あらすじ
片山草平は、新宿の路地裏で四人のやくざ者に土下座して女の行方を問う陣内雅美の姿を見た。陣内は一瞬のうちに男たちを倒し、消え去った。ムエタイのチャンピオン・ソータンクンに挑み、完膚なきまでに叩きのめされた過去を持つ、北辰館の空手家・片山。そして、ソータンクンの片八百長で思わぬ勝利を手にし、それに絶望、やる気を失ったキックボクサー陣内。かつて過ごした濃密な時間の中にもう一度身を投じようとする二人の格闘家。不器用すぎるほどに純粋で愚直な彼らを通し、男の藻掻き生きる姿を描く、格闘ビルドゥングスロマン。
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熱い
夢枕獏先生の作品、久しぶりに拝読しました。相変わらず面白い。片山、陣内、三島、各々の格闘家としての生き様は今時見ることのない男の憧れの生き様。カッコ!
Posted by ブクログ
夢枕獏『牙の紋章』徳間文庫。
久し振りに読む夢枕獏の格闘技小説。
過去にムエタイのチャンピオンのイスマール・ソータンクンと闘ったことで藻掻き続ける2人の格闘家を描く。
引っ張るだけ引っ張り、結末をはっきりと描かないのはよくあるパターン。
空手家の片山草平は、かつてムエタイのチャンピオンのソータンクンに完敗した過去を持つ。以来、その過去に縛られ、前に向かうことに躊躇する片山はある日、路地裏でヤクザ者たちに土下座するキックボクサーの陣内雅美の姿を目にする。
陣内もまた過去にソータンクンと闘っているのだが、ソータンクン側の八百長で煮え切らない形で勝利していた。以来、やる気を失い、キックボクサーを引退した陣内はヤクザ者の女と懇ろな関係になり、揉めていたのだ。
ソータンクンに人生を狂わされた片山と陣内の2人の不器用な格闘家が足掻きながらも、再び夢に向かい、走り出す。
本体価格900円
★★★★