高殿円のレビュー一覧
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プロローグから、テンポの良い大阪弁の丁々発止のやり取りに笑ってしまった。
物語は大阪京橋にある、言わずと知れた、あのビルがモデル。
逞しく生き抜いてNo.2にまで上り詰めたホステスのルーと、不動のNo.1ホステスの真珠。
この手の話にありがちな「女の闘い」は二人の間には無い。
真珠をどこまでも慕うルーと、ルーを優しく包み込む真珠。
月70万も稼ぎながら長屋で慎ましく暮らす真珠は、辛い過去を背負っていた。
真珠の心中は分からない。良く生き抜いたと思う。
そして、ルーも。
高殿氏はインタビューで「キャバレー文化を筆で残しておきたいと思った」と語っている。
哀しくも温かく、夢中で読んで心を揺さぶられた。
手元に残しておきたい一冊。 -
Posted by ブクログ
政略結婚ってタイトルからイメージした話とは随分違った内容でしたが、三篇それぞれ面白かったです。
江戸後期から明治までを生きた加賀前田家のお姫様の時代と、明治半ばの、パリに生まれた子爵家のお嬢様の時代と、第一次世界大戦後の昭和金融恐慌で没落した公家の流れの伯爵家令嬢の昭和・平成。
血筋や家名に掛けられた呪いが変遷する時代の波に翻弄され、やがて蜃気楼のように溶けていくまでの三世代。
三つの話を繋ぐのは九谷の絵皿。とすると三話目の主役は実は皿の持ち主の峰山奈知子なのかも?(三話目でも「蕗野」が出てくるのかと思ってたけど違った。)
氏より育ちと言うけれど、彼女たちの聡明さと時代に立ち向かう凛々しさは名家の姫ならではと思わされたりもする。血は尊い、と感じるのは、血と共に誇りと覚悟を脈々と受け継いでいるからであろうか。実に何とも、そういう世であった。
カバーの絵は、底抜けに甘々の文庫版よりも単行本のデザインの方が好き。 -
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「上流階級」シリーズ、やっぱりおもしろい!
其の一から少しずつ、静緒と桝家の関係が変化している。静緒も桝家も、ぶつかりながらもお互いを認めていて、将来の孤独への不安を抱えている。
日頃考えないようにしているけれど、将来の孤独への不安は私自身も感じていて、共感できた。
外商なんて全くの異世界の話のような気がしていたけれど、静緒の仕事への姿勢や考え方は、どんな仕事にも参考になることがあるように思う。
外商はお客さんのプライベートに深く入り込む仕事だけに、静緒が珠里との関係に悩んだように、バランスが難しいんだろうと思う。
外商でなくても、長く付き合いのある取引先に情がわいたり、「これって仕事としてはやり過ぎだよな」って思うこともあるような気がする。でも、そういう中から信頼が生まれたりもするわけで、互いがバランスをうまくとれる関係が大事なような。
ジェンダーフリーの時代だけど、男性と女性の考え方の違いとかも、静緒の仕事を通して「なるほど」と思わされることも多かった。やはりまだまだ、男性社会の中で女性がやっていくのは大変なんだな…。
静緒と勇菜ちゃんのやりとりも興味深かった。
最後の桝家のお母さんとの結末も、予想外にジーンときた。
静緒は、どんな問題や課題が襲いかかってきても、いろんなことをちゃんと受け止めて進んでいくところがすごい。
うっすらと、ドラマを観た記憶があるので、静緒は私の脳内で竹内結子さんに変換されてる。大好きな女優さん。寂しい…。 -
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ネタバレトッカン第四巻。
短編集だけど、超短いやつと中編くらいのやつと両方あるかな。
対馬の回、美味しそう。トッカンは食べ物を美味しそうに紹介するなぁ。ゴールデンフィンガーより、のとぐろとイカ刺しが食べたくなる。
5年目の鮭たち、たしかに年次研修って婚活的な?そういう面があったかも。まったく参加しなかったよ。むだにしたなぁ。
しかし、ぐー子がトッカンとした滞納者との攻防の話をしたら、相手が離れてしまったのは、あるあるだよねぇ。でも、そういう人はきっとこの先も仕事のキャリアとか内容とかで比べっこしてはひいていくひとなのかもしれない。むしろ、その人でなかったのがよかったのかもね。
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ネタバレ自分の中で、久しぶりにヒット
面白かったなあ
最初のほう、あんまり色恋がなくてただただその時代を淡々と生きている女性の話で、あんまり歴史に興味深い人間でも詳しい人間でもないから、のめるこめるかなあこの話に…なんて思っていたのですが。
夫も子も失くしたけれど、しっかりと生き抜いて“家”を守り抜いた第一章てんさいの君を読み終わったときに、ああ好きやなこの話…となりました。
第二章のプリンセス・クタニは個人的には1番好きなお話。主人公も、話のストーリーも、政略結婚も、恋愛模様も、最後のプロポーズも(笑)わくわくして最後まで楽しく読めた。
そして、第三章の華族女優があったから、個人的にはこの物語好きなんやなあと思ったり。“家”を守り抜くことが人を守ることに繋がる時代が、そうじゃなくなった。第一章と第二章で、大事に大事にしてきたものを、第三章で終わらせる。でも、だからどこかの章がバッドエンドだったわけでなくて。
その時代を生きた人のハッピーエンドを常に描いてる。なんかそれが面白いなあと思ったり。
んー、なにが言いたいのかわからなくなってきたけれど、全部通して面白かったです。
あと、個人的に第一章の
「それでも死なぬものは死なぬ」
がとてもとても良かった。この言葉、大好きかもしれない。宝物になるかもしれない。
案外、裏テーマ?みたいなのはこの言葉なのかもしれないと個人的に思ったり。
恋愛や結婚や生き方や…全てはきっと時代によって左右される。その人の気持ちだけでは、というより気持ちすらも左右されるものなのだと思う。それでも、どんな状況にあってもどんな生き方をしても、「死なぬものは死なぬ」
その人にしか出来ないこと、その人のやるべきことがあるのかもしれないなあなんてふと。
自分も、何歳になっても何があっても「死なぬものは死なぬ」と思いながら生きていたいもんです。 -
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ネタバレトッカンvs勤労商工会 2013/3/29
稼ぎのない男なんて精子以下よ。消えちまえ!
2014年2月5日記述
高殿円さんによる小説。
トッカンとしては2冊目の作品にあたる。
今作では主人公鈴宮深樹がずうずうしいまでに活躍する。
(上司である鏡が訴訟騒ぎになりかけたためでもある)
ホツマへの破産申立の不服のあたりは爽快だった。
署長に付いて来てもらう等カウンターパートとして
上手く動いたと思う。そうでないと裁判官は出てこなかったろうし。
本書は400ページをこえている。
しかし巻末にある
井上真央さんと高殿円さんの対話にもあったように
すっと物語の世界に入っていける。
小説を読んでいるけど良い意味で小説っぽくないのだ。
そのままドラマに出来そう。
(実際にドラマ化された)
本作においては鏡が栃木県出身であること。
鏡の高校時代の友人本屋敷と里見の援護。
栃木県は東北ではなく北関東だと言いはる鏡に
ちょっと笑いそうになる。
ネット上で時々見かけるグンマーへの反発と似ているのだろう。
墓に隠し財産を持っていた滞納者。
この時は前作同様に鏡らしい雰囲気だった。
同僚(錨喜理子)が徐々に精神を病んでいたこと。
その原因は体裁。
本作では体裁を取り繕ったが故に仮面の自分に
引っ張られ実態の自分と異なってしまった人物が描かれる。
どれも現実に起こりそうなことであるしリアリティがあった。
とは言え体裁なり仮面なりなんでもかんでも本音、本能ばかり言いたい放題では社会は回らないのも事実である。
「稼ぎのない男なんて精子以下よ。消えちまえ!」(錨喜理子)
なんて言われた日には・・・暴れだすのも無理はない。
トンデモ暴言ではあるけど印象に残った言葉。
思っていることを登場人物に代弁させれる作家は直接
世の中に発信するわけではないから安全。ある意味羨ましい。
やるな高殿円。