【感想・ネタバレ】グランドシャトーのレビュー

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Posted by ブクログ

矢継ぎ早に繰り出される大阪弁が、耳元でずっと聞こえている。
京橋という街で存在感を放つキャバレーの、きらめきと喧騒が目に浮かぶ。

ルーのたくさんの言葉や、行間からさえあふれ出てくるような強い気持ちが熱くて、応援したい気分になりながらぐいぐい読んだ。
仕事に誇りを持ち、性別による差が社会の中にあると分かりながらもひざを折らないルーの、なんとまぶしいことだろう。
「にせもんでもいい、あれは光や。あの光の行き着く先はカネで、だけどカネになると不思議とちいとも光らん。――可能性、望みこそが光だ。」

キャバレーというビジネスの栄枯盛衰が描かれているのも興味深かった。戦後の発展、バブル、不景気。家電の登場やさまざまな新しいモノにより、キャバレーだけでなくたくさんのビジネスが変化し生まれては消える。どの時代でも止まることのない経済の流れの中で、ルーはひたすら前を向いて歩いて(走って)いた。

そして、そんなルーと対照的な真珠ねえさん。あらすじや帯文では真珠の抱える秘密がフォーカスされているが、実際ルーがそれを探ろうとするのは後半の後半。ひとにはそれぞれ事情がある、ただそれだけのことと思ってお互い干渉しすぎずにふたりはずっと暮らしてきた。
ある意味戦後から離れられなかった、立ち止まってしまった真珠の姿は、理由を知れば悲しいものだけど、歩き続けるルーのオアシスでもあった。長屋での生活を持っていたからこそのルーのまぶしさであると思うと、やさしいあじさい、たたずむ地蔵さんのような真珠との強い結びつきこそが、悲しさよりもずっと、胸にしみる。

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2024年03月01日

Posted by ブクログ

 作品の主役はエミコさん!だと思って読むととても身近に感じられてスッとこころに入ってきました。出てくる人やもの、建物が実際にあるものが多くて主人公は誰なんやろ〜?なんて思いながら読んだからかもしれません。
 じゃあ真珠はだれ?なんて考えてしまいますね。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

大阪人なら、行ったことはなくとも名前は知っている京橋グランシャトー。ずっと「グランシャトー」やと思っていたのに、えっ、「グランドシャトー」やったん!?と驚きながら読みはじめましたが、実存するのは「グランシャトー」ですよね。

どこまでがホンマなんですか。史実に基づいた小説を書くのがお得意な著者のこと、グランシャトーもそこで働く人たちにもきっとモデルがいらっしゃいましょう。

いわゆるお勉強はでけんかったとしても、人生の機微を知る人たちがここにおる。姫路から逃げてきて京橋にたどりつき、中崎町の長屋に居ついたルーと共に、何十年という時を私も過ごしたような気分になりました。

すべての光景を思い浮かべることができるからこそ浸れる小説だという気もします。大阪人以外の人が読んでも面白いのかどうかは聞いてみたい。

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

よく知ってる京橋や中崎町が出てきて嬉しかった。
古地図が好きな私は、昔はこんなんやったんやなぁと想像しながら読むのも楽しかった。
ルーのどぎつい大阪弁も軽快でスカッとするし、なんせ大阪大好きな私には大阪ほんま本大賞バンザイやった!
大阪人の人情や深さは今も失われずにあると信じたい。
家族に恵まれなかった2人やけど、真珠ねーさんとルーの関係が心温まり、羨ましくもあった。

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2023年11月04日

Posted by ブクログ

大阪京橋のグランシャトーにまつわる物語であること、私自身長年大阪に住んでいること、京橋近辺の街並に多少思い入れがあったこともあり、思わず購入。

昭和も終わりに差しかかっていた子供の時分、大阪環状線の京橋駅を降りたときに感じた強烈なドブの臭い、地面にびっしりへばり付いているガムの吐き捨て跡と、あたり一面に捨てられているタバコの吸殻。こんなに汚い街があるなんて子供ながらに衝撃を受けたことを今だに覚えている。

大阪の汚い街と言えば西成のイメージがあるかもしれないが、自分の中では京橋こそが大阪で一番汚くてガラの悪い街というイメージだ。

こんな負のイメージが強い京橋だが、グランシャトーの曲は鮮明に覚えているし、何度か飲みに行ったこともある。(グランシャトーには行ったことはないが…。)

作中では「ルー」と「真珠」という源氏名のホステスを中心に、昭和30年代の高度経済成長期から平成初期のバブル崩壊までの時代の流れの中で、グランドシャトーの栄枯盛衰と2人の人生が絡み合いながら物語が進んでいく。

真珠との出会いをきっかけにグランドシャトーのキャバレーで働くことになるルー。だが、口が悪く喧嘩っぱやいルーはグランドシャトーの寮をすぐさま追い出され、No.1ホステスである真珠が住む長屋を紹介され、そこで真珠との共同生活を始める。

長屋の近くに天神橋筋商店街があるので、この商店街の描写も数多く出てくる。(自分も天神橋筋商店街は大好きな商店街だ。)商店街の路地裏にひっそりと佇む個人店や、古家の隙間から隙間にひょっこり移動していく猫は、古き良き時代が確かにそこにあることを思い起こさせる。

ここから物語はルーが東京進出して、グランドシャトーを立て直すといった流れになっていく。
時代の急速な変化の中で、悲しみ、時には喜びの感情を剥き出しにしながら生きるルーの逞しさに惹きつけられ一気に読ませてもらった。

作中でも語られるが、時代背景は高度経済成長からバブル崩壊にかけて描かれていて、街も人も戦争の傷痕を乗り越えたというよりは、無理やり金や豪華なもので塗りつぶして誤魔化しながら突き進んでいる。だから、街並に輝く光は全て偽物なのだと。いずれはそのツケを何らかの形で支払うことになる日がくるのかもしれない。

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2023年10月27日

Posted by ブクログ

この本は書店でタイトルを見た瞬間、大阪人なら買わねば。と作家名も何も確認せずに購入。ある一定年齢以上の関西人なら必ず知っているCM。京橋のレジャービル「グランシャトー」がモデルだとすぐにわかったからだ。
プロローグを読み始めてすぐに作品世界に吸い込まれ、最後まで読んで、再びプロローグに戻って読み、そのまま二周目を読んでしまうという、非常に奥が深い小説でした。
もう二度と戻らないゆったりとした時の流れと懐の深い昭和の空気感が文章からあふれてきます。そしてこの本を開くと、一定年齢以上の関西人なら必ず歌える「京橋は♪」で始まるあのCMソングが脳内で再生されます。主人公ルーの執着が悲しく切なく逞しく愛おしい。良い作品でした。

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2023年10月23日

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小説の舞台である京橋や梅田、中崎町のあたりを知っている人は(昔の姿を知らなくても)、是非読んで欲しい。知らない人も、読んでから、大阪に来て欲しい。
大阪はどんどん発展してるけど、これまでの歴史に上書きしてる訳じゃなく、重ね塗りされて、昔の姿がうっすら透けて見える場所だと思う。だから、昔の描写でも、不思議と見たことがあるような気分になりました。
主人公?のルーも、言葉や行動は乱暴なときがあるけど、純粋で、真っ直ぐで、優しくて、私は大好きです。

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2023年09月28日

Posted by ブクログ

プロローグから、テンポの良い大阪弁の丁々発止のやり取りに笑ってしまった。
物語は大阪京橋にある、言わずと知れた、あのビルがモデル。

逞しく生き抜いてNo.2にまで上り詰めたホステスのルーと、不動のNo.1ホステスの真珠。
この手の話にありがちな「女の闘い」は二人の間には無い。
真珠をどこまでも慕うルーと、ルーを優しく包み込む真珠。
月70万も稼ぎながら長屋で慎ましく暮らす真珠は、辛い過去を背負っていた。
真珠の心中は分からない。良く生き抜いたと思う。
そして、ルーも。

高殿氏はインタビューで「キャバレー文化を筆で残しておきたいと思った」と語っている。
哀しくも温かく、夢中で読んで心を揺さぶられた。
手元に残しておきたい一冊。

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2023年08月13日

Posted by ブクログ

綺羅びやかに見えるがこれは女の戦いの話だ。
歯を食いしばって負けてたまるかと生き抜いた女達の物語だ。
凄かった、最高だった。

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2023年06月09日

Posted by ブクログ

思っていたより、暗いけど希望のある話。人生そのものって感じ。
みーんなどこか悲しい、でも生きてる。

最後まで読み終わってから、最初の部分をもう一回読むことをオススメします。

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2023年02月01日

Posted by ブクログ

近くに住んでいたこともあり、地名や言葉含め読みやすかった。ストーリーも山あり谷ありで、大阪ほんま本大賞にハズレなしだ

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2024年02月15日

Posted by ブクログ

戦後の女性の社会的地位がまだまだ低い時代。キャバレーからキャリアを築いた2人の女性のお話。
真珠とルーは静と動という感じでタイプは全然違うけれど、人との縁を大切にしながらも自分に忠実に自分のやりたいことをして着実に人生を歩んでいる感じがとても素敵でした。特にルーの階段を駆け上がるようなキャリアは読んでいて気持ちよかったです。
キャバレーを取り巻く環境の変化がとても慌ただしく、昭和から平成にかけての日本はとても目まぐるしく発展していったんだろなぁと思わずにはいられませんでした。
物語の舞台の京橋や中崎町を街歩きしたくなりました。

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2024年02月10日

Posted by ブクログ

キャバレーって行ったことないけど最後まで読むと、行き場のない女性の受け皿の一つになっていたんだなと思った。客目線じゃなくて働き手目線になってしまったけどそう思った。

哀しい人が哀しい人を救う。
人生捨てたもんじゃないなと思う。
どん底でもしがみついてればなにかいいことはある。


真珠姉さん激シブでした。

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2024年01月09日

Posted by ブクログ

旅先で「大阪ほんま本大賞」の帯を見つけ、折角の機会だと思い購入しました。

キャバレー「グランドシャトー」で働く2人のホステスを軸に、高度経済成長期から平成初期までの大阪・京橋の歴史をたどる、激動の時代を生きた女性たちが"ひかり"をつかむ物語。

主人公・ルーの過酷な家庭環境の中で必死に生き抜いてきた強さと爽快な大阪弁に元気を貰い、そんなルーを救った先輩ホステス・真珠さんの何があっても優しく見守る温かさに心が救われ、2人の地蔵長屋での生活に癒されて。

普段の私なら手に取っていないジャンルだと思うので、本大賞をきっかけに出会えて心から良かったと思える作品でした。

No.1ホステスの真珠さんがどうしていつも同じ衣装で、地蔵長屋での質素な生活を続けているのかの真相を知った時、涙が止まりませんでした。

"ずっとしんどいのがいちばんあかん。"

私も誰かに貰った優しさを、他の誰かにもかけてあげられる人になりたいと思えました。

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2023年11月07日

Posted by ブクログ

Osaka Book One Projectによる「大阪ほんま本大賞」

大阪の本屋と問屋が”ほんまに読んでもらいたい大阪ゆかりの本”を選ぶ。
大阪及び関西近隣エリアの本屋さんが力を合わせて受賞作を売り
その収益の一部で大阪府の児童養護施設に本が寄贈される。

選考条件は
・大阪に由来のある著書、物
・文庫本
・著者が存命であること

毎年、天神祭りの日に発表されるこの賞も今年で11回目。
今年の大賞は、高殿円さんの
『グランドシャトー』

高度経済成長期、
義父との結婚を迫られたルーは
キャバレー「グランドシャトー」のNo.1ホステス真珠(しんじゅ)の家に転がり込む。
姉妹のように仲睦まじく暮らすも、
莫大な金を稼ぎながら下町の長屋に居続ける真珠をルーは不審に思い過去を探るがー。
”男の作った城”キャバレーが町と女の生きざまを照らし出す、
これは”ひかり”の物語。
(文庫裏表紙より引用)


『グランドシャトー』
タイトルを見て、私の頭に浮かんだのは
「ん?”グランシャトー”ではなくて”グランドシャトー”?」

グランシャトーは大阪、京橋にある総合レジャービル。
その中に、キャバレーが入っていた。

京橋はええとこだっせ、グランシャトーがおまっせ♬

関西人なら知っている人が多いであろうCMソング。
1980年代まで深夜帯を中心に放送されていたようだ。
私、今でも歌えるわ。。。
てっきりキダタローさんの作曲だろうと思っていたら
作曲者不詳になってて、ちょっと驚いた。

小説『グランドシャトー』は
まさにこの京橋”グランシャトー”がモデルになっている。

産経新聞・大阪版で連載されていたこの小説。
著者の高殿円さんはインタビューで↓のようにおっしゃっている。

大阪でキャバレーの話を書こうと思ったら
千日前か京橋だなあと思っていて。
そこで京橋にしたのは、もちろんグランシャトーがあるからなんですけど、
もう一つの理由は1945年8月14日、
終戦の前日に1トン爆弾が落ちて一度灰の街になったことが大きいですね。
前日なんて日本はもう降伏していたはずなのに、なぜ…。
そこからコンクリートを敷き詰めて、
闇市が立って、あっという間に歓楽街になった。
都心なのに長い間爆弾が埋まっているということで再開発もされず
そのまま手つかずだった元陸軍の施設がすぐそば。
大阪の中でも一番古き良き、
そして何でもありな五目めしみたいな感じが残っています。
でも、そういった京橋の良さもいつかはなくなる日が来るんじゃないかと思って。
それなら、私が覚えているうちに書き残そう、
キャバレーがまだなくなっていないうちに書く意味があるんじゃないかと思いました。
(引用:本の話〈高殿円インタビュー〉消えゆく文化、キャバレーを書き残したい)


主人公ルーはこの目まぐるしい変化の時代を
キャバレーで生き抜いてきた。
そこはまさに戦場だった。
その「グランドシャトー」に足を踏み入れる前から
ルーの人生は過酷だったけど。

自分は昭和世代だと思っていたし、今も思っている。
だけど、私の知る”昭和”はいつも”ひかり”が当たっていた。
当たり前だと思っていたそのことは
実はとても恵まれたことだったんだ。

ルーは”ひかり”を求めて強く生きていた。
ずっと、ずっと。
読みながら、ルーの悲しみ、悔しさが伝わってくることが何度もあった。
そして、ルーの強さに喝采を送ることも。

知っているつもりでいた
あの時代の大阪を追体験しながら
ちょっと懐かしい気持ちになっていた。

読み応えのある一冊だった。

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2023年09月19日

Posted by ブクログ

いつも立ち寄る本屋さんに『大阪ほんま本大賞受賞作』として陳列されていて、華やかなイラストが本棚一面を埋め尽くしていたのが圧巻で、思わず手が伸びた。

大阪人にとっては、幼い頃からテレビをつければ否応でも目にした「グランシャトー」のCM。
CMキャラのリリアンさんが強烈なインパクトを与え、夜の時間帯にしか流せない怪しげな面白さがいつまでも記憶に残る。

本作は、実在した「グランシャトー」をイメージしたキャバレーを舞台に昭和から平成にかけて苦難を乗り越え、深い絆を深めていく2人の女性の物語。本当に実在したかのような人物像の描写にグイグイ惹き込まれ、赤の他人同士が家族以上にここまで信頼や尊敬し合える関係にとても胸が熱くなり、羨ましくも感じた。

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2023年08月10日

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ネタバレ

人ってなんの為に生きるか…
自分のため?それとも自分以外の誰かのため?
大切な誰かのために生きることができるって幸せなコトだと感じさせてくれるお話でした。

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2023年03月06日

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昭和のキャバレーを舞台に、行くところを失ったルーと、キャバレー・グランドシャトーのNo.1ホステス、真珠が出会う。
時代と共に生きる女性の姿を描く。ルーと真珠の言葉で表せられない関係にぐっときました。

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2023年02月05日

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202301/描写の丁寧さが却って冗長に感じるところもあったけど、登場人物達が生き生きと描かれていて面白かった。大阪人だったら更に楽しめたのかもと羨ましく思ったり。

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2023年10月25日

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通勤で使う京阪電車が京橋駅に滑り込む直前、読んでいた本から目を上げれば、窓の外に見える色褪せた黄色いビル、それが「グランシャトー」。
そこにはついこの間まで(と思って調べてみたら8年も前だった)「ナイトクラブ香蘭」というのがあったよねえ。そこをモデルにして書かれたと思しきお話。

義父との結婚を迫られ家を捨てキャバレー「グランドシャトー」に転がり込んだルーと、彼女がねえさんと慕う№1ホステス真珠の物語。
『みんなが焼け野原から鉄くずを拾って闇市をつくり、あっという間にコンクリートで覆いつくした京橋』の雰囲気がよく表され、当時のキャバレーの様子もよく分かる。
描かれる時代や風俗に加え、京橋や中崎町などよく知った場所が出て来ることもあって、まずまず面白く読めた。
型破りなルーの生き方の中に見える、当時の社会における働く女性の立場や見られ方に対する反骨心が痛快。
莫大な稼ぎがあるはずなのに下町の長屋に居続けた真珠だが、最終盤で明かされた、その清貧な生き方にも心を打たれた。

本の中のグランドシャトーのテーマソングは別のものだったが、脳内には“京橋は~♪”で始まる曲が流れ続けていた。

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2023年10月26日

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戦後の大阪の様子をキャバレーと主人公ルーを通して教えてくれる。そこにナンバーワンの真珠の過去や人柄がミステリー要素として加わっている。
大阪の人たちの人柄の良さが伝わってくる。

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2023年09月24日

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大阪、京橋のキャバレーグランシャトーを舞台にした物語。貧しくて気の強い女の子が芸能界をも駆け上る。そして、地元に戻る。

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2023年09月06日

Posted by ブクログ

高度経済成長期、義父との結婚を迫られたルーは家を逃げ出され、大阪京橋に1人路頭に迷う。
キャバレーNo.1の真珠の家に転がり込み、キャバレーで働くホステスとはかけ離れた慎ましい生活を送る真珠とともに暮らし始める。
家族との2度の別れを乗り越えルーの逞しく生きる姿に元気をもらえた一冊。

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2023年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ねえさんの心のうちが気になり過ぎてあっという間に読み切ってしまった…現代の人間からすると高度経済成長期のヒカリにはとても惹かれるものがある一方で、ねえさんとルーの暮らしを読んでいる時の安心感もまたこの時代の良さなんだろうなぁ

本編と関係ないけどなぜか私の生活と関連する地域、名前が沢山出てきて節々に縁を感じた小説だった。

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2023年04月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

男の城に、女が住む。
そんな現代において消えゆく価値観が主流であった中でひとりぼっちになってしまったルーが、ねえさんに出会えたこと。
ひとりぼっちで長屋に住んでいたねえさんの元に、金を貸してくれとも言わず妹のようにずっと一緒だったルーが転がり込んできたこと。
誰もが苦しい世の中で、お互いに帰り、甘えられる家があった。それがこの厳しい世の中を最後まで生きた2人の物語の持つ唯一の温かさだと思う。

こうして強かに、身を寄せ合いながら生きた女性たちのおかげで現代を生きる自分たち女性が自由に生活出来ていることを身に染みて感じると共に、現代にもまだ残る男尊女卑がいつか必ず古いものとして、それこそこの本のように読まれて消費されていく時代が来ることを心から望む。

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2023年03月19日

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