高殿円のレビュー一覧
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加速度的に面白さを増していく上流シリーズ3作目。
トッカン!から読み始めて、高殿さんの濃ゆすぎるキャラ作りにうさんくさい目を向けたのも今や昔。脳内を所狭しと駆け巡る「好き」がもう止められなくなっている。
営業成績を追う日々のかたわらで、離婚、終活、ジェンダーレス、LGBTQなどベンチスタートのライフイベントがわさわさと主人公を取り巻く。濃厚なキャラと相まって、なぜか雑味のない最高級ボロネーゼが完成して出てくる仕上がり。なぜか全部おいしい話に見えるのは私だけか。
これまでジェンダー問題では、アレルギー全開の人(田嶋陽子さんのイメージ)に対するアナフィラキシーが私の中にあり、そこにスッとフレー -
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バツイチアラフォーと乙女なゲイとの2人が、人生の寂しさ回避について本音と本音をぶつけ合う。
そんなフラットメイトの迷コンビがリッチマダムな富裕層に立ち向かっていく様は、もう勇ましくすらある。元気もらえる。Iは面白かったけどⅡでさらに円熟を増した感。
高殿さん作品は、登場人物同士のハイスペックすぎる会話に喰らいつくだけで必死になる。だけど、憧れる。自分にはないものに共感できてしまう不思議さを感じる。ゆるやかな上昇志向とでも言うか。
こんなに高回転で話ができる相手って、それだけで信頼してるってことだよねーとか、妙にニマニマもできる。
今回さらに、仕事としての楽しさを一切見出せない(私見)営業 -
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333ページ
720円
10月31日〜11月4日
富久丸百貨店の外商員として働く鮫島静緒。美容整形に興味があり静緒に試させる女性資産家、息子の中学受験に巻き込む元CA主婦、「強い」宝石を集めるイラストレーターの訴訟事件。引っ越しを考える静緒に、ヘッドハンティングの話も。同居する桝家との関係も落ち着きを見せる。
外商員としてやり手になってきた静緒の成長がみられた。桝家との関係も落ち着いてきて、このまま同居を続ければいいのにと思ってしまう。訴訟事件の腹立たしいことや、中学受験の大変さなど、今回の話も楽しませてもらった。ドラマ化すればいいのにと思っていたら、どうやら竹内結子さん主演でされていたら -
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ネタバレ前作『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』でも二人の関係性にクスッとして、ほっこりニヤニヤしたのを今でも覚えています。
今作はどうなるの?と思いながら、読んでみましたが…
・二人の関係性の変化
・有名ミステリーをどうこねくりまわしてくるか
を軽々とクリアしていました…!
予想外の角度から切り込まれていてワクワクしてときめく。
おいおい!そうくるのか!面白いじゃないか!と思わず、興奮。
高殿円さん…とても良いです。
とはいえ、3巻目まで買う必要ある…?と事件解決後、あと数ページで読み終わる頃になって気になった私。
ですが、見事に3巻も読まなきゃー!!と思わせる展開がありました。
いや、もうジョーっ -
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矢継ぎ早に繰り出される大阪弁が、耳元でずっと聞こえている。
京橋という街で存在感を放つキャバレーの、きらめきと喧騒が目に浮かぶ。
ルーのたくさんの言葉や、行間からさえあふれ出てくるような強い気持ちが熱くて、応援したい気分になりながらぐいぐい読んだ。
仕事に誇りを持ち、性別による差が社会の中にあると分かりながらもひざを折らないルーの、なんとまぶしいことだろう。
「にせもんでもいい、あれは光や。あの光の行き着く先はカネで、だけどカネになると不思議とちいとも光らん。――可能性、望みこそが光だ。」
キャバレーというビジネスの栄枯盛衰が描かれているのも興味深かった。戦後の発展、バブル、不景気。家電の -
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ネタバレパラパラ読んだときに花隈の地名が目に入って、学生時代を神戸で過ごしたので懐かしくなって読んでみることに。
飛行機で自身の会社を宣伝するという大胆な導入場面。利一が興した会社はまさに発展していくその時でそれを見ながらハナはいっそう利一が愛おしくなるのだった
この場面が疾走感と希望いっぱいのキラキラ感がすごい 高殿円さんが描写すると眼の前に浮かんでくるよう
全部読み終わってから思ったけど、この場面は利一と離れることを決めているところなんよね
ほんまに愛おし!と言いながらもう一生会うことはないって決めている
自分はこれからどんどん大きくなる利一の邪魔にしかならないから…
切ない!!
この本には -
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百貨店の外商さんと、そのお客様である上流階級の方々を描くお仕事小説です。
主人公は、専門高校卒でパートからバイヤー、外商へと異例の抜擢をされた女性外商。相手にするのはお得意様ばかり、月々の売上ノルマは1,500万。庶民にはなかなか窺い知れない世界で奮闘する主人公と、彼女が関わっていく人間模様が魅力的に描かれています。
同作家様の本は、『トッカン』を読んだことがあったのですが、そちらはあまり好みに合わなかったので、この本も手に取るのを少し迷いました。けれど、『上流階級』という一言と、本の表紙の装丁。それに、『外商』という普段目にすることのない仕事について書かれていることに心惹かれました -
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面白かった〜
知られざる(?)外商の世界の話。
とはいえ、外商のことも、少しずつ知られてきたよね。
富裕層向けの仕事。百貨店の一部門ではあるのだけど、店舗にいるのではなく、顧客の自宅へ出向いていく。
ごほうびと言う言葉は知らなかった。
ご褒美ではない。呉服・宝飾・美術品、その頭文字をとってごほうび。
このごほうびをサラッと買ってしまうのが、外商の商売相手。金額のスケールが違う。
百貨店は女の世界。一方で外商は男の世界。(と言われてきた)
そんな外商の世界で奮闘するのは女主人公。
とってもフィクションなんだけど、コミカルすぎずシリアスすぎず。ちょうどいい塩梅。
これ、シリーズものなんだね。 -
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大阪人なら、行ったことはなくとも名前は知っている京橋グランシャトー。ずっと「グランシャトー」やと思っていたのに、えっ、「グランドシャトー」やったん!?と驚きながら読みはじめましたが、実存するのは「グランシャトー」ですよね。
どこまでがホンマなんですか。史実に基づいた小説を書くのがお得意な著者のこと、グランシャトーもそこで働く人たちにもきっとモデルがいらっしゃいましょう。
いわゆるお勉強はでけんかったとしても、人生の機微を知る人たちがここにおる。姫路から逃げてきて京橋にたどりつき、中崎町の長屋に居ついたルーと共に、何十年という時を私も過ごしたような気分になりました。
すべての光景を思い浮か -
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大阪京橋のグランシャトーにまつわる物語であること、私自身長年大阪に住んでいること、京橋近辺の街並に多少思い入れがあったこともあり、思わず購入。
昭和も終わりに差しかかっていた子供の時分、大阪環状線の京橋駅を降りたときに感じた強烈なドブの臭い、地面にびっしりへばり付いているガムの吐き捨て跡と、あたり一面に捨てられているタバコの吸殻。こんなに汚い街があるなんて子供ながらに衝撃を受けたことを今だに覚えている。
大阪の汚い街と言えば西成のイメージがあるかもしれないが、自分の中では京橋こそが大阪で一番汚くてガラの悪い街というイメージだ。
こんな負のイメージが強い京橋だが、グランシャトーの曲は鮮明に -
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この本は書店でタイトルを見た瞬間、大阪人なら買わねば。と作家名も何も確認せずに購入。ある一定年齢以上の関西人なら必ず知っているCM。京橋のレジャービル「グランシャトー」がモデルだとすぐにわかったからだ。
プロローグを読み始めてすぐに作品世界に吸い込まれ、最後まで読んで、再びプロローグに戻って読み、そのまま二周目を読んでしまうという、非常に奥が深い小説でした。
もう二度と戻らないゆったりとした時の流れと懐の深い昭和の空気感が文章からあふれてきます。そしてこの本を開くと、一定年齢以上の関西人なら必ず歌える「京橋は♪」で始まるあのCMソングが脳内で再生されます。主人公ルーの執着が悲しく切なく逞しく愛