高殿円のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大阪京橋のグランシャトーにまつわる物語であること、私自身長年大阪に住んでいること、京橋近辺の街並に多少思い入れがあったこともあり、思わず購入。
昭和も終わりに差しかかっていた子供の時分、大阪環状線の京橋駅を降りたときに感じた強烈なドブの臭い、地面にびっしりへばり付いているガムの吐き捨て跡と、あたり一面に捨てられているタバコの吸殻。こんなに汚い街があるなんて子供ながらに衝撃を受けたことを今だに覚えている。
大阪の汚い街と言えば西成のイメージがあるかもしれないが、自分の中では京橋こそが大阪で一番汚くてガラの悪い街というイメージだ。
こんな負のイメージが強い京橋だが、グランシャトーの曲は鮮明に覚えているし、何度か飲みに行ったこともある。(グランシャトーには行ったことはないが…。)
作中では「ルー」と「真珠」という源氏名のホステスを中心に、昭和30年代の高度経済成長期から平成初期のバブル崩壊までの時代の流れの中で、グランドシャトーの栄枯盛衰と2人の人生が絡み合いながら物語が進んでいく。
真珠との出会いをきっかけにグランドシャトーのキャバレーで働くことになるルー。だが、口が悪く喧嘩っぱやいルーはグランドシャトーの寮をすぐさま追い出され、No.1ホステスである真珠が住む長屋を紹介され、そこで真珠との共同生活を始める。
長屋の近くに天神橋筋商店街があるので、この商店街の描写も数多く出てくる。(自分も天神橋筋商店街は大好きな商店街だ。)商店街の路地裏にひっそりと佇む個人店や、古家の隙間から隙間にひょっこり移動していく猫は、古き良き時代が確かにそこにあることを思い起こさせる。
ここから物語はルーが東京進出して、グランドシャトーを立て直すといった流れになっていく。
時代の急速な変化の中で、悲しみ、時には喜びの感情を剥き出しにしながら生きるルーの逞しさに惹きつけられ一気に読ませてもらった。
作中でも語られるが、時代背景は高度経済成長からバブル崩壊にかけて描かれていて、街も人も戦争の傷痕を乗り越えたというよりは、無理やり金や豪華なもので塗りつぶして誤魔化しながら突き進んでいる。だから、街並に輝く光は全て偽物なのだと。いずれはそのツケを何らかの形で支払うことになる日がくるのかもしれない。
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Posted by ブクログ
この本は書店でタイトルを見た瞬間、大阪人なら買わねば。と作家名も何も確認せずに購入。ある一定年齢以上の関西人なら必ず知っているCM。京橋のレジャービル「グランシャトー」がモデルだとすぐにわかったからだ。
プロローグを読み始めてすぐに作品世界に吸い込まれ、最後まで読んで、再びプロローグに戻って読み、そのまま二周目を読んでしまうという、非常に奥が深い小説でした。
もう二度と戻らないゆったりとした時の流れと懐の深い昭和の空気感が文章からあふれてきます。そしてこの本を開くと、一定年齢以上の関西人なら必ず歌える「京橋は♪」で始まるあのCMソングが脳内で再生されます。主人公ルーの執着が悲しく切なく逞しく愛おしい。良い作品でした。 -
Posted by ブクログ
プロローグから、テンポの良い大阪弁の丁々発止のやり取りに笑ってしまった。
物語は大阪京橋にある、言わずと知れた、あのビルがモデル。
逞しく生き抜いてNo.2にまで上り詰めたホステスのルーと、不動のNo.1ホステスの真珠。
この手の話にありがちな「女の闘い」は二人の間には無い。
真珠をどこまでも慕うルーと、ルーを優しく包み込む真珠。
月70万も稼ぎながら長屋で慎ましく暮らす真珠は、辛い過去を背負っていた。
真珠の心中は分からない。良く生き抜いたと思う。
そして、ルーも。
高殿氏はインタビューで「キャバレー文化を筆で残しておきたいと思った」と語っている。
哀しくも温かく、夢中で読んで心を揺さぶられた。
手元に残しておきたい一冊。 -
Posted by ブクログ
政略結婚ってタイトルからイメージした話とは随分違った内容でしたが、三篇それぞれ面白かったです。
江戸後期から明治までを生きた加賀前田家のお姫様の時代と、明治半ばの、パリに生まれた子爵家のお嬢様の時代と、第一次世界大戦後の昭和金融恐慌で没落した公家の流れの伯爵家令嬢の昭和・平成。
血筋や家名に掛けられた呪いが変遷する時代の波に翻弄され、やがて蜃気楼のように溶けていくまでの三世代。
三つの話を繋ぐのは九谷の絵皿。とすると三話目の主役は実は皿の持ち主の峰山奈知子なのかも?(三話目でも「蕗野」が出てくるのかと思ってたけど違った。)
氏より育ちと言うけれど、彼女たちの聡明さと時代に立ち向かう凛々しさは名家の姫ならではと思わされたりもする。血は尊い、と感じるのは、血と共に誇りと覚悟を脈々と受け継いでいるからであろうか。実に何とも、そういう世であった。
カバーの絵は、底抜けに甘々の文庫版よりも単行本のデザインの方が好き。 -
Posted by ブクログ
「上流階級」シリーズ、やっぱりおもしろい!
其の一から少しずつ、静緒と桝家の関係が変化している。静緒も桝家も、ぶつかりながらもお互いを認めていて、将来の孤独への不安を抱えている。
日頃考えないようにしているけれど、将来の孤独への不安は私自身も感じていて、共感できた。
外商なんて全くの異世界の話のような気がしていたけれど、静緒の仕事への姿勢や考え方は、どんな仕事にも参考になることがあるように思う。
外商はお客さんのプライベートに深く入り込む仕事だけに、静緒が珠里との関係に悩んだように、バランスが難しいんだろうと思う。
外商でなくても、長く付き合いのある取引先に情がわいたり、「これって仕事としてはやり過ぎだよな」って思うこともあるような気がする。でも、そういう中から信頼が生まれたりもするわけで、互いがバランスをうまくとれる関係が大事なような。
ジェンダーフリーの時代だけど、男性と女性の考え方の違いとかも、静緒の仕事を通して「なるほど」と思わされることも多かった。やはりまだまだ、男性社会の中で女性がやっていくのは大変なんだな…。
静緒と勇菜ちゃんのやりとりも興味深かった。
最後の桝家のお母さんとの結末も、予想外にジーンときた。
静緒は、どんな問題や課題が襲いかかってきても、いろんなことをちゃんと受け止めて進んでいくところがすごい。
うっすらと、ドラマを観た記憶があるので、静緒は私の脳内で竹内結子さんに変換されてる。大好きな女優さん。寂しい…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレトッカン第四巻。
短編集だけど、超短いやつと中編くらいのやつと両方あるかな。
対馬の回、美味しそう。トッカンは食べ物を美味しそうに紹介するなぁ。ゴールデンフィンガーより、のとぐろとイカ刺しが食べたくなる。
5年目の鮭たち、たしかに年次研修って婚活的な?そういう面があったかも。まったく参加しなかったよ。むだにしたなぁ。
しかし、ぐー子がトッカンとした滞納者との攻防の話をしたら、相手が離れてしまったのは、あるあるだよねぇ。でも、そういう人はきっとこの先も仕事のキャリアとか内容とかで比べっこしてはひいていくひとなのかもしれない。むしろ、その人でなかったのがよかったのかもね。
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Posted by ブクログ
ネタバレ自分の中で、久しぶりにヒット
面白かったなあ
最初のほう、あんまり色恋がなくてただただその時代を淡々と生きている女性の話で、あんまり歴史に興味深い人間でも詳しい人間でもないから、のめるこめるかなあこの話に…なんて思っていたのですが。
夫も子も失くしたけれど、しっかりと生き抜いて“家”を守り抜いた第一章てんさいの君を読み終わったときに、ああ好きやなこの話…となりました。
第二章のプリンセス・クタニは個人的には1番好きなお話。主人公も、話のストーリーも、政略結婚も、恋愛模様も、最後のプロポーズも(笑)わくわくして最後まで楽しく読めた。
そして、第三章の華族女優があったから、個人的にはこの物語好きなんやなあと思ったり。“家”を守り抜くことが人を守ることに繋がる時代が、そうじゃなくなった。第一章と第二章で、大事に大事にしてきたものを、第三章で終わらせる。でも、だからどこかの章がバッドエンドだったわけでなくて。
その時代を生きた人のハッピーエンドを常に描いてる。なんかそれが面白いなあと思ったり。
んー、なにが言いたいのかわからなくなってきたけれど、全部通して面白かったです。
あと、個人的に第一章の
「それでも死なぬものは死なぬ」
がとてもとても良かった。この言葉、大好きかもしれない。宝物になるかもしれない。
案外、裏テーマ?みたいなのはこの言葉なのかもしれないと個人的に思ったり。
恋愛や結婚や生き方や…全てはきっと時代によって左右される。その人の気持ちだけでは、というより気持ちすらも左右されるものなのだと思う。それでも、どんな状況にあってもどんな生き方をしても、「死なぬものは死なぬ」
その人にしか出来ないこと、その人のやるべきことがあるのかもしれないなあなんてふと。
自分も、何歳になっても何があっても「死なぬものは死なぬ」と思いながら生きていたいもんです。