるパターン。
空手家の片山草平は、かつてムエタイのチャンピオンのソータンクンに完敗した過去を持つ。以来、その過去に縛られ、前に向かうことに躊躇する片山はある日、路地裏でヤクザ者たちに土下座するキックボクサーの陣内雅美の姿を目にする。
陣内もまた過去にソータンクンと闘っているのだが、ソータンクン側の八百長で煮え切らない形で勝利していた。以来、やる気を失い、キックボクサーを引退した陣内はヤクザ者の女と懇ろな関係になり、揉めていたのだ。
ソータンクンに人生を狂わされた片山と陣内の2人の不器用な格闘家が足掻きながらも、再び夢に向かい、走り出す。
本体価格900円
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Posted by ブクログ
原案・板垣恵介、原作・夢枕獏、漫画・藤田勇利亜『漫画 ゆうえんち 3』秋田書店。
全5巻をもって完結した夢枕獏の『小説 ゆうえんち』でイラストを担当した藤田勇利亜が漫画化するという何ともややこしい作品。
やはり、原作とは少し構成やストーリーを変えてきた。オリジナリティが加わるのは大歓迎。原作に登場しなかったキャラクターが登場しても面白い。しかし、ストーリーはなかなか進まない。3巻を終えても、『ゆうえんち』の入口すら見えて来ない。
主人公の葛城無門は愚地独歩の養子になる愚地克巳の実兄という設定で、無門の師匠の松本大山は範馬刃牙の恋人である梢江の父親という設定だ。
既に夢枕獏の『小説 ゆうえんち』を読んでいるので最初から解かっているのだが、ようやく松本大山に瀕死の重傷を負わさた人物の名前が明らかになる。その人物は、範馬刃牙とも死闘を演じた空道の使い手、柳龍光。
無門は大山の仇を討つべく、柳龍光の所在を探る。
ちらりと範馬刃牙も登場し、花山薫の握撃も描かれる。
柳龍光は『ゆうえんち』に居るんだけどね。
本体価格660円
★★★★