あらすじ
瓶子貴宣(へいしたかのぶ)は、月収10万円の私大非常勤講師。博士号を持ち実力も抜群なのに、指導教官の不祥事で出世の道を閉ざされた。しかも姉が育児放棄した甥、誉(ほまれ)を養ってもいる。貧乏でも正規雇用を諦めない貴宣の前に、千載一遇のチャンスが。だが誉を引き取りに姉が現れ、家庭問題まで勃発――。奮闘するポスドクの未来はどうなる!? 痛快かつ心温まる、極上のエンタテインメント。『マル合の下僕』改題。
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オムライス。甘酸っぱいケチャップライスも中に刻まれたピーマンの苦味も玉ねぎの甘さも全部全部優しいふわふわの卵に閉じ込められてしまうような。
主人公がバタバタしているようで家族として成立していて、その二人の関係の安定性にホッとして、ポスドクというものを書いているのだけど、家族のお話として紹介したいなあと思う。挿絵?の漫画もテンポ良くて好き。
ご馳走様でした。
Posted by ブクログ
ただただ楽しんだ くすっとなって、涙もこぼれ、一気読み 自分もドクターまでは残らなかったけど、大学院に進み、大学に残る、という現実を垣間見、悲哀も知り、舞台の真実味を感じつつ、、、
主人公たちの真摯に、そして強かに生きていく姿勢に応援したい気持ちになった 自分の武器(頭脳)を使い、泣き寝入りはしない、彼らに痛快で優しい気持ちにもなるエンタメ小説!
Posted by ブクログ
面白かった。ラノベかとおもって読み始めたら,ポスドクの悲惨な状況(月収10万円ってホントかな…)や貧困家庭の問題などが書かれていて心が痛くなった。夢のようなハッピーエンドで終わるのではないところも,現実的なのかなと。優秀な人の使い捨てのようなポスドクや任期付の制度の問題が早く解消されますように。未来のためにお金が使えないような国に発展はないと思う…。
Posted by ブクログ
友人のポスドク(曰く、忍者のようにありとあらゆる学会に影のように出没し、手裏剣のように名刺を撒き散らす)のことを思い出しながら、楽しく読むことができました。
博士課程を修了したのち、非常勤の助手や講師として大学に残る「ポストドクター」。主人公の瓶子貴宣伝(へいしたかのぶ)は女子大の非常勤講師として月収10万円のワーキングプアでありながら、実姉の置き去りにした甥を育てる三十男。大学内で専任のポストを得るべく奮闘する主人公を描いたエンタメ作品です。
大学に残るドクターの「人生」を垣間見ることもできますし、主人公や甥のキャラクター、またなにかと主人公の前に表れて鬱陶しがられる薬膳という登場人物も魅力的です。
物語としての「ヤマ場」もしっかりとありましたし、主人公のセリフ回しも痛快で、すらすらと読むことができました。
ただのエンタメ作品、というわけではなく、育児放棄をした「クズ姉」しずるとのやりとりなどから、「どう生きるか』ということについてもメッセージ性があるように思います。
特に
「俺の座右の銘はいろいろある。……中でも一番心がけているのはこれだ。”一瞬のスッキリより一生の得”。……いくらやり返したいからと言って脊髄反射的に喚きちらしたり暴力に訴えるのは節足動物のやることだ。脊椎動物は知恵をもつべきだし、自分の行動をつねに二度美味しいにするには冷静さが必要になってくる」
というセリフや、
「決して泣き寝入りはしない。心を負けたままにはしておかない。負けた事実はしかたないが、それをバネに変えるところまで頭の中にイメージを固めてしまえば、心まで負けたことにはならない。……昨今よく言われる生きやすく生きる、というキーワードはたしかに人間にとって大事なことのひとつだろう。けれど、生きやすく生きるためにはなにより知恵が必要なのだ。逆境をパワーに変え、あるいは受けたダメージを効率よくアドバンテージに変換するためには、頭を使って考えることが大事だ。だれもが生きやすく生きようと思ってできるわけではない。だったら、大人が子供に教えるべきは、この思考のスイッチだ。知恵と教養は精神を助け、いずれは身を助ける」
という述懐はとても響きました。
Posted by ブクログ
分野による違いはあるかもしれないけれど,ポスドクの置かれている状況がよくわかる。厳しい中でも負け戦に挑んでいく主人公の心意気がかっこいい。そして,同居の甥っこの誉くんや登場人物たちがいい味を出していておもしろく,一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ
額賀澪の『青春をクビになって』を読んでポスドクの悲哀になんとも言えない気持ちになって、こうした類の小説ってこの時代だからあるんじゃないかと思い探したら見つけたタイトルもそのもののポスドク。コミカルに描こうとしているけど、卑屈さもなんだかかわいそうになって笑えない。きつい世界だ。なんで研究する人ってこんな境遇に追いやられたんだ?
Posted by ブクログ
最近の溢れ返ったポスドク達。結局、とっても研究に没頭してそれに生涯注ぎ込みたいと思う人以外は就職難民なのね。上のポストを得るにはやはり世渡りの才能なのね。
甥っ子は少し賢過ぎて、いい子過ぎてちょっと‥
ところで、月収10万円で二人生活出来る?
Posted by ブクログ
ポスドクのお給料って予想より厳しかった…。育児放棄で転がり込んできた甥っ子をよく育てられたものだ。貧乏暮らしも面白おかしく書いているし、共同研究の話も興味深かった。
Posted by ブクログ
貴宣は月収10万円のしだい非常勤講師。しかも
姉が育児放棄した甥、誉を養ってもいる。
貧乏でも正規雇用を諦めない貴宣の前に、
千載一遇のチャンスが。だが誉を引き取りに
姉が現れ、家庭問題まで勃発し…。