夢枕獏のレビュー一覧
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バキ外伝小説の「ゆうえんち」のコミカライズ9巻。
まるっと無門と羽鳥薫の戦い。
忍者?ニンジャ?どちらの表記の方が羽鳥と表すのに相応しいのか。外連味たっぷりの観覧車対決をメインに据えるならニンジャかと思うけど、猛虎落地勢を使いこなす勝負への執念を鑑みると忍者になるのか。
「ゆうえんち」全編通じて、観覧車対決はベストバウトに選んでしまいそうな戦いではあるのでニンジャなのかな。
アクションスターのニンジャ、仕事人の忍者という区分けかなぁ。
愚地独歩の後ろ姿に、私刑執行スーパーマンのマルス・リードの登場も好ましいですが、観覧車対決がやっぱりいいです。
無門と羽鳥だけではないですが、肉体も精神もイカれているメンツばかり参加しているのだ、というのがすごくわかりやすいです観覧車対決。
書いていて気づいたけど、羽鳥薫ってハットリくんをもじってるのか。作中でも無門が揶揄するように言っていたけど、そこで気づきませんでした。「くん」を「薫」の音読みにしてるのだね。自分のセンスの無さが悲しい。 -
Posted by ブクログ
原案・板垣恵介、原作・夢枕獏、漫画・藤田勇利亜『漫画 ゆうえんち −バキ外伝− 9』秋田書店。
5巻をもって完結した夢枕獏の『小説 ゆうえんち』でイラストを担当した藤田勇利亜が漫画化するという何ともややこしい作品。
月1連載につき、ようやく第9巻に到達。ゆうえんちへの参加者が何人居るのか明らかにされていないので、連載を続けようと思えば、無限に続けられるだろう。夢枕獏の『小説 ゆうえんち』の方は葛城無門がゆうえんちの主催者である蘭陵王と無門の師匠の仇である柳龍光を倒して、幕を閉じるが、こちらの方はさらに一波乱ありそうだ。
前巻では主人公の葛城無門の闘いが無かったが、今巻ではいきなり忍者のような風体の男との闘いが始まる。忍者の名は羽鳥薫。
羽鳥の繰り出す忍術のような技はトリックに裏打ちされた奇妙なもので、柳龍光並みに卑怯な手を使って来るので、無門はかなり苦戦する。そこに姿を現した無門の叔父を名乗る神奈村狂太。この男もゆうえんちでライオンを素手で倒すなど、なかなかの強敵だ。
本体価格720円
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Posted by ブクログ
陰陽師シリーズの第1巻、面白かったです。
以前、映画を観て、興味を持ちました。
陰陽師の安倍晴明というと、超有名人で、いろんな物語になっていますが、やはり、夢枕獏さんの作品が一番代表的かと思います。
平安時代の稀代の陰陽師、安倍晴明と、その親友、源博雅との掛け合いが、とても魅力的で、心温まります。
源博雅、良い漢すぎる。
そして、夢枕獏さんが仰っていたのが、自分の一番の功績は、安倍晴明を美形にした事だ、と。
確かに、読んでる身としては、美形の方が萌えるのです(笑)
この本の物語は、6篇の短編集になっていて、内容も文章も読みやすいです。
妖怪も人死にも出てきますが、どこか、人間の憐れさと情が感じられました。
この巻で、今後読み続けるか判断しようと思ってましたが、もちろん、2巻目以降の続きを読もうと思います。 -
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ネタバレ[柔らかい家]
個人的にこの短編集のベストはこれ。この短編集は、冗長になってきた感じのある「キマイラ」よりも、全体的に密度が高くていい感じだけど、その中でも特に好み。「顔面崩壊」や「ポルノ惑星のサルモネラ人間」並の内臓感覚の描写が満載でいけてます。自分の娘を犯して子供を産ませて、それを餌にして魚を釣ったり、食べちゃったり。かなり鬼畜。
床を踏みしめたときの音が、板の隙間に詰まった小さな虫があげてる悲鳴だというのは、かなりいいたとえ。
[頭の中の湿った土]
なにもおこならいのが意外なオチ(?)の吸血鬼小説。地面に埋められた男の回想っていうで出だしは、独創的でかなり好き。吸血鬼ものっていうのはもともとエロチックなものだけど、この短編は特に近親相姦の雰囲気ありありで、母親が妙に色っぽい。
[鳥葬の山]
鳥葬っていうと、岩かなんかに生きたまま縛りつけてそのまま、っていう印象があるんだけど、本当はこんなふうにやるのかなあ。人体を解体するシーンが結構きてる。内蔵感覚っていうよりは、首の骨なんかにナタが食い込む感触だけど。
[閑古鳥]
この前の話を読んでるときに、自分の一番愛している人を食べたら一番うまいっていう話を思いついて、やったと思ってたら、いきなり次にその話が載ってやがんの。まいったなあ。でもこれは偶然というよりも、この人の文体かなんかにそういうものを連想させる雰囲気があるってことなんだろうな。あー、くやし。
”お母さんの料理”のダブルミーニングがなかなかうまい。この短編は倒錯したユーモアになってるけど、この作者にとって愛しているものを喰べるというのはかなり重要なテーマなのかも。
[あやかし]
こういうふと狂気がちらつく瞬間って怖いよなあ。そのひとが、きれいな人だったりするとよけい怖い。でも子供がこういう女性に惹かれるというのはよくわかるけどね。最後のオチはちょっとありきたり。もうちょっとなんとかしてほしい。
[超高層ハンティング]
夢枕獏っぽくない短編。どっちかというと菊地秀行っぽい。この人の短編にNASAとか遺伝子改造とか出てきても、なんか違和感ある。
ただし、話のできそのものはかなりいい。ガジェットの密度とスピーディな展開で傑作だっていってもいいかも。”念子”とか”念呪者”とかいった単語は、ちょっと無理がある気もするけど、時層をずらすとか宇宙の弾力なんてアイディアはいけてる。獏さんっていうとのんびりした展開の話ばっかりというイメージがあったから、ちょっと以外だった。こういう話ももっと書いてもらいたい。っていうか長編化してもいけるかも。
[羊の宇宙]
禅問答みたいな短編。結局うまくはぐらかされただけという気もするし、理系の俺としては細かい部分で突っ込みたいところがあるけど、雰囲気はいい感じだから、まあいいか。
個人的には、実は物理法則っていうのはそんなに単純なものではないんじゃないかって思ってるけどね。
[渓流師]
不思議なことは何も起きなくて、別にどうということのない話なんだけど、山の描写とか典型的な夢枕獏節が気持ちいい。これは「ヘッドハンター」を読んでいたときの居心地の良さに近いかも。あれも延々とハンティングの話だったけど、面白かったもんな。 -
Posted by ブクログ
下巻ではいよいよ、エベレストに挑む本格的な登攀が描かれます。呼吸しても酸素が吸えず、氷壁はピッケルをはじき返す。人間の力では到底太刀打ちできず、一手でも間違えば死に直結する描写の連続に、緊張感があります。
そんな極限の環境で、人生すべてを振り絞るように進む羽生の姿は圧巻でした。人間離れした執念と孤高さが、ページをめくるたび胸を締めつけます。彼は他者を寄せ付けず、人として閉じていた存在ですが、同じ夢を追う深町と、あえて手を取り合うわけでもなく、ただ同じルートを進んでいく。
友情でも、利害でもない、奇妙で純度の高い関係性が、物語に独特の静かな熱を与えていました。
羽生という孤高の登山者が山と対峙する姿は、自己証明のようであり、破滅への道のようでもある。その苛烈さが作品全体を包む緊張感と美しさを生み、読後に深い余韻を残します。
山岳小説にあまり触れてこなかったのですが、描写・ドラマともに最高峰と呼べる完成度です。自然の圧倒的な力、極限状況での人間の矛盾と美しさ、そのすべてが詰まった傑作の下巻でした。