あらすじ
東洋の化粧品王は、いかにして誕生したか。
「ほんまに、きみが愛おし!」
時は明治の世。秀才ながらも、山口の家族を支えるため進学をあきらめ、単身神戸に出てきた少年・利一。牛より安い値段で花街に売られてきた少女・ハナ。神戸の花隈での二人の出会いは、やがて日本の生活をも一変させる発明、大ヒット商品誕生へとつながっていく。そして、幼い日に誓い合った約束の行方は?
産経新聞連載時から大反響! 明治・大正・昭和の激動期を、「真心」の製品作りと斬新な宣伝手法を武器に乗り切り、大阪で100年を超える会社を創業した“東洋の化粧品王”と呼ばれた男の一代記!
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Posted by ブクログ
19世紀初頭〜戦後にかけて、激動の時代を生き抜いた、利一とハナ。
利一は、山口から丁稚奉公で、ハナは、上の兄の進学費用がかさみ、花街に売られて、神戸へたどり着いた。
そこで2人は出会い、一度は交錯しながら、別離へと向かう。
コスメの王国を創り上げる利一の物語は、ハラハラしながら、石鹸やオシロイは、こうして産まれたのかと面白く。
戦争で全てを奪われて、やがて年老いて、また2人の人生は、付かず離れず。
真心を失わずに生きた利一は、間違っていなかったと思う。
ハナがアメリカに渡った決断には、あっぱれ。
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パラパラ読んだときに花隈の地名が目に入って、学生時代を神戸で過ごしたので懐かしくなって読んでみることに。
飛行機で自身の会社を宣伝するという大胆な導入場面。利一が興した会社はまさに発展していくその時でそれを見ながらハナはいっそう利一が愛おしくなるのだった
この場面が疾走感と希望いっぱいのキラキラ感がすごい 高殿円さんが描写すると眼の前に浮かんでくるよう
全部読み終わってから思ったけど、この場面は利一と離れることを決めているところなんよね
ほんまに愛おし!と言いながらもう一生会うことはないって決めている
自分はこれからどんどん大きくなる利一の邪魔にしかならないから…
切ない!!
この本には色々と対になっている部分があると思った
整った顔立ちがよく似ているハナと利一
大家族を支えたいと都会で頑張る利一と朝生
仏様とキリスト教
ハナと利一の関係はもちろんのこと、利一と朝生も気になった
境遇も想いも似ていたのに2人の生き方はまるで違ってて 朝生は聖書を利用して私欲のために人々を陥れ、利一は真心を大事にみんなを幸せにする…
お寺の掃除に疲れて寝転がると、金色の仏様の飾りに囲まれているようだった
いつも仏様が見ている、だから真心を大事にしなくては、みんなを幸せにしなくちゃという気持ちで育っていけたのかもしれない 例え、学校に行けないほど貧しくても…
ハナも利一も心に大きな鉄の箱を持ってて、その中に自分の気持ちを入れてきた
花街に売られたくない、上の学校に行きたい…
年を取った2人が自分の気持ちを全部言うことができて、ただの狸の子だった小さな頃に戻れてよかった
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元ネタのコスメ、100年を超えて今だにドラッグストアに置いてあったりするのスゴイ。開拓者の話は面白い。人生の半分を生きて、やっぱ頑張りどころは若いうちだったなと思うし、思春期の色んな悩みで足を取られるのは勿体無い。ずんずん我が道を生きるべきだったんだよって思う。
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太陽堂の創業者、中山太一さんをモデルにした話たが、内容は利一と舞妓のハナちゃんとのお話。
利一が、ハナに助けられて、それからメキメキと商才を発揮していく姿はよかった。
利一の宣伝のしかたが、派手でおもしろい!
クラブコスメチックスの商品買いたくなった!
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今から100年以上前、生活様式も価値観も違った時代で、銀杏の木の下で会った少年少女の人生のお話。もうすぐ結ばれる、上手くいく、というところで離れることになった2人の行先がどうなるのかハラハラしながら読みました。戦争によって全て無くなったけれど、大切にしてきた真心で報われたこと、長い時間がかかったけれど2人のんびりと同じ時間が過ごせているエピローグにほっとしました。
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一言で表すなら「朝ドラチック」かな。
主人公の一人が屋形(置き屋のこと)に牛より安い値段で売られたという、現代の朝ドラ的には不適切な設定だが、作品全体に時代の風が爽やかに吹き抜けていた。
また神戸が舞台で、主人公のハナが生活する屋形の姐さんやお座敷に出入りするお大尽方特有の言葉遣いが小気味よく飛び交う…といったところが、朝ドラチックだなと思った次第である。
「どんなに悲しくても憎くとも、利一には狂うことはできない。ただ、前を向いて進むだけだ。これからも、権力でもなく暴力でもなく金でもなく、たったひとつ真心だけを武器にして」(P 181)
故郷 山口から若くして神戸に出てきた少年利一と、(冒頭でも書いた)屋形に売られてきた少女ハナの甘酸っぱくてほろ苦い一代記。ひょんなことから出会いを果たした二人は驚くほど馬が合い、やがてその交流は日本を代表する商品のヒットへと繋がっていく…。
利一は貧困から中学に進学できず、お家再興のためビジネスや英語の習得にと、日夜けなげに励んでいる。独立してからも、ワーカホリックで馬鹿正直なくらい誠実なビジネスパーソン・商魂たくましいアイデアマン…と、仕事のために生きている印象だ。
「仕事の次に家族」というスタンスが「ちょっとそれまずいのでは?」と、心配にさせる。
彼の働きぶりやキャリアがあまりに克明だったので調べてみると、やはり実在の人物をモデルにしていた。
中山太一(本書は永山利一。固有名詞を変えるあたりも「ザ・朝ドラ」だな…)。本書同様、洗い粉(洗顔料)や(当時主要成分だった)鉛不使用の化粧下地が爆発的にヒットし、「東洋の化粧品王」の異名をとった。彼が一代で築き上げた会社は「クラブコスメチックス」に名称を改め、現在も続いているという。
これまた本書同様、穏やかな余生を過ごされていたのかな。
「芸妓というものはみな剣山の上に座っている、きれい事をしゃべる生け花だ」(P 73)
対するハナは、とにかく理にさとい。
長年にわたる屋形生活やお座敷での接待からか、常に私見を抑えて何もかも客観視している。ハナへの想いをなかなか果たせず、仕事への情熱にひた走る利一より何歩もリードしているように思えた。
だから彼女が感情を露わにしていくシーンでは度肝を抜かれ、同一人物だと認めるのに大分時間がかかった。しかし終盤、同じく想いを吐露した利一との対峙で「あぁ…二人はやっぱり似たもの同士だったんだな」と、その意外性が腹に落ちていったのである。
初恋の仲だと思わせといて、その実態は苦楽を共にした戦友だったのだ。
明治後期から大正・昭和初期…
民間にも西洋化が浸透していくフェーズであっても、まだまだ本当の自分を曝け出せなかった時代。
ハナや屋形の姐さんらは白粉で顔を固め、お座敷に上がればたちまち芸妓の顔になる。利一は利一で、どんなトラブルがあってもビジネスマンとしての顔を決して崩さない。それで上手くやり過ごせていても、「自分はどんな人間なのか」を二人は見失っていた。
だからこそ彼らの晩年は、永山心美堂の洗い粉を使ったようにこざっぱりとして見えた。
Posted by ブクログ
馴染みのある方言で進む会話や、よく知る地名が出てくるストーリーが心地よくすいすい読めた。
また、信念を持って自分のやりたいことや目指すものに向かってひた走る人のエネルギーに圧倒された。特にハナが誰にも流されて生きたくはない、と渡米するところシーンが胸を打った。
生きていく上で大事なのは人との縁とお金なのではとうっすら思っているけれど、それらを引き寄せるには"真心"が必要なんだと感じさせてくれた。チヨと利一が最後には二人好きなようにゆっくり過ごす時間が持てて本当に良かったと思う。
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ハナと利一のひたむきに生きている姿に胸を打たれる。
利一には実在のモデルがいるとのこと。物語はもちろんフィクションだけど、こんなふうに事業に情熱を注ぐ人たちがいたのだろうなとこの時代に思いを馳せた。
Posted by ブクログ
利一もハナもたがいの背中を見つめながら
前へと進んでいっているなと思った。
ハナのためにから始まり、
大衆が使える化粧品をと品質や材料をこだわって作る。
利一の世の中を読み取る力が凄くて、
これほど頭が回れば物も売れるだろうなと思ったが
それよりも、ハナを想う気持ち、大衆を想う気持ちが
人を引き付けたんだろうなと思った。
ハナも利一を見ながら花街で技術を磨き、
利一にこれだという助言をして何度も助けてきた。
いつかおたがいに…と思っていた利一がハナに送った
「僕が大阪の堺町あたりに家を買うたら…
その家に銀杏の木があったとしたら、
いや、なくてもや。
もうお座敷にはでんで、
僕の前だけでたぬきを踊ってくれる?」
というプロポーズが
ハナのことをとても想っているなと
心が温かくなった。
恋愛小説をてんで読まないけど
これにはきゅんとしてしまった。
ハナが泣く泣く利一と日本に分かれを告げるところも
涙が出てしまった。
芸妓はただ男に媚びをうっているものだと思っていたけど
実は、仕事と仕事や人と人の縁をうまく結ぶ
そんな役も買っていたんだなとこれを読んで知った。
それも踏まえたうえで、大金を積んでいるんだよなあ。
最後、二人ですき焼きを食べれて良かった。
Posted by ブクログ
戦前の大手化粧品会社である中山太陽堂を創立した中山太一をモデルとした小説
恋愛小説でもあり大正、昭和の経済社会を学べる最高に面白い本だった
関西がメインで神戸の地名も沢山出てきて親しみやすかったけど、テンポは良くは無いから読みずらさは少しあった
長男として家族を支えるために休む暇もなく働き続ける利一と
両親に幼い頃に色町に売られたハナ
の2人の物語
利一の真心を大切に、毎日が吉日、という言葉が彼の生真面目さをよく表していた。化粧品会社を大きくして成功!以上!で終わらなくて戦時中の悲惨やその後の苦しみが壮大で、老いとどう向き合うかが描かれていて涙が出てきた。
ハナは利一を誰よりも大切に思っていたが故に利一に迷惑をかけまいと利一の元を去ってしまったのが、ハナらしいと思った
利一とハナは恋人にも夫婦にもならなかったけど誰よりもお互いのことを想っていて、最後に再開できてよかったほんとに
サクセスストーリーでは無いかもしれないけど読んでいてとても考えさせられたし、リアルな世界を描いていたと思う
ずっと手元に置いておきたい1冊
Posted by ブクログ
難しい言葉や、聞きなれない単語への読みづらさと闘いながら、読み進めたら面白すぎた。神戸の聞いたことある地名とか出ると親近感。期待していた展開(幸せな展開望みがち)ではなかったかもだけど、読後もいい気持ち。
Posted by ブクログ
神戸花隈の芸妓とハート化粧品の社長利一。2人の幼い頃からの出会いからその後の紆余曲折が波乱万丈で面白い。実話が元にあるのでリアリティがある。真心を武器に一代で築き上げたコスメの王様のなり様も目が離せなかったけれど、ハナが1人の女性として自立しようとしたところに感動した。
Posted by ブクログ
可愛い表紙に反し、ガッツリ偉人伝。
実在のモデルを調べてみると、
本当に美形だった。
それにしても、やっぱり働くなあ。
このタイプの話を読んで最初の感想は
だいたいコレ。
自分にはここまでの情熱がないから、
ちょっと羨ましくなる。
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東洋の化粧品王と言われたクラブコスメチック社の創業者中山太一の生涯をモデルとしている。なかなか面白かった。「真心」をもって駆け抜けた、120年の歴史を刻み続けている化粧品を使ってみたくなった。
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ハナは、兵庫三田の山奥から牛より安い値段で花街に売られてきた少女。
山口の家族を支えるために神戸に出てきた利一とは、ドブに足を踏み込んでいたのを助けたことがきっかけで知り合う。
これは、東洋の化粧品王・中山太一をモデルにした一代記である。
真面目で探究心旺盛な利一が、次々と商売をやり成功していくのだが、「思い立ったが吉日」「毎日が吉日…。ないものを知るのが商機…!」と行動力も凄い。
一時の流行で終わるような商品を作りたくはない。という気持ちもあり、常に考えて知ってもらうための広告力も必要と視野も広い。
紆余曲折もありながら、大ヒット商品誕生へと繋がっていくのだが、決してハナを忘れたことはなかった。
だが、想像していた幸せがずっと続くことはなく…
いろんな状況を経て、年老いて懐かしき神戸の地で再会した2人。
「ああ、ほんまに毎日が吉日やねえ」
顔を合わせてこのことばを言う。
これ以上に何を望むだろう…というのが感じられる。
明治から大正、昭和にかけて戦争を体験しながらのこのことばに何とも言えない気持ちが込められている。
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東洋の化粧品王と言われた中山太一をモデルに描いた一代記。
ロゴマークやポスターに使われた芸妓、ハナの自立の物語でもある。
久々に爽やかな読後感だった。ドラマや映画になったところを見てみたい。
Posted by ブクログ
鉛中毒の話は知っていて、鉛の入っていないお粉への変遷には元々興味があった。
クラブ化粧品って今も普通に買えるんだな、スゴイ。
明治以降、舶来品がどんどん入ってきて、価値観が急展開していく時代にこのところとても惹かれる。軌道に乗っても、戦争の影響を受けることになるのだけど−
以下、印象的な箇所。真に商才のある人はすごい。
「品物がよくても、売るのは地方の小売店である。彼らが売りやすいように言葉を的確に選んだことで、店の棚に並ぶほかの商品よりも売り出しやすいと感じてもらえるのだ。
(〜いくら同じ商品やからといって、同じ人に同じ状況で売ることはありえない。つまり、同じ商売というのは二度とない。その日、そのとき、時刻と気分も違えば違う商売になる。この差を埋めて必ず売りに直結させられるのは、人の『売る』力だ)」
「人の性とは、良いも悪いもあってこそのもので、そこに付け入ろうとする悪い連中がいる以上、落ちるときはあっという間である。それを憎みこそすれ、我を忘れるほど激怒してはならないし、ましてや悲しみで狂うことがあってはならない。〜」
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家族のため学業をあきらめた利一と、花街に売られたハナ。
明治後期、神戸で出会ったふたりの人生記。
装丁が素敵。
利一もハナもひたむきで好感を抱く魅力的なキャラクター。
幸福に満ちているように見えた同じシーンが章によってこんなに切なくなるなんて…
ラストは爽やかな締めで良かったです。
Posted by ブクログ
レトロ可愛い表紙に惹かれ、自分自身コスメが好きなこともあり、何気なく手に取ってみた一冊。
久しぶりに読み応えのある本だったが、読み終わった後の余韻はちょっと薄め。
ハナと利一、ひたむきに生きるふたりの人生の、交わりとすれ違い。
永山利一。
たとえこの方が化粧品業界を開拓してなかったとしても、化粧という文化が大衆に広まっていくのは時間の問題だったと思うけど。
それでも、先陣切って奮闘してくれたのがこの方で良かったと、コスメ好きとしては染み入る想いになりながらの読書時間でした。
風習の中で自分を抑えながら控えめに生きてきたハナが、意外にも"新しい時代の女"を隠し持ってたのが良かった。
化粧品は贅沢品じゃない。
自分を心地よく健やかにしてくれるもの。
世の女性のために、お世話になった姐さんたちのために、そして何よりハナちゃんのために。
思い描いた形とは全然違ってたけれど、利一と出会ったことでハナちゃんがちゃんと、心身共に健やかな道を歩んでいってくれたのが、本当に良かった。
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お仕事小説、時代小説をミックスしたようなお話だった。
NHKの朝ドラにありそうな物語。
利一は会社のために、ハナは人生のために自身の気持ちを鉄の箱に押し込めた。
きっとこの本が伝えたいことの根幹はそこだと思う。
自分の気持ちを素直に出すこと。
確かに働いたり人間関係を保つ上で、自分に蓋をし気持ちを水平に保つことが要されるが、自分の感情や欲望を素直に口に出すことが人間のあるべき姿ではないか。
過度に感情を仕舞い込むことはよくないから、ちゃんと自分を大切にすること。それをこの本から読み取った。
後、個人的に神戸が舞台の小説は初めて読んだので神戸っ子として非常に嬉しかった。
あと大正明治あたりの和洋折衷の文化がとても好きなのでそこが細かく描写されているのもとても良かった。
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流し読みで1.5時間くらいで読んでしまったが、結構話が読めた。
似た顔の2人の全く別の人生の話。表紙にいくつか伏線があって楽しめた。
化粧品を愛する人にはぜひ読んで欲しい作品。
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時代物はちょっと苦手で、なかなか読み進まなかった(汗)
子どもが売られる、にわかに信じがたいが、ほんの100年ほど前にあったこと。その事実を私たちはどう受け止めるのか。そこから始まっているように思えた。
お互いに売られて神戸の街で出会ったハナと利一。家族がどうしようもない人だということはこんなにも残酷なことなのか。二人の生き方は努力そのもの。
Posted by ブクログ
高殿円さんの作品はたまに面白くないなと思ってしまうものもあるけれど、こちらの作品は面白かった。
子どもの頃に出会ったふたりの大恋愛?物語。
プロポーズ的な雰囲気のシーンはちょっと泣けた。
一時は上手くいくように見えたけれど、様々な事情や時代の流れのために離れ離れになりそれぞれの人生を歩んでいく2人。
最後はハッピーエンドでよかった。
残念な点は、出来事が淡々と語られてる印象が強くてなかなか感情移入しづらい。
三人称視点だからかもしれないけど、もっとふたりの感情や葛藤とか考えていることがより詳しく描写されていて、人間味がもっと読み手が感じることができればよかったかもしれない。
ドラマティックな時代背景、人情溢れる花街、分かりやすい成功展開、これだけ間違いない題材が揃っているのにもったいない。
Posted by ブクログ
利一もすごいけれども、やはりハナの人としての器の大きさを感じました。
全編通して明るいトーンで描かれていますが、戦争や花街で生きる辛さを考えると、サクセスストーリーと簡単に割り切って読むこともできない部分もあったなぁということで、暗さが苦手な私は星三つにしてしまいましたが、内容的にはとても良かったです。
Posted by ブクログ
「ほんまに、きみが愛おし!」時は明治の世。秀才ながらも、山口の家族を支えるため進学をあきらめ、単身神戸に出てきた少年・利一。牛より安い値段で花街に売られてきた少女・ハナ。神戸の花隈での二人の出会いは、やがて日本の生活をも一変させる発明、大ヒット商品誕生へとつながっていく。そして、幼い日に誓い合った約束の行方は?
序盤から別れまではあっという間に読みました。どんどん会社が大きくなりどんどん利一が離れていってしまうように感じるハナ。普通の小説だったらここで二人がくっついてハッピーエンドなんでしょうが、そこは高殿さんの描く新時代の女性、アメリカへ旅立って力強く生きていきます。ちょっとここからが物足りなかった。あっという間に駆け抜けてしまって、ハナがどういう人生を歩んだのか、想像の域止まり。利一もこんなくよくよしてる人だったか??と面食らってしまった。新しい時代を先取りしようと勉強したりしていても、人は老いるとこうなってしまうのか、とちょっと悲しい。描かれた化粧品メーカーにモデルがあるのか気になった。