高殿円のレビュー一覧
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ネタバレ30代、おひとり様でも家が欲しくなるよなぁと手を出した1冊。タイトルや表紙から、理想の間取りや、理想的な土地の探し方、転職や結婚で条件が変わった時に買った家をどうするか、などが展開されるのだろう〜などと勝手に期待していた笑
実際は、年収300万くらいのM村という都内在住・35歳独身女性が、都内限定でマンションの一室を買おうとする話。年収はリアリティがあって良いのだが、都内限定というのが結構残念だった。
東京の相場や、ハザードマップなどからおすすめの土地も知れて面白いことは面白いのだが、地方に一軒家を買う話を期待していたので残念。
その金額で買えるのがその程度の広さなのか…と、地方民としては物足りなく感じるところである。
最近、FPの勉強をしたところなので、ローンの団体信用生命保険などは知識としてあったが、ローン審査の話などでより解像度が上がった。
マンション購入の際は、修繕費・管理費の値段が妥当か、築年数、管理組合理事会や総会の議事録、管理規約、使用細則を見せてもらう、など。
序盤では、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)なるものが紹介され、一級建築士すら診断士の資格を持っていないとは…などと国内の資格保有者の少なさを嘆く場面もあった。(ということは、そこまでの価値がないからだろと突っ込みたくなるが)
気になってこの資格について調べてみたが、受験資格不問の民間資格で、全50問でCBT受験できる上に、受験者数は常に増え続けているわけではなく、2019年784人、2020年604人、2021年653人、2022年479人と、増減があり、ちょっと不安な資格だった。
しかし、報酬が1回5万円はおいしいし、宅建をとった人間がついでにとっとこうとなる気持ちもよくわかる。 -
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にせもんの光でも、光なん?(p.176)
〔Ⅰ〕ルーの波乱万丈。真珠に拾われグランドシャトーのナンバー2として五年、東京の有名タレントとして二十年、戻ってきて沈没寸前のグランドシャトーをたてなおし七十二歳にして現役ホステス。
〔Ⅱ〕真珠はなぜかグランドシャトーにこだわっているようだ。ルーは真珠だけにこだわっておりそのためにグランドシャトー再建もした。
〔Ⅲ〕これはルーと真珠の物語。パワフルなルーと神秘的な真珠。ふたりは自分を曲げず生きる。そのいさぎよさに魅せられ、やがて哀しくもある。産経新聞やったかに連載されてたとき読んでたけどいっぺん通しで読んでみようと。
ここはキャバレーだ。踊りと音楽がすべてなのだ。(p.11)
ええか、キャバレーっちゅうのは大阪の生まれや。(中略)楽しいことはみぃんな大阪から始まったんやで!(p.12)
ここにいるすべての女が、いつかの自分だ。(p.83)
ルーがここから離れないのは、金というものが生み出す希望に目がくらんでいるからである。(p.93)
夢と金が同じものだった時代。(p.93)
ホステスの言うことは、どこまでが本当でどこまでが嘘かはそのときになってみないとわからない。(p.140)
にせもんの光でも、光なん?(p.176)
何でも教えてくれた。あのキャバレーが。(p.218)
浦島太郎はもとからじいさんやったんや。亀を助けて一時だけ、現実逃避をさせてもろただけ(p.262)
もううちしか残った花火をあげられへん。(p.279)
指輪のひとつやふたつ、この世とあの世のすきまに落っこちることもあるやろう。(p.336)
けれど、人も神さんも好きなように流れて集う。ここは街に流れる川の上やから。(p.351)
誰も彼もが楽なほうに生きたらええ。ずっとしんどいのがいちばんあかん。そうやな、ねえさん。(p.351)
■グランドシャトーについての簡単な単語集
【アキ】明広。ルーの弟。
【大路アキヒコ】ルーがグランドシャトーに来たときの支配人。オーナーに見込まれてやってきたやりて。
【川崎橋】ルーが真珠と出会った橋。どの橋や? と思って調べてみたらよく通ってる橋やった。
【北野病院】真珠が治療を受けている病院。実在。大阪では最も評判のいい病院かもしれない。
【グランドシャトー】大阪京橋にあるキャバレー。ルーが入った頃は百五十名のホステスがいた大キャバレー。モデルは当然「グランシャトー」でしょう。現在すでにキャバレーはなくなっていますが器はいまだ健在で他のことをやってはります。一度も入ったことはないけど大阪人なんで若い頃しょっちゅう、コメディNO1のお二人が踊ってるテレビCM観てました。売春等はせず、客が健全に(?)チークタイムで踊ったり疑似恋愛を楽しむ店というイメージ。ちなみに今これ書いてるのはグランシャトーから歩いて数秒のとこにある喫茶店。呑兵衛ではないけど、京橋はホームグラウンドのひとつで僕にとっての「大阪」。あとは天王寺と梅田(ずいぶん雰囲気違うけどそこもまた、大阪。
【地蔵長屋】ルーが真珠とともに暮らすことになった。両端に地蔵がある。真珠は毎日地蔵をきれいにしている。
【真珠】ルーが若かった頃の憧れのホステス。稼ぎは国会議員以上。いつも黒のベルベットロングドレス。お腹が空いていそうな人や動物を見かけるととりあえず持っているお菓子を与えてしまう。よくわからない性格で天然ボケ系なのか外国人なのかとか想像してみているが。
【隅田】ボーイから二十五年のたたき上げ。
【チキンラーメン】ルーと真珠の絆のひとつ。
【TOOKO】ルーが見つけてきたシンガーソングライター。モデルというのではなくイメージ的にはaikoさんかな。
【中崎町】ルーと真珠が暮らす寮があった。梅田に近いけど、かつてはここに描かれたように下町というか場末感あふれる場所やったんやけど梅田の広がりとともにそういうのを好む意識高い系の人たちのおかげで(?)今はずいぶんおしゃれな感じになってきた。ちょっと残念ではあるけど、悪いことではないんでしょう。
【ナギサ】ルーが入った日に真珠のツナギをしていたホステス。ルーをうっとうしがってる感じ。
【成島】オーナー。若ボン。
【弾き語り】ルーはグランドシャトー再建作戦の中で路上で弾き語りしてた〈オトムライ〉=隅田慎滋と〈売れ残りバンド〉をスカウトした。今ならあいみょんさんなんかも目をつけられてたかも。
【ぽんせん】ルーと真珠の絆のひとつ。
【ヘレン】ホステス。ナンバー2の常連。
【まりん】ホステス。ふたり子連れ。寮で幅を利かせていた。
【ミキ】ホステス。あごに大きなホクロがある。
【ミミ】ホステス。ナンバー2の常連。
【やぐらソージ】歌手。贔屓していたルーが適当に歌ったメンショーのCMソングのフレーズをパクりそれがヒットしてなんとなく芸人扱いとなる。モデルというのではなくイメージ的にはやしきたかじんさんかな。
【ルー】主人公。現在七十二歳、伝説のホステス。この物語は十九歳の彼女がグランドシャトーにやってきた昭和三十八年(1963年)暮れから始まる。ダンスするのが好き。真珠を「姉さん」と呼び慕っている。母と弟の明広と洋平がいるが別離した。モデルというのではなくイメージ的には上沼恵美子さんかな。グランシャトーでナンバー2として五年やり東京に出てタレントとして二十年活躍、その後戻ってきて沈没寸前のグランシャトーを真珠のためにたてなおす。 -
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鉛中毒の話は知っていて、鉛の入っていないお粉への変遷には元々興味があった。
クラブ化粧品って今も普通に買えるんだな、スゴイ。
明治以降、舶来品がどんどん入ってきて、価値観が急展開していく時代にこのところとても惹かれる。軌道に乗っても、戦争の影響を受けることになるのだけど−
以下、印象的な箇所。真に商才のある人はすごい。
「品物がよくても、売るのは地方の小売店である。彼らが売りやすいように言葉を的確に選んだことで、店の棚に並ぶほかの商品よりも売り出しやすいと感じてもらえるのだ。
(〜いくら同じ商品やからといって、同じ人に同じ状況で売ることはありえない。つまり、同じ商売というのは二度とない。その日、そのとき、時刻と気分も違えば違う商売になる。この差を埋めて必ず売りに直結させられるのは、人の『売る』力だ)」
「人の性とは、良いも悪いもあってこそのもので、そこに付け入ろうとする悪い連中がいる以上、落ちるときはあっという間である。それを憎みこそすれ、我を忘れるほど激怒してはならないし、ましてや悲しみで狂うことがあってはならない。〜」 -
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ますます仕事に奮起する主人公。
独身で40代に近づくにつれ、管理職を目指すべきか、一人で暮らす母親をどうするかなど年相応の問題に直面します。
顧客に至っては、中学受験に奮闘する家族など、多種多様に登場。社会が変わると共に、顧客の要望も変化していくものだとわかりますね。
上司への憧れの愛や、同居する後輩への愛情、それぞれの家族感やパートナーシップ事情などもあって、なるほどと納得。
社会の変化に対応するには自分自身の考えや行動を変えていかなければならないと、改めて考えさせられました。
どんな人生を送るにしても、どんな仕事内容でも、「仕事」とは稼ぐ以上に大切な事だと改めて実感。
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新書とは思えない軽い文章にちょっと面食らった。あっという間に読めちゃう。
自分のために楽しんでスキンケアするのは別に好きにしたらいいと思うけど、いずれ介護されたりする時に自分を労われないのはよくないから男性もスキンケアをするべきというのは、そうかなぁと疑問に思う。
私にはスキンケアすることに、それほどの力があるとは思えないけど。スキンケアするということを過大評価しすぎている気がする。
唯一地に足ついた感があったのは、出版社の男性社員数名が実際に数週間スキンケアをしてみた感想を書いていたところ。そしてこの本の編集者以外にはさほど響いていなかったところ。効果は実感できるしいくつかの習慣(洗顔フォームや化粧水)は定着したけど、パックなどはやらなくなった、みたいなのがすごいリアルだなと思った。普通はそんなもんだよな、と。
あと、著者の8000円の化粧水を夫と息子が内緒で雑に使っていてキレたというエピソードも。そりゃキレるわ。私ならもっと怒り狂う。
全体的あまり賛同できる感じではなかった。
どんどん男性もスキンケアすればいいね!とかは思えないし、していない男性みんながセルフケアできていないというのも疑問が残る。 -
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忘らるる物語
著者
高殿 円
あらすじ
男が女を犯せぬ国があるという。
辺境の王族として生まれ、幸福な結婚をしたばかりの環璃(ワリ)は、突如たったひとりになった。広大な大陸を統べる燦(さん)帝国の次期皇帝を選ぶための籤(くじ)、”皇后星”に選ばれたからだ。一族はすべて皆殺し、産んだばかりの息子を人質に取られ、環璃は候補の王たちと寝るためだけに国々を巡る。絶望の淵に突き落とされた彼女が出会ったのは、触れた男を塵にする力をもつチユギという名の戦士だった……。
女が産み、男が支配する世界を変える「忘れられた物語」とは? 破格のエンタテインメント巨編!
感想
高殿円さんの『トッカン』や『上流階級〜富久丸百貨店外商部〜』が好きで手に取ったのですが、本作はこれらとはまったく異なる世界観で、著者の作品領域の広さに驚かされました。
今回はお仕事小説ではなく、歴史ファンタジーとSF要素が融合したような物語。女性作家ならではの視点で描かれており、設定上は古代風の世界でありながら、女性の社会的立場やジェンダーに関する問題など、現代にも通じるテーマがしっかりと描かれています。
長編であるうえに、独特な世界設定やSF的な展開もあり、1度で物語の全体像を掴むのは少し難しいかもしれません。それでも、単なる異世界ファンタジーとして読むだけでなく、現実世界の問題と重ね合わせて読むこともできる、奥行きのある作品です。
高殿作品のファンはもちろん、骨太な物語やジェンダー観を扱ったフィクションに興味のある方にもおすすめです。 -
Posted by ブクログ
レトロ可愛い表紙に惹かれ、自分自身コスメが好きなこともあり、何気なく手に取ってみた一冊。
久しぶりに読み応えのある本だったが、読み終わった後の余韻はちょっと薄め。
ハナと利一、ひたむきに生きるふたりの人生の、交わりとすれ違い。
永山利一。
たとえこの方が化粧品業界を開拓してなかったとしても、化粧という文化が大衆に広まっていくのは時間の問題だったと思うけど。
それでも、先陣切って奮闘してくれたのがこの方で良かったと、コスメ好きとしては染み入る想いになりながらの読書時間でした。
風習の中で自分を抑えながら控えめに生きてきたハナが、意外にも"新しい時代の女"を隠し持ってたのが良かった。
化粧品は贅沢品じゃない。
自分を心地よく健やかにしてくれるもの。
世の女性のために、お世話になった姐さんたちのために、そして何よりハナちゃんのために。
思い描いた形とは全然違ってたけれど、利一と出会ったことでハナちゃんがちゃんと、心身共に健やかな道を歩んでいってくれたのが、本当に良かった。
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Posted by ブクログ
ネタバレお仕事小説、時代小説をミックスしたようなお話だった。
NHKの朝ドラにありそうな物語。
利一は会社のために、ハナは人生のために自身の気持ちを鉄の箱に押し込めた。
きっとこの本が伝えたいことの根幹はそこだと思う。
自分の気持ちを素直に出すこと。
確かに働いたり人間関係を保つ上で、自分に蓋をし気持ちを水平に保つことが要されるが、自分の感情や欲望を素直に口に出すことが人間のあるべき姿ではないか。
過度に感情を仕舞い込むことはよくないから、ちゃんと自分を大切にすること。それをこの本から読み取った。
後、個人的に神戸が舞台の小説は初めて読んだので神戸っ子として非常に嬉しかった。
あと大正明治あたりの和洋折衷の文化がとても好きなのでそこが細かく描写されているのもとても良かった。