高殿円のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世間には道理が合わない事、事実が多分にある。それは権力、金、コネなどによって捻じ曲げられ一部のものだけが徳をする世の流れだ。現実でも多くの政治家の闇金、裏金、帳簿に載せない献金・横流し現金など権力を振える上に行けば行くほど隠されたものが多く、暴露、露見しても知らんふりを通す輩が増えた。道徳観が薄くなり始めた日本は「今がよければそれで良し」「世間が知らなければどこまでも悪を続ける」「悪を悪とも思わない、罪を罪とも思わない」「見て見ぬ振りして自分が徳(無害であれば)をすれば良しとする」本書の魅力は新米の滞納者への税金徴収する徴収官と上司とのやりとりから始まる税務署の見方、捉え方、考え方、納税者を救
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Posted by ブクログ
ネタバレ男女で大きく感想が異なる作品だと思う。
昨今のフェミニズム運動が内包する怒りを、異世界ファンタジーという形に変えて爆発させたような物語。
主人公は夫を殺され、産まれたばかりの息子を人質に取られ、子を産むためだけに見知らぬ国々をまわる。人権が無い。
あまりにも酷い人々に酷い世界だと思ったが、その背後に「彼らは獣の末裔にすぎず、かつて主人であった人々の真似をしているだけ」という大きな皮肉があった。
貴志 祐介の「新世界より」を読んだときの衝撃を思い出した。
幕引きがさっぱりとしているので少し消化不良だが、新たに主人公が王として君臨するのではなくてよかったと思う。
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Posted by ブクログ
一言で表すなら「朝ドラチック」かな。
主人公の一人が屋形(置き屋のこと)に牛より安い値段で売られたという、現代の朝ドラ的には不適切な設定だが、作品全体に時代の風が爽やかに吹き抜けていた。
また神戸が舞台で、主人公のハナが生活する屋形の姐さんやお座敷に出入りするお大尽方特有の言葉遣いが小気味よく飛び交う…といったところが、朝ドラチックだなと思った次第である。
「どんなに悲しくても憎くとも、利一には狂うことはできない。ただ、前を向いて進むだけだ。これからも、権力でもなく暴力でもなく金でもなく、たったひとつ真心だけを武器にして」(P 181)
故郷 山口から若くして神戸に出てきた少年利一と、(冒