高殿円のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
旅先で「大阪ほんま本大賞」の帯を見つけ、折角の機会だと思い購入しました。
キャバレー「グランドシャトー」で働く2人のホステスを軸に、高度経済成長期から平成初期までの大阪・京橋の歴史をたどる、激動の時代を生きた女性たちが"ひかり"をつかむ物語。
主人公・ルーの過酷な家庭環境の中で必死に生き抜いてきた強さと爽快な大阪弁に元気を貰い、そんなルーを救った先輩ホステス・真珠さんの何があっても優しく見守る温かさに心が救われ、2人の地蔵長屋での生活に癒されて。
普段の私なら手に取っていないジャンルだと思うので、本大賞をきっかけに出会えて心から良かったと思える作品でした。
No.1 -
Posted by ブクログ
ついに4作目。あーこれで区切りかと思うと寂しくもある。思いの外トッカンシリーズにはハマってしまった。
金の隠し場所を探り当てるという脳トレは、実は孤独に戦わねばならない無理ゲーだった。金のために死ぬ人間がいるこの世の中で、金をむしり取ることのおぞましさを垣間見る。それも、私たち善良な納税者のために。この倒錯が病みつきになる。
数えきれない修羅場をくぐり抜けてきたであろう鉄面皮上司の鏡(←苗字)にも、思わずおっさんずラブしてしまった。萌えるとかってもう死語?ただの無双への憧れか、と自分の経験値の低さに笑ってしまう所もある。
さて本作は短編仕立てながらゆるくつながっていて、どれも読み応えがあ -
Posted by ブクログ
おふざけのようなタイトルながら、ミステリー展開にぐいぐい引き込まれた。シリーズを追ってきて3作目が一番まとまりよく引き締まった内容だったと思う。
徴収官のおしごとはポーカーフェイスで孤独に耐える闘い。
強制権で悪質滞納者の口座照会も家宅差し押さえもできる。引き換えに、知り得た個人情報は同僚でも警察にも漏らすことはできない。頼れる人がいない中で、情報を引き出す交渉力もためされる。
人狼ゲームで人狼を引いたら即笑ってしまう私には、全く務まらない職種だ。
コミックのように吹っ飛んだキャラ設定も、いつの間にか心地いい。ぐー子というひどいあだ名の主人公はしっかり経験を積んで、デスクに山積みの案件を並 -
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専門分野のおしごと系エンタメは別世界にトリップできるようで楽しい。
税金ネタなので身近だし大切!とは思っても、ニコニコ源泉徴収の身では、節税の葛藤とは縁が薄い。せいぜい節約といえば国民年金かNHKくらい(クズ)
本作は法律コテッコテではないものの、あとがきになってマルサの女は法人相手、トッカンは個人相手という違いをやっと理解するようなハードさ。そこに貧困や自殺、詐欺といった問題が存在するということも知らなかった。お金に殺されないで、という主人公の叫びは悲痛だし、異世界だ。
またクセ強キャラ(Audibleナレーターさんのアニメ声もあって)であるずぼら系主人公のドタバタ感もすごい。セフィロス -
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ネタバレ利一もハナもたがいの背中を見つめながら
前へと進んでいっているなと思った。
ハナのためにから始まり、
大衆が使える化粧品をと品質や材料をこだわって作る。
利一の世の中を読み取る力が凄くて、
これほど頭が回れば物も売れるだろうなと思ったが
それよりも、ハナを想う気持ち、大衆を想う気持ちが
人を引き付けたんだろうなと思った。
ハナも利一を見ながら花街で技術を磨き、
利一にこれだという助言をして何度も助けてきた。
いつかおたがいに…と思っていた利一がハナに送った
「僕が大阪の堺町あたりに家を買うたら…
その家に銀杏の木があったとしたら、
いや、なくてもや。
もうお座敷にはでんで、
僕の前だけ -
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Osaka Book One Projectによる「大阪ほんま本大賞」
大阪の本屋と問屋が”ほんまに読んでもらいたい大阪ゆかりの本”を選ぶ。
大阪及び関西近隣エリアの本屋さんが力を合わせて受賞作を売り
その収益の一部で大阪府の児童養護施設に本が寄贈される。
選考条件は
・大阪に由来のある著書、物語
・文庫本
・著者が存命であること
毎年、天神祭りの日に発表されるこの賞も今年で11回目。
今年の大賞は、高殿円さんの
『グランドシャトー』
高度経済成長期、
義父との結婚を迫られたルーは
キャバレー「グランドシャトー」のNo.1ホステス真珠(しんじゅ)の家に転がり込む。
姉妹のように仲睦まじ