高殿円のレビュー一覧
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40歳という人間として節目を迎える円熟期とでもいうのだろうか。主人公は39歳でその目前。仕事もプライベートももう少し高みを目指すか落ち着くか、選択を迫られる時期。そんな時にもう一度自分と向き合い、大切なもの、いま大事にしたいものを、人との関わり合いを通して見つけていく物語。
まだ、20代の自分にも刺さる部分がいくつもあった。私もこの歳になった時、「メリーゴーランドが好きだ」と屈託もなく言えるような、もしくはそれに乗れなかった自分を愛おしいと思えるような生き方をしていたい。
※以下、本文のセリフ抜粋
仕事を仕事としかとらえなければ、自分を消費するのみ。でも仕事をうまく使えば、人生も上積みできる。
子供の時に描いた大人像とのギャップや、到達できていないことへの敗北感が。
ですが、今はそんな自分が愛おしく、なさけなく、また愛おしい。ああもっとうまく生きられたらよかったのにと思わないこともないですが、これが私。
子供の頃はメリーゴーランドに乗りたい!と口にするのは簡単だった。夢を語るのと同じで、子供っぽい、子供にしか許されないことだと思い込んでいた。
今も好きだ。メリーゴーランドが。もう一度メリーゴーランドに乗りたいのだ。いま。 -
Posted by ブクログ
『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の2』―静緒と枡家、深まる絆と外商部の挑戦
『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の2』は、外商部の立て直しプロジェクトを背景に、主人公・鮫島静緒が直面する様々な試練を描いた物語です。静緒の働く外商部では、日本一の高級住宅街・芦屋のセレブたちへの販売が日常であり、その中で起こる顧客とのトラブルやドラマが、読み手を引き込みます。
特にこの巻では、静緒と同居人である枡家の関係性が徐々に深まる様子が描かれ、読者に安心感を与えます。しかし、その一方で、枡家の母親からの再婚を勧められるなど、プライベートな面での波乱も予感させます。
外商部に訪れる顧客たちの個性や、時に厄介な要求は、静緒のプロフェッショナリズムを試すもの。彼女がそれらの問題をどう解決していくのか、その過程は読者にとっても学びが多いものです。販売の仕事に対する情熱、顧客の真のニーズを理解しようとする姿勢は、この物語の核となっています。
『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の2』を読むことで、まるで自分もその一員になったかのような感覚を味わえます。静緒や枡家といったキャラクターたちと共に、販売の真髄と人間ドラマを深く体験することができるでしょう。このシリーズは、ただのビジネス小説を超え、読者に様々な感情を呼び覚ます一冊です。次巻への期待が高まるばかりです。 -
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これは…まさに貴方の知らない世界。(古い)
高殿円さんの作品は国税徴収官の『トッカン』の時といい、地続きの別次元へと誘ってくれる。
全くちがう業界話も魅力的。シンプルにブルジョワというだけの生活を垣間見せてくれるのも、また楽しい。
仕事柄なのか我が家は祖父の代まで外商とお付き合いがあった。孫の私は「なんでデパートの人が家に来るの?」くらしか分からなかった。お店に行けばいいのに。
今は毎日ECサイトとフリマアプリ巡回。人の勧める高いモノ。イコール無駄。それなのに口コミを一生懸命見てはポチポチ買い物をしている。そんなオンチな私には、外商に用が無いどころか入場お断りレベルなんだな。
無教養な人間からは、付加価値とかホスピタリティという言葉の方が逃げ出していってしまう。
──教養とは頭の中に詰め込んだテキストではない。
教養とはふるまい。
手間暇をかけた身なりと、正しい日本語と、落ち着き。
(抜粋)
あらま、すべてもってませんわ。
年収550万の主人公が貴族たちに求められる姿。教養に対する努力のしかたを少しばかりは見習いたい。
美意識は人を育てるものかもしれない。