高殿円のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦前の大手化粧品会社である中山太陽堂を創立した中山太一をモデルとした小説
恋愛小説でもあり大正、昭和の経済社会を学べる最高に面白い本だった
関西がメインで神戸の地名も沢山出てきて親しみやすかったけど、テンポは良くは無いから読みずらさは少しあった
長男として家族を支えるために休む暇もなく働き続ける利一と
両親に幼い頃に色町に売られたハナ
の2人の物語
利一の真心を大切に、毎日が吉日、という言葉が彼の生真面目さをよく表していた。化粧品会社を大きくして成功!以上!で終わらなくて戦時中の悲惨やその後の苦しみが壮大で、老いとどう向き合うかが描かれていて涙が出てきた。
ハナは利一を誰よりも大切に思っていたが故に利一に迷惑をかけまいと利一の元を去ってしまったのが、ハナらしいと思った
利一とハナは恋人にも夫婦にもならなかったけど誰よりもお互いのことを想っていて、最後に再開できてよかったほんとに
サクセスストーリーでは無いかもしれないけど読んでいてとても考えさせられたし、リアルな世界を描いていたと思う
ずっと手元に置いておきたい1冊 -
Posted by ブクログ
壮大な物語だった。
女と男、支配と服従、変化と停滞……いろんな軸が重層的にこの世界を構成している。どこか多くの幻のような物語であるような顔をしているのに、実は痛いほど現実の物語である。「女は子供を産むことで狂ってしまう。男はいつまでも獣の顔から抜け出せない」本当に覚悟のある表現。
序盤、環璃の理解の早さ・察しの良さにちょっと戸惑ったが、それに導かれるようにしてぐんぐんとのめり込んだ。
全体的にやや説明過多で長いのがちょっと気になった。もう少しシンプルであればもっと手に取るハードルも下がるのに……と。とはいえ、高殿さんの強い意志が、押せては返す波のように、何度も何度も伝わってくるのはこの上なく濃密で心地の良い読書体験だった。 -
Posted by ブクログ
ハナは、兵庫三田の山奥から牛より安い値段で花街に売られてきた少女。
山口の家族を支えるために神戸に出てきた利一とは、ドブに足を踏み込んでいたのを助けたことがきっかけで知り合う。
これは、東洋の化粧品王・中山太一をモデルにした一代記である。
真面目で探究心旺盛な利一が、次々と商売をやり成功していくのだが、「思い立ったが吉日」「毎日が吉日…。ないものを知るのが商機…!」と行動力も凄い。
一時の流行で終わるような商品を作りたくはない。という気持ちもあり、常に考えて知ってもらうための広告力も必要と視野も広い。
紆余曲折もありながら、大ヒット商品誕生へと繋がっていくのだが、決してハナを忘れたことはなかった。
だが、想像していた幸せがずっと続くことはなく…
いろんな状況を経て、年老いて懐かしき神戸の地で再会した2人。
「ああ、ほんまに毎日が吉日やねえ」
顔を合わせてこのことばを言う。
これ以上に何を望むだろう…というのが感じられる。
明治から大正、昭和にかけて戦争を体験しながらのこのことばに何とも言えない気持ちが込められている。