京極夏彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
これはなんていうんだろう。連鎖小説とでもいえばいいのかな。群像小説ではなくて、連作短編というのとも少し違う。前の小説がその次の小説の原因になっているような。
「プロの作家が本気で遊んだ」という印象の小説集でした。
タイトルが、有名作品からのパロディだし。内容もちょっとだけ……本当にちょっとだけパロディだし。
『パラサイト・デブ』なんてもう、タイトル見ただけで笑う。卑怯。
パロディのタイトルで、著者名もパロディ、内容はおふざけ。そして次の章では、「こういう作品があるようだけれど、あれは面白くない」とおとしめるところから始まる。
洒落というより駄洒落。けれど、よく出来た駄洒落は、くだらないと -
Posted by ブクログ
京極さんが古典怪談に題材にした作品。
『嗤う伊右衛門』に続くシリーズ第二弾だそうです。 (まだ未読。)
文章は昔の言葉遣いなので、最初は読みづらいなぁと感じたのですが、
そこはやっぱり京極作品。
すぐに気にならなくなるほど引き込まれました。
でも、私的には苦手なお話でした。
まぁ、怪談だからしょうがないのかもしれないけど、
小平次の何とも言えない感情(とも言いがたい何か。)が気持ち悪くて・・・
可哀想という感じでも無いし。
でも、小平次以外の登場人物の感情ってある程度は理解できる気がする。
そういう意味では、この作品は大成功なんだろうなぁ、と思った。 -
Posted by ブクログ
押入の中で膝を抱え、薄暗がりの中で己の厚みを消し、
一寸五分の隙間から世間を覘いている木幡小平次。
女房のお塚からでさえも厭われるほどの陰気な男だが、
それでも小平次は曲がりなりにも役者であった。
とはいえ、普通の役はからきし駄目な大根役者。
彼にできる役はひとつだけ――幽霊だけであった。
普段から死んだように生きている小平次は
ただ居るだけで、観ている者の心胆を寒からしめる。
ある時、囃子方の安達多九郎のつなぎで旅巡業の声がかかる。
小平次はそれを請けて、玉川座の奥州への興行に同行する。
しかし――、裏には何か企みが蠢いているようであった。
そして、小平次の周りの人間た