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Posted by ブクログ
井伊直虎(香)と16世紀後半の井伊谷の激動の歴史を辿った時代小説。本作が作者の初の本格時代小説ということに驚かされるほど完成度が高い。
タイトルの「剣と紅」。女性でありながら「生涯たった1度の紅だった」ことに冒頭で触れ、途中でも効果的に「紅」を登場させることで、香という人物の、井伊家存続と井伊谷の死守への献身が実に象徴的に表現されている。大河ドラマも非常に面白かったが、これこそ小説ならではの魅力だと思う。
また、女性作者ならではの「女いくさ」のハイライトも本作を彩っている。剣を持てぬ女性であるが、自身が妻として嫁ぐことで他家、場合によっては敵との結びつきを強め、戦を防ぐ、或いは戦を勝利に導くことができたという点を露わにしている。これも女性蔑視といった視点からドラマでは表現されにくい点ではあるが、女地頭という直虎以上に歴史に名を刻んだ女性は数えきれないのではないかと思う。
Posted by ブクログ
剣ももたず、紅も刷かず。
香が魅力的なのは、男としての武力、女として嫁ぎ子を産むこと、どちらも選ばずに生きたこと。
史料が少ないと思われる題材を、ファンタジー要素や伊那の女性きぬの視点を交えて豊かに丁寧に描いた作品。
全編シリアスながら、合間に入る直政と家康の会話はユーモラスで楽しい。
権力や野心をエネルギーに活動する男性たちに共感できない香の気持ち、よくわかります。
いままで歴史小説が読めなかったのは(作品にもよるんでしょうけど)、「女と権力」へ向かう男性の欲望が理解できなかったからなのか…とこの作品を読んでいて気づきました。
合戦の場面がないので地味といえば地味なんだけれど、そのぶん主家や周辺との駆引き、婚姻による家同士の結びつきの大切さが印象に残ります。
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